「南極料理人」など、料理映画は邦画、洋画を問わずなかなか良い作品が多いので、期待していた。
江戸時代、将軍家の料理を担当した武士を描いている。
最初のうちは上戸彩演じる料理上手の女性を中心にまわって行くが、途中から高良健吾演じる包丁侍の物語になってしまう。この辺りの構成に一貫性がないのが残念。また、所々で独白形式のストーリー解説が入ってしまうのも脚本力の低さを感じる。加えて、それを語る役者の声の演技力にも問題があるので、どうにもB級感が拭えない。
料理のうんちくを目一杯盛り込むのかと思えばそんなこともなく、人間模様に注力するのかと思えばそんなこともない。料理の腕で出世する話にはなっているものの、なぜ料理に興味のない武家の人間が料理の腕を振るえるようになったのかもわからなければ、部下の確保、養成をどうやったのかもわからない。一事が万事中途半端で、素材は面白そうなのに、凡庸なできになっていて非常にもったいない。
これ、主役を上戸彩ではなく黒木華がやっていれば、それだけで1ランクアップしただろうし、監督・脚本が別の人ならさらに良い作品になっていたと思う。これは「武士の家計簿」の脚本と仲間由紀恵がダメだったのと全く一緒である。
あと、タイトルもイマイチ。
評価は☆1つ半。