2014年03月04日

日本将棋連盟とLPSAの対立の終わり

ブログのアクセス解析を見ていたら、久しぶりに将棋ネタの記事にアクセスが増えていたので、ちょっと理由を探っていたら、石橋女流の引退に合わせて、ちょっとした事件が起きていたようだ。石橋女流が引退、LPSAを退会したのだけれど、その際に、最後っ屁のようにLPSAサイトに代表理事名で「対日本将棋連盟等との事実関係について」という文書をアップしたのである。すでにその文書はLPSAのサイトから削除されているけれど、親切な人が魚拓をとっておいてくれたので、ここで見ることができる。ただし、物凄い長文だ。


『対日本将棋連盟等との事実関係について』の魚拓
http://megalodon.jp/2014-0225-1306-28/joshi-shogi.com/lpsa/03/

ほとんどの記述は概略を知っていた話で、その裏付けが取れた、というだけのことだし、何しろ超長文なので、普通の人が読むのは大変だと思う。これを3行でまとめるなら、次のような感じだろう。

LPSAや代表理事である(当時)石橋を悪く言う人がたくさんいるけれど、悪いのはLPSAじゃなくて日本将棋連盟の方です。証拠もたくさんあるんですよ。せっかくだから、この際その一部をオープンにします。それに、LPSAは公益社団法人なんですよ。


僕の感想を書くなら、日本将棋連盟(当時)もアホだけど、同じ土俵でやりとりしたLPSA(当時)もアホだということ。僕のスタンスはこの文書が公開される前から「どっちもどっち」なので、何か心証が変わるかといえば、何も変わらない。

結局のところ、代表的斜陽産業である将棋界というコップ、それもかなり小さいコップの中の嵐だったと思っている。

日本将棋連盟も、LPSAも、将棋という存在に何らかの経済上の価値を認める団体からお金を集めて、それを自分の組織の構成員を中心に再分配するのが主たる役割なので、それがなくなったとしても、困る人はほとんどいない。「でも、それじゃぁ、次の世代の羽生や森内が生まれてこない」という意見もあるだろうが、電子頭脳の方が人類より上のレベルに到達しつつある現在、将棋は勝負ではなくショウになってきている。その環境においては、必要なのは強者ではなくスターなのだ。実は、この”強者ではなくスターが要求される世界”こそが女流将棋界なのである。そこではある程度の水準の強さは要求されるけれど、そこから先の評価材料は愛嬌だったり、見た目だったり、トーク技術だったりする。

将棋界は男性中心の世界である。その世界が「勝負師たちの戦いの場」から「ショウ」に変わってきつつある中で様々な軋轢が生じ、そのとばっちりが女流に向いた、というのが女流の分裂騒動の本質だったのだと思う。もっと言えば、米長前会長(故人)が、女流を2つに分けて(意図的ではなかったのだろうが)、片方を自分の持ち駒にしてゲームを楽しんでいたのだろう。根底の部分での「理」は以前から変わらず今もLPSAサイドにあると思うけれど、戦い方があまりにも稚拙すぎた。これでは誰も応援してくれない。

土俵を設置し、自らメインプレイヤーともなった米長前会長が亡くなり、将棋の実績は素晴らしいものの、組織経営の「いろは」すらわからずに組織を迷走させた中井元LPSA代表理事がLPSAを去り、被害者の立場をことさらアピールしつつ自らの主張を強引に通そうとするばかりで、信用も求心力も失った石橋女流の最後っ屁がサイト上から削除されたことから、日本将棋連盟とLPSAの対立構造は大きく変わっていくだろう。この2団体が融和に向けて動くなら、LPSAの存在意義すら疑問になってくるので、近い将来、モトサヤに戻るということもあるのかも知れない。その場合、将棋界における女流の自立というのは困難になるだろう。だが、当事者の中にそれを望んている人がどのくらいいるのだろうか?

スポーツの世界では、男女が同じ土俵で対決することのほうが稀である。僕は、「将棋は頭脳対決なんだから、男女で能力差があるはずがない」、という”希望”が、この数年のゴタゴタの背景のひとつだと思っている。この希望は将棋界にとどまらなかったので、想像以上に多くの人の興味を集めてしまった。しかし、その希望が現実なのか、非現実なのか、明らかになる前に、おそらく電子頭脳が最強の将棋指しとなってしまうので、多分その疑問への興味は今後失われていくだろう。

結局、何が変わり、何が変わらなかったのか。ひとつだけ確実なことは、石橋女流が将棋界から消えたことである。その代わりに将棋界は何を得たのか。それが、まだ良くわからない。もしかしたら、何もないのかも知れないのだが、それならそれで残念なことである。


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