2004年05月11日

すべては一杯のコーヒーから

文学作品ではなく、ビジネス書に対する感想。
三和銀行の行員を辞めてタリーズコーヒージャパンを設立した松田公太氏の自伝である。
食品とバイオ、分野の差こそあれ、ベンチャーの社長という同じ立場の人間が書いている本なので、納得する部分が多々ある。
細かいことを言わせてもらえば、その一方で、作者が強調する「やる気さえあれば」は、客観的な視点を欠いているともいえる。確かにやる気は必要不可欠だし、それによって多くのことが可能になる。しかし、彼には、やる気、努力以外の、「持って生まれたもの」ももちろん存在する。その要素は、僕自身が持ち合わせていないからこそ気がつくものなのかもしれない。松田氏がそのことに気がついていないのか、あるいはあえて触れていないのかはわからないのだが。
ま、細かい欠点を指摘しはじめればきりがない。この本の素晴らしいところは、とにかく松田氏の経験を活字にしたことである。
我々には仕事をしている上で、経験的に身につけた知恵がある。そしてこれは通常「暗黙知」となり、ノウハウとして蓄積される。しかし、人間の記憶力には限界があるから、これらの暗黙知は徐々に失われ、同じ失敗を繰り返すことにつながる。
今、ここで活字として残されたものは、忘れ去られることがない。我々は、この本の内容のほとんどの正しい部分を教師として、ごくわずかな正しくない部分は反面教師として、利用することが出来る。指針があれば、自分の位置が指針に沿っているかチェックすることが出来るし、指針からはずれていれば、修正する事が出来る。そうした視点から、この本が執筆された意義は大きいと思う。
ベンチャー企業の経営者には、おそらくどんな分野の会社の人にとっても、何らかの参考になる本だと思う。もちろん、これからやろうと思っている人や、今何をやったら良いかわからないでいる人にとっても参考になるだろう。評価は☆3つ(満点)。

すべては一杯のコーヒーから


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この記事へのコメント
僕はスタバよりタリーズ派です。

そうなんですね、知りませんでした。

最近の企業ってどこに売り上げがあるかわかりにくくなってません?

かってな想像なんですが(´-`)
Posted by bossa101 at 2004年05月11日 23:18
うーーん、どこに売上があるか分かりにくくなっているとは思いませんが、最近の若い人は日本語が書けないとは思います(全然話が違うが(^^;)
Posted by 魔人ブウ* at 2004年05月12日 01:08
☆3つですか、厳しいですね〜(笑)

ちなみに魔人ブウさんの、書籍に対する分析は
まるでビジネススクールの教授かコンサルタント
のようですね。

とても勉強になります。
Posted by taiga at 2004年05月12日 10:25
ビジネススクールには行ったことがないので、そういうところのセンセイがどういうことをしゃべるのか分りませんが(^^;、来年は某大学で3年生の講義を担当する予定です。あと、6年ぐらい前まで三菱総研にいましたので、ちょっとコンサルタント風なのかも(^^;

僕のコメントは勉強になりませんが、この本は勉強になると思います(読み手の勉強したい内容にもよりますが)。
Posted by 魔人ブウ* at 2004年05月12日 12:22