2014年01月28日

東京家族



「小さいおうち」のプロモーションの一環としてテレビ放映された奴を録画で観てみた。元が146分、放送が174分(CM込み)なので多少カットされているかも知れない。

小津安二郎監督作品(1953年)のリメイクだが、物語はすっかり現代に変更されている。

ごく普通の田舎に住む老夫婦が上京してきたところから映画はスタート。田舎を離れてそれぞれに暮らしている老夫婦の子どもたちを交えながら、老夫婦の東京での数日間の生活を中心に描いている。

さて、この映画、どこにでもありそうなありふれた家族を描いているのだが、観ていて微妙に違和感を持つ。それは、普通のシーンでの会話がおかしいからである。「この場面で、もう孫が大きいくらいの老夫婦はこんな会話は交わさない」と思わされる。それは、内容も、しぐさも、である。

あるいは、飲み屋でのシーン。大騒ぎをする老人二人組に、隣に座ったサラリーマンたちがうんざりして席を立つというシーンがあるのだが、老人二人の飲みっぷりは全く普通で、あの程度で女将に文句を言いながら店を出るのでは、クレーマーである。

恐らく「普通の東京の今」を描きたかったんだと思うのだが、見事にそれに失敗している。これは、脚本と演出がマズいからだ。「普通」を描いたはずなのに、普通の描写がマズかったら話にならない。

一方で、家族の中にアクシデントが発生してからは、映画は妙にピタッとはまってくるのだ。泣いたり、怒ったりという、喜怒哀楽がはっきりしてきてからは、違和感がない。「平常」と「非常」の落差によって描かれるはずだったものは容易に想像がつくのだが、残念ながら、その輪郭をくっきりさせる役割を担うはずの「平常」の描写がダメだったために、全てが台無しになってしまった。この映画が、アクシデントにフォーカスした作品ならこれで問題ないのだが、「おかしくて、かなしい。これは、あなたの物語です。」というキャッチコピーにはフィットしない。

とはいえ、背後に何気ないシーンを盛り込んで、映像自体に奥行き、立体感を持たせる手法はなかなかで、ちょっとわざとらしすぎる部分もあったけれど、映画ならではの見せ方をしていたと思う。

この作品の最大の成果は、まだ小津安二郎の「東京物語」を観ていない人に、観てみようかな、と思わせたことかも知れない。そういうトリガーとしては成立していると思う。

評価は☆1つ。

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