2015年05月30日

ブウ*の視点「日本人が知っておくべき新・3大ラオタは大好きだけど、実際は大したことがないラーメン」

1.全粒粉使用の麺
まず有権者に訴えたいのは、ラーメンの麺は、普通の人が見ただけでは、使われている小麦の品種などはわからないということであります。それどころか、香りをかいだり、食べてみても、品種までわかる人はほとんどいないだろうということ。

これまでにもいくつかのラーメン屋が「うちは◯◯を使っています」とうんちくを述べてきたのですが、あまり大きく取り上げられることはありませんでした。そうした中、新しく登場したのが全粒粉です。この全粒粉、栄養面では繊維質が多いなどのメリットがあるようですが、食感や香りなどは、小麦粉との違いはそれほど感じられません。

ところが、全粒粉を配合した麺はひと目でわかりますから、「あ、この店は全粒粉を使っている」と、うんちくを述べることが可能になります。ラーメンオタクの皆さんも、安心して自分の知識をアピールできるのです。しかし、食べてみても、その効果は良くわかりません。矢吹丈じゃなくても、「だから、どうした」と言いたくなるのであります。

というわけで、全粒粉使用の麺を、日本人が知っておくべき新・3大ラオタは大好きだけど、実際は大したことがないラーメンの一つとさせていただきます。

2.大量の脂で味がぼけたスープ
まず有権者に訴えたいのは、ラーメンは麺とスープのマリアージュを楽しむものだということ。スープ単体で飲んで素晴らしく美味しいとしても、それが麺を美味しく食べさせるものでないなら、ラーメンとしてはダメなのであります。そして、脂の膜がたっぷり形成されているスープでは、麺の表面に脂が付着してしまい、スープの味がのりにくくなってしまうのであります。

とはいえ、脂の膜を上手に使った店も少ないながら存在し、例えば札幌の純連を挙げることができます。この店は、スープの表面に分厚い脂の膜を形成し、温度を高くキープしつつ、風味を閉じ込めることに成功していました。しかし、純連のスープは非常に味が濃く、ダシの旨味を楽しむようなデリケートなスープではなかったのです。

特に、ラオタの皆さんが喜ぶ無化調スープでは、麺に付着した脂がスープをはじいてしまい、味がボケてしまいます。これでは、麺を食べることを楽しむことができません。また、脂は塩分や旨味成分をボケさせます。一方で苦味は残ってしまうので、塩気がなく、苦味が強調されたスープになりやすいのであります。これは、魚系のダシや醤油系のカエシなど、苦味が生じやすいスープでは致命的です。

しかし、多くのラーメンオタクは動物性の脂が大好きなのであります。旨味よりも、味よりも、脂のべっとりした食感が大好きなのであります。肥満や脂肪の摂取量と胆道がんの相関はすでに国立がん研究センターの調査によって明らかになっており、去年には年間600杯のラーメンを食べていた北島秀一さんが胆道がんでなくなりましたが、そんなことはどうでも良いくらいに、動物性脂肪が大好きなのであります。

というわけで、大量の脂で味がぼけたスープを、日本人が知っておくべき新・3大ラオタは大好きだけど、実際は大したことがないラーメンの一つとさせていただきます。

3.低温処理チャーシュー
まず有権者に訴えたいのは、豚肉は熱を通さないと食中毒になる可能性があるということであります。肝炎ウイルスが残っている可能性もあり、加熱しないで食べてしまうのは問題が多いのです。また、きちんと下処理をしないと噛みきれず、ガムのようになってしまう素材だということも知っておく必要があります。

それなのに、ここ数年のはやりなのが、中央部が赤いレア状態のチャーシューであります。低温処理しただけでも一部のタンパク質が分解されるので旨味が増しますが、それでも最終的にはきちんと加熱するべきなのに、なぜか赤いままで提供する店があります。それでも、肉の旨味が増していればまだ納得がいくのですが、実際には、味気ないだけのグニャグニャの肉であることがほとんどです。

デメリットが見逃せない低温処理チャーシューではありますが、数少ないメリットとして、見ればそれとわかる、ということがあるのです。ラオタ達は「この店のチャーシューは低温処理」と、同行者達に知識を開陳することができるのであります。

なお、この6月から豚肉の加熱について規制が強まりますが、ラーメン屋の低温処理チャーシューがどうなっていくのか、興味深いところであります。

というわけで、低温処理チャーシューを、日本人が知っておくべき新・3大ラオタは大好きだけど、実際は大したことがないラーメンの一つとさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

この記事へのコメント
私は、ラオタがしばしば使う「小麦の味がしっかりとあって」とか「全粒粉なので小麦の風味を感じることができ」とかいう言葉の意味がまったくわかりませんし、アサヒスーパードライとサントリーモルツの違いも言い当てられ「ない」自信があります。そんな「違いのわからない男」ですが、全粒粉の食感(舌触り)はさすがにわかりますよ。

一般的傾向として、多加水ブリンブリン系太麺が好きな人(つけ麺好き)は全粒粉に興味がなく、低加水パツパツ麺を好む者は全粒粉好きが多いような気がします。最近感動したのは「麺魚」の麺です。あと東中野のメンドコロ キナリ。
Posted by nobiox at 2021年03月02日 21:35