2018年01月10日

フラットに書いた記事が広告と受け取られる場合

松村邦洋のダイエットについてこんな記事があったのだが、

松村邦洋50歳、「8カ月で30キロ減量」の舞台裏
http://toyokeizai.net/articles/-/203323

この記事のコメント欄には「広告」「宣伝」という感想がいくつも並んでいる。このことについて記事を書いた本田雅一氏は「残念」という趣旨のコメントを記事のコメント欄とツイッターに書いている。




実際、僕もこれは宣伝だと感じたのだが、そう感じる人間が多数いる場合、本田氏が残念と感じるべきは読み手の能力ではなく、自分の文章である。

では、この記事のどこがダメなのか。一方的にライザップのメリットばかりを書き連ねていて、デメリットに何の言及もない。こういうのを太鼓持ちという。本当にライザップがメリットばかりなら、日本国民全員がライザップの会員になっても不思議ではない。しかし、そうならない。それには当然理由がある。

僕に限れば、まず第一に費用である。この記事ではコストについての言及がほとんどない。僕が日本に住んでいた時に使っていた朝霞市の「わくわくどーむ」は一日200円、毎日通っても月に6000円だった。これでマシンは全て利用できて、コンサルも無料、ここでは誰とは書かないけれど五輪に出たこともあるアスリートも利用していたことがある。この公共の施設と同じ程度の費用なら、僕も喜んでライザップに通うだろう。しかし、そのための検討材料がこの記事には記載されていない。おそらく月10万円はくだらないだろうが、高いコストは当然ライザップにとってネガティブ・ファクターで、それに対してほとんど言及がないのはフェアではない。

自分でトレーニングをしてボディ・メイクをしている僕としては、他にも疑問がある。食生活はどの程度制限されるのか、ライザップからレトルトなどの食事販売サービスがあるならその費用はどのくらいなのか、トレーニング中に故障して一時的に継続が困難になった場合はどうするのか、減量後に体重を維持するためのトレーニング費用はどの程度なのか、出張や飲み会が入ってジムに行けない時はどうするのか、インフルエンザに罹ったらどうするのか、列挙すればキリがないのだが、減量を試みるなら、その期間中には様々な障害が発生する。そういう障害をどうやってクリアするかはとても重要だが、それらに全く言及がなく、ただただライザップの素晴らしさを褒め称えているから不自然に感じるのである。

僕の場合は、スキーなら横浜市で優勝したり県でも入賞するレベルの競技者だったことがあるので、トレーニングについては一般の人よりも知識がある。その立場からすると、件の記事はあまりにも一方的で、業者よりの内容になっている。

誰もが思う、「でも、お高いんでしょう?」という感覚、そこから故意に(もしかしたら無自覚かもしれないけれど、これだけライザップに協力してもらって記事を書いているのだから、何らかのオーダーが出ていると考えるのが一般的である)目をそらしている以上、多くの人に「広告」と受け取られても仕方がないだろう。「いやいや、本当に違うんです」と言っても、信じてもらえなければ仕方ない。

普通に書いたつもりなのに、多くの人に宣伝と取られてしまうなら、人のせいにする前にまずは自分の書いた文章を疑ってかかるべきである。