焼き物はド素人だけど、「あ、いいな」と感じるものはあるので、大量に焼き物を見ることができる九谷茶碗まつりに行ってみた。
何のテーマもなしにぶらぶらしても仕方がないので、今回はお茶漬け茶碗2個、カレー皿2枚、餃子皿1枚を購入するというのをテーマにしてみた。
ざーっと見た中で最初に「おおおーーーー」と思ったのは青粒というやつで、これ、良いなぁ、と思って店の人に聞いたら、仲田錦玉さんという人の作品で、結構なお値段だった。「お勉強させていただきますよ」と言われたけれど、こちらこそ勉強中で、錦玉さんの名前も初めて聞いた体たらくである。お礼を言って店をあとにした。
次に良いなあと思ったのは赤い線画で、いわゆる九谷焼として教えてもらった色使いとは随分違うものだった。赤と金で繊細に描かれた花鳥風月がなんか凄いなぁ、と思って、これまた店の人に質問してみると、福島武山さんという人らしい。花瓶が中心だったので話だけ聞いたけれど、これでカレー皿や餃子皿があったら、それはそれで驚きだった。
わりと目立ったものに雀を描いた作品があって、これは中村陶志人という人らしい。ちょっと繊細すぎて、実際に使うのはちょっとなぁ、と思って買わなかったけれど、存在感はあった。
それと、エビやヒラメを描いていて面白いのがあったのだけれど、ちょっとゴツゴツしていて、カレーを食べるとスプーンで傷つけたり、カレーが残ってしまって食べ終わりが麗しくないかな、と思ってやめた。この皿もあちこちで見かけたのだけれど、作者名は忘れてしまった。
あと、武腰潤さんという人のカワセミの絵も良かった。他に気になったのは、ちょっと真葛焼っぽい雰囲気の花瓶を作っている人だったのだけれど、詳しく教えてくれる人がいなかったので、誰なのかはわからずじまいだった。
さて、そんなこんなでぐるぐる回ってみて、一番素晴らしかったのは青を中心に、黄色にかけてのオーロラのようなグラデーションで、遠くから見ても、山ほどある作品の中で抜群の存在感を示すヤツで、三代目徳田八十吉さんという人の作品だと教えてもらった。凄いんだけど、価格も凄いので、ちょっとカレーや餃子には使えそうになかった。
うーーーん、やっぱり、良いものは高いなぁ、という当たり前の結論に落ち着いたのだが、僕が買いたいものはどれもこれも見て楽しむのではなく、使って楽しむものだ。ざっと「九谷」を勉強したので、それをもとにして廉価版を買う必要がある。まずはお茶漬け茶碗だ。「ザ・九谷」とでも言えるようなデザインを探してみて、行き着いたのがこれである。
これ、一個3,000円もしたので、量産品としてはちょっと高い気もしたのだが、一番九谷焼きっぽい感じもするので、まぁ良いだろう。勉強は、まず買ってみないことには始まらない。あとで後悔したとしてもそれは勉強代である。
さて、会場を2周ほどしてみたので、ちょっと会場を出て、隣にあった石川県立九谷焼技術研修所というところを覗いてみた。こちらがメイン会場に負けず劣らず面白い。目の前に作家さんがいたりするのでなんとなく作品にも親近感がわく。そうやって色々見ていて見つけたのが井上雅子さんという人のお皿。カレーにはちょっと使えそうにないのだけれど、なんか、左上と右下の焼け焦げた感じが凄く良い。どうしようか、どうしようかと迷ったのだけれど、一度やめて研修所を出て、50メートルぐらい歩いてやっぱり買うことにした。今日見た焼き物の中で、一番好きだったからだ。一枚5,000円の皿が3枚売っていたので、2枚買ってみた。
あれ?これはカレーにも、餃子にも使えないぞ?と思い当たり、カレー皿を探していたら、やはり作家さんが自分で売っている作品の中にこんなカレー皿を見つけた。タコである必要性は特にないのだが、あまり肩肘張らずに普段使いできそうなのが良い。一枚1,000円というのもお手頃。裏を見ると「タコにげろ」と書いてあるのが可愛い。ちなみに川合孝知さんという作家さんである。
似ているけれど良く見ると微妙に違うのである。
結局、餃子に利用できる直径25センチ程度の丸皿は見つけることができなかったのだが、まぁ、良しとしよう。ちなみに今回買った中で一番高かったのは、能美市が販売していた九谷焼ウルトラマンアートシリーズのブースカ、5,400円である。役所と円谷プロのタイアップ作品が一番高いなんて(T_T)。
最後に、九谷焼陶芸館に行ってウルトラセブンに絵付けしてきた。これは2週間ぐらいで郵送されてくるようなので、これが届いたらまた紹介しようと思う。
九谷茶碗まつり、これは楽しい。既存のリソースを上手に利用して、古いものと新しいもの、作り手と買い手の接点をつくり、希望すれば参加もでき、大人から子どもまで楽しめる。物凄い人出なのも良く分かる。
なお、このあと歩いて宿まで帰ったのだが、途中で見つけたギャラリー三宝というところで徳田八十吉展をやっていたので、ちょっと立ち寄ってみた。初代や三代目の八十吉作品も素晴らしかったのだが、個人的に気になったのは宮川香山の渡蟹水盤にインスパイアされたと思われる作品。画廊のおじさんに聞くと、さっき茶碗まつりの会場で見かけた真葛焼っぽい雰囲気の花瓶を作っている人のお弟子さんとのことだった。師匠とお弟子さんの名前を聞いたのだけれど、忘れてしまった(^^; あれ、欲しいなぁ。高いんだろうなぁ。
追記:田畑奈央人さんという人だったらしい