2017年03月31日

"Thinker" Yoshitomo Nara @PACE Gallery

New YorkのPACE Galleryで奈良美智さんの個展があるというので、初日に行ってみた。NYで奈良さんの個展があるという情報はかなり早い段階で得ていたので、いつものPACEを中心に開催日時を調べていたのだけれど、結局、場所と時期が明確になったのは開催の数週間前だった。どうしてもっと早くに告知できないのかはかなり不思議なのだが、幸い、NYまでは5時間かからずに来ることができるし、交通費も、滞在費も、日本から来て、何も知らずに泊まるのに比較したら大幅に安い。ということで、今日の朝、バスでNYへやってきた。

PACEは、チェルシーというマンハッタンでは芸術家の集まる地域にある。僕はNYに来ると、大抵チェルシー・マーケットへ若手アーティストの作品を買いに来る。

どんな様子かわからないのでオープニングレセプションの1時間前にPACEへ行くことにした。PACEはチェルシーの象徴的な遊歩道、ハイラインのすぐ下にあった。到着してみると、未開場で、周囲には誰もいない。日本のギャラリーだと、初日は普通に開店していて、夕方にレセプションという形式が多いのだが、NYではレセプションが文字どおりオープニングのようだ。










かなり寒いし、雨も結構降っていて、ちょっとした雨なら傘などささないニューヨーカーたちもほとんどが傘をさしている。そのまま、ギャラリーの前で1時間以上待つのもアレなので、近所のハンバーガーショップに行って、レモネードを飲みながら18時を待つことにした。

17:45ぐらいに店を出てギャラリーの前に行くと、1時間の間にやってきた約20人が列を作っていた。構成としては、主としてアジア人である。ただ、日本人かどうかはわからない。すると、数分で開場。ギャラリーに入ることができたので、早速作品を観ようと思ったら、スタッフのお姉さんに傘を入り口に置くように言われた。ただ、僕の傘はご存知のようにちゃんとした和傘で、それなりに高価である。そこらへんに無造作においておいて、「珍しい傘がある」と思われてかっぱらわれてはシャレにならない。なので、カウンターのお姉さんに荷物として預かってくれるようお願いしたのだが、それはできないというつれない返事である。仕方ないので、コートにくるんで、ハンガーに吊るしておいた。この傘は、バーバリーのコートよりも貴重品なのだが、その辺のことは米国人には理解できないのだろう。

ようやく準備が整ったので、展示室へ。

展示は、入り口のオブジェ、大作を並べた部屋、奥の大きなオブジェ、陶器とドローイングなどの商品を中心とした部屋の4部屋。ライティングが素晴らしく、どの作品もガラスが全く気にならない。もちろん写真撮影可能である。会場内はすぐに人で溢れて、さすがである。客の構成は、日本人3割、中国語圏を中心としたアジア人3割、残りが欧米人という感じだった。



ちょっと残念だったのは、大量に展示されていた陶器の扱いで、実際に触れることができなかった。陶器は、厚さや重さが大きな評価ポイントのひとつだし、内部の釉薬のかかり具合とか、高台の仕上げ方なども興味深いところである。これらは、実際に手に持って、いろいろな角度から見たり、触って、手の感触で確かめるしかない。しかし、そういった楽しみ方は不可能だった。



大作は、この大きさだと個人で購入するのはなかなか難しいだろうし、頑張って購入しても、今度は保管が大変である。なので、海外の美術館を中心に売られて行くのだろうが、ドローイングの小品はどうなるのだろう。結構良い作品があったので、いくらぐらいなのか知りたかったのだが、作品目録はあっても、プライス・リストはなかった。




レセプションといってもこれといったイベントはない様子だったので、開場から1時間ほど、ゆっくり観てからギャラリーを出ると、雨がさっきよりも強くなっていた。隠しておいた和傘は無事回収できたので、傘をさして雨の中をバス停まで歩き、さっきのハンバーガー屋の前からバスに乗った。

追記:ホテルに戻ってからギャラリーにプライスリストをオーダーしてみたんだけれど、返事すらない。貧乏人に思われたんだったら悲しい。

追記2:日曜日に再訪してみたらギャラリーは休みだった。これも残念。

この記事へのトラックバックURL