2017年01月16日

「緩やかなインフレ」だけが目指すべき理想社会ではない

日本社会と米国社会の違いを簡単に書くと、

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米国
労働者の最低賃金を上げる>人件費が高騰する>ものの値段がアップする、特に、人のサービスが必要なものの価格がアップする

無駄な労働にお金を払うことができないので、24時間営業はほとんどない。飲食店は大抵高額で、外食一食あたり2000円程度。一番安いのは工業製品で、冷凍ピザは一枚100円程度なんていうのもある。一つ買うと二つ目は半額とか、5円とか、乱暴な商売が散見され、大量生産大量消費社会である。貧乏人はジャンクフードなどの不健康な食品に向かい、富裕層は有機食品が大好き。有機といっても低カロリーではなく、動物に偏った食事なので、みんな不健康。

日本
労働者の最低賃金が安い>人件費が低廉>ものの価格が安い

人件費が安いので、24時間営業のコンビニや牛丼屋などが成立する。外食は安く、特にアルバイトでまわせる店は安い。野菜などの生鮮食品の価格は比較的安定している。ネット情報を駆使すると生活コストはさらに切り詰めることが可能で、節約が美徳という雰囲気がある。
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といった感じになる。一般人の生活としてどちらが良いか、というのは正直難しい問題で、どちらもバランスが取れている。ただ、日本のスタイルはいわゆるデフレ体質で、常識的な価値観からは、望ましいとは言えない。税収が少なくなるので、公共投資には限界が出てくるし、どんどん新製品を買って、贅沢な暮らしをするというわけにもいかない。とはいえ、じゃぁ、今よりも高細密な描写力があるテレビが欲しいか、今よりもスピードが出る車が欲しいか、となると、これまた疑問だ。僕たちは、結構満足度の高い暮らしをしている。

ここで考える必要があるのは、「緩やかなインフレが望ましい」という価値観が今後も正しいままなのかということである。

今の日本社会の最大の問題点は、経済停滞、特に製造業の凋落である。カネボウなどの繊維産業はすでに崩壊したが、NEC、東芝、松下といったかつての巨人たちはほとんど見る影もなく、ソニーはフェリカで地味に活躍しているものの、本来のユニークさがほとんど感じられない。シャープに至っては事実上倒産している。製薬企業各社も自前での新薬開発はほぼ絶望的だし、自動車産業だけがなんとか持ちこたえている感じだろうか。しかし、自動車も、三菱自動車みたいに退場に追い込まれた会社は存在する。

こうした製造業の衰退の主原因は労働力の流動化に失敗したことに他ならず、シルバー民主主義に突入した日本では改善も難しい。企業はお荷物となった中高年を定年まで雇い続けるしかなく、それらはがん細胞のように企業の資本を食いつぶし、企業を、ひいては日本全体を弱体化させていく。

現状では、日本の市場を飛躍的に拡大することも、製造業の勢いを取り戻すことも、絶望的だ。

とすれば、「デフレで何が悪い」と開き直ることも選択肢のひとつになってくるだろう。日本が突然死するわけでもないので、緩やかな衰退の中でのんびり暮らすのである。自分の才能に自信がある人は、活躍の場を海外に求めれば良い。もう随分前から海外への頭脳の流出について警鐘を鳴らす人は存在するけれど、海外の方が活躍できるんだから仕方がない。イチローにしても、錦織にしても、本田にしても、YOSHIKIにしても、宇多田ヒカルにしても、海外に出て活躍している人はたくさんいる。

それは、スポーツ選手や芸能人に限らず、例えば研究者でも同じである。そして、それはもちろん悪いことではない。日本の研究費が増える可能性は非常に低いし、仮に増えるとすれば、その前提条件は景気の回復であり、少子化に歯止めがかかることであり、労働力の流動化であり、同一労働同一賃金の実現である。これが一朝一夕でないことは明白で、実現可能性と考えてもかなり低い。国内でくすぶっているのは時間の無駄なのだ。

僕は、かれこれ20年ぐらい時間を無駄にした。そして得た結論は、少なくとも自由主義経済の中においては、日本はもうダメだ、ということである。

研究職だけでなく、あらゆるビジネス人材は、海外に活躍の場を求めるべきだろう。海外には、日本にはなくなりつつあり、そして回復が絶望的とも言える「マーケット」が存在する。宇多田ヒカルの新曲が海外のチャートで上位にランキングされたことは、象徴的である。海外進出の足がかりとして日本で頑張るのはもちろん構わないが、企業人として成果を出したいなら、いつまでも日本で活動していることは、単に時間の無駄である。

労働時間は一日4時間、週休4日、あとは機械にお任せ、裁判も、病気の診断も、会計も、行政も、公式が決まっているものや蓄積された過去のデータから判断するようなことは全部AIにお任せ、人間はのんびり芸術や音楽やスポーツを楽しむ、何か野望があって挑戦したい人は海外に活躍の場を求める、という社会も悪くはないはずだ。技術開発の目指すところは快適で豊かな暮らしのはずで、僕の価値観では、先端技術のおかげで労働時間が減ったので、その分新しい仕事をやる、というのは快適でも、豊かでもない。日本人はそろそろ毎週40時間働くべき、みたいな勤勉な価値観から脱出した方が良い。

日本の最大の魅力は、治安の良さである。これは世界に誇ることのできる価値なので、それだけ失わなければ、あとは何でも良いんじゃないだろうか。安倍晋三と、その手先の日銀は無理やりインフレ誘導をしたいようだが、いくらやっても砂漠に水をまくようなものだ。その結果、日銀は多くの上場会社の大株主になってしまった。この国は、もう「緩やかなインフレ」に戻る機会を逸したのだろう。

この記事へのコメント
この記事の問題点

1.「安い」と「安くなる」の違いを無視。

日本の人件費は安い。でも、安くなることは難しい。実際、給料の高い低いは仕事量に応じての話であり、サービス業ではそれは時間に対応することが多いだろう。日本人の時給は、この十年二十年のデフレの中でも横ばい。それだけ「安くなる」のは難しい。


2.この世には値段の変化の下限がある商品があるのを無視。

上で挙げた時給がデフレの中でも横ばいというのも、労働という商品の対価・すなわち賃金の下がり方には下限があるということである。この他にも、お金を貸すことの対価である金利などにも下限がある。現金という0%は安全に確保できるものがあるのだから、金利は保管手間賃分くらいのマイナスよりは下がらない。

この世の中にこういうある程度以上は下がらない商品があっても、アメリカ型のように全体のインフレが進んでいく社会なら問題にはならない。しかし、もしそうでなく日本型のようにデフレになっていけば、下がりにくい商品の値段は他の商品とのバランスを崩して相対的に上がっていくことになる。そうなれば、そういう商品を買うのを控えようとなってしまう。人を雇うのを控えよう、お金を借りて投資をするのを控えよう、と。すると、経済は縮小したところで均衡を迎えてしまう。




Posted by satoshi at 2018年01月22日 15:02
1.時給は安くならなくても、就業時間が短くなれば年収は減ります。

2.前半は日本語が不明瞭で理解不能。後半は下限のある商品の割合が不明なのにも関わらず、それが全てであるような論理展開です。

ということで、全く問題点として認識できません。
Posted by 元木 at 2018年01月22日 16:23
ふんふん、と見ていたが
海外での成功例として出していたのが「宇多田ヒカル」とみてズコーとなった
日本で工業製品を覗いた文化面で一番成功してるのはゲーム、次にアニメ産業
もし宇多田ヒカルが成功例なら90年代のバブル期
アジア中に音楽が流れていた時に海外進出論がもっともっと盛んになっていたはずでしょう
国内でダメダメになってきたから海外でうまくいくなんてお笑い草
もっとまともな成功例出してくださいよ
Posted by アルト at 2018年01月23日 07:47
バカは読まなくて良いよ。
Posted by 元木 at 2018年01月23日 08:48