2013年11月13日

タイガーマスク

「TOHOシネマズは一週間で上映打ち切り」というニュースを聞いて、慌てて観に行ってきた。「キャプテン・ハーロック」「ガッチャマン」に続く今年駄作三部作のトリを飾る作品として見逃せないからだ。

普通のプロレス映画を期待していったのだが、まずSF的な味付けに驚いた。マスクをつけると、コスチュームまで現れて変身するという設定である。ほほうー、やっぱり、関連商品を売りたいのかな、マスクだけじゃ不満だったのかな?などと思っていたら、そこからあとはもっと凄かった。変身は駄作化を顕著にするための伏線だったとはさすがの僕も気が付かなかった。何しろ、変身シーンにカネがかかり過ぎたようだ。二度目から、変身は音だけで済ませてしまうところが凄い。「お金がないから、観る側の想像力に委ねよう」という姿勢は悪くないし、最近の米国産低予算SF映画でも散見されるのだが、それにしてもせこい。せこいと言えば、虎の穴の皆さんのコスチュームもかなり安っぽい。そういえば、虎の穴の本拠地もどこかの倉庫みたいで「お金がなかったんだねぇ」という気配がありありと感じられる。脚本がどうとか、演出がどうとか、そういったレベルとはかなり異なる次元でお金がなかったようである。ちびっこハウスが火事になるシーンも青い火を合成した映像で、全然燃えている感じがしない。そこまでお金がないなら、変身シーンなんかやめておけば良かったのに、と思う。そして、肝心のプロレスシーン。プロレス映画なんだから、プロレスシーン満載かと思ったらさにあらず。折角マスクとコスチュームでボディダブルやり放題だというのに、迫力もないし、そもそもプロレスシーンが全然ない。リアルタイガーマスク(佐山聡、三沢光晴)の必殺技、タイガースープレックスが特撮で登場したのはちょっとだけサービスだったけれど、あとは特に何もない。これじゃぁ、ダメだろ(笑)。こんなことなら、普通のコスチュームにして、試合のシーンは初代タイガーの試合を加工して使用、とかじゃダメだったんだろうか。実際のタイガーの試合のほうが、フィクションの試合よりも見どころがいっぱいというのが大問題である。どの試合も観客は20人ぐらいしかいないんだけど、エキストラすら用意できなかったのが悲しい。さすが、駄作三部作のトリである。

それにしてもこの作品、もともとは梶原一騎の実弟である真樹日佐夫が製作を表明したもの。2011年2月(東北の地震の直前)に「11月公開予定」として作り始めたはずなのに、なぜか完成予定の11月になってようやく配役が発表される状態。ははぁ、地震の影響があったのかな?などと思っていたのだが、そろそろ公開かな?と思っていたら、肝心の真樹日佐夫が逝去(2012年1月2日)。そのままオクラ入りかな?と思っていたら、なぜかこのタイミングで公開。

ところで哀川翔の滑舌の悪さが酷い。今まであんまり滑舌が悪いという印象を受けたことがなかったのだけれど、普段はセリフの練習をたっぷり積んでいたのかも知れない。それで、本作はやっつけ仕事だった、と。

評価は☆ゼロ。期待通りの映画だった。

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