2014年05月29日

ホーリー・モーターズ

holymotors


観る人を選ぶ作品。

舞台はパリで、登場人物たちは一見普通だが、主人公を含め、多くの登場人物は現実とかけ離れていることが徐々にわかってくる。その吹っ飛び具合を楽しめるかどうかでこの映画の評価はわかれるだろう。あくまでも現実の世界に囚われるタイプの人は、頭の周囲にクエスチョンマークがぐるぐる飛び回ったままで終了となるはずだ。ただ、何がなんだかわからなくても、あまりに意外な展開に思わずずっこけてしまうことは一度や二度じゃないだろう。「えーーーー???」と、観る側の斜め上を行くあたりはなかなか素晴らしい。

ハードルはもうひとつあって、監督がこの作品で何を描きたかったのかも難解。観る人の感覚を破壊したかっただけなのか、それとも何か特別なことを主張したかったのか。正直、僕は何を言いたかったのかはわからなかった。

評論家筋にはとても評判が良いと思うのだが、一般の映画ファンには難しいと思う。不条理演劇などを見慣れている人にとっては、「あぁ、そういうこと」となるはずだが、そういう層が日本にたくさんいるとも思えず、ヒットはしなかっただろうなぁ、と思う。でも、DVDでなら、観ても良いのではないか。僕も、また数年経ったら、もう一度観てみたい。

評価は☆2つ。  

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2014年05月28日

愛、アムール

amour


劇場公開時は愛、アムール(=愛)と、愛を二つ続けた邦題が奇妙で観る気がしなかったのだが、DVDでレンタルしてみた。

音楽家の老夫婦のうち、妻のほうが体調を崩し、要介護となる。妻はどんどん弱っていき、やがて夫も弱り始める。妻はそんな状態に嫌気が差してきて、という非常に暗い映画。老々介護が普通になりつつある高齢化社会では特に珍しい話でもなく、単に僕達が目を逸らしているだけ。その厳しい現実を「ほら、こんなものだぞ」と観せてくれるありがたい映画。

ともかく異常に暗くて異常に悲しい映画なので、気分が沈んでいるときに観てしまうと一層沈むこと間違いなしである。老々介護や尊厳死の問題はこれからも頻繁に議論になるだろうから、そのときの材料としても、一度は観ておいたほうが良い。でも、二度は観なくても良いかな?あるいは、あと20年ぐらいしたら、観てみると良いのかも知れない。評価は☆2つ。  
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2014年03月28日

THE INTERNSHIP

internship


日本未公開の映画のようだ。エアカナダの飛行機の中で観た。

一言で表現すればGoogleの宣伝映画。突然失業した時計のセールスマン二人組が、Googleのインターンシップに応募して、若者を相手に奮闘する、という内容。ターゲットをちょっと高齢者層に絞っているのか、スター・ウォーズ、ハリポタ、X-メンはともかく、フラッシュダンスの引用まで出てくる。何も説明せずに「マニアック」などが出てきても、記憶力の良い、昔からの映画ファンじゃないと、マイケル・センベロの曲のことだとは気が付かないだろう。

新しい環境へのチャレンジ、ライバルの登場、恋、挫折、そしてライバルとの最終決戦、という、ハリポタを代表とする米国映画の公式そのままのストーリー展開で、新味はこれっぽっちもない。あげく、Googleバンザイな内容なので、観ていてドッチラケである。脚本も雑で、つまらないストーリーに興味をもたせることができない。なぜこんな映画を作ってしまったんだろう、と不思議に思うのだが、日本で公開されていないのは当然というべきかも知れない。

評価は☆ゼロ。この映画を観る人がそうたくさんいるとも思えないので、レビューを書くこと自体意味が無い気もするのだが、メモ書き代わりということでアップしておく。  
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2014年03月08日

第37回日本アカデミー賞

出来レースと評判の日本アカデミー賞なのでそれほど注目していなかったのだが、そこそこに納得のラインナップだった。でも、タナダユキとか二階堂ふみとかは、名前すらあがってないんだよね。それで、東京家族とか、山ほどノミネートされている(笑)。コメントは公開直後の評価から引用。

作品賞 舟を編む
辞書作りの実際というのはほとんど知らなかったので、なかなか興味深く観ることができた。
辞書作りのタコ部屋が舞台なので登場人物が少なく、そのおかげもあって人物描写が丁寧だ。
http://buu.blog.jp/archives/51392070.html

アニメーション作品賞 風立ちぬ
超一級のクリエイターたる宮崎駿を重ね合わせることができる素材として堀越二郎を選び、自らの人生を投影しつつ、これが最後の作品になるかも知れないと覚悟した上で好き勝手にやりたいことをやった映画、という印象である。でも、それがつまらないかと言えば、そんなことはない。宮崎駿が久しぶりに作った、オタク向けの映画、大人のオタクのための映画、オタクを肯定する映画と言えると思う。
http://buu.blog.jp/archives/51403800.html

監督賞 石井裕也(舟を編む)
石井裕也監督の「ハラがコレなんで」は終盤で失速した感があったけれど、この作品は最後まで楽しめた。日本映画らしい良い作品だと思う。
http://buu.blog.jp/archives/51392070.html

主演男優賞 松田龍平(舟を編む)
松田龍平の演技はマンネリとユニークとのギリギリのところをいっていて、まだ引き出しに在庫を残していると思う
http://buu.blog.jp/archives/51392070.html

主演女優賞 真木よう子(さよなら渓谷)
最大の目的だった真木よう子は良い演技を見せていた。演技の質という意味でも、幅という意味でも、世代を代表する役者だと思う。
http://buu.blog.jp/archives/51401046.html

助演男優賞 リリー・フランキー(そして父になる)
もう片方の家族はリリー・フランキーと真木よう子が演じているが、こちらは、貧乏がすっかり染み付いていながらも、下町っぽい子育ての様子をうまく表現していた。僕などは横浜の貧乏長屋の育ちなので、「あぁー、そうそう」という感じだった。
http://buu.blog.jp/archives/51412111.html

助演女優賞 真木よう子(そして父になる)
助演男優賞参照

脚本賞 渡辺謙作(舟を編む)
すぐに気がつくのが脚本の良さである。起伏のない単調なストーリーを見事に料理していて、途中で眠くなることもなく最後まで楽しめた。この脚本を書いた渡辺謙作の作品は初めて観たが、今後は注目しておきたい。
http://buu.blog.jp/archives/51392070.html

音楽賞 久石譲(風立ちぬ)
撮影賞 笠松則通(許されざる者)
照明賞 許されざる者
美術賞 利休にたずねよ
録音賞 舟を編む
編集賞 普嶋信一(舟を編む)
外国作品賞 レ・ミゼラブル
  
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2014年02月18日

2013年公開映画 ベスト&ワースト 洋画編

1位 スター・トレック イントゥ・ダークネス ☆☆☆
リズム変化に富んだ見事な脚本と、宇宙船の重量感がしっかり伝わってくる映像のコンビネーションが素晴らしい

2位 テッド ☆☆★
とても楽しいお馬鹿映画だが、満喫するには米国の文化に関する深い知識が必要

3位 リンカーン ☆☆★
米国の歴史、南北戦争、ゲティスバーグ演説、ロバート・エドワード・リーについての知識が必須だが、それがあることを前提にするなら、かなり面白い

4位 鑑定士と顔の見えない依頼人 ☆☆★
とても良く練られた脚本で、一瞬たりとも見逃せない

5位 ジャンゴ 繋がれざる者 ☆☆★
楽しい3時間を過ごすことができる、タランティーノらしい娯楽作品

6位 怪盗グルーのミニオン危機一髪 ☆☆
「月泥棒」ほどのスケール感はないものの、大人の鑑賞にも十分に耐える

7位 タイピスト ☆☆
タイピングをテーマにしたスポ根映画かと思ったら、ラブストーリーだった

8位 マラヴィータ ☆☆
スコセッシ風味、リュック・ベッソンによる大人のためのコメディ映画

9位 モネ・ゲーム ☆☆
すっきりしたオチで気軽に楽しめる

10位 大統領の料理人 ☆☆
終身雇用大好きな日本人にはいまいち理解が難しいかも知れないが、演出と演技が良く楽しめた

11位 ゼロ・ダーク・サーティ ☆☆
ビン・ラディンについてみんなが知っているので、映像化されても緊迫感に欠ける

12位 グランド・イリュージョン ☆☆
勢いだけで最後まで突っ走ってしまうところは見事

13位 華麗なるギャツビー ☆☆
前半は映像を、後半はストーリーを楽しめる

14位 フライト ☆☆
パニック映画のように見せた広告に問題ありだが、ヒューマンドラマとして観れば良くできている

15位 オブリビオン ☆☆
駄作の多いトムの映画としては、掘り出し物級に面白い、あくまでも、トムの映画としては

16位 クロニクル ☆☆
お金がないという致命的な事態を工夫で乗り切ったことが良く伝わってくる

17位 危険なプロット ☆★
序盤は楽しいのだが、中盤で失速してそのまま終了

18位 パシフィック・リム ☆★
説明調の序盤で退屈し、それが終わると今度は同じ旋律のBGMで退屈する

19位 キャリー ☆★
この作品をなぜリメイクしたのか、良くわからない

20位 悪の法則 ☆★
どこかで聞いたことのあるようなタイトルがいただけないが、退屈はしない

21位 エリジウム ☆★
映画を終わらせるための無理矢理な設定がいまいち

22位 アイアン・マン3 ☆★
「アベンジャーズ」との整合性を取るために、アイアン・マンの世界観が歪んでしまった

23位 クラウド・アトラス ☆★
普通に楽しめるが、見終わっても何も残らない

ワースト10位 フローズン・グラウンド ☆★
謎解きではなく、鬼ごっこを楽しむ作品

ワースト9位 モンスターズ・ユニバーシティ ☆★
退屈な脚本でピクサーらしさが感じられない

ワースト8位 ルーパー ☆
最初はバック・トゥ・ザ・フューチャーだったのに、途中でアナキンが出てきて、終わってみたらスター・ウォーズでした、という感じ、今から60年経ってもハゲはハゲのままで絶望した

ワースト7位 マン・オブ・スティール ☆
3Dで撮った意味が良くわからない

ワースト6位 ワールド・ウォーZ ☆
ゾンビ映画であることをひた隠しに隠したおかげで、がっかり感が半端ない点、アイ・アム・レジェンドにそっくり

ワースト5位 ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 ★
難しい宗教観が背後にあって、宗教への依存度が低い日本人には理解が難しいところがある

ワースト4位 ゼロ・グラビティ ★
映像はすごいのかもしれないが、内容はアバター以上にお粗末

ワースト3位 アウトロー ★
トムはミッション・インポッシブルだけやっていれば良い、ということを再確認できる

ワースト2位 ムーンライズ・キングダム 無☆
脚本が雑で、演出もイマイチ、何を言いたいのか良くわからない

ワースト1位 ダイアナ 無☆
彼女の人生のラスト以上に悲劇的なエピソードがなく、実際の彼女以上に美しい女優もいない

邦画編はこちら
http://buu.blog.jp/archives/51425983.html  
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2014年01月25日

2013年公開映画 ベスト&ワースト 邦画編

1位 かぐや姫の物語 ☆☆☆
ジブリならではの映画で、さすがと言うよりない

2位 四十九日のレシピ ☆☆★
二階堂ふみが素晴らしすぎる

3位 地獄でなぜ悪い ☆☆★
最大の見どころは間違いなく二階堂ふみの胸元

4位 そして父になる ☆☆★
是枝監督は相変わらず子役の使い方が非常にうまい

5位 舟を編む ☆☆★
起伏のない単調なストーリーを見事に料理していた脚本が見事で、途中で眠くなることもなく最後まで楽しめた

6位 麦子さんと ☆☆★
余貴美子の存在感が抜群

7位 横道世之介 ☆☆★
役者に存在感があり、脚本の出来も良い

8位 風たちぬ ☆☆★
宮駿の宮駿による宮駿自身のお葬式映画

9位 俺はまだ本気出してないだけ ☆☆★
大きな仕掛けがあるわけではないけれど、テンポ良く進む脚本が良い

10位 凶悪 ☆☆
もうちょっと上手に料理したら傑作になりそうな素材だけに惜しい

11位 さよなら渓谷 ☆☆
作品の良し悪しよりも、ネタバレの広告が酷かった

12位 利休にたずねよ ☆☆
そこそこ面白かったが、「わび」を描いているために静かすぎて眠くなる

13位 ボクたちの交換日記 ☆☆
展開自体全く新しいものはなく、一言で表現すれば「ベタ」なんだけど、それでもそれなりにジーンとしちゃうのがちょっと悔しい

14位 脳男 ☆★
素材が良く、役者も部分的に良いので、もっと良く出来たんじゃないかな?と、欲張りたくなる

15位 武士の献立 ☆★
主演の上戸彩と監督・脚本がダメ

16位 ガッチャマン ☆★
ダメな映画だけど、ダメ方向にも突き抜けず中途半端

17位 クロユリ団地 ☆★
クライマックスに近づけば近づくほど演出が不自然に過剰になるし、特撮はちゃちくて、全体の雰囲気がおかしくなってしまった

18位 清須会議 ☆
三谷幸喜の「俺って、こんな役者とマブなんだぜ」といういつものアレ

19位 奇跡のリンゴ ☆
背後に妙な思惑が感じられて気持ち悪い

20位 R100 ☆
監督自らが「ヤバイかな?」と怯んでしまっては、観る側も「ヤバイだろ」となる

21位 キャプテン・ハーロック ☆
福井晴敏って脚本の才能ないなぁ、というのが良く分かる(1)

ワースト10位 県庁おもてなし課 ☆
脚本や演出がダメなら、役者を観るか、と思えば、主役の錦戸亮が異常なまでに下手くそでびっくりした

ワースト9位 藁の楯 ☆
「何が起きても不思議じゃなかったけれど、結局それかよ」という感じで、広げた風呂敷を畳みきれなかった

ワースト8位 真夏の方程式 ★
物理学者の湯川の知識がほとんど活用されない、意味不明な映画

ワースト7位 千年の愉楽 ★
言葉足らずの印象が強く、せめて前後編ぐらいにして、もうちょっと丁寧にそれぞれの登場人物たちを描くべきだったのではないか

ワースト6位 二流小説家 ★
特にツッコミどころもなく、単にダメなだけの三流映画だった

ワースト5位 人類資金 ★
福井晴敏って脚本の才能ないなぁ、というのが良く分かる(2)

ワースト4位 謝罪の王様 無☆
設定は良かったがすぐに息切れ、予告編だけで終了

ワースト3位 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 無☆
一つ目が大ヒットしてしまい、慌てて作ったのは良いけれど、ストーリーがなかった(^^; カッコ良いヒーローが大活躍するでもなし、すげぇ可愛いヒロインが愛想を振りまくでもなし、眼を見張るようなアクションがあるわけでもなし、引き込まれてしまうストーリーが展開されるでもない

ワースト2位 タイガーマスク 無☆
哀川翔の呂律がまわっていないのが印象的、予想通りのクソ映画

ワースト1位 永遠のゼロ 無☆
三浦春馬と吹石一恵のダブル大根役者、ダメな脚本、特撮もダメ、の三拍子揃ったダメ映画


2013年の最大の収穫は、福井晴敏が脚本家として全く才能がないということがわかったことです。  
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2014年01月17日

麦子さんと

ほとんど生き別れ状態だった母親と娘を描いた作品。過去の母親のシーンで兄が全く登場しないという不自然な描写があったり、ボーリングの投球シーンでカットの前後に不整合があったり、田舎の景色が明らかに山の街なのに何故かすぐそばに海があったりと、ツメの甘い部分もいくつかあったのだが、基本的にはほとんどの役者がそつなく演じていて、良い感じに仕上がっている。

普通、小説でも映画でも、描かれるのは「喪失と再生」で、大抵の作品では何かを失った悲しみから立ち直るところで終了する。顕著な例が村上春樹の「ノルウェイの森」だが、この作品の主人公にはそもそも「喪失感」がない点が新しくもあり、今どきでもある。これ以上は映画のラストにも関係するのでここには書かないけれど、良いストーリーだったと思う。

一番良かった役者は余貴美子で、脇役ながらも絶大な存在感だった。他の役者も健闘していて、「ちょっとねぇ」というのはガダルカナル・タカぐらいだろう。堀北真希は、以前はただ可愛いだけ(とはいえ、尋常ではない美少女だったが)の女優だったけれど、「白夜行」あたりからだいぶ女優っぽくなってきていて、本作ではほとんど違和感がなかった。

それにしても、海無し県の山梨県でほとんどの場面を撮影しておいて、なぜ海の場面を無理やり挿入したのか、意図不明である。富士山を除いて、海を追加することに寄って、設定されている地域を不明確にしたかったのだろうか??

評価は堀北真希の可愛さに☆半分おまけして☆2つ半。  
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2014年01月16日

武士の献立

「南極料理人」など、料理映画は邦画、洋画を問わずなかなか良い作品が多いので、期待していた。

江戸時代、将軍家の料理を担当した武士を描いている。

最初のうちは上戸彩演じる料理上手の女性を中心にまわって行くが、途中から高良健吾演じる包丁侍の物語になってしまう。この辺りの構成に一貫性がないのが残念。また、所々で独白形式のストーリー解説が入ってしまうのも脚本力の低さを感じる。加えて、それを語る役者の声の演技力にも問題があるので、どうにもB級感が拭えない。

料理のうんちくを目一杯盛り込むのかと思えばそんなこともなく、人間模様に注力するのかと思えばそんなこともない。料理の腕で出世する話にはなっているものの、なぜ料理に興味のない武家の人間が料理の腕を振るえるようになったのかもわからなければ、部下の確保、養成をどうやったのかもわからない。一事が万事中途半端で、素材は面白そうなのに、凡庸なできになっていて非常にもったいない。

これ、主役を上戸彩ではなく黒木華がやっていれば、それだけで1ランクアップしただろうし、監督・脚本が別の人ならさらに良い作品になっていたと思う。これは「武士の家計簿」の脚本と仲間由紀恵がダメだったのと全く一緒である。

あと、タイトルもイマイチ。

評価は☆1つ半。  
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2014年01月10日

利休にたずねよ

信長、秀吉、千利休などの実在の人物たちを登場させたフィクション小説の映画化作品。

実際の利休は70歳で死んでいるが、この映画の中の利休は40〜50歳ぐらいに見える。つまり、あまり史実と重ねて鑑賞しないほうが良いのだと思う。

役者たちはなかなか芸達者で、観ていてがっかりすることがない。海老蔵の演出はちょっと過剰で「これは歌舞伎じゃないのに」と思う場面もあるにはあったが、それも映画の雰囲気を壊してしまうほどではない。むしろ、実際の歌舞伎では高い声が遠くに届かないのが気になる海老蔵だが、映画ではそういった心配がないので、安心してみることができる。声の問題さえクリアされるなら、海老蔵は決して悪い役者ではないと思う。また、大森南朋が久しぶりにちゃんとした役で使われているのも嬉しい限り。

脚本もなかなか。ちょっと技に走りすぎている感はあるものの、嫌味に感じるほどではない。

違和感がある背景が時々使われていたのは気になったけれど、映画を壊してしまうほどではなかった。一方で、一人の役者で数十年の経過を描いているのだが、肌の質感などのメイクや特殊効果が見事で、役者の演技も加わって、違和感のない映像になっていた。ときどき、「何年も経過しているのに顔にも、所作にも、全然変化がないじゃないか!」という作品があるけれど、この映画はそのあたりちゃんとしていた。

ストーリー的には、ええっ?わびの原点ってここだったの?とびっくりさせられるのだが、そのあたりのファンタジーにも目をつぶろう。

最大の問題点は「わび」を描いているため、とても静かで、眠くなること。「切腹まで◯◯年」という字幕がなくなってからはスピードアップして眠気を感じなくなるのだが、そこまでがちょっとつらい。寝不足での鑑賞はおすすめできない。

全く期待せずに観に行ったのだが、意外と面白かった。評価は☆2つ。  
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2013年12月16日

鑑定士と顔の見えない依頼人(The Best Offer、La Migliore Offerta)

thebestoffer


長ったらしい邦題にがっかり。オファーには「付け値」という意味もあるので、おとなしく「ザ・ベスト・オファー」で良かったのではないか。無理に訳すにしても、「素敵な提案」とか、もっと短い題を付けられないものか。

映画は、わがままで精神的に不安定な引きこもり女性と、オークションで時々インチキをやらかしては美人画を収集し、自宅でそれらに囲まれて悦に入っている孤独なおじいさんの交流を描きながら進んでいく。登場人物は少なく、おじいさんとタッグを組んでイカサマをやっている画家、美術品の修復を手がけている若者、引きこもり女性の家の執事ぐらいである。

姿を見せることのないヒロインが抱えている問題は何なんだろう、と興味を掻き立てるようなエピソードが一つ一つ語られて、徐々にその全貌が明らかになり、「なんだ、このジジイ」と思ったあたりで物語は急転する。

脚本がキチンと練られているので、「転」から後は様々な伏線が見事に回収されて行く。何も予備知識なしで観たのなら、この映画の構図を最初から思いつく人はいないだろう。観客を騙す目的で作られているので、これは当たり前だ。騙されたことに気がついた後、あーーー、あれがねー、と思い返すところに楽しさがあるので、かなり集中して観ていないと、もう一度観なくてはならなくなる。ただ、そういうオッチョコチョイが大量発生すると踏んでいるのか、この映画ではリピーター割引で、二度目の鑑賞者は1000円で観ることができる(ただし、一度目に観たのと同じ劇場のみ)。なので、半券は捨てないように。とにかく、ほとんど無駄なシーンはないので、油断は禁物である。

いつも安定した字幕をつけるので大好きな字幕作家の松浦美奈さんだが、今回はからくり人形にオートマタというカタカナをあてていてちょっと違和感があった。FFXIでからくり士協同組合のトップをやっていた僕としては、オートマトンとして欲しかった。でも、これはこれで方言かな?

ネタバレになるので誰とは言えないけれど、ある登場人物がちょっと可哀想な気がした。評価は☆2つ半。  
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2013年12月11日

ゼロ・グラビティ

gravity


試写会で2D版を鑑賞。

登場人物が二人しかいないという点で異色を放っている作品。正確には声だけの出演があるものの、基本は「サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー、以上」である。それもそのはず、宇宙空間で浮遊する二人を描いた作品なので、他に誰かが登場するスキがない。

シャトルから船外に出て作業中に宇宙のゴミが飛んできて母船が大破、さて、どうする、という内容なのだが、何分にも持っている酸素に制限があるので、長い映画になりようがない。おかげで90分という短い作品になっているのだが、それでも間延び感が拭えない。どうやって引き伸ばすかと言えば、普通の会話が延々と続くのだ。セリフで抑揚をつけようと思えば、「酸素が少ないんだから、静かに話せ」としかられてしまうのだろう。内容だけでなく、しゃべり方も物静かだから、観ていて猛烈に眠くなる。体調不良や寝不足、鎮痛剤を服用した状態などで観てしまうと、ついつい安らかな眠りに落ちてしまうに違いない。時々爆発があったりして目が覚めるけれど、基本的にふわふわ浮いているか、ヨーヨーのごとく宇宙空間を行ったり来たりするだけなので、すぐに飽きてしまう。

観ていて感じたのは、「これ、3Dなら画像的に面白かったかもなぁ」ということ。内容は全く大したことがないのだが、観たことのない映像を展開していることは間違いがない。「アバター」以後、なかなか3Dで良かったと思える映画に行き当たらないのだが、この映画は3Dで観たら面白いかも知れない。しかし、いかんせん、2Dの試写会だったので、眠くなった。「みんなに観てもらうために」という主旨で試写会を開催するのであれば、3Dでの上映にするべきだった。これまでも、「マン・オブ・スティール」などで大規模な一般試写会をやった実績があるのだから、やってやれないことはなかったはずだ。

さて、今回は試写会だったので、各種コメントが掲載されたコマーシャル素材をもらった。そこに書かれている煽り文句に対してもコメントをつけておく。

衝撃と感動の90分 > 感動するところは特にない
アカデミー賞最有力候補 > 作品賞は無理、撮影賞や視覚効果賞なら可能性あり
観客の約80%が3Dで鑑賞 > 今回の試写会はなぜ2Dだったの?
史上最高の宇宙映像 > スター・ウォーズやエイリアンの方が上のような気もする
史上最高の宇宙映画 > 2001の方が上のような気もする
後半、涙が止まらなかった > 涙は出ないだろ、いくら泣き上戸でも

あと、なぜ原題Gravityがわざわざゼロ・グラビティに変更されたのかが謎。

評価は☆半分。ただし、3Dで観れば☆1つ以上アップする可能性もある。じゃぁ、IMAXでもう一度観ますか?と言われれば、ただなら観るけど、お金を払うのは嫌だな。  
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2013年12月06日

永遠の0

試写会で鑑賞。

何も知らないと「永遠の1/2」みたいな内容かと思うかも知れないが、戦争映画である。何しろ、「0」はゼロ戦の0である。

祖母が死んだ際に、祖父が祖母の二人目の旦那だったと知った孫が、実の祖父で、ゼロ戦で特攻した祖父について調べていく、という内容。

中心となっているストーリーは決して悪くないのだが、まず脚本のできが悪い。しょうもない脚本でどうして映画を作ってしまうのかさっぱり理解できないのだが、おそらく今の映画製作の現場では、この脚本のダメっぷりが感じ取れないのだろう。どうしてそんな不自然な会話になるんだ、と不思議に感じるのだが、まともな日本語の感覚を持っていない人には、この感覚が共有できないに違いない。もうちょっとまともな脚本家を使えればねぇ、と思うのだが、監督兼脚本なのでどうにもならなかったのだろう。

脚本に輪をかけてひどいのが準主役の三浦春馬である。この役者をきちんと観たのはこれが初めてだが、ここまで下手な役者は久しぶりに見た。高校生の学芸会並みの演技である。普通なら、冒頭の戦闘シーンで敵の空母に特攻してお役御免になるはずだ。それが最後までストーリーの中心として画面に登場するので、その度に腹立たしくなる。また、その姉役の吹石一恵という女優の大根っぷりも激しい。この二人が画面に登場するたびに脱力してしまう。

じゃぁ、ウンコ役者ばかりなのかと言えば、決してそんなこともない。濱田岳や染谷将太は熱演しているし、井上真央の演技も決して悪くない。問題なのは非常に重要なパートにド下手な役者を配していることだ。配役を演技力で決めていればこんなおかしなことにはならないはずなのだが、下手でも中心的な役ができてしまう何らかの力が存在するのだろう。はて、こいつはジャニーズか?と思って調べてみたが、ジャニーズではないらしい。謎だ。役者が下手なら、監督がオッケーを出すべきではないのだが、そこでオッケーを出してしまうのだから、監督の責任も小さくない。

そして、もう一つダメなのが3DCGアニメである。冒頭の特撮シーンでまずズッコケたのだが、最も酷いのが海面の上に乗っている空母の描写である。良くこんな酷い特撮でオッケーが出たものだと感心する。

脚本ダメ、役者ダメ(ただし一部)、特撮ダメの三拍子揃ったダメ映画なので、「この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞」に投票しておく。濱田、染谷、井上の頑張りに☆をプレゼントしたいのは山々だが、そのたびに三浦春馬の顔がチラついて、プレゼントは見合わせることにした。評価は☆ゼロ。  
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2013年12月03日

マラヴィータ

family


スコセッシ製作総指揮、リュック・ベッソン監督、ロバート・デ・ニーロ主演のコメディ映画。

元マフィアで今はFBIに保護されて南フランスのど田舎で生活している家族のズレてるっぷりをコメディタッチで描く前半と、それを追跡してきたマフィアとの抗争を描く後半という組み立てになっている。

コメディタッチは後半にも続いていて、常にクスクス笑える脚本がなかなか良いでき。ロバート・デ・ニーロがゴッドファーザーPART IIでブレイクする直前からコンビを組んでいるスコセッシとの息がぴったりな感じで、すっかり年を取ったデニーロであっても相変わらず魅力的である。

リュック・ベッソンも監督を辞めると言っておいてすぐに撤回、その後も監督を続けているけれど、こちらも健在という感じ。

アイ・アム・ナンバー4で可愛かったディアナ・アグロンがこの映画でも可愛い。

物凄く印象に残る映画ではないけれど、2時間楽しむには十分なクオリティだと思う。

評価は☆2つ。  
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2013年12月02日

キャリー

carrie


スティーブン・キング原作、1976年に一度映画化されてキングから絶賛された作品のリメイクである。主役にキック・アスで人気となったクロエ・グレース・モレッツを起用、一体どんな作品に仕上がるのかと楽しみにしていたのだが、ストーリーはもちろん、演出などもオリジナル版とあまり変化がない印象で、特撮が精緻になったぐらいしか、改善点が見当たらないのが残念である。

とはいえ、演技はキャリー役のクロエ、母親役のジュリアン・ムーアともに好演していた。超能力学園モノとしてはそこそこのクオリティだと思う。内容は原作に忠実なので、キングの原作が面白いかどうかなのだが、誰もハッピーにならない展開はもうちょっと何とかなっても良かった気がする。でも、多分それだとキングがへそを曲げてしまうのかも知れない。

リメイクは「なぜリメイクしたのか」が明確である必要があると思うのだが、それが感じられない。オリジナル版は「ショーシャンクの空に」「シャイニング」などと並んでかなり良い出来だったので、なおさらである。

オリジナル版を観てない人、クロエちゃんのファンでキック・アス2の公開が待ちきれない人には良いかも知れない。

評価は☆1つ半。  
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2013年11月27日

かぐや姫の物語

ジブリ最新作の「かぐや姫の物語」を観てきた。

予告編では「かぐや姫の罪と罰」という思わせぶりなコピーを使っていたのに、実際はそのあたりクリアではなく、わかりにくい。ちょこっと出てきたセリフから推測すると、「地球みたいな下賎な世界に思いを馳せやがって」というのが罪で、地球での生活で酷い目に合わせるのが罰なんだろうな、と思うのだけれど、そのあたりはあくまでも個人的な推測。

ストーリーのおおまかなところは古くから伝えられている竹取物語とあまり変わりがない。篤姫で松坂慶子がやっていたような教育係と、幼なじみが追加してある。これによってストーリーに厚みがでていて、おかげでジブリとしてはかなり長い、2時間以上の映画になっている。

まんが日本昔ばなしのジブリ版という感じだが、日本の四季と自然を強く意識した絵作りや演出はさすがだし、音楽は魅力的だし、声優を使わずに普通の俳優を起用するあたりも違和感はない(アフレコではなくプレスコだからというのが大きいと思う)。作品の全てから、きちんとジブリらしさが出ている。加えて、原作に忠実なので、最近のジブリ作品に多く見受けられる説教臭さがない。

輪郭線に囲まれた領域をベタ塗りするというアニメ画手法から大胆に抜けだした画法はいわばパラパラマンガへの先祖帰りでもあり、絵コンテに彩色したようにもみえるのだが、微妙にビブラートするような線が躍動感を生み出していた。ちなみに陰影の付け方などを見ていると普通のアニメと同じように彩色されているので、コンテか墨で描いたように見える輪郭線の処理には逆に手間がかかっているのだろう。

他にも、特定のキャラによってユーモアを演出したりしていて、トータルでみて完成度が高い。なるほど、公開時期を後ろ倒しして熟成度をアップさせた甲斐があったというものである。日本人でなくては作ることのできない、だからといって、日本人なら誰でも作れるわけでもない、むしろ、ジブリ以外では作ることが難しい作品だと思う。つまり、ジブリならではの映画で、さすがというよりない。

余談だが、ラストの終わり方をみて、日本人って、こういうところが淡白だよなぁ、としみじみ感じた。良い、悪いではなく。

評価は☆3つ。  
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2013年11月21日

四十九日のレシピ

最初に書いておくけれど、僕の現在における若手女優イチオシは堀北真希でもなければ長澤まさみでもなく、二階堂ふみである。「地獄でなぜ悪い」でも、「不道徳教室」でも、「脳男」でも、「悪の教典」でも、素晴らしい演技を見せていた。

さて、もうひとつ書いておくと、僕の現在における若手映画監督のオシはタナダユキと西川美和である。

本作は、70歳で急死した女性の四十九日を描いたもので、タナダユキ監督、主演永作博美である。縦軸で依存症の更生施設でたくさんの子供たちを送り出してきた女性の人生を、横軸で子供を産まなかった女性の人生を描いている。名優と言っていい俳優たちを配し、地味なストーリーをタナダユキらしい表現で調理している。

不妊で苦悩する女性を永作博美が演じている。芸達者な役者さんが多かったけれど、一番の存在感はやはり二階堂ふみである。実は、途中まで二階堂ふみが出ているのを知らなかった。単に、イモ役の女優のあまりに良い演技に「良い俳優だなぁ」と思っていた。途中から、ちょっとした仕草が二階堂っぽくて「もしかして?」と思い始めた。とはいえ、本作のイモはいつも厚化粧で、素顔が見えない。その女優がラストで厚化粧をとって登場したら、やっぱり二階堂ふみだった。本当にこの俳優さんは良い演技を見せる。もちろん、彼女が良いだけではなく、彼女の良さを引き出してくれる園子温とか、タナダユキに起用されているからでもあるのだが、多くの女優がしょうもない映画に出てその才能を伸ばせずにいる中、次々と良い作品でその存在感を発揮しているところに、実力と同時に運を感じさせる。彼女には、ぜひ野田秀樹の芝居に出て欲しいのだが、まだ野田秀樹の目に止まらないのが不思議である。僕が彼女のファンであることを差し引いても、彼女の演技は特筆すべきものだと思う。

では、ストーリーはというと、ちょっとありきたりな感じは否定できない。多分こうなるんだろうな、と思っている通りの展開になる。また、最後のフラはちょっと違和感がある。主人公の結婚の行方もちょっとどうなのかなぁ、と思わないでもない。こういった不満が残るのは、この映画が原作ものだからかも知れない。もうちょっと違うストーリーにできたらなぁ、と思う。というか、フラの前に終わってしまっても良かったんじゃないかとすら思う。でも、別につまらないわけではない。日本映画らしい抑えた色彩の中で、日本映画らしい「再生」を丁寧に描いている。

しかし、それにしても一番残念なのは、この映画が公開2週目にも関わらず、全然客が入っていないことである。タイガーマスクやハーロックに客が入らないのは全く問題ないのだが、この映画が、レディースデイの夕方でもガラガラの状態を見ると、なんとも寂しい気分になってくる。作家の立場でも、「もっと良い本がたくさんあるのに、新しい才能を発掘せず、プロモーションにお金をかけた本ばかりが売れる」という状態を残念に思うのだが、映画でも同じだ。テレビ局やジャニーズ、AKBが絡んだ映画ばかりに客が集まり、それを観て「日本の映画はつまらないねぇ」とため息をつきながら映画館を出てくる。それなら、こういう映画を観れば良いのに、と思うのだが、ライトな映画ファンにはこういう映画に関する情報は届かない。ということで、このレビューを読んだ人の中に、「たまには映画でも観ようかな」と思っている人がいたら、清須会議でも、SPECでも、悪の法則でもなく、この作品に足を運んでくださいm(_ _)m って、SPECは僕もまだ観てないんですが。

評価は☆2つ半。

僕が選んでいいなら、今年の映画祭の助演女優賞は本作の二階堂ふみで決まり。今僕が書いている新作小説が映画化されるなら、主演はぜひ二階堂さんにやって欲しい。無理だろうけど(笑)。  
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2013年11月18日

悪の法則

counselor


最近、良い役をやることが多いマイケル・ファスベンダー主演、キャメロン・ディアスとブラピの有名どころにハビエル・バルデムとペネロペ・クルスの夫婦が共演した作品。

サスペンス映画のように宣伝されているけれど、謎解きの要素のないクライムムービー。観る側は「この人、なんでこんなことになっちゃったのかな?」と、登場人物以上に情報がない状態で話が進んでいくので、途中で油断することができない。ところがその謎の多くは最後までなされない。いくつかのヒントは散りばめられているけれど、何も語られないことも少なくない。ストーリー上に矛盾があるわけではなく、あとは勝手に想像してください、ということだ。全部がきっちりはまるジグソーパズルのような作品ではなく、むしろ、あちこちのピースが足らなくて、全体像は観る側が想像して補完しなくてはならない。

最近ときどき見かける米国とメキシコの国境を舞台にした作品。この地域の特徴は人を殺すことがゲームのように日常的に行われているということ。東西冷戦、テロ組織と続いた犯罪映画の舞台は、アフリカや中米といった貧困地域へと移ってきているようだ。虫けらのように人が殺されていくのだが、その残酷な殺し方を馬鹿っ丁寧に描いているので、観ていて首元が涼しくなってくる。日本人が観ると非日常感がめちゃくちゃ強い。

そんな映画なので、独特の緊張が張り詰めていて、いつ殺されるか、どうやってやられるか、とビクビクしながらの鑑賞になる。おかげで最後まで退屈することはないのだが、鑑賞後の後味は決して良くない。月刊シネコンウォーカーでは「甘味な後味」と書かれていたけれど、異常に苦い後味だった。

有名俳優が出演しているスタイリッシュなサスペンスだと思って初デートで観に行くと、終わった頃には気まずくなっていることうけ合いである。あと、覚えにくい邦題がいただけない。字幕は松浦美奈女史。

評価は☆1つ半。  
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2013年11月15日

ルームメイト

北川景子、深田恭子が共演するミステリー作品。

冒頭から音楽で盛り上げるホラー調の演出が緊張感を維持する。物語の全体構図がぼんやりと見えてくるまでテンションが高い状態を維持していているところがなかなか評価できる。途中で「あぁ、そういうことね」と思ってから色々なシーンを思い返してみると、なるほど、ちゃんと伏線を張ってあったのね、と思い当たる。このあたりは脚本がしっかりしている。

ただ、残念なのは最後の最後。ネタバレになってしまうので詳細は書けないのだが、ストーリーにちょっと難ありというか、観る側の意表をつこうとして策士策に溺れたという印象がある。「クロユリ団地」よりは良く出来ていると思うし、ホラー色の濃いミステリーとして標準以上だとは思うけれど、これでもうちょっと良いストーリーだったらなぁと勿体なく感じる。とはいえ、本作のストーリーは原作本と違う内容になっていて、原作に誰がどういう風に手を入れたのかは良くわからない。

原作ものの映画では、原作者の意向とは全く関係ないところでストーリーに手を加えられてしまうことが少なくない。おかげで原作とは似ても似つかぬ内容になって、原作では重要人物で続編でも活躍する登場人物が映画の中では犯人になっていて映画中で死んでしまったりもする。ところが、原作者としては、それでも話題になるし、本が売れれば文句を言えない。このあたりの、映画製作サイドの「売れれば良いだろ」的な圧力がかかってしまうケースが時々あるので、この映画でもそうした力が働いた可能性もあると思う。

「原作とは違うびっくり」を仕掛けたのは悪くないのだが、そのびっくりの質がそれほど高くなかったことが、なんとも残念である。残念といえば、もうちょっと深キョンの肌の露出が多ければなぁ、というのもある。ドロンジョが標準ラインなので、あれよりもサービスしてくれないと、ちょっと物足りない(笑)。

評価は☆2つ。  
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2013年11月13日

タイガーマスク

「TOHOシネマズは一週間で上映打ち切り」というニュースを聞いて、慌てて観に行ってきた。「キャプテン・ハーロック」「ガッチャマン」に続く今年駄作三部作のトリを飾る作品として見逃せないからだ。

普通のプロレス映画を期待していったのだが、まずSF的な味付けに驚いた。マスクをつけると、コスチュームまで現れて変身するという設定である。ほほうー、やっぱり、関連商品を売りたいのかな、マスクだけじゃ不満だったのかな?などと思っていたら、そこからあとはもっと凄かった。変身は駄作化を顕著にするための伏線だったとはさすがの僕も気が付かなかった。何しろ、変身シーンにカネがかかり過ぎたようだ。二度目から、変身は音だけで済ませてしまうところが凄い。「お金がないから、観る側の想像力に委ねよう」という姿勢は悪くないし、最近の米国産低予算SF映画でも散見されるのだが、それにしてもせこい。せこいと言えば、虎の穴の皆さんのコスチュームもかなり安っぽい。そういえば、虎の穴の本拠地もどこかの倉庫みたいで「お金がなかったんだねぇ」という気配がありありと感じられる。脚本がどうとか、演出がどうとか、そういったレベルとはかなり異なる次元でお金がなかったようである。ちびっこハウスが火事になるシーンも青い火を合成した映像で、全然燃えている感じがしない。そこまでお金がないなら、変身シーンなんかやめておけば良かったのに、と思う。そして、肝心のプロレスシーン。プロレス映画なんだから、プロレスシーン満載かと思ったらさにあらず。折角マスクとコスチュームでボディダブルやり放題だというのに、迫力もないし、そもそもプロレスシーンが全然ない。リアルタイガーマスク(佐山聡、三沢光晴)の必殺技、タイガースープレックスが特撮で登場したのはちょっとだけサービスだったけれど、あとは特に何もない。これじゃぁ、ダメだろ(笑)。こんなことなら、普通のコスチュームにして、試合のシーンは初代タイガーの試合を加工して使用、とかじゃダメだったんだろうか。実際のタイガーの試合のほうが、フィクションの試合よりも見どころがいっぱいというのが大問題である。どの試合も観客は20人ぐらいしかいないんだけど、エキストラすら用意できなかったのが悲しい。さすが、駄作三部作のトリである。

それにしてもこの作品、もともとは梶原一騎の実弟である真樹日佐夫が製作を表明したもの。2011年2月(東北の地震の直前)に「11月公開予定」として作り始めたはずなのに、なぜか完成予定の11月になってようやく配役が発表される状態。ははぁ、地震の影響があったのかな?などと思っていたのだが、そろそろ公開かな?と思っていたら、肝心の真樹日佐夫が逝去(2012年1月2日)。そのままオクラ入りかな?と思っていたら、なぜかこのタイミングで公開。

ところで哀川翔の滑舌の悪さが酷い。今まであんまり滑舌が悪いという印象を受けたことがなかったのだけれど、普段はセリフの練習をたっぷり積んでいたのかも知れない。それで、本作はやっつけ仕事だった、と。

評価は☆ゼロ。期待通りの映画だった。  
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清須会議

三谷幸喜監督作品ということで喜劇なのかと思って観に行ったら普通の歴史劇だった。確かに楽しいシーンはいくつかあるけれど、「喜劇」という感じではない。喜劇なら、もっと笑いに徹底したところがあるべき。

じゃぁ、三谷っぽさがないかといえばそんなことはない。ここ数年の三谷色というのは「俺って、こんな俳優さんとマブなんだぜ」「こんな有名人でも、ほんとちょい役で出てくれるんだよ」というのが画面の端々から垣間見えてしまう点である。好意的に捉えるなら「わー、すごいー」となるが、悪意を以ってみるなら「内輪受け、映画ゴッコ」となる。僕の見方は後者に近い。

喜劇というメインストリームを外した状態でこのストーリーを俯瞰すると、まず第一に「ほとんど誰でも知っている結末」というのが痛い。映画のあと、登場人物たちがどうなるかを知っているということによっての楽しみはあるのだが、それ以上に、映画の中でのびっくりがほとんど存在しないので、映画が退屈である。

予定調和のストーリーを有名俳優に演じさせ、その中にチョイチョイっと笑いを盛り込んだ、という感じで、有名デパートのお食事コーナーで日替わり定食を食べたような感じである。別に不満はないけれど、美味しいものを食べたねぇ、という満足感もない。フジテレビ製作なので、そのうちテレビでやるだろうから、録画しておいて暇な時に観るのが良いと思う。

あ、藤吉郎とか、このころの固有名詞には何の説明もないので、歴史に疎い人は十分に楽しめないかも?一応、本能寺の変の前から関ヶ原ぐらいまでの歴史を、柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、池田恒興、滝川一益、織田家あたりを中心に復習しておくと良いかも知れない。

評価は☆1つ。  
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2013年11月02日

ダイアナ

diana


1997年の時点で中学生ぐらいになっていたら、誰でも知っている悲劇のヒロイン、ダイアナの最後の2年間を描いたもの。

誰もがその悲劇的な最期を知っているので、それまでの2年間の様々なエピソードをどんなに悲劇的に描こうとも、全く説得力がない。説得力がないというか、心に響かない。また、それに輪をかけて残念なのが、主演のナオミ・ワッツが実際のダイアナの美貌に全く追い付いていないことである。アップになるたびに、「ダイアナはもっと美人だった」と思ってしまう。ちょっと顎をひいて、上目遣いに斜めに見る仕草などは上手に真似ていると思うけれど、それすらも不自然に思えてしまう。しかし、じゃぁ、誰なら演れたんだ、と言われれば、全く思い当たる女優が見当たらない。それほどまでに、ダイアナは美人だった。

彼女の人生のラスト以上に悲劇的なエピソードがなく、実物以上に美しい女優がいない。これでは、作る前から失敗することは決まっていたようなものだ。なぜこんな映画を作ってしまったのだろう??

評価は☆ゼロ。全く見どころがない。  
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危険なプロット

inthehouse


冒頭で字幕松浦美奈と表示があったので「あれ?英語の映画だったっけ?」と一瞬戸惑ったのだが、本編が始まったらやっぱりフランス語の映画だった。さすがにフランス留学経験者である。英語よりもむしろフランス語訳の方が得意なのかも知れない。

映画の方は、と言えば、サスペンスとも、コメディとも言いがたい、微妙な内容。全くやる気のない学生ばかりの中で作文能力に優れた学生を見つけたさえない国語教師が主人公で、その学生に翻弄されまくるというストーリーである。

物語には大きな破綻こそないものの、主人公の行動が馬鹿すぎてどうにも共感できない。あと、年増が大好きなマザコン高校生というのも、どうもピンとこない。「そりゃぁないだろ」という部分が笑うべきところだったのかも知れないのだが、どうにも笑えなかった。

ダメな映画とは思わないけれど、正直なところ、中盤以降ちょっと退屈してしまった。

評価は☆1つ半。  
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2013年10月27日

グランド・イリュージョン

nowyouseeme


スピーディな登場人物紹介から始まって、トランプの手品で映画の観客までも引っ掛けて(ここで引っかからない人はお気の毒)あっという間に映画に取り込み、おなじみのカーチェイスぐらいまでは派手なBGMを上手に使って一気に観させてしまう。その後、ちょっと中だるみするけれど、スピード感はそこそこ維持して最後まで駆け抜けてしまう。特に最初のラスベガスのショウまでは息もつかせぬ、という感じ。

マジックのシーンもきちんと説明があるし、キーになる場面は映像できちんと表現されている(気が付きにくいけど)ので、やりっぱなしという感じもない。

部分的には、カーチェイスの顛末など、ちょっと無理やり過ぎるところもあるけれど、映像と音楽でグイグイ引っ張って行かれてしまうので、観ている最中にはあまり気にならない。

ただ、一番凄いのが銀行強盗で、そのあとのマジックはちょっと尻すぼみな感じがある。できれば、その後の2つの4人のマジックシーンを銀行強盗編ぐらいまでしっかり書き込んだらもっと良かったのに、と思う。

特撮を上手に盛り込んでいて、テンポも良く、しかもそこそこにメリハリをつけている。それを音楽が後押しするので、細かいところにツッコむ余裕を与えない。後から良く考えると「あれ?」となるのだけれど、マジック同様、そういう斜に構えた観方をしてしまうのは野暮だよね、と思わされてしまう。細かいところは気にせず、製作サイドの意向に流されて楽しむのが吉だろう。

映画マニアは「?」と思いそうだが、休日にちょこっと気分転換でも、とか、デートに映画でも、という向きにはぴったりな映画だと思う。評価は☆2つ。  
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2013年10月24日

人類資金

10兆円とも言われる日本の秘密資産M資金を巡るコン・ゲームが展開されるのかと思ったらさにあらず。M資金をチラつかせてケチな詐欺をやっていた主人公が、M資金の活用を巡る日米の経済戦争に巻き込まれていくという社会派ドラマ(?)だった。

これが、全然面白くないから困ってしまう。

何と言っても、詐欺師という設定が全く役に立っていないのが酷い。詐欺師が活躍しない上にむしろ足を引っ張っているので、何でこいつを引き込んだんですか?となる。豪華な海外ロケは、やっぱりアレですか?スタッフの皆さんが海外旅行したかったんでしょうか?なんか、風呂敷を広げるだけ広げておいて、それだけ、という感じ。テロ国家、国連、ヘッジファンド、詐欺師、M資金、ロシア、ウォール街・・・と、キーワードだけはご立派だけど、内容が全くついてきていない。挙句、PDAを貧乏国に配って何ができるというのか。水没させたら誰が直すんだよ(笑)ハードだけ配っても世界は変わらない。広げた大風呂敷の中心でショボイ人類愛を叫んでいる感じ。

脚本もかなり雑で、説明調のセリフばかりの前半で眠くなってくる。また、脚本家自身が状況を把握できていないので、「ブレーカー!」と素っ頓狂な指示を出す始末。「お前がやれよ」と思ってしまう。他にも「往復ビンタ」みたいな一般人でも知っていることを一流詐欺師が知らなかったり、細かいところで突っ込みどころ満載。福井晴敏って、脚本の才能ないなぁ、と思った。他に何か脚本書いているのかな?と思って探してみたらキャプテン・ハーロックだった。こちらももちろん脚本のせいで駄作である。

キャプテン・ハーロック
http://buu.blog.jp/archives/51410100.html

あ、そうか、国連の演説シーンはZガンダムの「ダカールの日」のパロディ?

香取慎吾が大根っぷりを発揮していて凄い。英語も下手。そもそもこの人の声は役者として致命的なくらいにハリがない。こういう骨太な映画は無理なので、アニメの実写化とかで活路を見出すべき。一方で森山未來は良い演技だったし、英語もかなり良かった。

見せ方という点では、テレビの画面を映画の画面に乗せる方法が酷く、もうちょっとなんとかならなかったのかと思う。安っぽいはめ込み画像になっていた。

あと、音楽は良かったと思う。それと、駅前留学だけは笑えた。

評価は☆ゼロのところ、森山未來の英語におまけして☆半分。  
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R100

巷の評判は最悪と言っても良いくらいに悪い作品。過去の松本監督作品は大日本人しか観ていないが、その時の評価はこんな感じ。

大日本人
http://buu.blog.jp/archives/50487475.html

そのまま最後まで突っ走ってしまえば良いのに、途中で観客の期待とは別の方向へ行ってしまったのが大日本人。そして、R100もそれとほぼ同じ作りだった。最初は物凄くちゃんとしているし、突然の笑いに思わず吹き出してしまったりもする。ところが、そのままでいられないのが松本監督の松本監督たる所以である。本作は唾吐き女王の登場あたりからそっぽに向かい始めてしまった。その上で、筋が悪かったのは、監督自身が「このままではマズいかもしれない」と、逡巡してしまったことである。監督としての覚悟が足りないと思ってしまう。

毒なら毒で、迷わずに突っ走れば、なるほど、それも一つの見識であろう、となる。しかし、監督自らが「ヤバイかな?」と怯んでしまっては、観る側も「ヤバイだろ」となる。ヤバイことに気が付かせてしまった時点でクリエイター側の敗北である。

くだらない映画ではあるけれど、そのまま行くところまで行ってしまえば、客に納得してもらえたかも知れないな、と思う。

とはいえ、☆1つぐらいはあると思う。  
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2013年10月07日

フローズン・グラウンド

frozenground


1980年前半のアラスカを舞台にした、大量殺人事件を扱ったサスペンス映画。実話をベースにしているわりには(実話ベースだから?)警察の動きが鈍く、ちょっとイライラする。あまりにももたもたしているので、お前ら、こんなのんびりやってるから何十人も殺されるんだろ、と思ってしまう。また、被害者の女性が馬鹿すぎるのもイライラの原因。お前、その状況でそこに行くか?という感じ。この女性の行動は、まさに、狼の群れに迷い込む羊という感じである。

犯人が途中でわかってしまうので、謎解きという部分はほとんどなく、犯人、被害者、警察の追いかけっこが展開されるだけ。その舞台がアラスカなので、彩度の低いモノトーンの映像が続いていく。話にはそれほど起伏がなく、見どころというべき見どころもない。今から30年も前の話なので、科学的な捜査もほとんど行われず、張り込みなどの地味な捜査で犯人を追い詰めていく。このあたりの緊迫感だけはそれなり。

昔の話を現代に描くので、調査の手法など「仕方ない」と思わせる仕掛けが必要だと思うのだが、そのあたりの脚本上の工夫があまり見られず、ついつい「これって、いつの話なんだっけ?」と思ってしまう。これから見る人は、1983年の話であるということを念頭に置いておくと良いかも知れない。ただ、突っ込みどころがたくさんあるわけでもなく、無難に楽しめる内容にはなっている。あと、アラスカって、こんなところなんだ、ということがわかる。日本でこれをやるとお祭とか、必然性のない映像が盛り込まれたりするけれど、そういう無理矢理なものではなく、普段のアラスカが描かれている。ただし、今のアラスカではないけれど。

評価は☆1つ半。  
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2013年10月06日

クロニクル

なぜか「特別上映」だそうで、1,000円で鑑賞できるのが嬉しい。

時間は若干短めで90分程度。ブレア・ウィッチ・プロジェクト以降時々見かけるハンディカメラ映像中心の作品。内容はといえば、大友克洋の「AKIRA」や「童夢」を実写版にしたような感じ。高校生が主役という意味ではAKIRAだが、AKIRAは超能力者対ノーマルの戦いだったので、超能力者同士の戦闘という意味では童夢に近い。

どうして超能力を身につけたのか、という理屈はそれほど詳しくなく、そうなっちゃったんだから仕方ないでしょ、という感じで開き直っていて、これによって映画が良い意味で単純化されている。

映画オタクが撮影している画像が画面に展開されている、という設定によって、低画質のハンディカメラ映像の理由付けをしている。

いじめられっ子が超能力を身につけて、やがてネガティブな感情を抑えつけることができなくなって暴走を始める、という、このあたりはAKIRAそっくりの展開。それまでの間に、徐々に超能力をトレーニングしていくあたりがなかなか面白い。

資金上の制約をクリアするための脚本がなかなか良かった。

評価は☆2つ。

どうでも良いけれど、「この映画はパンフレットが作られていません」と注意書きされているのがちょっとさびしい感じ。どうしてこうなった(笑)。  
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2013年10月02日

謝罪の王様

最近の邦画はまともな作品が多かったのだが、久しぶりのクソ映画。序盤の細かい笑いは良かったのだが、それにはすぐに慣れてしまう。女性下着の話がピークで、それから先は退屈で、退屈で、いつもの睡魔との戦いが展開された。特に最後の王国のシークエンスは全くの無駄。エンディングは、あれは何だったの?

一番出来が良いのがタイトルと予告編。そして、序盤だけはそれなり。しかし、そこから先はすぐに燃料切れを起こして、あとはグダグダ。これ以外に書くことがない。映画の日であってもお金をはらうのはもったいないので、半年後にレンタルすれば良いと思う。

評価は☆ゼロ。
  
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地獄でなぜ悪い

園子温監督のコミックムービー。

かなりアホらしい脚本だが、それをグイグイ引っ張っていってしまう演出力が凄い。ここまで割り切った表現、ある意味投げやりな感じは、これまでの園子温監督にはなかった芸風のような気がする。

二階堂ふみが出てくるあたりから大分いつもの調子を取り戻した感じで、ラスト近くの撮影シーンは大殺戮シーンにも関わらず、大爆笑である。

ストーリー的には特に観るものもなく、ただただお馬鹿なコメディで、それにも関わらず画面上はスプラッターなのがいつもの園子温監督という感じ。

大好きな二階堂ふみがちょっと大人になったのも嬉しいところ。この映画の最大の見どころは間違いなく二階堂ふみの胸元である。

評価は☆2つ半。ただし、グロ注意。  
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2013年10月01日

凶悪

実際の事件をベースにした犯罪映画。どんな事件?と疑問に思う人は「三上静男」あたりでググってみるのが吉。

演劇的な手法で現在と過去を行ったり来たりする脚本だが、映画では失敗することの多い技法にもかかわらず、この映画ではある程度の効果をあげていたと思う。

凶悪犯罪がテーマなので、その残酷な描写が一つの見どころとなるのだが、残念ながら「冷たい熱帯魚」のような衝撃はなかった。犯罪の描写、および犯罪者の描写という点で、園子温監督に比較すると随分見劣りがしてしまう。違う作品、違う監督なので、比較すること自体がフェアではないのかも知れないが、方向性がそっくりなために、どうしても比べながら観てしまう。

事件を追う雑誌記者の家庭環境なども、やや蛇足感がある。そこで何か訴えたいところがあったのかも知れないが、少なくとも僕には伝わってこなかった。

あまちゃんでひょうきんな役をやっていたピエール瀧やそして父になるで子煩悩な町のおやじを演じていたリリー・フランキーのフレの大きさは楽しめるのだが、本来、一本の映画の中でそれを表現すべきで、「あまちゃんの」とか、「そして父になるの」と表現されてしまう時点で、作品自体が力不足なんだと思う。ただ、池脇千鶴は相変わらず可愛い。

結局、監督力の違いということだろう。もうちょっと上手に料理したら傑作になりそうな素材だけに惜しい気がした。

評価は☆2つ。  
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2013年09月25日

そして父になる

子供を取り違えられて6歳まで育ててしまった2つの家族の、取り違え判明後の約一年間を描いたもの。

2つの家庭の民度や環境が全く違っているために、色々なミスマッチが発生してしまう。特に主人公福山雅治は子供の頃からお受験組の勝ち組人生を過ごしてきた人間で、職場結婚した夫婦間にも若干の行き違いがある。子育ては専業主婦の奥さんに任せっきりで、仕事人間として生きている様子を丁寧に描いている。その、仕事人間が、これまで育てた子供を手放して、新しく血の繋がりのある子供を手に入れ、さて、どうなるか・・・という内容。

子供の撮り方に定評がある是枝監督なので、子役の使い方は非常にうまい。演技をさせているというよりは好きにやらせてそれを撮影している感じ。福山雅治はいつもの演技といえばいつもの演技だが、ちょっと浮世離れしていて子供が嫌い、という、ガリレオ的な演技をこの映画でもやっている。やり慣れていることもあるだろうし、観る方も観慣れているので、違和感がない。キレるんだろうか、そろそろキレるかな?などと、ちょっとハラハラしながらの鑑賞である。オノマチはいつものちょっとヒステリーっぽい、ちょっと不幸っぽい女性を好演。とはいえ、彼女もいつもの定番の演技で、新味はない。もう片方の家族はリリー・フランキーと真木よう子が演じているが、こちらは、貧乏がすっかり染み付いていながらも、下町っぽい子育ての様子をうまく表現していた。僕などは横浜の貧乏長屋の育ちなので、「あぁー、そうそう」という感じだった。

話が進んでいくうちに、順風満帆にやっているように見えた主人公にも家族の問題があることがわかってきて、最後はタイトルにつながっていくという構成。邦画にありがちなセリフでの過剰な説明がかなり排除されていて、セリフの裏まできちんと読んでいくことが要求されるので、ばかみたいに親切な邦画になれていると理解できない場面があるかも知れない。

「一段落」を高学歴なはずの人間が「ひとだんらく」と発言したのは「お高くとまっているように見せて、実は無教養」という暗示かと思ったのだが、その後、その伏線を回収するような場面がなく、単にこの映画に関わった人たちの教養が足りなかったのかも知れない。もうひとつ、「あれ?」と感じた場面があったのだが、映画を見終わった時には忘れてしまっていた。何しろ、言葉を使って表現する人間がたくさん集まって作っているコンテンツに、こういう単純な日本語の間違いがあるのは残念でならない。ひとりぐらい気がつく人間がいないのだろうか。

評価は☆2つ半。邦画としてはなかなか良い出来だと思う。ただ、映画の前にあったカンヌの報告のような動画は余計。あんなものはテレビのワイドショウに任せておくべき。  
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2013年09月24日

怪盗グルーのミニオン危機一髪

DespicableMe2


怪盗グルーシリーズの第二作。例によって、グルー、三姉妹、ミニオンのバランスが絶妙な上に、本作では新たにルーシーという新キャラクターが登場。一層てんこ盛り感が増した。

前作では極悪人だったグルーが随分と丸くなった上に、トラウマを抱えることになったエピソードを描くなど、人間味が増している。個人的には相変わらずの極悪人っぷりを披露してくれた方が嬉しかったのだが、それだとストーリーの展開が難しかったのかも知れない。月泥棒ほどのスケール感がなかった点もちょっと惜しいと思うのだが、期待はずれということはなかった。あちこちに細かい笑いが散りばめられていて、飽きさせることがない。

音楽までも含め、007やスターウォーズのパロディシーン(しかも、そのうちのいくつかは20年以上も前の作品だったりする)があちこちにあって、大人の鑑賞にも十分に耐える。

唯一残念だったのは、吹き替えばかりで、字幕での鑑賞がほぼ不可能だったこと。日本中の映画館の中で、字幕版での上映が六本木ヒルズ1館のみというのはいかがなものか。日本に住んでいる外人の小さな子供への配慮という点からも、軒並み吹き替えばかりという状況は異常だろう。では、その吹き替えが凄く良いのか、と言われれば、これまたちょっと否定的にならざるを得ない。何しろ、グルーが関西弁というのがいただけない。慣れないうちは、英語でも日本語でもないこの言葉はなんだろう?と考えてしまう場面があった(いや、関西弁は日本語だけど)。大体、子供向けの映画なのだから、使われている英語だってそれほど難しいとも思えず、原語での上映はもっとたくさんあってしかるべきだろう。

評価は☆2つ。字幕版だったらもうちょっと評価は高かったと思う。  
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2013年09月21日

怪盗グルーの月泥棒

今週末公開の怪盗グルーを観るにあたり、予習の意味も含めて前作をBDで鑑賞。

DespicableMe


冒頭からグルーがすげぇ悪い奴でかなり笑える。アニメの質もなかなかだし、脚本がかなり練られている。ただ、僕たちは子供の頃に全く同じような趣向の「八時だよ!全員集合」を見て育っているので、新味はそれほど感じられない。カトーちゃんや志村が演じていたドジな部下の役を、この映画ではバナナから作られた「ミニオン」が分担している。この、ミニオンが非常に良い味を出している。

すげぇ悪者、可愛い子供たち、そしてドジなミニオンのバランスが絶妙で、かなり笑える。子供の映画にしておくのはちょっともったいない。

評価は☆2つ半。

特典映像のショートムービーも結構笑える。


  
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2013年09月20日

エリジウム

elysium


コロニーを建設して、超富裕層がそこで暮らす2150年ごろが舞台。エリジウムへの移民を夢見ている貧乏人たちを中心にしたドラマを、マット・デイモンとジョディ・フォスターが濃密な演技で見せる。ということはまったくなくて、パワードスーツに身をくるんだ(?)男たちの闘いを描いたアクション映画である。薄っぺらいドラマではあるものの、映画に求められるものはきちんと提供していると思う。ラストは好みが分かれるところだとは思うが、多少の御都合主義に目をつぶるなら、大きな破綻なく、飽きさせずに最後まで突っ走っている。でも、個人的にはスタートレックの方がずっと好き。

一番のネックは、ダウンロードが終わった時にあんなことになってしまうモードが存在すること。なんのためって、単に映画を終わらせるためぐらいしか思い付かない。

評価は☆1つ半。  
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2013年09月17日

スター・トレック イントゥ・ダークネス

startrek


スター・ウォーズの次期三部作の第一作目の監督に決まっているJ・J・エイブラムスの最新作。2D字幕版での鑑賞。前作の感想はこんな感じ。

スター・トレック
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50837535.html

話の中心はカークとスポックという、動と静の相容れない人間同士の葛藤。これに、強化人間カーンとの戦闘が絡んでくる。とはいえ、ダークナイトシリーズほど濃密に人間の内面を描いているわけではなく、そのあたりのさじ加減が僕にはちょうど良かった。適度なリズム変化をつけながらテンポ良く最後まで一気に駆け抜けていくスピード感ある脚本が見事である。もうちょっとユーモアを充実させてくれたらもっと良かったと思うけれど、それでもところどころ、くすくす笑ってしまう場面がある。

映像も凄い。もう世の中はカネさえあれば何でも表現できる時代なので、「特撮が凄い」などと褒めることは滅多にないのだが、それにしても、艦の重量感が凄い。宇宙空間以外でのエンタプライズ号たちの偉観だけで、うわー、こりゃすげぇ、となる。

放射線被曝のくだりはちょっと違和感のある始末の付け方だったけれど、あんな馬鹿でかい宇宙船が建造される時代なら何でもありかも知れない。

評価は☆3つ。

ところで、以前から何度も書いているのだが、大泉のT・ジョイは音が大きすぎてうるさいレベル。管理者が難聴なんだろうか。新座のシネプレックスはちょっと小さいかな、と感じるので、それと比較してはフェアでないのだが、シネ・リーブルを筆頭にしたテアトルシネマグループの一連の映画館はもちろん、T・ジョイと同系列のバルトなどに比較しても大きいと思う。なんであんな大音量なんだろう???  
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2013年09月16日

大統領の料理人

LES SAVEURS DU PALAIS


個人的に料理の映画は好きなので、この作品も台風接近の中、無理して観てきた。

田舎の女性料理人がフランス大統領の専属シェフになって・・・という内容。特にこれといったひねりはなく、ちょっとしたエビソードの羅列で進んでいく。ただ、それがつまらないということはなく、そのあたりは演出や演技が良いからだと思う。

ただ、今と過去を細切れにして行ったり来たりする構成はどうなのか。過去と現在の落差を描いて、観る側に「なぜ?」という思いを起こさせるのは良いのだが、その疑問に対する回答が今ひとつなので、ここまでもったいぶらなくても、と思ってしまう。また、牡蠣のエピソードなどは尻切れトンボで終わってしまい、あれ?という感じである。元々は存在した場面を編集でカットしたのだろうか?

主人公の女性は、安定志向で、根性論が前面に出がちな日本人の文化にはイマイチフィットしない生き方だと思うのだが、能力のある人なら、ひとつの場所にしがみつかず、その場その場でベストの場所を追い求めていくという人生も一つの選択肢であって、僕みたいに転職を繰り返している人間には共感するところが多い作品だった。

評価は☆2つ。  
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2013年09月07日

キャプテン・ハーロック

ヤマトがCGアニメされてなかなかのものだったので、ハーロックも結構期待していて、公開初日に観に行ってきた。同じように考えたのか、40代ぐらいのおじさんがいつになく多い。

さて、映画だが、まずCGアニメのできは素晴らしいと思う。PIXARにすっかり水を開けられていたこの分野だけど、本作はPIXARに見劣りしないできだったと思う。

しかし、残念なのは内容の方である。ヤマトが結構戦闘シーンで楽しめたのに対して、本作の戦闘シーンは全く面白くない。退屈で退屈で、眠くなってくる。戦闘シーンでこんな状態だから、ドラマシーンはもっと退屈だ。CGが凄いなぁ、と無理矢理にでも感心していないと、すぐに意識を失いそうになる。退屈というか、つまらないのだ。小難しい詩の朗読がずーーーっと続いていて、その内容が「俺ってカッコイイだろ?」という感じなのだ。いやぁ、これは辛い。辛すぎる。CGのキャラたちがみんなナルシストなのだ。こんな内容で面白いと感じる人がいるのだろうか?

しかも、である。ハーロックが結構情けない奴だったりするのだ。ひきこもり系というか、根暗というか。うわーーー、カッコイイ〜という感じじゃない。CGは凄いけど。

主要キャラに声優ではなく俳優を起用したのもこの映画の特徴だが、そのメリット、デメリットは特に感じなかった。CGが凄いと、声の演技はあまり気にならなくなるのかも知れない。

それよりも気になったのは、唐突に挿入された意味のないシャワーシーンと、シャワーを浴びながらバク宙する女だったりするのだけれど、あれはなんだったんだろう。全く意味不明である。最新のCGだとこんな表現もできますよ、というアピールが狙いだろうか。

ともあれ、CGの技術が素晴らしいことがわかったのは収穫だった。あとは脚本や演出である。多分この映画は大ゴケする(製作費24億円らしいから、興行収入75億円ぐらいが評価の分水嶺)ので、その反省を次に活かして欲しい。

評価は☆ゼロのところ、素晴らしいCGにおまけして☆1つ。

「この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞」の有力候補である。  
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2013年08月31日

宇宙戦艦ヤマト2199 第七章

リメイク版宇宙戦艦ヤマトもいよいよ最終話である。劇場で観るオープニングムービーは相変わらずカッコイイ(もちろん、歌を含めて)。

さて、ストーリー。旧作との違いはたくさんあって、それはガミラス本星での戦闘の内容とか、古代守の扱いとか、デスラーの最後の襲撃とか、雪の危篤だったりする。旧作の死に行く星ガミラスという設定がなくなってしまったので、アナライザーの「ブンセキカンリョウ、ホウコクシマス。タイキハ、アリュウサンガス。アメハキリュウサン。カイスイハノウリュウサン。ハヤク! ヤマトガトケテシマウ!」がなくなってしまったのは残念。

何しろ全体から「放射能」という概念がごっそり削除されてしまったので、最終的にはあちらこちらに齟齬が生じてしまった。物語全体の考証としては大きな破綻こそないのだが、放射能除去装置コスモクリーナー、そして空間磁力メッキといった有名な装置、エピソードがなくなってしまったのは惜しい。代わりに登場したのはハーロックにおけるトチロー的概念だが、これも正直微妙。

新作は旧作のトンデモ部分をきちんと回収したはずなんだけれど、次元回廊みたいな新しい概念を持ちだしたことによって、また新しいトンデモを生んでしまったのもちょっと残念だった。デスラーが最後の勝負をかけるなら、場所はそこじゃないだろ、みたいな疑問もある。ドメルは相変わらず「とどめは自分で」とか言って大失敗したけれど、デスラーも「艦長の顔を見たい」とか言って最前線に突入するのも「え?」という感じである。本編ではなぜか沖田館長がデスラー総統府に突っ込むという謎の作戦を敢行するあたりも理解を超えていた。宇宙空間で出会ってしまう古代と雪はニュータイプっぽいし・・・。あと、デスラーがなんかチンピラみたい。

何より、最大の「残念」は、ガミラス本星との大決戦が非常にあっさりとしたものになったことだろう。「本星とまともに戦って勝てるはずがない」という考えが背後にあったのかも知れないが、それにしても・・・という感は拭えない。

まぁ、すげぇ高さから飛び込んでもびくともしなかったり、かなりの深度が想像される第三艦橋まで素潜りで到達できてしまうあたりは良しとしよう。

このリメイクについて通して言えることは、「ギリギリまで追い詰められた場所からの大逆転」というカタルシスが失われてしまったことだ。冥王星しかり、七色星団の決戦しかり、ガミラス本星での最後の決戦しかり、である。「ヤマトは完全に沈黙しましたっ!!」という場面が全然ないし、あっても、その窮地っぷりが観る側に伝わってこない。おかげで、そこを挽回した時に爽快感がない。そういう演出面での物足りなさは人物描写の部分にもあって、沖田館長がずっと元気なので、彼の燃え尽きそうな命の悲壮感が伝わってこない。だから、沖田館長が「地球か、何もかもみな懐かしい」と語っても、そうですねぇ、で終わってしまう。

旧作のファンとして一番嬉しかったのは音楽。やはり、ヤマトで重要な役割を果たしていたのは音楽で、それがきちんとバージョンアップしていたのは嬉しい限り。

もともと、地球〜冥王星までと、銀河マゼラン境界領域、七色星団、そしてガミラス本星が見どころで、あとはちょっと中だるみ気味だったのが旧作なので、その部分をどうやってリメイク版でつなぐかというのがポイントだったはず。そこを色々やってみた結果、やっぱりちょっと中だるみという感じになってしまったようだ。加えて、そのせいでこの第七章に大きな影響が出てしまった。第一章、第二章まではかなり良かったと思うのだが。

この作品では次作で登場するであろうガトランティス帝国があちこちに姿を見せていて、多分続編も作られることになると思う。問題はその作品が「さらば宇宙戦艦ヤマト」のリメイクになるのか、あるいは「ヤマト2」のリメイクになるのか、である。できれば、さらばのリメイクでやって欲しい。

もっともっと良くなったと思うし、スタートの時点ではそれを感じさせたので、徐々にそれが失望に変わっていってしまったことは非常に残念だった。でも、映画館で1,500円を払って観たいと思う質は維持できていたと思う。うーーーん、惜しい。  
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2013年08月30日

パシフィック・リム

pacificrim


冒頭から長い状況説明で結構萎える。いつもどおり字幕2Dでの鑑賞だったのだが、これなら字幕ではなく吹き替えのほうが良かったかも知れない。

戦闘シーンの多くはいつもの細切れドアップが連発されて、何が起きているのか良くわからない。最近、ほんとにこういう映像が多いと思うんだけれど、みんなちゃんとわかってるのかなぁ。僕は現役スキー選手なので高速化での動体視力にはかなりの自信があるんだけれど、それをもってしても全然わからない。何やってんだよー??状態。

加えて、音楽が単調。同じメロディラインを何度も繰り返す代わり映えのしないBGMなので、すぐに飽きてくるというか、眠くなってしまう。作曲するお金がなかったのかなぁ。

設定にもちょっと無理があって、「操縦はシンクロ率の高い2名による」と言われても、うーーーん、それは映画のための無理矢理な設定でしょ?と思ってしまう。右脳、左脳とわけていたけれど、実際にはやっていることは同じだったし。あと、この形態、設定なら、ロボットに乗っている意味はなく、遠隔操縦でも良かったはず。他にも突っ込みどころは満載で、ちょっと思い出しただけでも

DNAから作られた生物がどうやってあんな強力な電磁波を出すんだ?
その巨体がそのショボイ羽根で飛べるもんか!
どこの海も遠浅すぎ!
デジタルの対語が原子炉か?
剣があるなら最初から使え!
戦闘が夜ばかりで萎える(寝る)

・・・といった感じである。

とはいえ、オタク博士たちはかなり笑えた。これなら3D、吹き替えで観たほうが良いかな、と思ったのだが、普通の3Dだと暗くてまた(笑)寝てしまいそうだ。じゃぁ、IMAXで、と思ったら、すでにスーパーマンに衣替えしているところが多く、としまえんぐらいしか残っていない。しかもこれ、IMAX用のカメラで撮影してないですよね?

#ソースはこちら
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_IMAX_DMR_films

どうしようかな・・・。大体、IMAXでも、3Dだったらあの高速コマ割り戦闘シーンは一層わけわからないような気もするんだけれど・・・。

あ、菊地凛子は英語が良かった。日本語は逆に聞き取りにくかったけれど。

音楽とか、明るい場面での特撮が皆無とか、手を抜いているところがわかりやすい。今のところ評価は☆1つのところ、菊地凛子におまけして☆1つ半。  
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2013年08月27日

タイピスト!

populaire


フランス映画の邦題は単語の最後に「!」をつけるのがGAGA様のお気に入りのようで、ちょっとなんだかなぁと思いつつ鑑賞。

見終わっての最初の感覚は、フランス版「エースをねらえ!」という感じ。いや、別にアタックNo.1でも良いんだけれど。要は、スポ根ものである。

2時間という制約があるため、「なぜ?」と思ってしまう部分が少なくなく、例えば「この男は何でこの女をタイピストとしてトレーニングすることにしたんだ?」という、かなり本質的な部分での謎が最後まで明かされない。あるいは、なぜその強力なライバルを打ち負かすことができたのか、というのも明かされない。花形満は大リーグボール一号を打つために、それこそ血の滲む努力をしたものだが、そういったものがほとんど表現されていない。やはり、勝ちには勝ちの理由、負けには負けの理由が欲しい。それがないと、バリバリ伝説のラストのようになってしまう。

次々と現れるライバルとの戦いを縦軸にして、物語はトントン拍子に進んでいく。強者のインフレが発生しそうなところを「世界記録」でシーリングして解決。それほど無理がないストーリーになっていると思う。あちこちに笑いが散りばめられているほどではないので、ラブコメとは言えないと思うのだが、軽快な雰囲気が最後まで継続するあたりがフランス映画っぽい。

と、ここまで書いてきて気がついた。この映画はスポ根ではなく、ラブ・ストーリーだったのだろう。スポーツ部分はあくまでもおまけ、味付け。なるほど、それなら十分に納得がいく。さすがはフランス映画である。

でも、僕はスポ根が好き。だから、評価は☆2つ。  
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2013年08月25日

ガッチャマン

仄聞したところではデビルマン並みの駄作ということだったので、パシフィック・リムやタイピスト!やスタートレックを差し置いて早速観てきた。しかし、残念ながらそれほどの駄作感はなかった。いや、もちろん肝心の戦闘シーンが冒頭のシークエンスだけで、あとはほとんど部屋の中での会話劇だったり、脚本以前に設定がグダグダでどうして原作がある映画の設定がこんなにクソなんだとか、思うことはある。

また、ギャラクターの基地に戦闘員が全然いないじゃんかとか、ギャラクターの兵器がキャタピラーのお化けみたいなの1つだけで他に何もないとか、ジュンがピンクじゃなくて紫なのはなぜとか、一度ベルクカッツェのコスチュームになったのがなぜ元に戻ったのかとか(ちょっとネタバレ?)、ヨーロッパは全滅させられて火の海なのに北米や日本が全く無事なのは何故とか、あと30分からっていう緊迫しているところで内輪もめを始める余裕っぷりとか、さらに10秒のカウントダウンが20秒ぐらいあったこととか、特に武装していない人工衛星ならミサイルでぶっ壊せよとか、グリーンシートのシーンに全然動きがないよねとか、いつの間にか幼なじみの三角関係の話になってねぇかこれじゃぁガッチャマンじゃなくてタッチだろとか、突っ込みたいところは色々ある。でも、その一つ一つがこぶりで、デビルマンのような派手さがない。

もっと、「うわーーーー、これはすげぇつまらねぇ」と、伝説になるような、最低でも破壊屋さんの「この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞」に投票したくなるような映画を期待していたのだが、もう、全く普通だった。ダメならダメで、突き抜けてくれないと、レビューを書く方も今ひとつ盛り上がらない。

せめて、主題歌は「誰だ、誰だ、誰だーーー」であって欲しかった。あ、でも、特撮はそれほど悪くなかったし、音響も普通だったし、終盤のチャンバラシーンもなかなか見応えがあった。

結論としては、デビルマンは偉大すぎる、ということで、評価は☆1つ半。  
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2013年08月16日

マン・オブ・スティール

mos


試写会で3D鑑賞。

クリストファー・ノーラン製作による新しいスーパーマンシリーズの第一作。

映像もストーリーもせわしないというのが第一印象。物凄いスピードで話が進んでいって、行間というものが感じられない。おかげで緩急が乏しく、単調に感じてしまうのが残念。ケントの幼少時代だけ、ケントを調べていくロイスのエピソードだけでも一作の映画になりそうなところ、20分ぐらいの駆け足で終了してしまう。いくらなんでも急ぎすぎ。

「実はあいつがスーパーマン」という部分が皆無なところもちょっと残念な感じである。

対決シーンは悟空とフリーザの対決を実写化したような内容。特撮は悪くないがやや冗長なので、だんだんと「どんな衝撃にも破れないコスチュームの材質は何なんだろう」といった邪念が湧いてくる。その割にはびっくりするほどあっけなく勝負が決まったりするところも「じぇじぇじぇ」という感じ。

決してつまらなくはないけれど、わざわざ映画館で観るほどのものか、正直微妙である。今回は珍しく3Dでの試写会だったけれど、画面の中で奥行きが感じられるシーンはあまりなく、字幕ばかりが浮き出ている。これは3D映画のほとんどに言えることではあるのだが、3Dである意義が良くわからなかった。思ったのは、この特撮スタッフを利用し、主要キャストを日本人でドラゴンボールを実写化したら、かなり面白そう、ということ。

評価は☆1つ。
  
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2013年08月13日

ワールド・ウォー Z

wwz


シアターが明るくなって最初に聞こえてきたのは、「ゾンビ映画だと思わなかったのでびっくりした」という声である。そりゃ、ゾンビ映画だと思わずにこの映画を観に来てしまったら驚くだろう。でも、日本の映画界がゾンビ映画をゾンビ映画として広報しないのはこれが初めてではない。数年前に公開されたアイ・アム・レジェンドでも同じ手口でやられた。

アイ・アム・レジェンド
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50481791.html

配給側としては、それと知らせずに公開して、食わず嫌いを払拭したいのかも知れないのだが、やはりゾンビ映画はゾンビ映画なので、観客を騙して、戦争映画と勘違いさせて動員するのはフェアではないと思う。「WORLD WAR Z」のZはゾンビのZですから。

さて、内容のほうだが、この映画のゾンビは非常に素早く反応するので、なかなか迫力がある。ただ、ゾンビたちは死んでいるという設定なので、視覚や聴覚の神経伝達が機能している理由がさっぱりわからず、観ていてちょっとイライラする。ゾンビたちが人間を取捨選択する理屈もなんだかなぁ、という感じで、もうちょっときちんとした設定にできなかったのかと小一時間問い詰めたい感じである。

カメラワークがせわしなくて何が起きているのか良くわからないシーンが多い。みんなはあれが見えているのだろうか。僕も動体視力には多少自信があるのだけれど・・・。

全般的にスピーディな作りだけれど、前半はテンポが単調で眠くなる。飛行機のシーンあたりからようやく目が覚めてくるのだが、今度は理屈の部分で「???」となってくるので、眠くはならないものの、うーーーんという気持ちになる。主人公はゾンビじゃないのにゾンビ以上に不死身だったりして、スッキリしない映画だった。あ、字幕は松浦美奈。

評価は☆1つ。
  
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2013年08月01日

モンスターズ・ユニバーシティ

mu


一時の、飛ぶ鳥を落とす勢いがちょっと失われている感があるPIXARの最新作は、モンスターズ・インクの続編。

まず、冒頭、PIXARお決まりのショートムービーは雨傘の話。身の回りにある様々なものを「顔」に見立ててのショートストーリーだが、質の方はチョボチョボ、という感じ。ただ、やはり称賛すべきなのは、「アニメでここまでできるようになったのか」という感想を全く持たなくなったことである。この程度の表現は、PIXARなら当たり前、との合意が観る側の中で形成されているということで、そのことが一番素晴らしいことだと思う。

さて、本編。モンスターズ・インクに入社する前のマイクとサリーの出会いを描いている。他にも、モンスターズ・インクに登場してくるモンスターたちがチラホラ出演している。なので、前作を観ておいた方が楽しめる。かも知れない。というのは、この映画だけで評価するなら、そこそこに上質なアニメだと思うのだが、前作と比較した場合、ちょっと脚本やストーリーの部分で見劣りがするのである。だから、前作を観てしまうと、「あれ?」という思いが出てくる分、もしかして、と思わないでもない。場合によってはモンスターズ・ユニバーシティ→モンスターズ・インクという順番で観たほうが楽しめるかも知れない。

本作は、ストーリーがちょっと退屈なのだ。出会いの場面からその後の展開がありきたりだし、同時にいくつかのシーンでの必然性が感じられない。登場人物たちの行動原理が不明確なのは、それをきちんと映画の中で表現していないからである。その辺りの脚本の甘さがPIXARらしくない。

今までよりも一枚上を行く映像表現がなかったことも含め、ちょっと食べ足りない感じがした。評価は☆1つ半。  
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2013年07月25日

風立ちぬ

ゼロ戦を設計したエリートの半生を描いたもの。ジブリの作品群の中では、飛び抜けて子供向けでない作品である。というのは、ストーリー以外の部分で子供たちを楽しませる要素があまりないからだ。ライバルも、かわいい動物も、戦闘シーンもないしカーチェイスも登場しない。せいぜい、いくつかの飛行機のシーンぐらいだ。ターゲットは明確に大人だったと思う。ストーリーがチンプンカンプンでも、どこかに面白い部分を見つけてくるのが子供たちだが、この作品では、その作業の難易度が非常に高い。

描かれているのはモノ作りに熱中する青年たちで、彼らは、それが人殺しの道具だろうがなんだろうが、「速く飛ぶ」「安全に飛ぶ」ことを求めていく。その上で、最もこだわっているのが、機能性が持つ「美」である。このあたりは、理系の人間じゃないと理解できないかも知れない。

ズブズブの飛行機オタクがその道を極めてゼロ戦を作っていく、というだけの話だけれど、オタク気質なら「そうそう」と膝を打つ場面が多いんじゃないかな、と想像する。

ちょっと前なら「なぜこの映画をジブリで作ったんだろう」と疑問に思ったのだろうが、宮崎駿もこういう映画を作りたい年齢になったんだろうな、と思う。絵とのフィット感がない声優たちは相変わらずだけど、英語版を意識してのことかも知れない。庵野さんに作画をやらせず専門外の声優をやらせたのは、庵野さんをさらに成長させるためだったのかも知れない。必要以上に喫煙シーンが多かったけれど、それは「俺はチェリーが大好きなんだ!!!」という宮崎駿のアピールかも知れない。労働階級の子供にシベリアを差し出すシーンは現代の場当たり的で本質的でないセーフティネットへの批判が含めたかったのだろう。実写でもできそうな映画だけど、実写でもできる映画をアニメでやりたかったのかも知れない。

超一級のクリエイターたる宮崎駿を重ね合わせることができる素材として堀越二郎を選び、自らの人生を投影しつつ、これが最後の作品になるかも知れないと覚悟した上で好き勝手にやりたいことをやった映画、という印象である。でも、それがつまらないかと言えば、そんなことはない。宮崎駿が久しぶりに作った、オタク向けの映画、大人のオタクのための映画、オタクを肯定する映画と言えると思う。

個人的には、堀越二郎の眼鏡の描写が好きだった。遠視の眼鏡っぽい描き方だったけれど、星が見えないあたりは近視っぽくて、どっちだったんだろう???

外国語の表現だけが非常にアニメらしく、そしてその演出が素晴らしかった。子供の鑑賞を意識したのかもしれないが、字幕を一切使わずに表現していたのが見事だったと思う。

主演堺雅人、ヒロインに菅野美穂という実際の夫婦を使って実写でやっても面白そうだけど、アニメでも十分に面白かった。僕は宮崎駿にまたカリオストロやラピュタを作って欲しいと思っているタイプの人間だけど、徐々にその期待が薄れてきているし、この作品を観て、あぁ、あれはもうないんだな、と思うようになった。僕たちが卒業するずっと前に宮崎駿は卒業していて、もう戻ってくることはないんだな、と。宮崎駿はそのことを何度も繰り返し伝えようとしていたんだと思う。そのことをようやく認識した。

声優部分がマイナスポイントだが、それ以外には特に減点対象が見当たらない。評価は☆2つ半。  
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2013年07月24日

奇跡のリンゴ

阿部サダヲ、菅野美穂はふたりとも好きな俳優なので、かなり期待して観に行ったのだが、映画として以前に、内容にクエスチョンマークがついてしまった。要すれば、脱農薬を目指して10年以上にわたって試行錯誤を繰り返した後、リンゴの無農薬栽培を可能にした農家を描いているのだが、その内容にはバイオの専門家として、いくつかの疑問が残ってしまう。

まず、最大のものは、リンゴ関連の農薬は、消費者からすればそれほど大きな問題ではない、ということだ。農家サイドに立つなら、農薬関連の作業がなくなった方が良いと思うのだが、食べる方とすれば、そんなに大問題とは思えない。もちろん、必要以上に大量の農薬を使ったり、あるいは許可されていない薬を利用していれば問題だが、今利用されている農薬は、消費者に悪影響が出ないように、きちんと科学的な検証が行われているはずである。それなら、農薬を使わないのではなく、農薬関連の作業を農家にとって低負担でできるようにした方が産業上の有用性が高いはずだ。脱農薬を必要以上に賛美しているのではないか、という思いが常に底流に存在してしまい、心の底から映画を楽しめなかった。

次に、酢やワサビの抽出物を散布しておいて無農薬と言えるのか、という疑問がある。生物由来なら良い、食品なら良い、というものではないと思う。

また、最終的に行き着いた自然農法のようなものも、あれで本当にうまくいくのか、疑問が残る。そもそも、農業というのは自然とは相反するものだ。農作物がほとんど雑草化しないことからもそれがわかる。コメやリンゴはその最たるもので、長い積み重ねで得られた経験知の結晶が、食品としてのコメやリンゴである。「近所の広場でコメが雑草化して困っている」とか、「近所の森にあるリンゴの木が誰も手をかけていないのに毎年美味しいリンゴをならせる」といった話を聞いたことがない。

最後に、一度害虫にやられて素っ裸になってしまったようなリンゴの木が、果たして再生するのか、という疑問がある。

「自然が一番」みたいな、一種宗教的な気配が強く感じられて、「それならお前ら、水道水なんか飲まずに雨水を飲んでおけよ」と思ってしまうのだ。これはつい先日、「総統閣下はお怒りです 「怪しい医者」」というエントリーで書いたことにも通じるのだが、科学と自然を対立した概念として扱う姿勢が、僕の生理にはどうも合わない。

映画そのものは、一部の子役の演技に難があったことを除けば、非常に良いものだったと思う。特に菅野美穂の演技は素晴らしかった。「風立ちぬ」にも通じる、モノ作りへの執念とか、孤独感を上手に表現していたと思う。純粋なエンターテイメントとして捉えるなら、評価はかなり高い。ただ、残念ながら、この映画は純粋なエンターテイメントではないと思う。

評価は☆1つ。「リンゴは無農薬に限る」みたいな勘違いをする人が大量発生しなければ良いのだけれど。  
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2013年07月02日

真夏の方程式

女優としては柴咲コウよりも吉高由里子の方が断然好きなんだけれど、ガリレオでの吉高は全く魅力的ではない。ということで、彼女が前面に出れば出るほどつまらなくなるだろうな、と思いながら観に行ったのだが・・・

結論から言えば、吉高はそれほど活躍しなかったけれど、映画はやっぱりつまらなかった。テレビの特別版ならこれでも良いかも知れないが、1,800円を取る映画版としてはいかがなものか(1,000円で観たけど)。キャスト・スタッフが海に観光に行きたかった(ただし、西伊豆あたりの近場だけど)のだろうなぁ、という感じである。

最大の問題点は、物理学者の湯川の知識がほとんど活用されないことだ。全く役に立たないわけではないけれど、この程度なら明智君でも金田一君でも解決できただろう。このシリーズの最大の差別化ポイントは主人公が物理学者という点なのに、である。おかげでガラスや壁に無関係な数式を書きなぐることはなかったけれど、湯川らしさがさっぱり表現されないのもいかがなものか、と思う。

子供との、ロケット作成エピソードは、あの程度の仕組みで200メートル(野球場2つ分)も飛ぶのかちょっと疑問。ただの水ロケットならともかく、今回は中にオモリが入っていて、距離の計測用に釣り糸まで付属している。本当に飛ぶなら、実写でやって見せて欲しかった。

展開もちょっと腑に落ちない。犯人の手口が酷くて後味が悪いし、「真実を目の前にしてそれで良いのか」という思いもある。実際の警察は本当にああいう風に動くのだろうか。疑問が残る。

吉高はメイクが篠原涼子的だった。まだ若いんだからあんなメイクしなくても良いのに。とはいえ、テレビドラマほどキーキー言ってなくて、そのあたりは良かったと思う。

このシリーズは映画版一作の「容疑者Xの献身」でピークを迎えてしまった感で、以後はちょっとネタ切れという感じだ。TVシリーズでさらにネタを浪費してしまい、もう出がらししか残っていないのではないだろうか。

評価は☆半分。  
Posted by buu2 at 16:01Comments(0)TrackBack(0)映画2013

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華麗なるギャツビー

gatsby


リアルタイムで村上春樹の「ノルウェイの森」を読んだ人間の多くは、まず「村上春樹、すげぇ」と思い、次にノルウェイの森以外の村上作品を読み、そして、村上春樹が絶賛するフィッツジェラルドのギャッツビー(以下、ギャツビーじゃなくてギャッツビーなのは仕様です)を読む、というのがお決まりのコースだった。僕もその一人だったけれど、本は途中で読むのをやめてしまった。この映画は過去に4回も映画化されていて、その中でロバート・レッドフォード主演の奴は観たけれど、こちらもこれといって印象に残っていなかった。「あれ?どんなストーリーだったっけ?」という、ほとんど白紙の状態での鑑賞だった。

貧乏人から始めて一代で巨万の富を築いたけれど、その原動力は浮気がちな女性が原動力でした、みたいな、米国にはありがちな話。1900年代前半の、米国のイケイケ時代を背景にしているだけれど、そのイケイケを物凄くきらびやかに描いているのがなんとも印象的。何かもう、やけくそ気味に思えてくるぐらいに豪華で、ここまでやれば天晴、という感じがしてくる。すぐ飽きるけれど。ただ、その飽きた頃に挿入されるのが米国映画の最大の象徴であるカーチェイス。これで目が覚める。

序盤、観ていて眠くなることが何度かあったのだが、最後の30分ほどはスピーディに話が進み、なかなか面白かった。多分、本で読んだときは中盤の退屈な部分で我慢できなくなってしまったのだろう。さすがに映画では席を立つことができないので、寝てしまわない限りは最後まで観ることができる。目に刺さるくらいに豪華なパーティシーンが続くので、このあたりはストーリーではなく映像を楽しむべきなんだろう。前半の映像と後半のストーリー、とわけて考えれば、それぞれに楽しめると思う。

謎の大富豪を演じたディカプリオ、異常に華美な画面を引き締めたスパイダーマン・トビー・マグワイア、ライバルの大富豪夫人にシェイムで好演したキャリー・マリガンと、ぴったりの役者や良い役者を配置しているのはさすが。終わってみての感想は、「あーーー、グレート・ギャッツビーって、こういう話だったのか!」というもの。これはやはり文字で読んでみないと、と思った。

Amazonで村上春樹訳のグレート・ギャッツビーをポチっとした。あ、映画の評価は☆2つ。

  
Posted by buu2 at 11:41Comments(0)TrackBack(0)映画2013

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さよなら渓谷

真木よう子ファンとしては見逃せない作品だったので、公開後すぐに観てきたのだけれど、観ていてすぐに「あれ?」となった。広告で書かれている重要な事実が、なかなか明かされないのである。こ、これは・・・。ネタバレ広告が最悪の一言に尽きる。PR担当者は脳みそが腐っているのだろう。このレビューを読んだ人はすでにネタバレ広告を読んでしまっている可能性が高いのだが、良くクリエイターサイドがこんな広告手法を許したな、と思う。観る側としては1,800円を返せ、という気分である。

映画は、ちょっと音楽の使い方が演出過多で、正直鼻につく。日本映画的な、ところどころで音楽を挿入していくやり方なのだが、突然ボリュームがアップしてパタッと止む、の繰り返しで、そのあたりがどうなのかな、と。あくまでも好みの問題なんだろうし、監督は意図的にこういう演出手法を選択しているので、こういう個性が好きな人もいるんだと思う。僕はあまり好きではない。これは音楽だけではなく、シーンのつなぎ方でも同じで、ちょっと僕には合わない感じがした。

原作未読だが、原作はそこそこ長編のようなので、小説で書かれていたことはほとんどが省かれているはずで、それで的確に小説の記述をきちんと表現できていたかは原作を読まないとわからないのだけれど、映画を観た限りでは、雑誌記者の二人の能力差がありすぎて、これじゃぁ渡辺がかわいそうだなぁ、と感じた。それと、ラスト。「最後にひとつだけ」と質問したくなる渡辺の気持ちがさっぱりわからなかった。小説で読めばそれが伝わるのかも知れないのだが、映画で観る限り伝わってこないのであれば、映画としては失敗だったと思う。この映画、尾崎とかなこはどうやったって描けるはずで、問題は渡辺をどうやって描くかがポイントだったはず。しかし、体育会系という設定も、妻との関係も、消化不良だったと思う。わざわざ靭帯の再建手術の跡を見せたり、色々と伏線を張ったはずなのに、それらが役に立たずに空回りしていた。

役者の演技は大部分はなかなか良かったと思う。ひとり、渡辺を演じた大森南朋の除いては。兄が監督ということで、使い方がおかしいということはないんだと思うのだが、どうもしっくり来かった。脚本が悪いのか、演出が悪いのかはちょっとわからないのだが。最大の目的だった真木よう子は良い演技を見せていた。演技の質という意味でも、幅という意味でも、世代を代表する役者だと思う。ただ、歌唱力は・・・。これは「朧の森に棲む鬼」でも感じたのだけれど、もうちょっと頑張りましょう、という感じだった。

良いところと悪いところが混在していて、評価が難しい映画だと思うのだが、☆は2つにしておく。  
Posted by buu2 at 07:17Comments(0)TrackBack(0)映画2013

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2013年06月22日

俺はまだ本気出してないだけ

原作未読で鑑賞。

脱サラで漫画家を目指す主人公を描いたコメディ。僕のようにさっさと日本の社会のレールから降りてしまった人間には心の底から楽しめるのだが、頑張ってしがみついている人の目にどう映るのかはちょっと良くわからない。

細かいギャグがあちこちに散りばめられていて、何度も声を出して笑ってしまった。そのトーンは最後まで安定していて、全く退屈しない。大きな仕掛けがあるわけではないけれど、テンポ良く進む脚本が良い。ちょっと難があるといえば再婚話のエピソードの顛末がどうなのか、と思った。

堤真一、橋本愛、山田孝之、濱田岳あたりの演技と演出が秀逸で、放送作家出身の福田雄一監督の非凡なところを観ることができた。

何か教訓があるわけでもないので、ただ笑えば良いと思う。

橋本愛が出てきた時、「あ、ユイちゃんだ」的などよめきがあったのも笑えた。

評価は☆2つ半。  
Posted by buu2 at 21:54Comments(0)TrackBack(0)映画2013

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