2013年11月10日

第五回 鹿島槍そば打ち体験会

これまで、鹿島槍そば打ち体験会のテーマは、

そばをまく(種まき)ところから始める
小学生から大人まで楽しめる
蕎麦の難しさを知る

というものでした。おかげで、一度でも参加したことがある方は、蕎麦を打つことの難しさがわかるので、普段お店で蕎麦を食べるときの見る目が変わってきたと言います。手打ちなのか機械打ちなのか、手打ちなら、どのあたりに工夫しているのか、などなど、ただ食べているだけだったときよりも、格段に蕎麦を食べることを楽しめるようになったようです。

今年は第五回ということもあり、「そろそろ万年初心者を脱するための、ステップアップの年にしよう」というのが隠された、新たなテーマでした。これまでは「初心者でもできる蕎麦打ち」でした。ちゃんと蕎麦の体裁を確保していて、「うわー、美味しいねぇ」と思えるような、でも、お店ではこういう蕎麦は出てこないよね、という蕎麦でした。今回は、人に食べさせても大丈夫な蕎麦を打とう、という、非常に高いハードルを課したのです。ハードルが高かったので、今回はお店を出す一歩手前のセミプロを特別講師として招聘しました。

では、具体的には、どうすればお店で出すことができるような蕎麦になるのでしょうか。10センチの長さと、顎が疲れない細さの両立を目指しました。やってみるとわかりますが、長さを確保することは非常に難しいです。小麦粉を入れて粘度を確保しても、それだけではうまくいきません。包丁で切るまでは細長いのに、茹で上がってみるとなぜか短かったり、太かったりします。

その原因は、1つに、最初の水回し。このとき、蕎麦粉、小麦粉、水がそれぞれ均等に混ざっていないと、出来上がりがボロボロの蕎麦になってしまいます。初心者の頃は粘りを出しやすいようにお湯を使ったりしましたが、これをやっていると水が均等に混ざりません。また、水の総量が決まったら、8割をまず投入して全体を馴染ませて、次に残りを一気に入れたほうが良いようです。こうしないと、全量の前に蕎麦がまとまりはじめて、水分の足りない蕎麦玉ができてしまいます。一度硬くできてしまった蕎麦玉を柔らかく修正するのはとても難しいです。

次に、打ち粉の使い方。これが不十分だと、折角細く切っても、畳んだ蕎麦同士がくっついてしまい、きしめんのようになってしまいます。じゃぁ、打ち粉をたっぷり使えばいいのかと言えば、そんなこともありません。今度は粉っぽい茹で上がりになってしまうので、打ち粉は必要にして最小限にする必要があります。

それから、打つスピード。のんびりやっていては、蕎麦が乾燥してどんどんひび割れていきます。手早く蕎麦にしていくことも重要です。

結局、今回は「これは上手にできた。お店で出してもおかしくない」という蕎麦は一つもありませんでした。でも、もうひと頑張りすればかなりいけている、という蕎麦を打てた人は数名いました。次回は、もうちょっと頑張れると良いなぁ、と思いました。

とはいえ、難しいなりに皆さん楽しんでいただけたようです。皆さんの協力もあり、事故もなく、主催者としては今回もなかなか良いそば打ち会になったと思います。今年来ていただいた方は、また来年お会いしましょう。そして、今年都合がつかなかった方は、来年はぜひいらっしゃってください。8月の蕎麦まきもあわせ、白馬、鹿島槍でお待ちしております。




























































































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