2020年02月20日

岩田氏と高山氏のやりとりをどう読めば良いのか

新型コロナ肺炎に関して、ダイヤモンド・プリンセス号における対応について、岩田健太郎さんと高山さんのやりとりが公開されている。きっかけとなった岩田さんのYouTube動画は岩田さんによって削除されてしまったのだが、書き起こしが残されている。

【書き起こし】岩田健太郎さんのYouTube動画「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。」の書き起こし
https://anond.hatelabo.jp/20200219050922

そこそこ長文なのと、一部誤認識だったと判明したところがあるので、そこをトリミングした上で、時間がない人のために要約すると、次のようになる。

DP号の中の方から「すごく怖い」「感染が広がっていくんじゃないか」と私に助けを求められ、入船できないかを打診した。

2月17日、厚労省で働いている某氏から電話が来て、「入ってもいいよ」「やり方を考えましょう」ということだった。

翌日神戸から新横浜へ向かっている途中で「誰とは言えないが非常に反対している人がいる」と連絡があった。

「DMATの職員の下で感染対策の専門家ではなくて、DMATの一員として、DMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげる」という電話があった。

DMATのトップから「お前、感染の仕事だろう」「だったら感染の仕事をやるべきだ」と言われた。

現場の問題点を確認していった。

レッドゾーン(危ないゾーン)とグリーンゾーン(安全なゾーン)をきちっと分けるのが鉄則だが、DP号の内部はグリーンもレッドもぐちゃぐちゃになっていて、どこが危なくて、どこが危なくないのか全く区別がつかなかった。

DMATの職員、厚労省の職員、検疫機関の方が陽性になったという話を聞いていたのですが、「それはもうむべなるかな」と思った。

我々がこういう感染症のミッションに出るときは必ず自分たち、医療従事者の身を守るというのが大前提で、自分たちの感染のリスクをほったらかしにして、患者さんとか一般の方々に立ち向かうのはご法度、ルール違反。

厚労省のトップの方に相談したけど、ものすごく嫌な顔をされました。聞く耳持つ気ないと。「何でお前こんなとこにいるんだ」「何でお前がそんなこと言うんだ」みたいな感じで、知らん顔する。

臨時の検疫官として入っていたが、その許可を取り消された。

日本は、ダイヤモンドプリンセンスの中で起きていることは全然情報を出していない。


さて、この情報発信に対して、「厚労省で働いている某氏」、すなわち高山義浩氏がFacebookで反論、補足した。


高山義浩氏の記事
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2703278763058947&id=100001305489071

こちらも、時間がない人のために要約すると、

岩田の乗船によって現場が困惑したので、岩田氏は下船させられた。

岩田氏の感染症医としてのアドバイスは概ね妥当だったけれど、正しいだけでは組織は動かない。

船の中では頑張っている人がいる。解決を与えないまま現場を恐怖で萎縮させるのは避けて欲しかった。

日本人は危機に直面した時、危機を直視せず、誰かを批判し、責任論に没頭する。不安と疑念が交錯している今は、一致団結していかなくてはならない。



ぐらいの内容である。少なくない部分が岩田氏の事実誤認について書かれていて、その部分を岩田氏、高山氏の両方から削除すると、この程度のやりとりになる。

その上で俯瞰してみると、岩田氏は

船の中はゾーニングが不十分で、乗客だけでなく対応に当たっている職員にも感染者がでている。
医療従事者の安全が確保できていない。これは大問題。
厚労省のトップはこのことに問題意識を持っていない。


と主張していて、高山氏は

岩田氏の指摘は妥当だが、正しいだけではだめだ。
頑張っているのだから、団結すべきだ。


である。正論に対して感情論、根性論を唱えていて、後者は日本人が大好きな主張なので、同調する人が多いかもしれない。特に、病院でこき使われている下っ端の若い医者は、「そうそう、目の前に患者がいるのだから」と考えるかもしれない。しかし、ダイヤモンド・プリンセス号においては、すでに乗船者の中から621人もの感染者がでている現実から目を逸らすべきではない。

日本人は同調圧力をかけるのが大好きで、みんなで頑張るのが大好きだ。高校野球で感動して、「和を以て貴しと為す」が金科玉条だったりする。そして、これこそが日本の最大の弱点である。岩田氏のような使いにくい専門家をどうやって取り入れていくかにこそ、活路が見出されるはずなのに、相変わらず仲良しクラブで頑張って、結果として失敗する。

岩田が正しい、いや、高山が正しい、ではない。高山が安全に活躍できる環境を、岩田のアドバイスにしたがって整備していくべき場面である。

岩田氏は、「どうやってウイルスを封じ込めるか」を考えていて、高山氏は多分「どうやって患者を治療するか」を考えているのだろう。現場は、一致団結すれば良い。そして、行政はどちらかといえば岩田氏の立場に立つべきだ。しかし、現状はそうではないらしい。

岩田氏も、高山氏も、二人とも目指すものがあって、ベクトルは同じでも、その目的に向かうための手段は異なっている。問題は、それらを上手にコーディネートしていくべき現場の責任者である橋本岳が馬鹿で、自分が何をすれば良いかを理解していないことだと思う。

え?僕たちはどうしたら良いか?それは何度も書いているけれど、

(1)人混みにはなるべく行かない
(2)手を洗う

でしょう。

この記事へのコメント
高山先生をはじめ現場の医師かたは、今回のケースでの感染防御の重さを見失っています。通常の診療なら、自分がリスクを取って患者を診るというのはあることですが、今回はそもそもが検疫であって、多数の乗客が多大なリスクを甘受したのはひとえに陸にウイルスを持ち込まないためです。医療従事者がウイルスを陸に運んでしまえば、乗客の忍耐は何のためなのかわからなくなってしまいます。
Posted by 匿名 at 2020年02月20日 22:11
少なくとも、医療班として丘から船に乗り込んで行った人たちがウイルスを丘に持ち出して、汚染を広げてしまっては話になりませんね。
Posted by 元木 at 2020年02月24日 21:07