2018年01月30日

週刊新潮 対 プレジデント

週刊新潮がプレジデントにけんかを売り、それに対するプレジデントの反論を受けて、再反論記事が掲載された。

『「ガン食事療法本」が「がん患者」を殺す』記事に対するプレジデント社の抗議への回答
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/01300804/?all=1

理路整然としていてなかなか良い内容になっている。プレジデント社の再々反論が楽しみである。

食事療法に限らず、抗がん剤反対論や子宮頸がんワクチン反対論など、がん周辺にはとんでも論があちこちで展開されていて、それを叩いているとモグラ叩きのような感じになって疲れてきてしまう。

医者はそこそこの頻度で勉強不足なので、医師免許を持っているというだけで信用するのは危険だ。NIHに来る医者も、特定の部位の疾病の専門家ではあっても、科学者としては素人というケースが少なくない。医局から箔付け目的で派遣され、2年で帰っていく。最初の半年ぐらいはピペットマンの使い方など、ごくごく初歩的なところを教わっていたりすることもある。日本人は医者というだけで信用してしまうが、それは危険だ。医者は既得権者なので、よっぽどのことをしない限りは医師免許を剥奪されることがない。

がんの治療について、僕のまわりでは2つ、参考事例がある。

まずはうちの会社の営業部長の父親(以下、A氏)の例である。長年喫煙していたA氏が体調不良を訴え、検査したところ肺の扁平上皮がんと診断された。そこそこ大きくなっていて、手術は不可能との判断だった。そのとき、A氏は家族に「抗がん剤治療だけはいやだ」と言って、先進治療や民間治療についてネットで調べ始めた。家族が協力して、メディネットと陽子線治療のどちらにしようか、というところまで検討したところで、営業部長から僕に相談があった。僕は信頼できる医者と二人で、その両方、特にメディネットについては全く信頼できない旨を伝えた。僕の主な主張は「体力があるなら、抗がん剤による治療を第一に考えるべき」ということだった。説得が成功し、A氏はがんセンターで抗がん剤の治療を受けた。その結果、A氏のがん細胞は確認できないほどに縮小し、今も元気である。

もうひとつは5年前にこのブログで紹介した事例である。

うかい亭でランチ
http://buu.blog.jp/archives/51392415.html

こちらでは転移がんで胸膜播種にまで進行したがんに対して最初に抗がん剤を使い、次にホルモン剤(アロマシン)を使った事例を紹介した。ここで紹介したおばさんは、それからさらに5年経っても健在である。

事例1でわかるのは抗がん剤は効くときには効くということで、事例2でわかるのは、抗がん剤は万能ではなく、別の薬の方が効果的なこともある、ということである。どちらにしても、手術だけががんの標準治療(科学的な根拠に基づいて効果が証明されている治療)ではないということで、手術できないからといって絶望することはない。かれこれ30年以上も、世界中の研究所ががんの治療のために人と金を投入してきた。そのおかげで、治るがんは増えてきている。もちろん膵臓がんのように今も治療が難しいがんもあるが、少しずつであっても、治る病気になってきている。

事例1は幸いにして僕の身近で起きた話なので、丁寧に説明して、適切な治療へと誘導できた。しかし、こういうコンサルは、自分の身近の人にしかできない。そして、ブログに色々書いたところで、どこの誰ともしれないブロガーの書いていることなど、ほとんど信頼されないこともわかっている。だから、この手のネタを自分で書くことはあまりない。

#でも、たまには書くけどね。
総統閣下はお怒りです 「怪しい医者」
http://buu.blog.jp/archives/51401729.html

今回の記事を読んで僕が言えることは2つあって、1つは、まっとうな医者は書籍によって患者のがんを治そうとはしないということ、もう1つは、とんでも医療を糾弾するという面倒臭いことをやってくれる医者は信用できる、ということである。