2015年11月04日

エール!

La famille Belier


ネタバレしちゃうとつまんないから最低限のことだけ書くと、この映画は歌声をはじめとして、色々な音に関する演出がとても効果的なので、立派なホームシアターを構築している人以外は映画館で観たほうが良い。

原題は「La famille Belier」で、ベリエ家の人々という意味。それがなんで「エール!」なんていう変な題名になったのか、相変わらず映画会社は馬鹿ばっかりだと悲しくなる。

それとエンドロールでちゃんと色々なことの顛末がまとめてあるので要注意。

あとはもう、騙されたと思って観に行くべし。これ、予告編だけでも立派にネタバレで興醒めなので、レビューは読まないほうが良い。「それでも読みたい」というオッチョコチョイだけ、ネタバレレビューをどうぞ。

評価は☆3つ。



下、









フランスの田舎町に住む歌の経験のない高校生の女の子が、その才能を音楽の先生に見出されて開花させていくというコメディ映画。ストーリー自体は特に変わったところのないものだが、女の子の家庭が4人のうち3人まで聾唖者という設定が変わっている。耳が聞こえるのは主人公だけなので、家の中は雑音で溢れているし、他者とのコミュニケーションにも主人公が不可欠。そんな状態で、パリに行って音楽の才能をもっと伸ばしなさい、とアドバイスされ、家族と自分の人生とどちらを選ぶか悩む。

全体のストーリーは普通なのに、脚本と演出が上手なので、観客は良いように弄ばれてしまう。まず、主人公が最初に指導を受けるシーンが良い。ちょっとしたアドバイスで見違えるように進歩してしまう歌声に鳥肌が立つ。そのあと、暫くの間あえて歌声を隠し続ける脚本のおかげで、観ている側は「早く声を聴かせて欲しい」という飢餓状態におかれる。見せ場のひとつである発表会のシーンも、演出に妙がある。誰も思いつかないような演出ではないけれど、非常に効果的である。そして、クライマックス。ここでも、聾唖者という設定を非常に効果的に利用していて素晴らしい。

コメディとしてもできが良く、あちこちにブラックな笑い(黒い牛の名前とか)が散りばめられている。

いかにも「お金かけていません」という映像だが、設定、脚本、演出と女優の歌唱力・演技力だけでここまでできてしまうというお手本のような作品。三谷幸喜とか、反省したほうが良いよ。

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