2018年01月19日

Interleukin-2: New indications for an old cytokine

NHLBI/NIHの伊藤沙和さんによるIL-2の講演を聞いて来た。

主として、ヒト白血球抗原(HLA)型が完全一致せず、不完全一致での骨髄移植をせざるを得ない切迫した状況下の白血病患者を対象としている研究についてだった。普通なら拒否反応が出てしまって骨髄移植が不可能なところ、IL-2によって拒否反応を抑えることに挑戦していた。

僕が医薬品開発をしていたときはまだフェイズ1にも到達していなかったので、研究は主としてマウスでのものだった。しかし、伊藤さんの場合は、放置していては病状が悪化する一方の白血病患者が対象なので、マウスでのんびり検討している余裕はない。また、実験計画に不備があったり、予期しない事態が発生した場合の判断ミスは、そのまま患者の命に直結してしまう。そんなシビアな環境で研究を進めている伊藤さんの話はとても重みがあった。

質疑応答で「日本人であることによって差別されたり、不都合を感じたことはないか?」との質問に、「むしろ患者の心情に理解を示すので、喜ばれることが多い」と答えていたのが印象的だった。

これまでの先人たちの蓄積によって、日本人に対する米国人の印象はとても良い。おかげで僕たちのDCにおける生活はとても快適である。その状況をさらに良くしつつ、自身の研究を進め、白血病の克服に挑戦しているところはさすがである。

NIHの有名女性研究者2人の研究に関するコメントも興味深かった。