試写会で鑑賞。
長澤まさみ、木村文乃、川口春奈という主要な出演女優3人が3人とも好みのタイプという、夢のようなキャスティングである。これだけで☆半分アップは間違いない。
売れない芸人コンビの友情を描いたもの。コンビは男性二人なのでその点はちょっと残念だけど、ストーリーは馬鹿にできない。馬鹿にできないと言えば、内村光良の監督の手腕。特に撮影は冒頭から色々と細かい技術を使っていて、「ははぁ、映画オタクなんだな」と思わせる。途中、喫茶店のシーンなどで「これはちょっとないでしょ」と思わせるような編集があったものの、カメラアングルなどは概ね良かったと思う。
一方、演出技術の方はまだまだで、ちょっと空回りしている感じがあった。また、酷かったのはラスト近くの「さて、17年後・・・」という場面で、役者の見た目にほとんど変化がなく(さすがに服装は変わっていたけれど)、"半年後"でも全く違和感がない状態だった。字幕など挿入せずとも観客が「あ、時間が経ったんだね」とわかるのが本当の映画ではないかと思うし、そういうところこそ監督の腕の見せ所だと思うのだが、お金がないのか、技術がないのか、知恵がないのか、いくらなんでも不自然過ぎる絵になっていた。これは監督が悪いのではなく、プロデュースサイドの問題かも知れないが、どっちらけである。
この作品でもうひとつ残念なのは脚本だろう。原作未読なのでどこまで原作に忠実な脚本なのかわからないし、実際は脚本補助がほとんどの作業をやっている可能性も小さくなく(いわばゴーストライター)、内情をうかがい知ることはできないのだけれど、クライマックスの配置が悪い。助さん格さんが大暴れして印籠を出すのが20:30では困ってしまうわけで、クライマックスはクライマックスの時間帯に収まっていてもらう必要がある。ところが、この映画の脚本ではその位置が若干前より。おかげで感動が宙に浮いてしまった感じがする。
展開自体全く新しいものはなく(このストーリー展開のデジャヴ感は何だったのだろう、と考えていたら、山田詠美の「蝶々の纏足」だった)、一言で表現すれば「ベタ」なんだけど、それでもそれなりにジーンとしちゃうのがちょっと悔しい。
それにしても芸人はモテてモテて大変だと思った。売れなくても長澤まさみと付き合えるなら素晴らしい。評価は☆2つ。
#余談その1:試写会に売れない(?)芸人さんがゲストで来てました。せっかくなので写真を撮ってあげました。
二枚目の写真でイベントプロデューサーがカメラを構えていますが、撮影された写真はこちらです(元データは
これ)。真ん中あたりにいる白い上着が僕。
#余談その2:僕のレビューがKindle本になりました。「映画ヒッチハイク・ガイド 2011年公開映画編」をよろしくお願いいたします。