2004年06月07日

イニシアム不正受給

東工大発のバイオベンチャー、「イニシアム」が経済産業省及びNEDOの補助金を水増し請求していたことが告発(恐らく内部告発)によって明らかになり、1700万円の返還を求められることになった(詳細はこちら)。

同じバイオ系ベンチャー、また自分の出身校の関係ベンチャーであるということで、かなり残念な話である。

経済省の発表によると、不正受給を受けていた時期は2000〜2002年度なので、まさに僕が役所にいた時期と重なる。当時は研究開発班の横で事業開発班の班長をやっていたので、騙された側の人間も多くが知り合いである。

確かに補助金は使い勝手の悪い部分も多々ある。しかし、それを承知でもらいにいくのだから、いい加減なことをされては困る。今「使い勝手の悪い」部分の大きなところを占めるのは「不正利用をされないように」するための防御策だ。折角徐々にそれらの規制を緩和して、少しでも中小企業に使いやすいものにしようとしているというのに、こういう企業が出てくるとまた逆戻りになりかねない。実際、多くのベンチャー企業は、使いにくく、負荷の大きい補助金であっても誠実に対応しているのである。

過去にさかのぼれば、イニシアムが補助金を取ったことによって補助金がもらえなかった「まじめな」ベンチャーもあったはずである。その中には資金が枯渇して倒産した会社もあるかもしれない。

イニシアムの代表は日本バイオベンチャー推進協会(JBDA)の事務局長でもある。バイオベンチャーの育成を主目的としている組織の役員だというのに、バイオベンチャー他社の邪魔をし、活性化に水を差すというのはいかがなものなのか。短期間ではあるが、日本のバイオベンチャーの支援を行ってきた人間として非常に不愉快だ。JBDAにはこれまで参加するタイミングを逸してきたが、今となっては参加しなくて良かったと思う。

バイオに限らず、日本の中小企業はただでさえ厳しい環境である。あまり仲間の足を引っ張るようなことはしたくない。しかし、それにしても、と思ってしまう。受託した1000万円のうち、900万円が水増し(NEDO分)というのでは、完全な詐取である。

この記事へのトラックバックURL