2016年09月22日

日本将棋連盟のサイトがクソサイトにリニューアルされた件

日本将棋連盟のサイトが猛烈に改悪されていて悲惨である。

http://www.shogi.or.jp

将棋指しがネットのど素人なのは仕方ないし、会長の谷川九段がネットに詳しいとも思えず、電子メディア担当理事の佐藤秀司七段がどの程度の見識を持っているのかは知らないのだが、できてきたサイトを見ればやはりど素人のようだ。もともとのサイトが見た目はともかく、非常に機能的なデザインであったことを思うと、先手2六歩に後手2四歩みたいな感じである。

何しろ、将棋ファンが一番知りたい最新の棋戦情報、たとえば竜王戦は今どんな戦況なのかな?と思った時に、以前のサイトでは1クリックで到達できたのに、今は2クリック必要である。あげく、「竜王戦の仕組み」のような、将棋の素人でも一度読めば不要なコンテンツが一番大事なところに、しかもかなりの分量で表示されている。これでは、駅の改札に「切符の買い方」が表示されていて、これを読まないと改札を抜けることができないようなものだ。日本に初めて来た外国人にはとても優しいが、普段から駅を使っている利用者にとっては面倒なことこの上ない。このコンテンツが重要なことは理解できるが、場所と分量が悪すぎる。続けて竜王戦を例にとれば、なぜか前期(28期)の結果が29期の途中経過よりも上に、しかもデコレートされて表示されている。俺たちは去年の結果じゃなくて、今の状況を知りたいんだよ!そして、ふと気づくと、竜王戦、第29期竜王戦、第29期竜王戦と、タブが3つも量産されている。別窓で開く必要なんてないんだよ!

他にも、ページ自体が怪しい自己啓発会社のそれのように長ったらしく、4回以上もスクロールしないと最下段まで行き着かなかったり、無用に馬鹿でかい画像をクリックすると今度はタブが増産されていなくてリンクの動態が統一できていなかったり、全くクソサイトというに相応しい。

ウェブ屋として、「どうしてこうなった」ということを考えると、可能性は二つしかなくて、担当した会社が無能だったのか、あるいは受注先をハンドリングした発注元の担当者が無能だったのか、である。発注元担当者の背後に真の無能が鎮座していて、担当者はデュークー伯爵のように傀儡である可能性もあるのだが、無能なのがデュークー伯爵だろうが、ダース・シディアスだろうが、「お客さん、このデザインはやばいですよ」と説得するのがウェブ屋の重要な役割でもある。だから、たとえ相手がシスの暗黒卿のようにとてつもなく悪かろうが、フォースの暗黒面に落ちていようが、一番最初に考えるのは、「いったいどこのどいつがこんなクソサイトを作ってしまったのか」となる。幸いにして谷川会長自ら「株式会社シンクロに御協力いただき」と書いているので、早速株式会社シンクロのサイトを見てみた。

株式会社シンクロ
http://synchro-japan.com/top

多分、ここだと思うのだけれど、なるほど、縦に長くて、画像が多くて、とても重い。それで、事業方針を読んでみると、

クライアント様との綿密な打合せから目標や課題を設定し、その上で消費者目線にたった、マーケティング戦略や広告コミュニケーション戦略の立案、各種キャンペーン企画の立案から実施まで、広告プロモーション領域全般をトータルプロデュースします。また、CONTENTS CREATIVEをテーマに、一味違うWeb・グラフィック・映像などのクリエイティブワークもご提供します。

出典:株式会社シンクロ 事業部(http://synchro-japan.com/divisions

だそうで、えーーーと・・・・。綿密な打ち合わせをしてこれかぁ。消費者目線に立ってこれかぁ、マーケ戦略やコミュニケーション戦略って何だよ、という感じである。この会社の業績をみると人数が少ないのにそこそこの実績なので、おそらくは電博あたりの大手代理店のスピンアウト企業だろう。

綿密な打ち合わせでは、「うちの棋士たちが魅力的に見えるサイトにして欲しい」「じゃぁ、もうかっこいい写真をばんばん載せちゃいましょう。うちには腕の良いカメラマンがいるので、お任せください」みたいなやりとりがあったのかもしれない。確かに、見た目は良くなったと思う。しかし、機能性は最低レベルまで落ちてしまった。

腕の良いプログラマーがいると、「こんなこともできます」「あんなこともできます」と様々な提案をできるし、そのアイデアが採用されるたびに受注金額がアップしていくので、発注側にある程度の予算があって、受注側ががめついと、必然的にてんこ盛りのサイトになってしまう。そういう場合は、たいてい閲覧者の利便性がないがしろにされることになる。今の将棋連盟のサイトはその典型例と言えるだろう。ただ、ちょっと不思議なのは、このサイトを見る限りプログラマーの腕が良いとは思えない点である。ま、いっか。ともあれ、クソサイトになってしまったのは、発注先の会社を変更してしまった(自前で作っていたのかもしれないけれど)ことによると想像できる。

人間に対する人工知能の優位性がはっきりしてきて、加えて空前絶後のスター、羽生三冠の絶対性に陰りが見えてきている。羽生三冠はこれまでも時々不調な時期があったにも関わらずその後復調してきたので今回も復調しないとは言えないし、ライバルの森内九段、佐藤九段、渡辺二冠なども好不調があって、相対的には相変わらず第一人者だが、それでも昔のような凄みはなくなってきたし、ポカも増えてきた印象がある。

#ポカは、ソフトによる形勢判断が的確になったおかげで可視化されてきただけで、潜在的には前からあったのかも知れない。

将棋界が徐々に苦しい状況に追い込まれつつある中、一番のコンテンツは何といっても名人戦、竜王戦といったタイトル戦のはずである。そういったメインコンテンツの「今」に対するアクセッシビリティを落としてしまうことは、そのままファンの興味を失うことに直結してしまいかねない。例えば私の場合でも、渡米しただけで将棋へのアクセス頻度は落ちて、興味も失われつつある。渡米と、サイトがクソなのとは次元が異なるものの、ファンの興味を維持し続けるためには情報へのアクセスが容易であることが重要なのは間違いない。

そういう、難しい時期において、今まで情報へのアクセスの利便性という点でとても優れたデザインだった旧サイトをクソサイトに変更してしまったのは、徐々に沈みつつある船の底に、必要ないのに大きな穴を開けてしまったようで、見ていて忍びないのである。

#まぁ、過去に将棋指しと仕事をして酷い目にあっているので、積極的に関わる気もないのだが。

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