2017年03月02日

K氏コレクション展@多治見陶磁器意匠研究所

多治見の意匠研で開催中のK氏コレクション展を観てきた。ここでは、陶磁器コレクターのK氏がこの三年余りで収集してきた陶磁器の中から、K氏が今観ておいて欲しいと感じた作品たちを展示している。

牟田陽日さん、高柳むつみさん、見附正康さん、川端健太郎さん、吉村茉莉さん、河端理恵子さんといった、僕が好きな作家さんと重なるところが多々あって、とても親近感が湧く。あ、これ、Kさんが買ったんだ、などと思い当たる作品がいくつかあった。若手の作家の作品は価格が手頃なこともあって、良い作品は比較的早い段階で個展や企画展から姿を消してしまう。そして、売れてしまった作品はなかなかもう一度観る機会がない。なので、こういった展示は、若手の作家たちの「少し前の足跡」を観ることができてとてもありがたい。

同時に、自分なら絶対に買わないと思う作品もいくつかあって、どうしてこれがK氏の心の琴線に触れたのかな、と想像できるのも良い。もともと僕は上絵や下絵の陶磁器が好きなので、造形だけで見せる陶磁器の良し悪しが良く分からない。自分で作っているのに分からないのである。唯一の価値観は、「見た目重厚で持つと軽い」だけである。だから、K氏の大量のコレクションの中から、どうしてこれを選んだのかな、と考えるのが楽しいのである。絵は、好き嫌いはあっても、技術が見えやすいので、判断がしやすい。逆に、絵のない陶磁器は、僕には難解極まりないのである。

多分、僕はK氏の半分も陶磁器を持っていないと思うのだが、自分がここで展示したら、どういう意図で作品を選び、どうやってそれを見せるだろうと想像してみた。多分、若手枠で、上に挙げた作家さん以外に井上雅子さん、正親里紗さん、船木大輔さん、吉島信広さんあたりを選び、九谷赤絵特集で福島武山一門の作品を並べ、そして買ったギャラリーと紐づける形でうつわノート、ギャラリー数寄、器館あたりで買った作品を紹介すると思う。これだけでスペースはなくなりそうだが、どちらかといえば生活陶芸の領域に近い作家さんたちも紹介したい。こうやって、自分だったら、と考えてみると、K氏の想いが比較対照されて、輪郭がよりはっきりするような気もしたのだが、実際はそうでもなかった。K氏は「好きな作品を展示した」と解説していたけれど、K氏の「好き」は、結局良く分からないままだった。でもまぁ、自分自身の好き嫌いにすら説明がつかないのだから、他人であるK氏の好き嫌いを判断しようとするところが間違いなのだろう。むしろ、K氏には理解できるのに、自分には理解できない作品の良さを考えるきっかけにしたいと思った。

会期は前半、後半に分かれていて、僕は後半の最初のうちに観にいった。前半にどういう作品が展示されていたのだろう?

2017年2月17日(金)〜3月12日(日) 9:00〜17:00
場所:多治見市陶磁器意匠研究所 本館2階展示室
入場無料

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