2015年05月08日

牟田陽日さんコレクション

ちょっとひとまとめにした上でコメントしてみた。

おちょこ(ロクヒルの森美術館のアートショップで購入)








僕が最初に目にした牟田作品。知識も情報も全くなかったのだけれど、パッと見て「これはすげぇ」と惹きつける魅力があった。九谷で細描というとすぐに赤絵を思い浮かべるのだが、それを金の網目紋でやっている。また、白粒を効果的に配し、淡い色によるアクセントもいっちんのような立体的な点描で行っていて、白・金・カラー、および立体感のバランスが素晴らしい。また、外側以上に内側の書き込み具合が凄い。こんなところ、どうやって描いたの!?と思う。老眼が進むと良く見えなくなると思うので、今のうちに楽しんでおきたい。
これは徳利一つと、おちょこ二つのセットだったのだが、対になっていたのがカラーの七宝紋(?)みたいなタイプだった。徳利はその二つをセットにしたデザインだったのだが、個人的には、そちらの七宝紋はちょっと色の主張が強すぎると感じて購入を見合わせた。あとになって「とはいえ、セット商品だし、買っちゃおうかな」と思ってロクヒルに行ったら、もう売れてなくなっていた。
この白磁に白粒、金の網目紋、小さいカラーのいっちん(本当に絞り出しているのか、筆で点描しているのかはわからないけど)のパターンは大好きなので、これで色々な普段使いの食器を作ってくれたらなぁ、と思う。

碧山水 徳利とぐい呑(表参道で開催されたジ・アートフェア +プリュス−ウルトラのルンパルンパさんのブースで購入)














牟田さんに聞いたところ、漢詩に「山奥に入っていって、そこで酔いつぶれていると、日が暮れるのも忘れ、精神は肉体を離れる」というものがあって、その境地を作品にしてみたという旨の説明をいただいた(唐宗八家文 柳宗元 永州八記 始得西山宴游記かな?)。岩のでっぱりに金を塗ってごつごつさせ、霧や霞を黒の点描で表現している。山の緑、川の水、そしてもやを同じ碧で描いているのが面白い。細かい点描が作家性の一つだと思う。

えびす 徳利(銀座三越で開催されたルンパルンパさんの展示会で購入)












金えびす ぐい呑(同上)














点描が牟田カラーの一つとすれば、もう一つの代表的な作家性が「水しぶき」だと思う。滝や波の表現にそれが見て取れるのだが、「くじら」は加えて青、白、黒のコンビネーションが素晴らしい。現時点で、牟田さんの作品の中で僕が一番好きなのがくじらである。同じように感じる人が少なくないようで、いつも売却済みで入手できないでいたのだが、今回は、大きくて高価だったこともあってか、運良く買うことができた。これまではホッキョククジラ系の頭がずんぐりしたくじらだったのだが、この作品はナガスクジラ系の頭なのもお気に入りのポイントである。ぐい呑は、徳利と同じ配色のものがあったのだけれど、完売だったため、プランBで金色を買った。あとになってみれば、ちょっとパターンが違っていて、セット感はないものの、コレクションとしてはバリエーションがあって、それはそれで良かったと思う。黒バージョンは知人(というか、牟田さんを接点にして知り合いになった)の手元にあるので、機会があればどこかの飲み会で持ち寄って、再会させてあげるのも良いかも知れない。
牟田さんが良く使う他の色に赤とオレンジがあるので、このパターンでカニとかも見てみたい気がする。

蕎麦猪口 四季(縁煌(えにしら)で購入)











こちらは金沢の東茶屋街での販売とあって、想定される購買層が観光客。それにあわせて牟田作品としては安価な設定になっている。
四季折々の木と、鳥のセットで四季を表現している。ぱっと見ただけでは牟田さんらしさがあまり伝わってこないのだが、よーく見てみると細かい輪郭や葉っぱの葉脈、雪を表現している白粒、あるいは金の配置具合など、あちらこちらにそれっぽさがあらわれている。鳥を手前にして持つと、内側にもちゃんと木が描かれているのもなんか得した気分になる。あえて言うなら牟田作品の入門編という感じなのだが、すでに持っている人間が買ってはダメということもないので、お持ち帰りしてしまった。

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