2015年08月29日

五輪エンブレムについて



ピンズコレクターをやっている都合上、日頃から五輪やワールドカップのエンブレムに囲まれて生活しているので、東京2020のエンブレムのパクリ問題についてはずっと注目していた。最近になって大慌てで日本航空が大きなエンブレム入りポスターを作ったあたりで「ははぁ、組織委員会は既成事実を積み重ねて逃げ切りを図るつもりだな」と思っていた。

2020東京五輪ロゴに関する緊急指令
http://buu.blog.jp/archives/51504000.html

その後も組織委員会は佐野氏の後方支援を懸命に続けていたのだが、

五輪エンブレム:「オリジナルと確信」…組織委、原案公表
http://mainichi.jp/select/news/20150829k0000m040052000c.html

当のデザイナーにその意識が希薄なようで、相変わらずパクリを続けているようだ。これでは組織委員会も足元から砂が波にさらわれていく気分だろう。

佐野研二郎、海外ブログの写真からCopyrightの文字を削り盗用か?
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1851742.html

今回のエンブレムが盗用なのか、それともたまたま似てしまったのかは判断が難しく、いくら議論しても生産的なものにはならない。それでもなぜこんなに批判されるのかといえば、デザインの質が低いからだと思う。僕も正直、エンブレムを観た瞬間に「だっせぇー」と感じた。仮にエンブレムの質が高ければ、これだけの注目は浴びなかったのではないか。なぜこんなデザインを選んでしまったのか理解に苦しむ。

日本で最後に行われた五輪は1998年の長野五輪だが、そのエンブレムはなかなか秀逸だった(デザインは篠塚正典氏)。
nagano

篠塚氏のブログから引用)
言われなければわからないが、五輪競技をそれぞれデザイン化し、それをすべて集めることによって花になるようにしたものだ。最初に観た瞬間は「あぁ、花びらなのね」で終わってしまうのだが、デザインの意味を教えられると「なるほど」と思い、その瞬間から親近感がわく。もう20年近く経つのだが、個人的には今でも飽きることがないし、歴代の五輪エンブレムの中でも指折りのデザインだったと思っている。一方で、今回のエンブレムは観た瞬間にダサく感じ、説明を受けるとその思いが一層強まる。これはあくまでも僕個人の主観だが、同じように感じる人が多かったからこそ、「なんでこれ?」と思い、そして調査をしたんだと思う。今となっては、興味は組織委員会が逃げ切ることができるのか、という一点に絞られてしまった。

#ちなみにエンブレムが変更になると、現在のエンブレムを使ったアイテムの値段はぽーんっと跳ね上がるはずだ(笑)。

五輪にしても、ワールドカップにしても、国際的な大イベントの場合、まず「招致活動」が行われる。この際、招致ロゴが作られるのだが、ここ数年の招致ロゴは大阪2008にしても、東京2016にしても、あまり工夫がなくぱっとしなかった。ところが、東京2020の招致ロゴはなかなか良いデザインだった。



招致ロゴが良かったのに、本番のエンブレムがダサかったという落差も、今回の国民的反佐野現象に拍車をかけている気がする。「こんなのにするなら、招致ロゴデザインのままで良かったのでは?」とは、多くの人が感じるところかも知れない。

とはいえ、「これはパクリっぽい」とか、「これはダサい」というのはあくまでも個人の主観である。エンブレムを選んだ審査員の面々(永井一正、浅葉克己、細谷巖、平野敬子、長嶋りかこ、高崎卓馬、片山正通、真鍋大度)は、このデザインが素晴らしいと判断したのだから仕方がない。まぁ、最終まで残った2作品(原研哉、葛西薫)も見てみたい気はするのだが、それを見て「こっちのほうが良いじゃん。審査員は馬鹿なの?」と言っても仕方がない。

ただ、主観とは違う場所での問題がいくつか指摘されつつある。それがサントリーのトートーバッグで、今回の『展開例』の盗用疑惑である。後者についてはまだ佐野氏から正式なコメントがないので誰がやったのかについて明確ではないが、前者については佐野氏本人も認めているところである。

サントリー、佐野研二郎氏デザインのトートバッグプレゼントを一部取り下げ ネット画像無断使用の指摘
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1508/13/news087.html

仮に後者についてもクロだったとすれば、もはや弁解の余地はあるまい。五輪といえば、世界の2大スポーツイベントの1つである。それだけ注目されるイベントのエンブレムを作る人間としては相応しくない。ちなみに今回のエンブレムのコンペ応募資格は次のようなものだったのだが、

東京ADC賞、TDC賞、JAGDA新人賞、亀倉雄策賞、ニューヨークADC賞、D&AD賞、ONE SHOW DESIGN のうち、過去に2種以上受賞( 佳作・ショートリスト・インブックは対象外)しているデザイナー・グラフィックデザイナー・アートディレクター。
[補足] 同一賞2回以上の受賞者も含む。
・デザイナー個人としての応募であること(事務所・会社名義での応募は不可)
・日本語でのコミュニケーションが可能な方(通訳によるコミュニケーションも可)
・日本国内での行事・打合せ等に参加可能な方


明文化されていないあたり前のこととして「過去に盗作を行っていない方」があってしかるべきである。それは、佳子様の警護にあたる人間に「幼女買春で捕まったことのない人」という明文化されていない条件があるべきなのと同じである。

ことはデザインの良し悪しの問題ではない。デザインをするだけの資質を持ちわせていたか、品格は足りていたかという問題だ。ハードルとしては決して高くないものだと思うのだが、このままなら残念ながら佐野氏はそれに足りていなかったと判断せざるを得ない。サントリーの一件でもかなり疑問があったのだが、今回の『展開例』までもが佐野氏の手によるものだとすれば、組織委員会は可及的速やかに現在のエンブレムを取り下げ、新たにコンペをやり直すべきだろう。そのスピードが落ちれば落ちるほど組織委員会の評価は悪くなり、東京五輪のキズとなっていくだろう。

2015/08/30追記:言い逃れで使った「元デザイン」もパクリだったことが判明したようで。どこまで逃げることができるのか。

【やっぱりか】佐野研二郎氏の五輪エンブレム原案も『ヤン・チヒョルト』展のポスターからのパクリだと判明wwwwww もう決定的じゃねーかwwwwwwwww
http://dechisoku.com/archives/1038498635.html

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