2014年10月19日

悪童日記

notebook


原作は日記形式なんだろうが、映画では日記らしさが希薄だった。その上で、普通に楽しめたのだが、物凄い傑作という感じでもなかった。達者な子役を使って撮れば、このくらいはできるだろう、という想定の範囲内感が強い。

終戦間近のハンガリーを舞台に、常に死と隣合わせの状態においてたくましく生きていく双子の兄弟の姿を描いている。彼らは自他問わず「弱さ」に敏感で、それを克服することに執着する。彼らを導く存在が不在で、彼らは彼らなりの正義を目指していく。その様が、現代の価値観、日本人の価値観からは遠くはなれているために、かなり異様な様子が展開されていく。彼らを取り巻く登場人物たちは一癖も二癖もある人物ばかりで、様々なエピソードは心の奥底の微妙な部分を刺激し続ける。

が、内容があまりにも文学的で、映画には馴染まない印象を受ける。また、原題は「偉大な帳面」、英語題は「notebook」なのに、邦題が悪童日記になってしまうあたりにも違和感がある(原作の題名と同じなんだろうが)。原作未読で鑑賞して、原作を読んでみたくなる作品はときどきあるのだが、この映画もそんな一本である。多分、文章で読んだほうが楽しめると想像する。

評価は☆2つ。

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