ウィスラー二日目の午前中は学会の視察。スキーは午後から。
会場からすぐそばのところに、バンクーバー在住の友人がおすすめのレンタルショップ「スパイシー」があるので、そこへ行ってスキーをレンタル。ブーツをレンタルで済ませるのはちょっと考えにくかったので、家からブーツだけは持ってきたのだけれど、バーンの状態や雪質もわからないので、板はレンタルでいっか、という方針だった。一体どんな板を貸してくれるのかな?と思っていたら、まず「ノーマルか、エキスパートか」と聞かれたので、いくらスキーのメッカでも、技術的には上の方だろうと思って、「エキスパート」と返答。次に「パウダータイプか、カービングタイプか」と聞かれたので、迷わず「カービング」と返答。すると、出てきたのはオガサカの赤い板だった。オガサカは10年以上前にトライアンを履いていたけれど、それとも違う、良くわからない板。競技の人間はほとんどのメーカーの板を知っているし、履いたことがあるけれど、残念ながらGSモデルとSLモデルしか履いたことがない。なので、これがどんな板かもわからず、とりあえず「オッケー、オッケー」と言っておいた。ポールは普通に120センチにした。
先発隊の東大のお医者さんたちは前日に滑っているので、彼らについていくことにした。まず、リフト券を購入するのだけれど、リフト券が結構高くて1万円ぐらいする。半日券だとちょっとだけ安いけれど、それでも8,000円ぐらいである。さすが高級リゾートである。先発隊の皆さんはスキーできそうなときにやる、という作戦のようで、毎日様子を見つつ、道具をレンタルしているそうで、彼らがレンタルするのをゴンドラ前で待っていた。
総勢7名が揃ったところで、ウィスラー側のゴンドラに乗車。途中に中間駅があって、トータルで15分程度。街は雪なんてこれっぽっちもないけれど、ゴンドラの終着駅は天候は雪、バーンコンディションはパウダーである。
さて、では早速スキーを履いてゲレンデに・・・と思ったら、まずは食事らしい(笑) この辺りが体育会としては考えられない事態なのだけれど、団体行動なのでご飯を食べることにした。ゴンドラ駅のすぐ隣にでかいレストハウスがあって、色々なものが食べられる。ごった返している中で立ち尽くしている子連れの日本人がいたのだが、それを見つけたお店が日本人の店員を手配して対応させているのを見て感心した。どうやら、日本だけではなく、中国、韓国、ドイツといったあたりのネイティブスピーカーをちゃんと配置しているようだった。ちなみにカナダは英語とフランス語は普通に通じる。
料理はというと、僕が見た中で美味しそうだったのはハンバーガーやサンドイッチ系だったので、ローストビーフサンドを食べてみた。
ちなみに、これでもハーフである。今やっている学会はメタボとかが主要テーマの一つなので、お医者さんたちと、「こんなの食ってたら、すぐにメタボになりますよね」「うんうん」などと話しながら食べた。隣の席のお医者さんたちに人気だったのはフォーのようなラーメンのような食べ物だったのだけれど、あまり美味しそうではなかった。
食べ終わって、ようやくスキーである。もう、時間は14時を過ぎている。聞いてみたら昨日もこんな感じだったらしい。さて、ゲレンデに出るにあたり、「間違って僕より上手な人がいたらどうしよう」と思ったのだが、3分で杞憂だったとわかった。というか、スキー場全体を見ても、「あ、こいつ、うまいな」と感じるようなスキーヤーがほとんどいない。多分、彼らはこんな時間に、こんな緩いバーンで滑ることはないのだ。
初心者のボーダーがメンバーに含まれていたこともあり、クワッドを二本、6人乗りを一本滑ったくらいでもう夕方である。一般ピープルのスキーとはこういうものなんだろう。僕はといえば、板の調子がようやくわかりはじめたところで時間切れだった。
板のことを言うと(といっても、モデルとかわからなくて、赤い板、というだけなので何の参考にもならないと思うけれど)、まず物理的に軽い。競技用のスラ板は「軽いなー」と思うし、今履いているアトミックのD2も軽いと思うけれど、それに比較してもかなり軽い。それから薄い。薄くて、返しが弱い。悪く言うと、ベニヤ板みたい(笑)。あと、エッジが立っていない。別に88度にしてくれとは言わないけれど、角を立てたら切れるぐらいには調整して欲しい。これらの要素が整っていないので、ちょっとスピードが出たところでクンっと踏んだら、いきなり踏み抜いた感じになってびっくりした。さすがに慣れてくれば踏み抜いたりはしないのだけれど、ポジションを慎重に選ばなくてはならないし、スピードも抑えなくてはならない。何よりスピード耐性が非常に弱いので、怖くてスピードを出すことができないのである。コブなどでは板が良くずれるので、クルクル回すことができて滑りやすいのは間違いないのだが、僕はそういう滑りよりも、ハイスピードでサクサク滑ることができたほうが良い。あと、ポールの手革もよれよれで持ちにくい。
レンタルスキーショップとしては良い店だと思うので、やはり競技スキーヤーは多少荷物が増えたとしても、やはり自前の板を持って来るべきだ。
ということで、あっという間にリフト終了の16時になってしまったので、下山することに。標高が低い地点まで降りてくると、そこそこ寒いけれど、雪は腐っていて滑りにくい。こればっかりは仕方がない。初心者と一緒ということもあり、林間コースを中心に滑って、ゴンドラ駅まで降りてきた。あとでチェックしたら、ゴンドラで降りてきてしまうスキーヤーもそこそこいる様子だった。
スキー場について感じたのは、まず、日本のスキー場と大きく異る部分はそれほどない、ということ。もっと全然違うかと思っていたけれど、そうでもなかった。でも、完全に同じでもなくて、一番違うのは、リフトの長さ。とにかくひとつのリフトが長い。感覚的には日本の3倍ぐらいあると思う。それから、リフトの通っている高さがかなり高くて、落っこちたらただでは済まない感じ。森林限界よりも低い標高のゲレンデの景色はそれほど日本と変わりないけれど、それでも「ここから先は滑るのは勝手だけれど、パトロールは探しに行かないよ」と書いてあったりする。森林限界よりも上は禿山に雪が積もっている状態なので、どこでも好きなようにどうぞ、という感じだけれど、自信のない人用にきちんと安心コースが設定されている。雪質は、上の方はパウダーだけれど、ゴンドラの中間駅よりも下はかなり水分を含んだ雪で、滑っていて爽快感はない。
滑っている人たちは、スキーとボードが半々か、ややスキーヤーが多いかな、という具合。最大の特徴はほぼ全員がヘルメット着用という点で、日本だと着用率はまだ50%ぐらいだと思うけれど、ウィスラーはほぼ100%がヘルメットである。これは森林限界よりも上で滑るとあちこちに岩が出ているからかも知れない。人気ブランドはPOCで、決して安いブランドではないけれど、子供を中心に、かなりの使用率だった。また、ヘルメットの上にカメラを装着している人も結構いた。着脱が簡単なら、僕もつけてみようかな、と思った。
ホテルに戻ると、枕の下に置いた1カナダドルがベッドのサイドテーブルの上に置かれていた。チップは枕の下ではなく、上に置かなくてはならないようだ。悪いことをしたな、と思いつつ、着替えをして、夜ご飯の材料を調達しにスーパーに向かった。スーパーはかなりバカでかくて、ほとんどのものは揃う感じ。ただ、ホテル(ヒルトン)の部屋についている台所セットがそれほどしっかりしていないので、レンジで温めるだけのペンネ、アスパラ、スパゲッティーニ、パスタ用トマトソース、ハム、生卵、辛味調味料を購入。折角カナダなのでメープルシロップも、と思って探したら、なぜか好きなアンバーがなくて、ミディアムだけだったので、スルー。
なぜか五輪色が感じられないのは売店も一緒で、別のスーパーで一軒だけ、五輪関連のピンズを売っている店を見つけたので、そこで自分用に3個ほど購入。
ホテルに戻ってパスタを茹でようと思い、一番大きな鍋に水を張って、IHヒーターをオン・・・・と、これが全然沸かない。30分経ってもダメなので、小さい気泡ができるぐらいで諦めてパスタを投入。途中で小さく切ったアスパラを投入し、ちょっと長めに12分ほど茹でてみた。パスタを一本すくって噛んでみたら、やっぱり芯が残っている。それでさらに3分ほど茹でて、パスタとアスパラの様子を見たら、なんとか食べることができそうなので、ザルにとって、水を切って、ソースをかけて食べてみた。生涯で作ったパスタの中で、一番まずいパスタができあがった。非常に残念な気分で夜ご飯を済ませて、さっさと寝ることにした。