2015年12月10日

仕事を優先する人のキャリアパス

僕はこれまでずっと、「仕事が入ったので」という理由で約束を破るやつを信用しないことにしている。

こういうタイプの人間は結構見かけるのだが、僕ぐらいの年齢になると、そういう人間の最後も見えてくる。

仕事人間は、最初のうちは会社にとって便利な人間なので、順風満帆に出世することが多い。その人生に躓きが生じるのは、大抵管理職になったあとくらいからだ。まず、かわいがっていた部下にそっぽを向かれてしまう。後輩が、さらに後輩に向かって

「あの人のペースに巻き込まれないように注意したほうが良いよ」

などとアドバイスしたりする。実際、僕はそういう現場を数回見たことがある。

その次に生じるのが、上司からの信頼を失うことだ。「あいつはリーダーシップに欠ける」という評判が社内で行き交ってしまう。部下にヒアリングされ、「業務量を管理できない人間」の烙印を押されてしまう。こうなると、出世の道は険しくなるばかりである。ところが、当人はその原因に気が付かないので、さらにプライベートを削って仕事に没頭し、逆に評判は下がってしまう。

行き着く先は、3通りである。ひとつ目は、そういう仕事人間ばかりでコロニーを形成し、その価値観を共有しながら引き続き仕事を続ける。運良く同じような人間が部下として配属されれば、当分はそのままでいられる。成果がないわけではないから、会社から放逐される心配だけはない。僕が心配になるのは、彼らが過労死しないかとか、あるいは円満に定年まで働いたとして、何が残るのか、そのあと、どういう老後を過ごすのかだったりするのだが、大きなお世話なので、黙ってみていることにしている。次が、社内で孤立してしまい、精神的に不安定になったり、体調を崩したりするケースだ。こういう人はまだ一人しか知らないので、レアケースなのかも知れない。そして最後が、会社をやめて独立するケースである。これなら誰にも迷惑をかけないし、収入もそこそこ見込むことができる。家族の納得さえ得られるなら、引き続き仕事最優先で行けば良い。多分、彼らはそういう人生でも幸福なんだと思う。

不思議なのは、若いうちに仕事優先の人間になってしまうと、その癖はほぼ一生抜けないということだ。僕が知っている唯一のケースは、上でも触れたけれど、うつ病になって半分リタイア状態というもので、あとはほぼ全員、引き続き仕事に熱中している。ちなみに、偉くなった奴はひとりもいない。やはり、偉くなるのはちゃんと約束を守るやつだ。当たり前だけど。

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