2014年06月20日

私の男

二階堂ふみの最新作。なかなか見事だったのは、中学生から派遣社員までを一人で演じきっていたことで、演出力も当然だが、演技力の賜物という感じだった。

色々と違和感があったのは原作との違い。原作は桜庭一樹の直木賞受賞作だが、2008年を第一章として、徐々に年代を遡っていく形になっている。ところが、この映画では普通に時系列通りに話が進んでしまう。このあたりは好みの問題もあるだろうが、やはり小説のように年代を遡っていった方が徐々にルーツに行き当たっていく感じになって良かったと思う。また、重要なアイテムが変更になっていたのだが、この理由は良くわからなかった。スポンサーがメガネドラッグだったからだろうか?

奥尻島のシーンでは変わったフィルターを使って撮影していて、光が縦に滲んでいた。こういうやり方で終始表現するのかな、と思っていたら、以後のシーンは普通のフィルターになっていたので、花の幼少期を画面で理解できるようにという配慮だったのかも知れない。そういえば、先日観たグランドブダペストホテルでも、時代によって画面のアスペクト比を変更するという表現が使われていた。

原作どおりである必要はもちろんないのだが、変更するなら、それによって新しい価値が生まれている必要がある。変更したことによって失われるものと生まれるものがあって、トータルでプラスなのか、マイナスなのか、ということになるのだが、この作品の場合はプラス要因として流氷の圧倒的な存在感と二階堂ふみの魅力、マイナス要因としてミステリー色の欠落が挙げられる。トータルで見ればどっちもどっちという感じがするのだが、時系列だけでも原作と同じにしていれば、もっと面白かったと思う。

評価は☆2つに、二階堂ふみ要素でおまけして☆2つ半。

原作は、流行作家なのにKindle版があるのが嬉しい。


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