2004年02月19日

美しきものの伝説

今日前から3列目の中央よりで観てきた。以下感想。

まず、明治末から大正にかけての歴史についての知識があるかないかで、この劇に対する印象は大きく変わりそう。当然のことながら、この辺の日本史(関東大震災直後ぐらいまで)は良く理解しておいた方が楽しめるはず。逆に、それがないとラストシーンの意味とか、わからなくなりそう。それから、同時にこの時代にあった思想みたいなものも理解しておいた方が良さそう。今の時代に無政府とか、共産主義とか言ってもちんぷんかんぷんの人も沢山いるはずで、そういうスタンスでこの劇を観ると一体どうなることか・・・・・

もちろんそういったものがなくても良いんだろうけど、そうだとするとただの青春群像劇になってしまいそうだ。「あぁ、この時期の人たちは大変だったんだねぇ。以上」みたいな。

役者は浅野、段田、キムラの3人が中心で、他にはほとんど一幕だけ、ほとんど二幕だけ、という役の人もいる。僕が見たかった山下、佐戸井あたりはこの、片方にしかでないという色合いが濃い役だったのはちょっと残念。

全体としては、遊眠社のOB、OGの「今」を見たい人と、名戯曲を観てみたいと思っている人には楽しめる内容だと思う。しかし、ふらっと何の予備知識もナシに観にいってしまうと、話が淡々と進んで行くあたりがかつての自転車キンクリートの劇みたいで、「どうなのよ」って印象を持つかもしれない。

個人的には、やっぱり有名な戯曲なため、「役者を生かす」劇でないのが残念。僕が遊眠社の劇が好きだったのは、役者による役者のための劇作り、演出があったからで、まさにオーダーメイドの作品だったから(その意味で、別のキャストでの再演が非常に困難)。今回のように「あそび」の部分が少ない
と、松沢とか、田山とかの良さも生きないし、佐戸井とかは踊る大捜査線ですかー、みたいな感じで、段田とのやり取りとかは味はあるけど、個性はあまり生かせていない感じだった。やはり、遊眠社の卒業生には、もっと自由度があって、躍動感のある作品をやって欲しいと思った次第。逆に浅野は非常に良い味を出していて、「この人の劇はまた観たい」と思った。

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