2015年04月17日

ソロモンの偽証 後篇・裁判

前篇の印象がとても良かったので、後篇にも期待していた。結論から言えば、まぁまぁアタリ。なお、前篇の評価は☆2つ半だった。

ソロモンの偽証 前篇・事件
http://buu.blog.jp/archives/51478693.html

やはり、監督でもなく、役者でもなく、「宮部みゆき」の名前で宣伝しているように、宮部みゆきの原作力が凄かった。正直、ミステリー部分はなんてことないと思うのだが、それでも前篇・後篇の5時間を緩みなくグイグイ引っ張って行ってしまう。

三谷幸喜作品でもないのに、良い役者を惜しみなく配しているところも凄い。佐々木蔵之介、夏川結衣、田畑智子、余貴美子、松重豊・・・と、重要ではあるけれど、チョイ役に、これでもかと実力派が揃う。このあたりはプロデューサーの手腕だろう。子役の質もなかなか高かった。中には「大事な役だし、もうちょっと頑張ってくれたらなぁ」という子役もいたけれど、概ね良い演技をしていた。

一方で、演出部分では「?」というところがなかったわけではない。前篇でもあまりにもゴムボールみたいに人体がすっ飛んだりしたけれど、今回も突然雨になったりして、これだけの急変なら雷なり、強風なり、前触れがあるんじゃないの?と思うし、おいおい、あんた、そのアイスをどこにどうやって隠していたのよ、と思った。最後の電話は40秒間だったと思うのだけれど、実際の通話はもっとずっと長かった。何かあるとすぐにざわつく裁判シーンの演出もリアリティに欠けていたと思う。大体、あれだけ優秀な中学生たちが集まっているのに、日本の国会みたいなヤジが飛び交うのも違和感ありだった。でも、東京の市内局番が4桁になったのは1991年なので、3桁と4桁が共存していたあたりは細かいところを頑張っていたと思う。

前篇はスピーディでテンポ良く展開したのだが、謎解きになった後篇はおそらく原作でたっぷり語られたはずの柏木君の環境などが全部すっ飛ばされるなど、言葉足らずな部分が少なくなかった。あんまり書くとネタバレなので自粛するが、これなら、尾野真千子と余貴美子のパートなどは全部削除してしまえば良かったのにと思わないでもない。分厚い原作を4、5時間の映像にまとめるためにはたくさんカットしなくてはならないところがあると思うのだが、削ってはいけないところもあったはず。もしかして、スピンアウトで柏木君を描く映画を作るつもりなんだろうか????ということで、評価は☆2つ。多少の失速はあったものの、「じゃぁ、原作を読んでみようかな?」と思うぐらいには良くできていたと思う。

しかし、それにしても、中学生ってあんなにできが良いのかな???スーパーすぎる気がした。

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