2014年04月24日

丸山吉平

とんかつ本制作作業もいよいよ佳境である。この段階になって、知人から「食べログで評価の高い店はひと通り食べておいたほうが良いのではないか」という指摘があったので、喉元まで出かかった「あんなドシロウトばかりのとんかつ評があてになるなら、こんな本は要らないよ」という言葉を押しとどめて、食べログで高評価の丸山吉平を食べに行くことにした。

注文したのは一番高い「ぼーヒレかつ(恐らく、棒ヒレかつ)定食」、2,100円。

揚げ油はラードのようで、薄い肉は普通の温度で、厚い肉はそれよりもやや低温でじっくりと揚げている様子だ。待っている間にご飯、味噌汁、漬物が出てくるが、味噌汁は大根と人参のみの普通のもの、漬物もとりあえず出しておきます、といったレベル。ご飯は普通に美味しい。










そうこうしているうちにかつが出てきたのだが、衣は標準か、やや細かめ。油の温度はやや低めかもしれないのだが、時間をかけているのでしっかりと揚がっている。かつは揚げたあと、数分休ませて内部まで熱を通してからやや薄めに切り分けられるので、熱くて火傷してしまうといった心配はない。




衣が肉から剥がれてしまうようなことはなく、衣と肉の一体感を楽しめる。肉はジューシーだが、両端はさすがにしっかり火が通っていて、SPFならではのレア感が味わえるのは中央の5、6切れだけである。中央の部位は確かにジューシーだが、それはレア状態なので当たり前。問題は、この肉汁に旨味がほとんど感じられないことで、単に水っぽいだけになっている。通常こういう肉を使うときは下味をつけるものだが、この店では下味はほとんどつけていないようだ。結果として味が足りなくなるので、塩や、いつもは使わないソースを使わざるを得なくなる。とんかつ屋の評価方法で一番簡単なのは、素のままでも美味しく食べることができるかどうかなのだが、この店のとんかつは無理。が、ソースはソースでキャベツには良いのだが、とんかつにはちょっと甘すぎる感じで、結果として三種類用意されている塩で食べることになる。個人的には、ブラックタイプは美味しくなく、他の二種類をおすすめしたい。

ちなみに、SPFとは養豚の方法。豚肉に特徴的な感染菌に対して無菌状態で飼育するため、食中毒の原因菌に汚染される可能性が低い。とはいえ、流通段階で肝炎ウイルスに感染する可能性も残されており、全く熱を通さずに食べるのは危険が伴う。手間ひまかけて飼育するせいもあってか、SPF豚は隠し包丁をしっかりいれなくても柔らかい肉になる傾向が強いと言われている。この店の肉も柔らかさは十分だった。

トータルで見ると、味は2,100円なら標準以上かも知れない。いつも和光のとんかつを食べているような層なら満足できる可能性が高い。しかし、「丸五」や「すぎ田」といった、この店の近所にある名店で食べ慣れている層には恐らく物足りないはずだ。もちろん、それらの店の値段は、この店の値段よりも高いのだが。

また、店主の所作が乱暴・がさつで、とにかく店の中でバタン、ガチャンというやかましい音が絶えない。隣りに座った客は待っている間中貧乏揺すりをしていて、食べ始めたと思ったら今度は口をあけてくちゃくちゃと大きな音を立てながら食べている。要は、そういう客層が集まる、そういう店なんだろう。とんかつに「粋」を求める層が行く店ではない。

店名 丸山吉平
TEL 03-5829-8290
住所 東京都台東区浅草橋5-20-8 CSタワー107 1F
営業時間 11:00〜
定休日 不定休


追記:とんかつ本、発売中です。


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