2017年04月23日

聖の青春

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若くして亡くなった天才棋士村山聖の棋士人生を描いた作品。もともとドラマティックな内容なのだから過剰な演出は不要だったと思うのだが、監督の演出も、脚本もイマイチでとても残念。森義隆監督って誰?脚本は「ふがいない僕は空を見た」でかなり良い脚本を書いた向井康介だが、なぜこんな本を書いてしまったのだろう。

また、主役の松山ケンイチと脇役の染谷将太はすごく良かったのだが、肝心要となる村山の最大のライバル、羽生善治役がイマイチ。実物の羽生のマスコミ露出が多いので、すでに実像が良く知られているのだが、そうした状況で演技力のない役者を使ったのは大失敗。非常に惜しい。似てなくても良いから、羽生を染谷がやれば良かったと思う。

千駄ヶ谷界隈はガラッと変わったので、新しい建物が写らないようにするのに苦労しているのが感じられた。あえて特撮を使ってつまらないところにカネを注ぎ込むわけにもいかないだろうし、ロケでの苦労が偲ばれた。

以下、将棋ファンとしての視点を含めて、3つほど気がついた点を列挙しておく。

まず、誰にも会わずに将棋会館の対局室まで行けちゃうのが謎。いくらなんだって、こんなにスカスカな警備ではないだろう。

何人か既存の棋士が実名で登場するのだが、見た目が似たような役者を使おうと努力のあとが感じられた。しかし、佐藤康光かと思ったら谷川だった(笑)。そこは違うだろ。

タイトル戦の投了の場面で立会人不在というのは事実じゃないんじゃないかなぁ。もし事実だとしても、投了後すぐに立会人が入室してくるはず。立会人以外も、主催新聞紙の記者、カメラマンはすぐに入室して来るはずだ。

評価は☆ひとつ半。もったいない。染谷なら、見た目が似てなくても、ちゃんと羽生を演じることができたはずだ。なんといえば良いのかな、映画や役者に対する真摯な姿勢が感じられないといえば良いのかな?製作者はわかってねぇなぁ、と思う。

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