2015年07月14日

バケモノの子

bakemono


ポスト宮駿の呼び声も高い細田守の新作。

例によって、キャラの顔や服にまで陰影をつけないのっぺりした絵がちょっと気持ち悪い。ただ、これは好みの問題なんだろうし、個性だし、確信犯的に表現しているので、嫌なら観るな、ということ。そこまで気持ち悪いわけではない。多くの人は、あまり気にならないのかもしれない。

本作は、ストーリーがちょっと乗り切れない。身寄りのなくなった9歳の男子が渋谷でバケモノの格闘家にスカウトされ、修行を続けるといった内容なのだが、中心の軸になっている、師匠たちの「宗師」の跡目争いも今ひとつピンと来ないし、主人公が何を目指して修行するのかも良くわからない。何もなしに、ただただ10年も修行に明け暮れることが可能なんだろうか?こういった具合に色々な動機付けが不明確なので、登場人物たちの行動原理が明らかになってこない。だから、誰にも感情移入できない。このあたりは脚本というよりはストーリーに問題があると思う。

いつの間にか現実世界とバケモノの世界を行ったり来たりできるようになったり、超能力をどうやって修得するのかなど、設定の部分も曖昧なところが多い。全てにわたって論理的である必要はないが、曖昧なばかりだと観客が置いてきぼりになる。バケモノの世界だけで完結しているなら問題ないと思うのだが、登場人物たちが現実世界でも同じような挙動を示すというなら、ある程度説得力のある説明が欲しくなる。

結局、何が言いたいのかも良くわからなかった。

ナウシカのテトみたいな小動物が出てきたり(ナウシカでは、ちゃんとテトの性格付けもされていたし、テトとナウシカのエピソードによってナウシカの性格付けもなされていたけれど、この作品ではただ出てきただけで何の必然性もなく、ぬいぐるみ商売をしたいのかなぁ、と思ってしまう)、千と千尋みたいに異世界へ足を踏み入れたり、カオナシのようなキャラクターが出てきたりと、どこかで観たことのあるようなシーンも多い。

「サマーウォーズ」や「おおかみこどもの雨と雪」では見事な手腕を見せつけた細田守だが、本作ではそのキレを見ることができず残念だった。評価は☆半分。

参考エントリー
おおかみこどもの雨と雪 ☆☆☆
http://buu.blog.jp/archives/51351019.html

サマーウォーズ ☆☆☆
http://buu.blog.jp/archives/50876302.html

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