2022年03月15日

最低賃金はどうあるべきか

ロシアのウクライナ侵略もあって、日本の物価は自民党と公明党の思惑通り上昇中のようだ。ところが、物価は上昇しても、労働者の給料はアップしている印象がない。数年前に、三菱総研の元同僚と飲んだ時、「僕が30代なかばで1000万円前後の年収だったのだから、今は結構もらってるよね」と質問したら、「そうでもない。ほとんど変わってない」という返事だった。その時はそんな馬鹿なことがあるか、と思ったのだが、どうも本当だったらしい。マクドナルドのハンバーガーにいたっては、僕が大学生の頃は一個210円だったのが、今は110円が130円に値上げとか言っている。日本のデフレは尋常ではない。

ただ、これから数年はおそらくガソリンも小麦も価格はアップするだろう。そういう環境にあって、労働者の最低賃金はどうあるべきかを考えてみたい。

まず大前提だが、この文章で取り扱うのは有期雇用の労働者である。無期雇用はクビになりにくいので、待遇は有期雇用より悪くて当たり前なのだが、話が複雑になるので、対象外とする。

さて、次の考え方だが、夫婦二人に子供二人が、夫婦どちらかの労働によって文化的な暮らしを送ることができる必要がある。そうしないと、少子化に歯止めがかからない。ここで参考になるのが生活保護の支給額である。モデルケースで考えてみると、小学生の子供が二人いる40代の夫婦で、生活扶助、住宅扶助、児童養育費で約248000円程度が支給される場合があるようだ(豊中市の事例)。

この額よりも稼げなければ、「働かずに生活保護の方が得」となってしまい勤労意欲がなくなるので、ここが一つの目安になるだろう。ちょっと数字を丸めて、「月収25万円」としてみる。

次に労働時間だが、週休二日、祝日が月に一日として、労働日数は25日としてみる。つまり、賃金は一日一万円である。8時間労働として、時給1250円。これが最低ライン。

実際には子供の人数とか、住んでいる地域とか、色々な要素が絡みうるのだが、細かいことを言い始めると話が進まない。生活コストが安価な地域が有利なら、そこへ引っ越せば良い。東京一極集中にも歯止めがかかってちょうど良い。

ということで、最低賃金は時給1250円、月収25万円。

でも、これでも生活保護とトントンなのだ。トントンなら、働かない方が楽で良い。そうならないようにするなら、もっと賃金を高くする必要がある。どのくらい高くするのかはエイヤの領域なので、これといった根拠はないのだが、米国との比較で良く言われる時給1500円とか、1800円という数字はそれほど突拍子がない話ではない。

コンビニのレジ打ちで、時給1800円。この数字は同一労働同一賃金のルールに則って、年齢、性別、勤続年数などでは変化しない。一方で、労働者の能力によってアップする。たとえば英検でもTOEFLでも良いのだが、英語の能力が高ければ、外国人の客への対応が可能になるので、時給は2000円にする。そういう形で給料をアップして欲しければ、家に帰ってから英語の勉強をして、試験を受けて、資格を取れば良い。逆に言うなら、有期雇用の社員はそうやってスキルアップする必要があるので、残業はさせられなくて済むべきだ。

以上をまとめると下記のようになる。

有期雇用の労働者は時間を提供する。その単価は最低で1250円/時。そこからどのくらい積み上げるかは政治案件だが、1500円、1800円などが一案。

有期雇用者には基本的には残業はさせない。

賃金は性別、年齢、勤続年数などに左右されず、一定。そのかわり、労働の内容に即した資格を取ることによってアップする。


ちなみに現在は、2021年10月の時点で全国平均が930円。安すぎるよ。