2015年07月28日

松竹創業120周年 七月大歌舞伎「一谷嫩軍記」「怪談 牡丹燈籠」




歌舞伎で一番見たかった怪談をようやく観ることができた。その前に90分ほどの「一谷嫩軍記」も鑑賞。源平合戦のさなかの一エピソードを描いているのだけれど、話としては「なぜそうなる」というちょっと合点のいかないストーリーだったので、ちょっと乗りきれなかった。主役の海老蔵は声は届くものの、ちょっと滑舌が悪く、何を言っているのか良くわからないシーンが多かった。

そして、期待の牡丹燈篭である。セリフが平易で、役者の発声も良いので、聞き取りやすくわかりやすい。ただ、ここでも海老蔵だけは滑舌が悪くて聞き取りにくかった。全体としては面白かったし、何より玉三郎の演技が素晴らしかった。中車も玉三郎ほどではないものの、いい味を出していたと思う。というか、現代劇に近い演出にして、中車が違和感なく溶け込めるように配慮していた気がする。おかげで、歌舞伎初心者の僕にも優しい舞台になっていたと思う。三遊亭円朝を演じて落語を見せた猿之助も無難だったと思う。

ちょっと残念だったのは仕上げ。「え?これで終わっちゃうの?」というラストで、一部だけを抜き出して上演するのが歌舞伎のスタイルと思っていても、この芝居で、構造的な歌舞伎らしさを主張しなくても良かったのでは、と思った。このラストなら、一幕で終了でも良かったんじゃないのかなぁ。何のために二幕があったのかって、因果応報をきちんと見せるためだと思うので、それならちゃんと風呂敷を畳んだほうが良かったと思う。

さて、以下は芝居とは関係なく、松竹に対して。今日は一等席18,000円で観たのだが、2階の中央5列目ぐらいだった。とても見やすかったのだが、牡丹灯籠が客席上を舞うときや、花道で演技をする際に容赦なく見切れてしまう。この席を1階の7〜9列目あたりと同じ価格で販売するセンスを疑う。

それと、今日は隣の隣に、肺に疾患を抱えた人が座っていたのだが、公演中ずっと酸素吸入の「しゅこー、しゅこー」という音が鳴り響いていた。おかげで隣に座っていた人は途中で出て行ってしまう始末。一度歌舞伎座に対して苦情を述べたようで、一度係の人が件の人と何やら話し合っていたけれど、何も改善されなかった。年寄りの観客が多く、こういう事態も良くあるのかも知れないが、公演中ずっとしゅこー、しゅこーと鳴っていたのではたまったものではない。同じ客として「迷惑だから観るな」とは言えないのだから、歌舞伎座として何か対策が必要なのではないか。車いすで観るとかとは話が違うのだ。

この記事へのトラックバックURL