2014年01月31日

RUSH ラッシュ/プライドと友情

rush


ニキ・ラウダとジェームス・ハントのライバル対決を描いた一本。僕はセナプロ時代の人間なので彼らの対決は文章でしか知らないのだが、いつの時代でもライバル対決は多くのドラマを生む。この映画の最大の長所は、最終的にどちらの立場も尊重した終わり方だったことで、どちらが良い、悪い、という形になっていなかったことだろう。洋画らしく音楽でグイグイ引っ張っていく演出で、テンポも良い。

この映画を観ようと思っている人で、幸運にも、この二人のライバル関係の結末を知らない人がいるなら、ニキラウダなどについて余計な調査をしない方が良い。その方が、絶対に楽しめるはずだ。

レースシーンでは、タイヤ交換や、事故のシーンなどで「今と昔はさすがに随分違うなぁ」と感じる。そのあたりの時代感が上手に表現されていると思う。富士スピードウェイは実際に5回走ったことがあるのだが、コースの詳細は画面からはあまり伝わってこなかった。レースシーンは細切れで、実際のF1中継のオンボードカメラの方が楽しめる気がした。このあたりはフィクションがリアルを追い越せていなかったと思う。

雨のレースというのは過酷で、とにかく前が見えない。僕はアルペンスキーのレースで何度も雨のレースを経験しているのだが、目の前に迫ってくるポールを手で倒すたびに、ポールについた水が顔にかかる。ゴーグルについた水をレース中に拭くことができないので、スタートから2ターンもすると、目の前はワイパーなしの自動車で雨の中を運転しているような状態になる。練習だとすぐに「何も見えないからやめよう」となるのだが、不思議なことにレースだと、何も見えないはずなのになぜかゴールまで到達できるのだ。その間、何が起きているのかは良くわからないのだが、集中力によって、見えないはずのものが見えるのかも知れない。多分、カーレースでも似たようなことが起きるのだろう。そのあたりの「何も見えない」状態も良く表現できていたと思う。

映画とは直接関係ないのだが、以下、2つほど雑感。この映画に描かれているような怪我は、勝負の世界にはつきもので、それによって不利な戦いを強いられることは決して珍しくない。ちょうど今、ソチ五輪を目前にして、アルペンスキー男子のエースと、フリースタイルモーグル女子のエースがそれぞれ大会直前に骨折、前十字靭帯損傷の大怪我をしていることにダブる。こういう映画を観ると、彼らにも頑張って欲しいなぁと思う。また、そのスキーで大怪我をし、意識不明になっている元F1レーサー、シューマッハの意識が一日も早く回復して欲しいと思う。

実際にスポーツの世界でライバルたちと戦った経験がない人がどう感じるのかは分からないが、そういう世界にいたことがある人間の一人としては、最後まで飽きない内容になっていた。ただ、「あなたの、生涯の一本を塗り替える。」はいかにも大げさ。面白い映画だと思うが、さすがにそこまでの作品ではない。

評価は☆2つ半。

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