2014年09月09日

火のようにさみしい姉がいて

hinoyoni


シアターコクーンで「火のようにさみしい姉がいて」を観てきた。初演1978年の清水邦夫作の戯曲を、蜷川幸雄が演出し、段田安則、大竹しのぶ、宮沢りえという、野田秀樹さんと関わりの深い役者たちが演じている。

冒頭から、大きな箱らしい素晴らしいセットで「さすがだなぁ」と思わされる。まず、大掛かりで、それでいて緻密な舞台装置の作りに驚いた。美術も非常に良い。シアターコクーンの舞台はいつ観てもちょっと割高な感じがするのだけれど、このくらいしっかり作りこまれていればなるほどなぁ、と思わされる。

ストーリーは、お互いに相手がちょっと精神的に参っていると考えている中年の夫婦がリフレッシュの目的で夫の田舎に帰るのだが、生まれ育った街の入り口で立ち寄った床屋で奇妙なことが次々と起こる、というもの。夫はオセロを演じている役者という設定で、時々オセロのセリフが混じってきて劇中劇のように展開する。ほとんど全てが床屋の中で展開し、場面転換は少なめの会話劇である。ややシリアスな内容だが、あちこちにブラックユーモアが仕込まれていて、ワンテンポ遅れての笑いを誘う。ラストに近づくに連れて一層陰鬱になっていくのだが、そのあたりが70〜80年代の作品の味なのかも知れない。当たり前だが、新しいというよりは、懐かしい感じがする。僕は親の田舎が能代なので、あぁ、日本海側のちょっと寂れた田舎町ってこんな感じだったよね、と感じた。

メインキャストの3人はさすがの演技で、セリフがない場面でも存在感を発揮していた。その中でも今回特に光っていたのは宮沢りえさんで、良い意味で、見事に中年を演じていた。演劇における彼女の代表作は、後にも先にも、同じシアターコクーンで上演された「ロープ」だと思っているのだけれど、演技はそれに劣らない良いものだったと思う。役者には「今しかやれない役」というのがあると思うのだが、今の彼女にぴったりな役だったと思う。段田さん、大竹さんはいつもの安定した芝居だった。彼らは、いつも、期待どおりの演技を見せてくれる。

大竹さんの動きと効果音がちょっとずれていたのだけは気になったが、多分まだ3回めの上演だからだろう。まだ東京だけでも25回も残っているので、これから熟成していくと思う。まだチケットあるのかな?と思ってチケットぴあを見てみたら、東京公演は当然のように全公演予定枚数終了だった(笑)。でも、大丈夫。当日券もあるみたいだし、大阪公演はまだまだ残っているので、どうしても予約して観たいという人はぜひ大阪でどうぞ。

Bunkamura シアターコクーン
2014年9月6日 (土) 〜2014年9月30日 (火)

シアターBRAVA!
2014年10月5日(日)〜10月13日(月・祝)

#帰りに、宮沢りえさんを含めた野田地図ご一行と一緒になったことのある飲み屋に行ってみたら、跡形もなくなっていた(笑)。

関連エントリー:野田地図「ロープ」

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