2016年01月30日

白鯨との闘い

intheheartofthesea


見終わって最初の感想は「またタイトル詐欺かよ!」。

白鯨との闘いはメインディッシュではない。おかしいなぁ、と思っていると、エンドロールで繰り返し「In the Heart of the Sea」の原題が表示されて納得。

作家の目線から言えば、この邦題は作品に対する冒涜でしかない。我々作家は、本編の執筆前にタイトルを決定してしまうことは滅多にない。頭のなかに湧いてくる文章は制御ができないので、一通り書き終わってみて初めて、文章全体の把握ができる。中には連載小説形式で、結末が決まっていない状態でタイトルを決めてしまう必要があるケースもあるが、これは例外だ。僕のブログの記事ですら、タイトルは全部書き終わってから決定する。中には最初にタイトルを書くケースもあるのだが、その場合でも最後に文章の内容と照らして修正する必要に迫られることが多い。そして、タイトルは文章を作る人間の仕上げである。タイトルを決めることによって作品は完成するし、重要な作品の一部分なのだ。

当然、In the Heart of the Seaというタイトルも、この作品の一部である。それがどうして「白鯨との闘い」になってしまうのか。誰が決めたのかは知らないが、意思決定をした人間は馬鹿確定である。

さて、映画の内容だが、難破した捕鯨船の乗組員が少ない食料で大洋上を漂流するというものだ。ちょっと前の「ライフ・オブ・パイ」もそんな映画だったのだが、海外の人は漂流に強い憧れがあるのだろうか?水の確保にさえ困るので、いつもお決まりの展開になる。ひとりぼっちではないから、「キャスト・アウェイ」のような孤独感こそないものの、置かれた状況はいつものあれとなる。このマンネリ感を楽しめるかどうかがこの作品に対する評価の分かれ目となるだろう。僕は眠くなった。

白鯨にけちょんけちょんにやられてしまうシーンはそれなりに迫力があるのだが、細かいカット割りで何が起きているのか良くわからないのが残念。

漂流の生存者の一人が昔話として語る形式になっているのだが、知らないはずの場面が語られていた気がするのだが・・・気のせいかも知れない。

それほど悪い映画とも思わないのだが、もう一度観たくなるような作品でもなく、評価は☆1つ半といったところだろう。本当なら邦題の酷さに☆ひとつ減らしたいところだが。

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