2004年10月11日

PLUTO 01(プルートゥ 1巻)


PLUTO 1 (1) 【豪華版】 ビッグコミックススペシャル

プルートゥ(豪華版、手塚治虫の「地上最大のロボット」同梱)を読んだ。先に手塚版「地上最大のロボット」を読んだのだが、両者を比較することによって漫画の進歩というものが明確にわかる。

ちなみに、手塚版「地上最大のロボット」は、「鉄腕アトム」の中の1エピソード。

以下、ネタバレには注意しているけど、それでもネタバレ注意。
手塚版と浦沢版の比較は、「あしたのジョー」と「はじめの一歩」の比較にも通じるのではないか。ジョーも一歩も名作だと思うのだが、分量は全く違う。ジョーは20巻で完結。一歩は既に70巻、そしてまだ世界タイトルに挑戦すらしていないのだ。しかし、以前、北村薫の「ターン」について書いたときに「星新一なら10ページ」って書いたけど、分量的には同じような比較ができても、質的には全く違う印象だ(主観)。それは、増量されている部分が決して贅肉ではない、ということ。

このプルートゥも、おそらく浦沢版が完結したときには、分量は手塚版の4、5倍になるに違いない。そして、そこで新たに描きこまれたものは、浦沢がモンスターや二十世紀少年などで身につけた、「サイドストーリーと登場人物の詳細な心情描写」である。これによって、骨格は同じにもかかわらず、全く別の作品として仕上げてしまっている。

物語はユーロポールの刑事、ゲジヒトを中心に進む。そして、その中に次々と描きこまれていくのは、ロボット同士、あるいはロボットと人間の心の交流である。手塚版では、「鉄腕アトム」という作品全てを通じて語られたのであろうテーマを、浦沢はこの作品の中に全て盛り込もうとしているようだ。

さて、冒頭に書いた「漫画の進化」である。これはある意味、退化でもあるかもしれない。手塚版はとにかく贅肉がそぎ落とされている。とことんまで精米した米のようだ。端的な表現の中にとことん情報を盛り込む。一方で、現在の漫画はそれをとことん絵で表現しようとしている。読者に想像させるのではなく、きちんと作者の考えを示し、リードしている。この両者、どちらが良い、悪いではないと思うのだが、頭が退化しているのだろう、僕には今の漫画の方がフィットする。

まだ読んだのは1巻だけである。その中には「地上最大のロボット」以外にも、ブレードランナーやら、羊たちの沈黙やら、A.I.やら、色々な作品の影響が見られる。しかし、それらも元をただせば鉄腕アトムだったのかもしれない。とにかく、手塚治虫の作品を現在のトップ漫画家の一人である浦沢がどう料理していくのか、楽しみだ。特にラスト、この終わり方が絶妙。

☆3つ。

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★★★★★星5つです。 待ちに待っていた2巻が発売。 著者: 浦沢 直樹 タイトル: PLUTO (2) ビッグコミックス 貪り読むように読む。 一巻の最終ページで、やっと主人公のアトム君が登場というひっぱりかたで気になって仕方がなかったがようやくアトム
浦沢直樹著 『PLUTO』2巻を読む【物語三昧】at 2005年05月04日 01:14