2004年09月26日

常任理事国

小泉首相は常任理事国入りを実現したくて仕方がないらしい。

「お金をたくさん出しているのだから、相応の発言権を持つべきだ」

ということだろうか。
そもそも、安全保障理事会とは、国際平和と安全について討議・決議する機関である。安保理の常任理事国になれば、軍事参謀委員会に代表者を出す必要がある。現行憲法の下でそんなことができるのだろうか。

どうも、一部の政治家が生活者にアピールできる成果をあげたかっているだけ、という気がしてならない。日本が国際社会に対して一体どの程度の意見を言ってきたのか。金は確かに出しているだろう。しかし、現在のイラク問題にあたってもただアメリカ支持を打ち出すだけ。国防までアメリカに頼りきっているような国がアメリカの影響を受けずに国際社会の中で発言できるとは思えないし、他国もそう思っているのではないか。「アメリカの腰ぎんちゃくが常任理事国入りすることが国際的に意味があるのか?」と。

現在日本以外で常任理事国入りを目指しているのは、ドイツ、ブラジル、インド。現在の常任理事国はアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国なわけだが、経済力的バランスを考えれば確かにブラジルの常任理事国入りには意味があると思う。また、背後にいる人口、特にヒンドゥー教徒数を考えればインドにも意味があるだろう。しかし、日本とドイツにはどうも正当な理由が見当たらない。もし日本が国際的なプレゼンスを示したいのであれば、それはすなわちアメリカに対してものを言えるところを示す必要があり、まずは京都議定書をアメリカに批准させてみろ、と言いたいところだ。

21日の国連での演説で、小泉首相は「世界を反映し、代表する安保理にすべき」「課題に効果的に対処できる能力を持つべき」「国際平和と安全に主要な役割を果たす意思と能力を有する国が参加すべき」と述べた。ここには間違ったことはひとつもないと思うのだが、それは非常任理事国の拡大でも十分カバーできることだ。そして、それ以前の問題として、日本に、この3つをやる能力があるかどうか疑問である。

「平和は武力だけでは達成できない。平和に向けた貢献は日本国民の信念だ。そして、日本国民は名誉ある地位を占めたいと考えている」と小泉首相は演説したわけだが、日本がこういう貢献をしていると他国に認識されているかどうか疑問。

ちなみに、内閣府の調査では国民の約7割が常任理事国入りに賛成している。
内閣府の調査

まぁ、これだけたくさんの日本人が安保理で「名誉ある地位を占めたい」と考えているというのであれば、小泉首相が頑張るのも当たり前なんだけどね。

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この記事へのコメント
「敵国条項」
Posted by ブロガー(志望) at 2005年01月17日 21:48
敵国条項の削除と日本の常任理事国入りは全然違う話と思われ。
Posted by buu* at 2005年01月17日 22:03