2014年06月11日

補助金で支援すべき対象

最近、成長戦略がどうのこうのという文脈で補助金がどーしたこーしたという話を耳にするのだけれど、公的なお金の出しどころは本気で精査すべきだ。そうじゃないと、インチキベンチャーと補助金大好き大企業が群がるだけで、最終的には無駄金になる可能性が高い。そもそも、よっぽどのことがない限り、補助金なんて出すべきではないのである。

ただ、その一方で、これはどうしようもないんじゃないのかなぁ、と思うものもあって、その代表例が最近僕がハマっている「和傘」である。

参考:金沢和傘 松田和傘店
http://buu.blog.jp/archives/51436503.html

このエントリーにも書いたけれど、「傘(という機能)に4万円は高いなぁ」と考えるのが普通で、その前提だと、日本に数えるほどしかいない一流の職人であっても全く食べていけない。じゃぁ、一本10万円で傘を買ってくれる人がどれだけいるのかって、ほとんど誰も買わないだろう。4万円でも、ほとんどの人が買わないのである。僕の感覚では和傘は傘としての機能以前に工芸品であって、芸術性の高いものなのだが、焼き物に数万円出す人は大勢いても、和傘に数万円出す人はほとんどいないようだ。つまり、ほとんどの日本人は焼き物には芸術性を見出すものの、和傘には見出さないのである。もしこのまま和傘という文化の担い手がいなくなってしまっては、あと20年ぐらいで和傘は絶滅してしまうかも知れない。こういうところこそ、補助金の出番である。買う方だって、「本当なら10万円のところ、補助金のおかげで安く買えるなら、お買い得じゃん!」と思うかも知れず、そうすれば市場は拡大する。プリウス何台か分の補助金で、和傘職人ひとりぐらいは支援できるはずだ。

さて、ここで考えるべきは、「どこまでが和傘と同じカテゴリーなのか」ということである。僕の中では、まず大企業は当然外れる。厳しい競争にさらされる覚悟があるはずのベンチャーも外れる。結果的に大企業を利するだけになる、大企業の傘下にある中小企業も外れる。B to Cの業態で営業していて、その事業内容に文化的側面を色濃く持ち、かつその事業で飯を食っている人口が非常に僅少でこのままでは絶滅が危惧される、ぐらいが定義だろうか。なかなか該当するものが思いつかないのだが、和傘以外にはどんなものがあるのだろう?ほとんどないんじゃないだろうか?

逆説的ではあるけれど、「補助金に採択されました」などと恥ずかしげもなく主張しているベンチャーはほぼ例外なくダメベンチャーなので、投資すべきではない会社の目印として非常に有効である。

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