2017年05月17日

牟田陽日展「光の国」@日本橋三越

僕がその作品を持っている陶芸作家さんの中では最も多くの作品を持っているであろう作家さんのひとり、牟田陽日さんの個展が日本橋三越で開催されるとのことで、ちょっと日程を早めて来日した。準備万端だったので、滞りなく個展初日に参戦することができた。

岐阜のコレクターK氏と朝のスタバで1時間ほど雑談して会場へ向かうと、すでに大量の購入希望者が会場を取り囲んでいた。隣では人間国宝今泉今右衛門さんの個展が同時スタートだったのだけれど、見に来ている人の数では牟田さんが圧勝である。

今日の販売は抽選ということで、大きな混乱はなかったのだが、希望者の人数が多すぎた。多分、70ー80人ぐらいいただろう。その全員が一度に25分程度の下見を実施したので、きちんとした検分は不可能だった。それでもなんとかざっと下見して、僕の中での評価は

(1)えびす(クジラ)のぐい飲み その1(一番真円に近いもの)
(2)玉杯
(3)龍ののびた器、内側にも体が描かれたもの

の順位づけ。ただ、龍の器は、絵は面白いのだが、実用性は低そうだった。なんというか、器があって、そこに絵を描いたのではなく、描きたい絵があって、それに合わせて造形したような。だから、絵を描く材料としては素晴らしいのだけれど、何かを飲む道具としての性能が損なわれているような。使わないから良いと言えばその通りかもしれないのだが、それでもやはり、器は、まず器であって欲しい。他にもいくつか購入候補はあったのだが、まずのターゲットはこの3つだった。看板となっていた亀は手数は凄いし様々な技巧を凝らしていたのだが、着脱可能な2つの面の意味が不明だったし、もう1つの看板モチーフである心臓は、心臓から出ている血管が1つ不足している欠陥心臓である点が生物学専門の人間として許容できない(苦笑)。まぁ、こういう視点は極度に個人的なものなのだが。

抽選が始まると、抽選券配布後半に配られたと想像できる番号の当選が続いたので、ちょっと「ちゃんとまざっているのかな?」と思っていた。それでも、10番目だか、12番目だかに僕の番号が呼ばれた。十分に運が良い。入場手続きをして会場に入ると、えびすのシリーズは軒並み「完売マーク」である。若干、残っているえびすもあったのだが、僕が「今回はこれが一番」と感じたぐい飲みは赤丸完売だった。ちなみに僕の選択基準の1つは上に書いたように「実際に使えること」で、今回のえびすは絵としては良かったのだが、多くは実用性が低く見えた。実際には使わないとしても、やはり使える形状のものが僕は好きだ。

でも、しめしめ。えびすは徳利とぐい飲みのセットで持っているので、無理に購入する必要はない。さっと他に目を配ると、玉杯がまだ残っていた。みんながえびすに注目している間に、玉杯を一本釣りである。



















みんな、これの蓋を開けてみたのかな?特に蓋の裏のおさえた絵が良い。蓋ものは、開けてみないとね。

今回は、多分僕が一番遠距離から駆けつけたので、その甲斐があったというもの。そして、きちんと希望通りの作品を入手できたのは、ここまで人気が出てしまう前に牟田さんの売れ線をおさえていたことである。今回、えびすに執着しなくて済んだのは何よりだった。

夕方、簡単なパーティがあったので、牟田さん、K氏と会話して、閉店間際に退散した。みんな、忙しいのか、パーティに参加した人はあまりいない様子だった。作家さんより、作品に、というか、作品にだけ興味があるのかな。

日本橋三越 「光の国」 牟田陽日展
2017/5/17〜2017/5/23
〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1
本館6階 アートスクエア
#土日は牟田さんが在廊するようです。

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