2014年09月11日

割引制度徹底攻略ガイド その2 神戸屋の割引

もっと頻繁に更新するつもりだったのに、約10ヶ月放置した挙句の「その2」である。

「その1」で取り上げたのはユニクロだったのだが、その中で唯一定価で買っても良いと述べたのが錦織圭モデルの商品である。先日の全米オープンにおける錦織選手の活躍によって、ほぼ売り切れの状態のようだ。

<錦織決勝進出>ウエアもラケットも売り切れ状態
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140907-00000050-mai-soci

「その1」を読んでいた人なら、売り切れになってしまって臍を噛むといったことにはなっていないと思う。もちろん、私も購入済みなので、売り切れも大歓迎である。さて、そんなお役立ち情報満載の本連載、第二回は神戸屋である。

神戸屋はパンの製造・販売をメインにしたフード・サービス業者で、売上に占める菓子パンの率は50%を超えている。同社が鉄道会社と連携して駅構内に展開しているフレッシュベーカリー神戸屋は全国で57軒に及ぶ。

フレッシュベーカリー神戸屋の割引で最も目につくのが、ユニクロでも実施されていた在庫処分型の割引である。要は、売れ残ってしまいそうな日持ちしない商品を閉店までに捌き切ってしまおう、というものだ。神戸屋の割引で面白いのは、時間によって割引率が10%>20%>30%>40%と、徐々にアップしていくことで、閉店時間が近くなればなるほど、割引率は大きくなる。当然のことながら、私にとってのフレッシュベーカリー神戸屋は、22:00頃に40%引きで買うのが当たり前で、平時に定価で買うなどありえない店となった。

さて、このフレッシュベーカリー神戸屋の割引だが、最近になって大きな変化があった。閉店間際になっても、割引率が20%までしか上がらないのである。その方針転換が何に起因するのかは不明だし、私が使っている店だけなのか、全国的な方針なのかも明らかではないのだが、少なくとも私がいつも利用している店舗では、これから数ヶ月の間、店と消費者の間で我慢比べが続くことになるだろう。

通常、在庫処分型の割引は、消費者も半ば定常的な割引と認識するので、消費者が一度それに慣れてしまうと、店舗側からの消費者の再教育は非常に難しい。「あの店は閉店間際になると必ず4割引になる」と認識されてしまったら、その割引率を低く抑えたとたんに、消費者は離れていってしまう。実際、消費者の一人(年収1000万円以上の医師)に話を聞いてみたところ、「神戸屋のパンは普通に買うと高すぎる。40%オフじゃないなら絶対に買わない」とのことだった。おかげで、現在のフレッシュベーカリー神戸屋は、閉店間際になっても商品が山積みになっていて、店はガラガラである。




この我慢比べがいつまで続くのかは、方針変更の理由によるのだが、それがわからない以上、消費者としては20%という数字にそっぽを向き続けるしかない。本来、方針変更が本気なら、フレッシュベーカリー神戸屋はきちんと「これまで最大40%だった閉店間際の割引を、これこれしかじかの理由によって20%へと変更しました」という内容のリリースを出すべきなのだ。

#もちろん、リリースを出しても、客が戻るとは限らない。

今後、フレッシュベーカリー神戸屋が閉店間際の割引に対して取りうるプランは次の3つである。

1.割引率を元に戻す
2.売れ残りが発生しないように、生産量の適正化に向けて努力する
3.「売れ残り上等」で現状を維持する

どの行動に出るのかは現時点では予想がつかないのだが、これまで閉店間際の40%割引を愛用していた方は、「フレッシュベーカリー神戸屋のパンが大好き!唯一無二のパンで、他の店のを買うなんて考えられない!」ということでもない限り、20%割引のパンは買うべきではない。もともと、必要のない割引なら実施するはずがないので、何か大きな変革でもない限り、一度投入して恒常化した割引を変更する理由がない。「ちょっと売上が伸びない。割引が大きすぎるのではないか」といった、単なる思いつきによる方針転換である可能性もあるので、当面は様子を見たほうが良い。経営者の思いつきなら、しばらく我慢すればまた復活するはずである。

ちなみに神戸屋は在庫処分型の割引の他にリピーター誘発型のポイントカードサービスを実施している。こちらの有効期限はきちんと確認した方が良い。ただ、スタンプを集めても実質約5〜7%の割引(3000円以上購入して150円、6000円以上購入して350円、9000円以上購入して600円の段階的割引)なので、これまで40%割引で買っていたパンを20%割引で購入するのは損である。

関連エントリー
割引制度徹底攻略ガイド その1 ユニクロの割引
http://buu.blog.jp/archives/51418739.html  

Posted by buu2 at 12:00Comments(4)TrackBack(0)割引制度

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2013年11月17日

割引制度徹底攻略ガイド その1 ユニクロの割引

ときどき「元木の専門は何なんだ」と言われるのだが、要は分析屋で、その対象が色々なので、本当の専門は何なんだと聞かれてしまう。その分析対象の一つが「割引制度」で、ある道路関連の公団が政治家の圧力を受けて割引制度を導入せざるを得なくなった時、その制度設計をやったのが私である。その「パスポート」という割引制度は公団始まって以来のヒット商品となり、担当者には金一封が出るという異例の事態となった。私はその後二年間にわたって、その公団の割引制度の設計に携わった。この当時(1998年)から今に至るまで、多分日本で唯一の割引制度の専門家である。

さて、その割引制度だが、これまでは投入する側の立場に立って、各種のB to B、B to Cの事業主に対してコンサルティングを実施してきた。今回は、ブログを通じて、巷にある割引制度の使い方について事業主のみならず利用者の視点からも情報発信していくことにした。こういう分析を公表してしまうと、これまで何の気なしに割引に誘導されていた顧客が「賢いお客」になってしまい、割引の効果が薄れ、割引制度自体の見直しにつながったりする危険性があるのだが、こんな辺境のブログであればそのインパクトはそれほど大きなものになならないだろう。このブログの読者だけの耳寄り情報ということである。

さて、第一回は、ユニクロである。

ユニクロの割引の基本は「潜在需要現地顕在化型」と分類される。このタイプの割引はスーパーや大手家電量販店などの折込広告で頻繁に実施されているもので、割引されている目玉商品を誘引素材として来店を誘発し、その顧客に割引製品とは別の商品を追加で購入させることを狙ったものである。

ユニクロはほぼ毎週、ネットと店頭でチラシを配布しており、そこには「特別限定価格」や「1日限り」、「◯月◯日まで」といった文字が並んでいる。「お、これ、買おうと思っていたんだ」と想った顧客は店頭に赴き、その商品を手に取ると同時に店頭に並んでいるその他の商品も手に取り、気に入れば買い物かごにいれるのである。

さて、この種類の割引制度の攻略法は非常に簡単で、「割り引いていないものは買わない」ということである。その隣で定価販売されている商品は、来週には「4日間限定」などと称して割引になるかも知れないのだ。近所にユニクロがあって、頻繁に買い物に行ける人なら、割引されていない商品は購入すべきではない。
なお、ユニクロではこういった割引の他にいくつかの別のタイプの割引がある。代表例は「在庫処分型」と「イベント型」である。

「在庫処分型」は売れ残りをたたき売りすることである。衣料品の場合、季節ものの商品が多いので、秋口になってもドライタイプが売れ残っていたり、あるいは春になってもヒートテックが売れ残っていると邪魔で仕方がない。どうせ来年になれば新しい商品が投入されるので、さっさと売りさばいてしまった方が、保管料や廃棄料よりも安くつく。このままではお金を支払うべきところ、お金をいただけるのだからユニクロとしてもこんなにありがたいことはない。こういった在庫処分型の割引商品はお買い得が多いので、保管しておくスペースがあるのなら、通路に置かれている金属ラックに並んでいる在庫処分商品をチェックしておいて損はない。

イベント型とは「創業祭」のような文字通りイベントでの大安売りである。このケースは賑やかし、知名度アップ、好感度アップなどイメージ戦略が中心になっていることが多く、「創業祭に行くと得みたいだ」という雰囲気を創りだす。あわせて在庫処分なども行われるし、「先着◯名様限り」のような潜在需要現地顕在化型割引を連動させることも普通である。さらに、創業祭の期間だけ利用できる割引クーポンを配布したりもしていて、イメージの向上に向けた努力に余念がない。この創業祭であっても、もちろん割引商品以外は買うべきではない。

では、ユニクロで、定価で買っても良い物には何があるのか。最近私がユニクロにおいて定価で買ったものには、錦織圭モデルのジャージがある。大型店とネットでの限定販売商品で、すでに完売である。この手の商品は大型店には並ぶので、主要大型店の店頭で売れ行きをチェックし、サイズに欠品があるものなど、いかにも売れていそうな商品は割引の対象になる可能性が低い。こういった商品は、割引されていなくても、気に入ったのなら買っておいて損はないだろう。  
Posted by buu2 at 12:14Comments(0)TrackBack(0)割引制度

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