2004年05月06日

世界の中心で、愛をさけぶ

GWももう終わりだし(って、昨日で終わってたのか(^^;?)、ここは世界の中心で愛でも叫んでみるか、ということで、片山恭一さん(すいません、名前、今まで知りませんでした)の「世界の中心で、愛をさけぶ」を読んでみた。

うーーーーん、この本が200万部かぁ。いや、話自体は別につまらなくない。でも、最初っからアキが死んじゃうっていうのをばらしてしまうこととか(ネタバレだけど、読み始めればすぐにわかることだから良いよね)構成的にはどうなのかなーと思うところがあるし(もちろん主観だけどね)、日本語リズムが悪いところがあるし(これも主観だけどね)、おじいさんの口調が変だったりするし(これも主観です)、繰り返し述べられる主人公の喪失感があまりにもしつこいって気がするし(分ってるとは思うけど、これも主観)、やっぱ、何よりかにより、作品に対するデジャヴュ感が強いんだよなぁ。

何を髣髴とさせるかというと、村上春樹の「ノルウェイの森」。もう、タイトルの「世界の中心で叫ぶ」あたりからしてノルウェイの森のラストなのだ。

僕は受話器を持ったまま顔を上げ、電話ボックスのまわりをぐるりと見まわしてみた。僕は今どこにいるのだ?でも、そこがどこなのか僕にはわからなかった。見当もつかなかった。いったいここはどこなんだ?僕の目にうつるのはいずこへともなく歩きすぎていく無数の人々の姿だけだった。僕はどこでもない場所のまん中から緑を呼びつづけていた。(「ノルウェイの森(下)」村上春樹)

テーマが恋愛と死による喪失感であるところ、死ぬのが若い女性であるところ、男性のモノローグで話が続くところ、と、共通点がたくさんある。まぁ、共通点が沢山あるのは別に構わないのだけれど、必然的に両者を比較してしまうわけで、そうすると、「再生」をきちんと力強く描いているノルウェイの森に対して、本作はどうもおまけというか、とってつけたというか、「朔太郎君、立ち直っているように見せているけど、本当はバリバリ引きずってるよね」という感じのところがどうもね。ノルウェイの森の中には、ほとんどが死んでいってしまう登場人物の中で、ただ一人非常にヴァイタルに描かれている緑がいて、おかげで生と死がくっきりと描き出されている(くっきりとはしているけど、相反するものではないんだよね)し、最後には主人公は彼女によって「生」の世界へ連れ出される。本作のラストには、その救いのようなものがないんだよね。

それ以外にも、恋愛の描写とか、どうも、曇りガラスの向こうからノルウェイの森を見ているような印象を受けるところがある。「ぷちノルウェイ」って感じですか?

まぁ、本を読むというのは良いことなので、まだ読んでいない人には読んでもらった方が良いのはいわずもがな。クスリにはならないかもしれないけど毒にもならないから「読む必要はない」なんて野暮なことは言いません。「ノルウェイの森は長いし、「世界の中心・・・・」はベストセラーだし(すでに「だったから」?)、まずはこっちを読んでみて」って感じ。それで、読んで面白いと感じたら、ついでに「ノルウェイの森」も読んでちょうだい。ベストセラーにおまけして☆二つ。

世界の中心で、愛をさけぶ


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この記事へのコメント
はじめまして「まにあな日記」さん
トラックバックありがとうございます

「世界の中心で、愛をさけぶ」はどうも評判が悪いですね
おっしゃる通り、ハルキの「ノルウェイの森」がちらつきます
「ぷちノルウェイ」には思わずニヤリとしました

私も最初はさらっと書くつもりでしたが
まとまりのないまま、だらだら書いてしまい、自分でもちょっと食傷気味です
ベストセラーなのに「感動の輪」が広がらない
この作品の評価は本当に難しいです
やっかいなものに付き合ってしまったなというのがホンネです

どうぞ、また遊びに来てください
これからもよろしくお願いします
Posted by up_down_go_go at 2004年05月06日 22:05
コメント、どうもです(^^

私はまぁ、別に悪く言う気はないのですが、「こののりなら、もっと面白い本もあるから、そっちも読んでみてね」という感じです。

金原ひとみが村上龍や山田詠美に影響されているのとはちょっと違った次元で影響されている感じはやはりぬぐえないのですが・・・・(^^;
Posted by 魔人ブウ* at 2004年05月07日 15:45
トラックバックありがとうございます。

 魔人ブウさんが言われていること、僕には的確に伝わってきます。

 ベストセラーの質も落ちているのでしょうか?

今後ともよろしくです。
Posted by bossa101 at 2004年05月08日 09:32
「まにあな日記」さん、はじめまして。
初めてのトラックバックありがとうございました!

『世界の中心で、愛をさけぶ』、読書量の多い方にはどうも評判が良くないようですね。^-^;
それらの評を読むと、どれも、なるほどと思うところがありますし。

ただ、単純に良かったと思えた私のように、さらっと読める本が好きな人や、日頃あまり本を読まない人にとっては、十分楽しめる作品だと思います。

誰もが興味を持つテーマを、誰にでも理解できるように描いた“読みやすさ”か大ヒットの理由かもしれませんね。
あ、あと、『バカの壁』同様、タイトルのインパクトも大きいかも。(笑)

「まにあな日記」さん、これからもどうぞよろしくお願いします。^^
Posted by Haruka at 2004年05月08日 09:45
Harukaさん、突然トラックバックしちゃってすいません。それから、コメントありがとうございます(^^
ストレートな読みやすさ、そうですね。ノルウェイの森は、ちょっと読み手を選ぶところがありますし。でも、もしまだノルウェイの森を読んでなくて、暇があったら、ちょっと本屋で手に取ってみて下さい。そして、第一章だけ、立ち読みしてみてください(^^。
Posted by 魔人ブウ* at 2004年05月09日 01:04
ノルウェイの森ね、実は初版で読んでるんです。当時はずいぶん感じるものがあって、友人に勧めまくった記憶がありますが、今となってはあの美しい赤と緑の装丁だけが印象に残っています。^-^;
機会があったら、もう一度読んでみますね。^^
Posted by Haruka at 2004年05月10日 17:48
はじめまして、村上春樹ファンのCryppyです。
春樹さんのファンということで、『世界の中心で〜』に『ノルウェイの森』が抜かれたことであんまり愉快ではなかったのですが、ここを読んでなんとなく納得(?)しました。
運良く入手できたら、是非読んでみたいです。

もっとも、読んだとしても「『ノルウェイの森』には負けるねー」って感想に落ち着くと思いますが(笑)
Posted by Cryppy at 2004年05月14日 03:59
Cryppyさん、こんにちは。
まぁ、読んでみてください。250万部も売れてますから、きっと友達の誰かが持ってますよ(^^

ちなみに、「世界の中心・・・」より「ノルウェイの森」の方が面白いと思いますが、村上春樹であれば「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」も非常に面白いと思っています。お勧めルートは

世界の中心→ノルウェイ→世界の終わり

ですね(^^
ノルウェイは中心と終わりの中間にあったのか・・・・
Posted by 魔人ブウ* at 2004年05月14日 07:59
魔人ブウさん、こんにちは。トラックバックありがとうございます。
(初めてなのでかなり嬉しいです)

『世界の終わり〜』は、私も大好きです。春樹さんの作品ではダントツで一番だと勝手に思っています。
私のblogでも取り上げていますので、よろしければまたおいでください。

世界の「中心」と「終わり」、確かにそうですねー(笑)
Posted by Cryppy at 2004年05月14日 17:53