2014年03月03日

アメリカン・ハッスル

americanhustle


今、まさに発表中(2014年3月3日、13時ごろ)の第86回アカデミー賞において、主要賞のほとんどにノミネートされている作品。

FBIのおとり捜査に利用された詐欺師が主人公。詐欺師やFBI捜査官の思惑に反して話がどんどんでかくなっていってしまい、どうやって収拾をつけるんだ?というストーリー。

マフィアのドンが出てくるあたりからの緊張感は見事だが、序盤のやり取りはちょっと退屈である。ただ、これはストーリー的な問題ではなく、英語の会話劇だったからだろう。字幕に頼っていると文字を読むのに疲れてきてしまう。また、英語のなまりに気がつく日本人はそんなにいないだろうから、その点でもちょっとわかりにくい。どこかにそれを匂わすような訳を挿入すれば良かったと思うのだが、本作の字幕作家にはそこまでのスキルがなかったのかも知れない。町山智浩さんのような、雰囲気を無理矢理にでも字幕に盛り込んでいくような人を監修につけるか、あるいは吹き替えでやれば良かったのに、と思う。

音楽も、ストーリーや会話の内容に合わせた曲を選んでいるようだが、知っている曲が半分もなくて、米国文化に対する造詣が深くないと、難しいなぁ、と感じた。

また、広げた風呂敷はきちんと畳まれるのだけれど、仕掛けが意外と単純、かつ簡単なやり方だったので、ちょっと肩透かしを食った感もある。

言葉、風俗、音楽、下敷きになっているアブスキャム事件など、米国人じゃないと理解が難しい要素がてんこ盛りなので、米国人が「三丁目の夕日」を楽しめないのと同じように、日本人がこの映画を心の底から楽しむのは難しいと思う。

役者では、ちょっと出てくるだけで全体の雰囲気を一気に変えてしまうロバート・デ・ニーロを使ったところも良かったけれど、一番良かったのはジェニファー・ローレンスだった。

この手の映画はついつい「スティング」と比較してしまうのだが、あちらは何と言っても金字塔なので、ちょっと太刀打ちできない感じがする。評価は☆2つ。

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