2021年10月07日

護られなかった者たちへ

原作未読。

3.11の被災者たちを中心に、生活保護を巡る連続殺人事件を描いている。

時系列をかなりぐりぐりに弄っていて、その辺は演劇的。登場人物たちの服や髪型などで、いつの時代なのかはだいたい見当がつく親切な作りになっているのだが、ここまで頻繁に行ったり来たりする必要があったのかは微妙。脚本家のこだわりだったのかもしれない。

役者では清原果耶があいかわらず良い演技を見せていたのだが、「おかえりモネ」と場所も役柄もだぶるのが惜しい。多分こちらの撮影が先だったと思うのだが。朝ドラではセリフなしに表情で見せようとする演出が多いのだが、本作にもその傾向が見て取れる。しかし、数作品観た限りでは色々な引き出しがありそうなので、これからは違う演出も経験して欲しい。ともあれ、若手では注目の役者である。

阿部寛を始めとして、ほとんどの役者は大体いつも通りの演技。この辺はもうちょっと工夫が欲しかった。

ストーリーは大きな破綻もなく楽しめるのだが、前半はちょっともたつき気味。「この調子で最後まで寝ずに観るのはメガシャキが必要」と思ったのだが、犯人逮捕あたりからそこそこスピードアップして、睡眠防止ドリンクは不要だった。

目立ったマイナスポイントは見当たらず、無難にいい映画だったと思う。評価は☆2つ半。今年の邦画ナンバーワン候補。