2004年10月07日

官僚と政治家のカンケイ

週刊!木村剛」さんのところで「あなたは霞ヶ関の官僚100人を相手に1人で戦えるか?[週刊!神部プロデューサー]」という記事があった。

この中で、法律を作ることをテーマに議員対役人という構図を書いているのだが、今ひとつピンと来ない。
僕は1年半ほど前まで、経済産業省の本省で課長補佐をやっていた。現在も省内には知り合いがいるし、辞めてしまって政治家になった人、政治家を目指している人、退職して民間に出た人などもいる。そのように現場を見てきたものからすると、法律を作ることに限らず、両者は決して対立していないと思う。役人は自分の主張を通すために政治家を利用しようとすることがあるし、逆に政治家は自分の道具として役人を利用しようとする。

そもそも、役人は国家公務員であるから、国民のために働くのが本分である。そして、政治家は国民の代表である。だから、役人が政治家に対して頭があがらないのは言わずもがなである。一方で、政治家もスーパーマンではないから、何でもかんでも独力でやるだけの時間も能力もない。この間まで俳優をやっていたり、プロレスラーをやっていた人(もちろん政治家のほとんどはこういうタイプではないので、極論といえば極論だが)にできるかと聞かれれば答えは明らかだろう。そこで利用するのが役人だ。「国民、国益のため」を前提とすれば、役人は政治家にとって「ただで使える有能な人材」なのである。僕自身もバイオに関して自分の著書を持って某野党政治家にレクしにいったことがある。

確かに、時々無理難題を押し付けられる役人側は、政治家を良く思っていない部分がある。また、政治家と役人の対立が生じることもある。そういったトラブルは目立つから、政治家と役人は仲が悪いと思うのかもしれない。しかし、その裏では表面化しないたくさんのパートナーシップがある(特に政治家→役人だと思う)。

本来、こういった政治家のパートナーは、シンクタンクの役割であるはずだ。しかし、日本ではその役割を中央官庁が果たしている。そして民間シンクタンクは役人の下働きをしている。ある大手シンクタンクなどは、官公庁の受注が全売上の7割を超えていたりするのだ。

#やや余談だが、最近役人の天下り批判が厳しくなってきた影響で、関連財団法人への締め付けが厳しくなってきている。これまでは役所からの調査等はこういった財団等が窓口となって管理し、外注していた。実際にはこの管理業務はなかなか面倒なのだが、今は管理だけで仕事を通すのはけしからん、ということになり、内部で5割以上の処理をしなくてはいけないことになっている。つまり、これまでは

役所→(1000万円)→管理財団(100万円処理)→(900万円)→民間(900万円処理)

といった流れだったのに、これができなくなってしまった(上の例では管理財団は100万円分、すなわち10%しか内部で処理していないことになる)。そこで登場しつつあるのが民間シンクタンクである。これによって、

役所→(1000万円)→民間シンクタンク(管理)(300万円処理)→(700万円)→民間(作業)(700万円処理)

といったお金の流れに変わってきている。ちなみに民間シンクタンクは親会社からの天下り(?)などがいて、役員が多く間接費が高い。それで、同じ管理をやるのでも、財団よりも費用が高くなる。今後、こうした事例はどんどん出てくるに違いない。
#どちらが良いとか、悪いとか、ではない

さて、少々話がそれたが、今の日本では、政治家と役人は決して対立構造にないと思うのだ。だから、「官僚相手に1人で戦えるか?」という表現は、ちょっと違うと思うのである。

ちなみに、官僚のうちで法律作成に携わるのはごくわずかなメンバーである。法律を作ることになると、専用の部署(管理職、担当補佐、担当係長で構成するタコ部屋)を作り、そこで集中的に作業する。また、議員立法は役人の間では評判が悪い。それは、詰めがあまく、有権者にアピールする部分だけを決めた後、役人に丸投げしたりするからである。詰めの甘い法案の後始末をするのは途中までやって投げ出してしまった料理の続きをやるようなもので、「それなら最初からやらせてくれ」というのが本音のようだ。僕は実際にタコ部屋に入ったことがないので、聞いた話だけど。

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この記事へのコメント
こんにちは。
私は経済産業省さんの研究会などよく参加しておりますので、おっしゃられることはよく理解できます。しかし、様々なところに誤解が存在しております。官民の交流がもっと必要なのでしょう。
社長になったS.Yさんや政治家になったK.Sさんにはお世話になりました。

今後ともご活躍を期待致しております。Dawnより
Posted by Dawn at 2004年10月21日 16:47
こんばんは。

役人に関しては、見たこともない、話をしたこともないのに、イメージで悪者に仕立て上げている部分が少なくないと思います。もちろん、ダメな部分もありますが。まずはきちんと相互理解する事が必要で、微力ながらそれを手助けできればと思っています。
Posted by buu* at 2004年10月22日 01:14