2016年10月05日

(若手)研究者が研究を続けたいなら、やるべきたった一つのこと

●研究者の運、不運
日本人がノーベル賞を獲るたびに、「科学系の予算が減っていて困っている」という日本人研究者たちの嘆きが聞こえてくるのだが、「お前ら、そろそろ気がつかないと馬鹿のレベルだぞ」と思う。君たちのためのお金は、もう日本にはほとんど残っていない。よっぽどの馬鹿が財務省の主計官にならない限り、大幅な予算増は望めない。また、仮に増額されたとしても、君たちの懐は全然暖かくならないだろう。それでも文句を言うことしかできないって、本当に気の毒だ。気の毒って、置かれた状況が、ではなく、頭の中身が少なくて気の毒なのである。

今、ノーベル賞を獲っている人たちは、実力だけでなく、運も良い人たちだ。

山中さんでも、利根川さんでも、大隅さんでも、第二次世界大戦の時代なら、どんなに能力が高くても、まともな研究はできなかっただろう。多分、これは誰もが同意できるのではないか。戦争で国が貧乏なら、科学どころではない。科学には金が必要だ。つまり、国に余裕が必要なのだ。良く「人材育成が必要で、貧乏だからこそ基礎科学が必要だ」という趣旨の能書きを目にするのだが、これまで大学はそういう活動をほとんどしてこなかったし、人材を輩出してこなかったのではないか。だからこその、今の日本経済の低迷なのだ。

山中さんについては例外だが、ほとんどの研究者のノーベル賞に至るまでの業績は、海外での研究か、バブルがはじける前の予算によるものだ。その頃と今とでは、状況が大きく異なっている。今は戦時とは異なるが、高度成長期やバブルの時代とも明らかに異なる。残念なことに今の研究者は運の悪い人たちだが、その運が今後良くなる可能性はかなり低い。

国に金がない、というのは科学に十分な(?)予算が配分されない理由の一つだが、他にも二つ要因があって、それは、「科学にはこれからもどんどん金がかかり続ける」ということと、「科学の価値が下落している」ということだ。

科学に金がかかる、というのはもうだいぶ前からで、僕が理研のゲノム科学総合研究センターの事務方をやっていたときから、すでにヒトゲノム計画とか、タンパク3000とかで膨大なお金を使っていた。DNAシークェンサーなどの技術開発スピードがすごいのは喜ばしいことだが、それに合わせて必要な投資額もどんどん増えている。米国が潤沢な資金で研究を推進する以上、それに対抗するためには同じか、それ以上の投資が必要になってくる。アイデアがほとんどで、お金は全然要らない、という研究は数学ぐらいに限定されていて、残念ながらノーベル数学賞は存在しない。「これからも国家としてノーベル賞を獲り続けたい。あわよくば自分の研究や、自分の後進の研究で」と思う研究者もいるかもしれないが、その可能性は日本にいる限り非常に低いだろう。

また、科学の価値の下落については、3年前に、「科学の価値は?」という記事の中で科学の価値の非普遍性について次のように書いた。

科学の価値は一定ではない。多くの人々は、その価値が不変だと思ってはいないだろうか?しかし、そんなことはない。科学は生活を豊かにする手段である。その価値が過去において高かったとしても、今も高いとは限らない。そして、その価値が大きく下がっていく局面に、僕たちはそろそろさしかかっているんじゃないだろうか?

ブログでバイオ 第82回 「科学の価値は?」
http://buu.blog.jp/archives/51415573.html(註釈1)

僕はこの仮説にかなりの自信を持っているのだが、これが正しいとすれば、科学へ投資することに対する日本人の意欲は、今後も減衰していくだろう。

この他にも、少子高齢化が進んで、社会保障に必要なお金が増え続けているといった社会環境もある。米国の都市部を歩いていると頻繁に妊婦と出会うのだが、日本ではそういうことがない。日本社会には、明るい兆しが何一つ見当たらない。そして、それはそのまま日本の科学に対する逆風でもある。ところが不思議なことに、自分たちの研究費が削られていくことと、日本の経済状態をリンクして考えることができる研究者は非常に少ないようだ。自分の専門領域のことにしか興味がない人種を専門馬鹿という。

●研究の個人性と公益性
また、研究者たちが理解すべきことに、研究は極度に個人的なもので、公益性が低いということがある。要は、研究なんてプラモデルを作ったり、麻雀したり、野球をしたり、釣りをしたりしているのと大差ないということだ。この認識を共有することがまずスタートで、その上で、なぜ研究に税金を投入しなくてはいけないかを考えなくてはならない。

「いや、科学は公共の利益に資する」というのなら、それを提示する必要がある。しかし、残念ながら公共の利益につながった研究は、最近ほとんど目にすることがない。僕が専門のバイオ・ベンチャーだけを見ても、古くはアンジェスMGに始まって、オンコセラピー、さらには最近株式公開に至った会社まで含めても、創薬に成功した会社は一つもない。公開後の初値や、直後に記録した最高値を維持することも困難な会社ばかりである。本庶佑さんなど、いくつか期待が持てる研究者はいるものの、これまで投資してきた金額を考えると砂漠に水を撒いていたようなものだ。

前項で書いたように、今、ノーベル賞を獲っている日本人研究者のほとんどは、1990年代のバブル経済によって好き勝手に実験できた人たちだ。その研究者たちと、今の研究者が置かれている状況は全く異なっている。また、実験にかかる費用も異なっている。実験機器は大型化し、導入コストも、ランニングコストも高騰している。大量のデータをアウトプットしなくてはならず、労働力も必要だ。つまり、国の金はなくなってきているのに、実験にはどんどん金がかかるようになってきている。

ガソリン代が高くなってきているのに収入は減ってきて、おまけに車が古くなってきて燃費が悪くなってきているような状態だ。これでは、車でどこかへ遊びに行くなどはもってのほかである。

それでも、研究者たちは馬鹿の一つ覚えで「金をくれ」と言い続けている。やれやれ。貧すれば鈍するの言葉通りである。君たちの研究資金のほとんどは税金が原資なんだよ。君たちは国に向かって「金をくれ」と言っているつもりかもしれないけれど、実際は国民に向かって言ってるんだよ。

プラモデル作りにも、麻雀にも、野球にも、釣りにも、一定の必要性は存在する。同様に、研究にも必要性は存在するだろう。しかし、大金をつぎ込むほどの必要性があるのか、という、プライオリティの問題になってくると、話はいきなり不透明になってくる。電車のホームに柵を作って自殺者を減らしたほうが良いのではないか、国民みんなが等しく健康的な暮らしを続けていくための出資のほうが重要なのではないか、リニアモーターカーを作って東京名古屋間を40分で結ぶほうが重要なのではないか、国立競技場を作って東京五輪に備えたほうが良いのではないか。比較すべき話は山ほどある。そして、こうした山ほどの案件を精査して優先順位をつけているのが財務省だ。色々な考え方はあるだろうが、僕は近年の財務省の科学に対する姿勢はそれほど冷淡だとは思わない。科学の予算が今すぐなくなっても人の命が短くなることはないが(註釈2)、社会保障費が減額されたら、これまでなら生きていられた人が死ななくてはならない可能性も少なからずある。そうした状況にあっても、科学技術振興だけで1兆3千億円も出しているのである。

研究者たちは何か特別なことをやっているつもりなのかもしれないが、個人的な好奇心を満たすために、税金を使って研究しているに過ぎない。そりゃぁ、他人のお金を使って、自分の好きな研究ができればこんな幸せなことはないだろう。

●ある家族の状況
ある家族を想定してみよう。3世代家族で、50歳前後の夫婦と寝たきりの祖父、20代前半の子供の4人家族だ。夫婦の所得はそれほど多くなく、祖父の面倒を見なくてはならず、生活は苦しい。それなのに、20代の子供は全く働こうとせず、競輪競馬と宝くじの購入にせいを出していて、良い加減にしろとしかると「これで1億円が当たれば、家族みんなで楽ができる」と言うばかりである。バイトをして金を稼げと言えば、「そんなくだらないことで貴重な時間を浪費したくない」と言い、もっと可能性の高いことをやれと言えば、「俺は競馬が好きなんだ」と言って聞き入れない。そして、小学校時代の同級生で大金持ちの息子を例に出して、「俺もあいつの家に生まれれば良かった。好きなことをやっても誰にも文句を言われずに済んだのに」と嘆いている。

これが、そのまま、日本の研究者の状態である。もちろん、研究者は、20代の子供だ。金になるかどうか全くわからない遊びが、研究である。バイトは大学における事務仕事だ。大金持ちの幼馴染は米国の研究者である。

今はこれでも生活が成り立っているが、50代の夫婦もいつまで働けるかはわからない。今後の見通しは全く立たない。

この家族の例で、子供がギャンブル生活を継続するためにはどうしたら良いのだろう。一番簡単なのは、幼馴染の家の養子になることだ。それが無理なら、乞食になって、お金を恵んでもらう手もあるだろう。大金持ちに上手に取り入って、お小遣いをもらうという手もありそうだ。しかし、どれもこれもまっとうに自分の力で生きていくわけではない。科学者とは、そういう人種なのだ。

この中で他人に迷惑をかけずに安定した生活が続けられるのは、金持ちの養子になることである。すなわち、米国の研究機関で研究を続けることだ。なぜ、多くの研究者がそういう手段に出ず、貧乏な日本という国で乞食みたいに「金をくれ」と言い続けているのか、僕にはさっぱり理解ができない。打ち出の小槌がどこかにあると思っているのだろうか。

もちろん、理想的な最善策は、この家族の収入が安定して増え続けることなのだが、今の安倍晋三自民党の経済政策、アベノミクスでは無理である。そのあたりはこちらに書いてあるので、興味があればこちらを読んで欲しい。

日本の向かう先
http://buu.blog.jp/archives/51522712.html

日本の成長力が低い理由
http://buu.blog.jp/archives/51522713.html

贈る言葉
http://buu.blog.jp/archives/51522714.html

また、「俺たちがやっているのは、本当に社会貢献なんだ」と強弁したい人は、こちらでもどうぞ。

明日はどっちだ?(引き続きの現実逃避)
http://buu.blog.jp/archives/51099611.html

●まとめ
(1)日本は貧乏
(2)科学は金がかかる一方で、そこに投資する余裕が日本にはない
(3)科学は以前のような価値が失われつつある
(4)そもそも、研究なんて所詮は個人の道楽
(5)道楽に「金をくれ」というのは貧乏人のいうことではない
(6)好きなことをやりたいなら、日本の外へ行け

●NIHなら
ここからは、僕の専門のバイオ分野に限った話になるのだが、医薬系バイオに限定すれば、NIHは世界でも有数の予算規模を誇っている。医薬系の研究を続けたいなら、NIHは有力な就職先である。だから、「研究費が減額される一方だし、研究環境は悪化の一途である。ノーベル賞研究者たちも改善を主張しているのだからなんとかして欲しい」と乞食の真似事をしている暇があったら、NIHへ行くべきだ。

もちろん、海外の脱出先はNIHの他にもいくつか候補があるのだが、残念ながら、NIH以外の場合は、僕は協力できない。あくまでも、NIHに限定した話だが、もしNIHのポストを確保できたなら、僕に相談すれば良い。どこに住んで、どうやって暮らしていけば良いか、これは研究とは別の話だから、研究者にとっては荷が重いかもしれない。そこは、僕がアドバイスするし、NIH周辺の日本人コミュニティを紹介することもできる。家族がいるなら、家族の英語力をどうやってアップさせるのかといった内容でも相談に乗ることができる。研究以外の場面では、可能な限り支援しようと思う。

米国にも差別はあるし、米国においては日本人は差別される側である。他にも、日本とは違う生活習慣がたくさんあって、誰でもそれなりにストレスは抱えるだろう。それでも、好きな研究を思う存分できるなら、文句はないのではないか?

沈んでいく船にしがみついていても良いことは何もない。溺れる前に、さっさと船を降りたら良い。自由と可能性を求めて外に出るか、乞食のままで溺れるか、あるいは研究を諦めて別の仕事に就くか、なのだ。

生物以外の領域については僕は良く知らないのだが、研究費が必要な分野なら、日本以外で研究できる場所があるはずだ。日本の歴史や文化を研究するとか、東日本大震災の影響を研究するといった例外を除けば、おおよそどの分野でも、日本を脱出するのが最善策だろう。自分の能力に自信があるのなら、生産的なことに時間を使った方が良い。金くれー、金くれーとTwitterでつぶやき続けているのはみっともないだけだ。

#ちなみに、NIHは博士取得から5年以内の制限がある。ということで、一応タイトルには(若手)と括弧書きしておいた。

(註釈1)科学の価値の下落について疑問を呈しているはてブがあったのだが、ここでリンクしている記事を読んでいないのだろう。

(註釈2)はてブを見ていたらここの文脈を読み切れない読者が数名いたようなので、ちょっと修正した。元は「科学がなくても人の命が短くなることはないが」だった。  

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2015年07月07日

「機能性表示食品って、何を食べたら良いの?」と困っている方にお伝えするたったひとつのこと

先月ぐらいから「機能性表示食品」 などというものが市場に出始めました。そのせいもあってか、ここ数日で「どれを食べたら良いの?」という話を何度か耳にしたので、昔、経産省時代にトクホの勉強をしていた立場から申し上げたいと思います。

まず、健康な食生活とは、多種多様な食材によるバランスの取れた食事と世界中の保健機関の見解は一致しています。日本、オーストラリア、カナダ、英国、米国などを調べましたが、バランスの良い食生活を推奨していない国は一つもありません。「バランス良く食べる」というのは大原則です。

次に、身体にとっての有効成分についてです。例えば食塩は身体に必須ですが、摂り過ぎても害になることが知られています。少なすぎても、多すぎてもダメで、適切な量を継続して摂取することが大切です。これは食塩に限らず、ほとんど全ての物質で言えることです。では、実際に高血圧とか、高尿酸とか、高中性脂肪とか、高コレステロールといった不具合が発生した時、どうしたら良いのでしょうか。日頃の食生活で塩分摂取やカロリー摂取に配慮するのは大切ですが、特定の食品によって生活習慣病の改善を図るのは、前述の「バランスの良い食事」という大原則に反してしまいます。例えば高中性脂肪を改善するために特定のお茶を飲み続けることは、すなわち偏食であり、バランスを崩しているのです。具体的に何か不具合が生じた場合に、特定の食品でそれを改善しようとするのは、逆に不健康な食生活を招くので避けるべきです。玉ねぎでも、にんにくでも、ウコンでも、じゃがいもでも、鯖でも、マグロでも、豚肉でも、どんな食材でも、たくさんの成分の複合体で、摂り過ぎたら問題が生じる物質がほぼ間違いなく含まれています。高中性脂肪を改善する目的で特定の食材を食べ続ければ、本来不要な物質まで摂取してしまうことになります。これは食材のみならず、調理法についても同じです。もし何らかの健康上の不具合が発見されたのなら、有効成分だけが配合されていて、適量がきちんと研究されている「薬」を利用するのが一番効率的です。

したがって、トクホにしても、機能性表示食品にしても、健康食品全般に言えることですが、どれもこれも、摂取し続けて健康になるものはひとつもありません。健康な食生活を送りたいなら、必要にして十分なエネルギー量と各種栄養素を確保し、健康な体重を維持できる、バランスの良い(すなわち、食材の産地や製造方法、調理方法など、あらゆる面で多種多様な)食事を摂るべきです。例えば長野県は、県を挙げての長期に渡る食生活の見直しによって、平均寿命の延長に成功したことで有名ですが、やったことは塩分摂取の制限と野菜摂取量の増大(特定の野菜を摂取するのではなく、野菜全般の摂取量を増大させ、肉に偏っていたバランスを改善しました)です。

そして、健康的な体重を維持していて、食生活もバランスが取れているにも関わらず各種健康指標に不具合があるのならば、特定の食品に頼るのではなく、薬を飲むべきなのです。

ということで、「トクホとか、機能性食品とか、何がなんだかわからない」という方が覚えておくべきは、これらの各種健康食品は、普通の摂取量では全部効かないし、効くほど摂取してしまったら逆に不健康である、ということです。もっとストレートに言うなら、

全部効きません

です。色々な能書きは覚える必要がありませんから、これだけ覚えておきましょう。たった7文字です。

もちろん、健康目的ではなく、「このトクホが好き」といった理由でそれを摂取することは、皆さんの勝手です。ただ、この手の食品は開発にそれなりにお金がかかっているので、その分が小売単価に上乗せされています。「高くて、健康に良いわけでもないけれど、食べたい」という人だけどうぞ、お召し上がりください。  
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2015年04月23日

株式会社ユーグレナについて調べたら、異常なまでの優良会社であることが判明

そろそろ日経平均も落ち着いてきたので、バイオ株への投資を再開しようかな、と思ったわけです。そこで、自分の専門分野に近い、健康食品会社の株式会社ユーグレナについて調べてみました。色々とユーグレナ(ミドリムシ)を配合している商品があるのですが、今回は同社が自ら展開しているユーグレナファームの緑汁について調べてみました。

商品の検討にあたっては、僕も愛用しているザバスのスーパーマルチタブを比較対象としてみます。

データの出典はこちら。

ザバス スーパーマルチタブ
http://www.meiji.co.jp/sports/savas/products/supermulti.php

ユーグレナ 緑汁
http://www.eu-glena.net/kitai/hikaku/

比較表はこちら。
midorimushi


うわー、これは凄い。ユーグレナとザバスで100円あたりの摂取栄養素量を算出して、ザバスを分母に指数化してみたのですが、ほとんどが小数点以下第2位。つまり、同じ金額を消費者が支払った時、ユーグレナの方が10倍以上コスト高ということです。このことからわかるのは、ユーグレナ社がとてつもなく商売が上手ということ。だって、消費者は、ザバスに比較して10倍以上も非効率な商品を喜んで買っているということですから。これは、広報戦略の賜物。原野商法ほどではないでしょうが、利益効率が抜群によろしいと予想されます。これは、買いだわ。

注釈1 あくまでも、投資家目線の話です。消費者目線では、全く別の解釈が可能かも知れません。

注釈2 僕は、ユーグレナの株は買うかもしれませんが、商品は買わないと思います。

注釈3 ユーグレナ配合の食品も食べないと思います。僕は正常な食生活なので、栄養に偏りがあるわけでもなく、また、できれば美味しい料理を食べたい人間で、何が悲しくてミドリムシなんか食べなくちゃならないんだよ(笑)、と思っています。あ、これは料理評論家目線の話です。

注釈4 この会社への投資会社として成毛眞さんのインスパイアがあるわけですが、彼とか、彼のマブダチのホリエモンとかが時々ユーグレナ社に言及してくれるのも心強い点です(あ、これは投資家目線ね)。

注釈5 え?食べても不味いし、栄養素的にも大したことがないとバレたら株価が暴落するんじゃないかって?投資は自己責任で、ぜひ。「この株を買え」と推薦しているわけではありませんので、あしからず。  
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2014年05月01日

総統閣下はお怒りです 番外編「科学は誰れのために」

モリタック:理研、凄いことになっていますよ。

新たな万能細胞「STAP細胞」の論文に不正があったとされる問題で、理化学研究所の調査委員を務めた研究者3人の過去の論文にも疑義があるとの指摘が各所属機関に寄せられていることが分かった。

出典:STAP論文:理研調査委にまた疑義 研究者3人
http://mainichi.jp/select/news/20140502k0000m040069000c.html

閣下:ひとこと、正直者がバカを見る、という事態だけは避けないとだな。忌野清志郎の名曲「JUMP」をもとにパロディをつくろうと思ったんだが、どこも変える必要がないよ。全てのまっとうな科学者の心境じゃないか?

JUMP 忌野清志郎 歌詞


関連エントリー
超訳!昨日の記者会見
http://buu.blog.jp/archives/51433707.html

総統閣下はお怒りです「ノーベル賞の使者」
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ネイチャーに掲載されて有名人になるためのガイドライン
http://buu.blog.jp/archives/51430988.html

STAP細胞の一件で得られた博士論文に関する知見と、その対策案
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STAP細胞の一件で得られた博士論文に関する知見と、その対策案
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総統閣下は充電しております STAP細胞大特集
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なんか、STAP細胞はこんな感じになってきてしまいました
http://buu.blog.jp/archives/51430685.html

STAP細胞に関する再現性実験がなかなか成功しない理由を邪推してみる
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医学・生物学系疑惑の関係者たちの思惑を想像してみる
http://buu.blog.jp/archives/51429620.html  
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2014年04月10日

超訳!昨日の記者会見

STAP細胞って何なの?生物なんて高校卒業以来やってないから、何が何だかわかんないよ、という生物音痴の人でも理解可能なように、昨日の会見を超訳してみました。


UFO目撃問題でNASDAに不服を申し立てた小保方氏が行った会見の主なやりとりは次のとおり。

 ―UFOは存在するのか?
存在する。私は目撃するコツを知っているので、今度、新聞で発表したい。

 ―これまで何回目撃したのか?
200回以上目撃している。

 ―UFOの写真は何枚持っているのか?
大量にあり、何百枚という単位だ。

 ―環境が整えば、UFOをテレビカメラの前に呼び出すことができるのか?
私の判断では何一つ決めることができない。協力はしたい。

 ―UFOの画像をフォトショップで加工した経緯は?
フォトショップでの加工は良くやっていたので、今回の画像が加工したものだとは気が付かなかった。

 ―調査委員会の報告書では、UFO目撃日記はたったの2冊とのことだが?
実際には他に4、5冊ある。

 ―NASDAの仲間たちへの思いは?
こんなことになって申し訳ない。

 ―NASDAは今回のUFO目撃レポートの撤回に小保方さんが同意したと伝えているが?
同意していない。

 ―気球や飛行船の写真が混入していた可能性は?
そんなものは一目見ればわかる。

 ―不服申立ての経緯は?
弁明の機会が少なかった。

 ―捏造指摘後はどう過ごし、体調はどうか?
外出もままならず、絶不調だった。

 ―他にUFOを目撃した人はいるのか?
第三者が独立して目撃しているが、ここで個人名を発表することはできない。

この記事は、時事通信社「小保方氏会見の一問一答」をもとに作成

関連エントリー
総統閣下はお怒りです「ノーベル賞の使者」
http://buu.blog.jp/archives/51432975.html  
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2014年04月03日

総統閣下はお怒りです「ノーベル賞の使者」

モリタック:閣下は、今話題の理研で働いていたことがあるんですよね?

ヒロッコ:しかも、広報室よ(笑)

モリタック:おお、じゃぁ、まさに今批判されている部署に所属していたのですね!

閣下:そういうことになるな。

モリタック:閣下は、今度のSTAP細胞問題は、どう感じているのですか?

閣下:もうすでに、いくつか茶化すエントリーを書いたから、それでも見ておけ。

ヒロッコ:これとか、

なんか、STAP細胞はこんな感じになってきてしまいました
http://buu.blog.jp/archives/51430685.html


ヒロッコ:これとかですね。

ネイチャーに掲載されて有名人になるためのガイドライン
http://buu.blog.jp/archives/51430988.html


モリタック:なるほど!これを読むだけでネイチャーに掲載されるんですね!!

ヒロッコ:あんたね、閣下がこれを書いたのは、あんたの論文をネイチャーに載せるためじゃないのよ?

モリタック:やはり、私は一生ここで下っ端生活なんですね・・・

ヒロッコ:そういう意味じゃないわよ。

ノブポン:それにしても、閣下はどのように感じていらっしゃるのか、理研と産総研の両方の組織に通じている、すなわち文科省と経産省の両方に通じている立場から、ぜひご意見を拝聴させていただきたく、よろしくお願い致します。

モリタック:(ノブポン、久しぶりの登場だな・・・)

閣下:実際のところ、小保方さんの研究者としてのレベルはひどいと思うが、別に珍しいことでもないだろう。博士のレベルについては過去にこんなことを紹介したことがある。

ちょっと見かけた博士
http://buu.blog.jp/archives/50363925.html


モリタック:ははぁ、酷いものですね。

ヒロッコ:あんたにわかるの?

モリタック:もちろん・・・

ヒロッコ:わからないのよね?

モリタック:ご明察。

閣下:今回は理研、ネイチャー、記者会見と色々な要素が合わさって、大きな騒ぎになったけれど、あくまでも氷山の一角だろう。

モリタック:そうなんですね。

閣下:そんなことよりも、今回の問題の背後には大きな問題があるから、俺達はそれを共有しておく必要がある。

モリタック:やはり、色恋の戯言ですかっ!?

閣下:もちろん・・・

ヒロッコ:違いますよね(笑)

閣下:うむ。ネイチャーのサイトのトップを見てみろ。

ヒロッコ:あたたたた・・・・野依さんが頭下げている写真が・・・。

nature

出典:Stem-cell scientist found guilty of misconduct

閣下:でもな、これは仕方ないところだ。野依さんも自業自得なところがある。

ヒロッコ:そうなんですか?とばっちりのようにも見えますが。

閣下:理研の理事長なんていうポストに就いたからだよ。

モリタック:理研の理事長がなぜまずいのですか?

閣下:それを理解するためには、理研という組織を知っておく必要がある。

ヒロッコ:研究者の楽園ではないのですか?

閣下:それはあくまでも表向きだし、研究者サイドからの視点だ。国の視点から見た理研の実態は、文科省の予算消化組織に過ぎない。

モリタック:意味がわかりません。

閣下:これを理解するためには、今度は中央官庁が何をやる組織なのかを知っておく必要がある。

モリタック:何をやるのですか?

閣下:まず、一番偉いのが財務省だ。ここは、集めた税金の使い道を決める組織だ。

モリタック:家族で言うなら、お母さんですね。

閣下:そして、他の官庁は、財務省に頭を下げて、「こんなことをやりたいのです。お金を分けてください」とお願いするんだよ。

モリタック:ええええっ、お小遣いをせびるみたいですね。

ヒロッコ:全くその通りなのよ。

モリタック:そんな仕事なら僕でもできそうです。

ヒロッコ:でも、やっているのは日本の頭脳だからね。ライバルは強力なのよ。

モリタック:しょぼーん。

閣下:みんながみんなそういうことをやっているわけじゃないけれど、キャリア官僚の中でも優秀な奴の仕事はこれだ。予算の確保という。そして、たくさんの予算を確保した官僚が出世する。

モリタック:ほほう・・・

閣下:そして、官僚の仕事はこれで終了だ。

モリタック:なるほど。

ヒロッコ:あんた、わかってないでしょ?

モリタック:え??? わかってますよ。

ヒロッコ:じゃぁ、その確保した予算を誰が使うか、言ってみなさい。

モリタック:あれ?? えーーーと、自分で使うんじゃないんですか?

ヒロッコ:使うのは、官僚の仕事じゃないのよ。

モリタック:あれれれれ?? じゃぁ、お金は誰が使うんですか?

閣下:それを使うのが、理研のような予算消化組織だ。

モリタック:おおぉぉぉ・・・理研って、そんな組織だったんですね。天からお金が降ってくるのですか!!!

閣下:そういうことだな。ただ、寝ていればお金が降ってくるわけじゃない。理研は、官僚に対して「こんなことにお金を使うのはどうでしょうか?」とアイデアを出すんだ。

モリタック:なんだか、複雑ですね。

閣下:官僚も万能じゃないからな。どうやったら財務省から予算を引き出せるのか考えているわけだが、当然、知恵袋が必要だ。

モリタック:なるほど、なるほど。つまり、子供が「プラモデルが欲しい!」と言って、それを聞いたお父さんが、子供の代わりにお母さんに「息子にプラモデルを買ってあげよう。プラモデルを子供の頃から作っていると、良い技術者になるはずだから」とか何とか言って、お母さんを説得するわけですね。

ノブポン:つまり、財務省がお母さん、官僚がお父さん、理研が子供、ということですね。

閣下:そういうことだ。そして、理研という組織は、知恵を出す子供、すなわち研究者をたくさん抱えている。お金を使うアイデアは理研研究者>文科省>財務省と流れ、お金は納税者>財務省>文科省>理研研究者と流れるわけだ。

モリタック:研究費は、もともとは税金だったんですか!

ヒロッコ:やっとわかったのね。ここでちょっと面白いのは、お金を使うアイデアの方に「納税者」が出てこないところよね(笑)。

閣下:その視点はとても興味深い。これがつまり日本古来から伝わる「由らしむべし知らしむべからず」の精神を反映しているわけだ。ただ、今回のフォーカスはそこにはないのでスルーしておく。話を戻すが、文科省は「お金をください」とお願いするのが仕事だが、取ってきたお金を自分で使うことはできない。それをやってくれる組織の一つが、理研という組織だ。だから、「予算消化組織」なのだよ。

モリタック:ふむふむ。

閣下:さて、次に、なぜ野依さんのようなノーベル賞科学者が理研にいるのか、という話になる。

モリタック:なぜでしょう???

閣下:お金の使い道を決める財務省も、そこにおねだりに行く文科省も、科学については所詮素人だ。何しろ、牛耳っているのは事務官と言われる、東大法学部出身者を中心とした文系の役人たちだからな。その上、彼らは約2年に一度異動があるので、本当の意味での専門性は持っていない。彼らは、お金を要求したり、お金を配ったりする専門家であって、特定の科学分野の専門家ではない。

モリタック:すいません、ガンダムで説明してください。

閣下:ブライトはホワイトベースの指揮官で、「アムロ、ガンダムで出ろ」とか、「ハヤトはガンキャノンだ」とか、指示を出すことはできる。でも、自分でモビルスーツを操縦して、敵を倒すことはできない。つまり、モビルスーツを操縦したことがない素人が、モビルスーツを使った戦略を考えているわけだ。ガンダムのことも、ガンキャノンのことも、書類上では知っているけれど、実際にコックピットに座って戦うことはない。

モリタック:なるほど、わかりやすい!

閣下:そうすると、モビルスーツのパイロットも、ちょっとしたおりに不満を持つことになる。「ブライトさんはモビルスーツを操縦したことがないくせに!僕が一番うまくガンダムを使えるんだ!」とか。

モリタック:それで、「もうやらないからな!誰が二度とガンダムなんかに乗ってやるもんかよっ!!」ってなるんですね!

ヒロッコ:でも、そうするとアムロは仕事がなくなっちゃうのよ。

閣下:さて、そんな不平不満が渦巻くホワイトベースにシャアが指揮官としてやってくるわけだ。

モリタック:えぇっ!ジオンのシャアが連邦の指揮官に?

ヒロッコ:たとえば、の話よ。

閣下:シャアがブライトに代わって指揮を執ることになると、シャアはモビルスーツのパイロットとしても優秀なわけだから、「現場を知らないくせに」という批判は的外れになる。何しろ、シャアは指揮官であると同時に、一流のモビルスーツパイロットだからな。

モリタック:さすがは赤い彗星ですね。

閣下:その赤い彗星が、今の理研では野依さんであり、利根川さんなのだよ。

モリタック:??????

閣下:素人しかいない財務省や文科省に理研が送り込む最終兵器が、ノーベル賞科学者だ。

モリタック:通常の三倍の予算を確保するわけですか!!!やるな!!!

閣下:実際には、こうした一流の科学者をスカウトするのは文科省だから、「財務省・文科省」対「理研」という構図ではなく、「財務省」対「文科省・理研」という構図だがな。文科省と理研は一体で、理研の意思決定組織である理事会にはいつも半分近くの文科省天下り役人がいる。

モリタック:文科省と理研はズブズブの関係ということですねぇ。

閣下:そして、文科省は財務省に対して、「日本の頭脳である野依さんが、この予算が必要だと申しております」とつきつけるわけだ。

モリタック:つまり、財務省と文科省の戦いにおいて、戦闘を有利に運ぶためにスカウトされたのが野依さんということですか!

ヒロッコ:珍しく上手にまとめたじゃないの!!

モリタック:いつものことですヨ。

閣下:そういうわけで、理研は常にノーベル賞科学者という英雄を求めているのだ。これは理研に限った話ではないけれどな。日本人がノーベル賞を取ると、そのたびに、誰が一番最初に挨拶に行くかというレースが勃発する。

モリタック:プロ野球のスカウト合戦と同じようなことが起きているのですね。

閣下:パプティマス・シロッコにしても、ハマーン・カーンにしても、一年戦争以後に登場する優秀な指揮官は例外なく一流のモビルスーツパイロットでもある。だから、理研の理事長を野依さんがやっていてもおかしいわけではない。しかし、理研にしても、あるいは文科省にしても、あくまでも国の一組織であって、日本そのものではない。

モリタック:また話が難しくなりつつありますね。私にはわかります。

閣下:野依さんがやっているのは、研究開発予算の取り合いだ。彼の敵は経産省や厚労省だ。さらにややこしいのは、文科省の中でも予算の取り合いがあることだ。理研の敵は、文科省内部にもいる。それが東大とか、京大といった一流大学だ。

モリタック:敵だらけじゃないですか!!

閣下:そうだな。そういう敵だらけのなかで、野依さんは戦っている。だが、彼は本当は研究費という名のパイの取り合いではなく、研究費そのものを増やすという戦いをするべきなんだ。

モリタック:今の日本でそんなことができるんですか?

閣下:できない。それこそが、日本の科学技術政策が抱えている大きな問題なのだ。日本を代表する頭脳が、日本のためではなく、文科省や理研といった一組織のために働いていることこそが問題なのだよ。STAP細胞問題では、理研としては「しめしめ、これで、京大・山中グループに持って行かれている莫大な予算を切り崩すことができるぞ」と思ったに違いない。彼らは、ノーベル賞科学者に加えて、「若手」とか、「女性」といったキーワードで対財務省の戦闘を有利に運ぼうとしていたフシがある。

ヒロッコ:日本国民が好きそうなフレーズですよね。

閣下:おかげで、ネイチャーのサイトのトップで、頭を下げているというみっともない姿を晒してしまうことになったわけだ。これは日本にとっての損失でもある。

ヒロッコ:では本日のまとめに入りましょう。「野依さんは、理研じゃなくて、日本のために知恵を出して欲しい」でよろしいですか?

閣下:そうだな。モリタックにわかるように説明したら、こんなに長くなってしまったよ。それにしてもこのネタ、もうすでに消費されてしまったようで、「あぁ、そんなこともあったね」という雰囲気だ。理研としても、さっさと小保方さんを処分して、忘れてしまいたいと思っているに違いない。この国民の無反省体質こそが、この国のダメなところの本質なんだろうな。

ヒロッコ:ここにも、真の意味での科学技術立国へのきっかけがあったのに、ということですね。

閣下:所詮、日本という国では、人はノーベル賞科学者を予算取りの道具にしか使えんのさ。

ヒロッコ:あと、謝罪ですね(苦笑)。

「総統閣下はお怒りです」はKindle版も発売中!「イオナ」の澤井健さんの漫画もあってお得ですよ!
  

2014年03月14日

STAP細胞の一件で得られた博士論文に関する知見と、その対策案

小保方さんの一件で最近問題とされていることのひとつに、彼女の博士論文にコピペや写真の引用があったということがある。これ自体は先日の放送でも述べたとおり、彼女のお行儀の悪さを示しただけで、STAP細胞の有無とは直接関係がないので、いわば「外伝」といった感じではある。ただ、この外伝からも、得られた知見は少なくない。わかったことは、

・博士論文(ドク論)ではコピペが行われることがあり、それと気付かれずに学位取得できることがある
・ドク論は公開されていてネットで閲覧できる
・コピペを検出する剽窃チェッカーがある(http://plagiarism.strud.net/
・面白いと感じたら、コピペの摘発に向けて頑張ってくれる頼もしい人たちがいる
・コピペドク論は学位を与えた大学の名誉を著しく傷つける

ぐらいである。

この件では「なんでこんな幼稚なコピペに気が付かなかったのだ」という批判があるのだが、これでは大学の教員にプレッシャーをかけてしまうし、「これもコピペかも?」と疑心暗鬼にさせても気の毒だ。学生と教官の関係は和を以って貴しとなすべきだと思う。また、色々と忙しい大学教員にコピペ検査のための労働力を強要するのも心苦しい限りである。そこで、こんな感じにしたらどうか、というのを考えてみた。ジャストアイデアだからちょっと雑だけど、例えばこんな感じでどうだろうか。

1.コピペが見つかったら、学位剥奪、氏名公表、罰金10万円
2.コピペを見つけた人には報奨金10万円(総額)
3.制度運用開始以前のコピペ摘発案件については、すべての博士に「コピペが発見された場合には罰金10万円を支払う」という主旨の誓約書の提出を打診
4.誓約書を提出しなかった博士については、その氏名・論文を公表
5.誓約書を提出せず、コピペが発見された場合、報奨金は1と2の差額を積み立てた資産から支払い、不足した場合は国庫から補填する  
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2014年03月11日

なんか、STAP細胞はこんな感じになってきてしまいました

こんな細胞いいな できたらいいな
あんなゆめ こんなゆめ いっぱいあるけど
みんなみんなみんな かなえてくれる
ふしぎな割烹着で かなえてくれる
論文を自由に 書きたいな
「ハイ!フォトショップ」
アンアンアン とっても大好き オボえもん

論文リジェクト 試験に追試
あんな実験 こんな実験 大変だけど
みんなみんなみんな 助けてくれる
便利なコピペで 助けてくれる
学生時代の 論文だ
「ソレ!流用」
アンアンアン とっても大好き オボえもん

あんな雑誌いいな 載ったらいいな
ネイチャー サイエンス 色々あるけど
みんなみんなみんな 載っけてくれる
不思議な編集で かなえてくれる
有名な雑誌に 載せたいな
「ウフフフ! STAP細胞」
アンアンアン とっても大好き オボえもん

(「ドラえもんのうた」の替え歌です)

#でも、STAP細胞だけは本当かも知れません。

関連エントリー
総統閣下はお怒りです 番外編「科学は誰れのために」
http://buu.blog.jp/archives/51435911.html

超訳!昨日の記者会見
http://buu.blog.jp/archives/51433707.html

総統閣下はお怒りです「ノーベル賞の使者」
http://buu.blog.jp/archives/51432975.html

ネイチャーに掲載されて有名人になるためのガイドライン
http://buu.blog.jp/archives/51430988.html

STAP細胞の一件で得られた博士論文に関する知見と、その対策案
http://buu.blog.jp/archives/51430988.html

STAP細胞の一件で得られた博士論文に関する知見と、その対策案
http://buu.blog.jp/archives/51430926.html

総統閣下は充電しております STAP細胞大特集
http://buu.blog.jp/archives/51430713.html

なんか、STAP細胞はこんな感じになってきてしまいました
http://buu.blog.jp/archives/51430685.html

STAP細胞に関する再現性実験がなかなか成功しない理由を邪推してみる
http://buu.blog.jp/archives/51430486.html

医学・生物学系疑惑の関係者たちの思惑を想像してみる
http://buu.blog.jp/archives/51429620.html  
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2014年03月09日

STAP細胞に関する再現性実験がなかなか成功しない理由を邪推してみる

STAP細胞の話を最初に聞いた時思ったのは、「そんなに簡単なら、なぜ今まで誰も気が付かなかったのだ」ということ。だから、実際には凄く難しい実験が必要だと推測されて、なかなか再現性が取れないことも道理である。

さて、論文が正しいのか、捏造が含まれているのか、といったことに関する調査は理研にお任せするとして、企業の視点から、小保方論文に対して、ライバル研究者達が取りうる対抗策を考えてみたい(笑)。

ライバルたちの基本戦略は、1.小保方ラボになるべく次の実験をさせない、2.STAP細胞陣営になるべく予算を取らせない、の2つである。

具体的戦術としては、ライバル研究者が自前で小保方論文の実験を検証した場合は、再現性が取れようが、取れまいが、「全然再現しない」と主張し続けるのが最善策だろう。もし論文が正しくても、小保方陣営は第三者が再現することに向けて注力せざるを得ず、その間に再現性が取れた研究者たちは、自分たちだけこっそり小保方論文の先に進むことができる。その間、小保方陣営は足踏みをするばかりである。

また、iPS陣営などは、小保方陣営がもたもたしているうちに自分たちの研究費をどんどん確保しておくことが必要だろう。小保方論文が本当だった場合、iPSの研究費が切り崩される可能性が高いのだから、当然である。

もちろん、再現性が取れた時点ですかさず「小保方論文は事実!」と発表し、自分たちの器の大きいところをアピールする手もあるのだが、器が大きくても研究費は確保できないので、現実的ではない。大型予算の研究プロジェクトリーダーたるもの、如何にして部下たちの研究費(生活費を含む)を稼ぐかを考えるべきで、そこを怠ると後々「あいつは自分のポストの確保に汲々としていて、部下に冷たい奴だ」と後ろ指を差されてしまう。

そういうわけで、仮に小保方論文が本当だったとしても、当分の間は再現性は取れないんじゃないかな、と邪推するのである。

#そして、成功し始めると、あちこちから「うちも成功した!」というリリースが出される予感がします。

##本当に再現性が取れない(論文が間違いである)可能性もいくらかはあるとは思います。

###一刻も早く再現実験が成功することを心よりお祈り申し上げます。
  
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2014年03月02日

医学・生物学系疑惑の関係者たちの思惑を想像してみる

事象1:高血圧治療薬ディオバンの疑惑発覚
臨床研究に製薬会社関与か 千葉大でも高血圧論文調査へ(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0521/TKY201305200515.html

千葉大「ちょっと、なんでうちの名前が出ちゃうの?」

東大循環器内科「やっべー。うちに飛び火しなければ良いけど」

阪大「おい、気配を消せ!」

理研「おい、うちからも何かニュースはないのか!」


事象2:白血病薬臨床試験の疑惑発覚
ノバルティス社:白血病治療薬の研究でも不透明な関与(毎日新聞)
http://sp.mainichi.jp/select/news/20140118k0000m040040000c.html

東大血液・腫瘍内科「おいっ!他人事じゃなくなったぞ」

千葉大「よし、潜って気配を消せ」

東大循環器内科「よし、潜って気配を消せ」

阪大「これで一安心」

理研「おい、うちからも何かニュースはないのか!」


事象3:STAP細胞の論文に関する疑惑発覚
STAP細胞:「画像」をネイチャーが調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20140218k0000e040272000c.html

理研「すぐに潜れっ!!」

東大血液・腫瘍内科「うちも潜れっ!」

東大循環器内科「ふふふ、人の噂も七十五日とはよく言ったもの」

千葉大「すっかり忘れてもらえたな」

阪大「もうすぐセンバツだなぁ」
  
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2014年01月24日

高血圧対策には何が有効か?

過去に、「高血圧にトクホとか、どうなの?」というエントリーで、

http://buu.blog.jp/archives/51289947.html

こうやって高血圧対策をしてみて思うのは、

1.食餌制限、健康食品などは全く効果がない
2.運動などは全く効果がない
3.薬は効く


と書いたのだが、最近の自分の体験で、これは正しくないと思うことがあったので、追記訂正しておく。

この記事を書いた後、起きたことをざっとまとめると、次のようになる。

1.体調を崩し(一昨年の9月)、運動が思うようにできなくなって体重が増えた(70キロが78キロ)
2.血圧が上がった(120-80程度だったものが、145-100ぐらいになった)
3.薬を変えたが、効果はなかった(カルブロック、オルメテックをやめてアジルバにした。ナトリックスは継続して服用)
4.体調が戻ったので運動を再開したところ、体重が減少した(現在、74キロまで減量。ダイエット続行中)
5.血圧が下がった(105-75程度)

ダイエットを開始したのは1月15日頃からで、血圧の低下はそれからすぐに起きた。まだ、今後の推移に注目すべきだが、体重の減少だけでは効果がなくても、降圧剤を服用している場合は効果があるようだ。僕の場合はそれが顕著だった。そこで、当面は

1.食餌制限、健康食品は、それだけでは全く効果がない
2.運動は、それだけでは全く効果がない
3.薬は効くが、それに頼り切るのは良くない
4.体重の減少、薬の服用を複合した場合、大きな効果が期待できる

と変更しようと思う。  
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2013年11月01日

コメント欄の質問に返答

5年以上前の「補足しておきます」というエントリーに長文のコメントがあったので、文字数制限のない本エントリーで返答しておきます。

コメントの対象となった記事は多分この2つ。

今日の朝日新聞朝刊の中村桂子さんの「私の視点」について
http://buu.blog.jp/archives/50339835.html

補足しておきます
http://buu.blog.jp/archives/50340852.html

コメントは後者に記入されました。以下、コメントを引用して返答しておきます。

2013年8月に中村佳子さんが「科学者であること」という本を出されたからです。

すいません、まだ読んでません。

iPS細胞で興味を持った分野だけれども、どうも不安だから、この分野はやめたほうがよいだろうか。と理系を諦める高校生も出てくるように感じて、切ないです。そのくらいで諦めるならやめなさいというのは簡単です。でも、それで日本の未来はどうなるのでしょう。

正直、日本の未来については、別にどうということもないと思います。つい最近、「科学の価値は?」という記事を書きましたが、

ブログでバイオ 第82回 「科学の価値は?」
http://buu.blog.jp/archives/51415573.html

今の科学研究費は、ストレートに言えば研究者の生活保護くらいの価値しかないと思っています。そこに投じられる税金は、「研究成果」という意味であれば十分な費用対効果を挙げていませんし、またこれからも継続的に挙げていけるとは思えません。10年に一度くらい、びっくりするような成果は出るかも知れませんが、そういうインパクトのある成果を出したいなら、高校生たちは他の分野で頑張った方が良いと思います。

とはいえ、大学や大学院ぐらいまでは、好きなことを勉強、研究できるのが学生の権利ですから、やりたければやれば良いと思います。僕自身も楽しかったから生化学の研究をしていたわけですし、そのことを後悔したことはありません。大学の専門と、その後の人生には、それほど大きな関連はないのではないでしょうか。

「日本の未来」ということであれば、科学を巡る状況よりも、男女差別が改善されないこと、硬直した労働市場、世代間格差といった諸問題のほうがずっと深刻だと思います。

優秀な方は、海外に出たほうがいいんじゃないの?とでも言いたげな新書

実際、その通りだと思います。ありもしない希望を見せるのは詐欺ですし、高校生のためにもなりません。それに、海外に出ることは全く恥ずかしいことではないですし、立派なキャリアパスのひとつです。まともな研究者であれば、ほぼ例外なく、海外での研究経験があると思います。優秀なら海外へ、という主張を中村さんがしているのであれば、完全に同意します。それは、プロ野球やプロサッカーと同じです。いつまでも国という枠組みに固執するのはいかがなものかと思います。

2013年の今も、やはり体質に変化はないのでしょうか?

ないと思いますし、これからも変わることはないと思います。

タンパク質のプロジェクトはなんとか役に立ったのでしょうか?

たくさんの研究者の雇用をその時点だけとはいえ生み出したのですから、それなりの効果はあったと考えるべきでしょう。日本の研究費は、研究成果をあげるためではなく、研究者の雇用、あるいは研究者の生活費を供給するためのツールだと思います。

癌の研究は日本では、厚生労働省の予算で進められているように思うのですが、それと文部科学省や通産省の予算と関係はどのようになっているのでしょうか?

縦割りの中でそれぞれがやっていると思います。大規模予算の場合、それぞれの研究トップがどこの役所と仲が良いかが重要です。そのあたりの縦割りの弊害をなくすべく、日本版NIHを作ろうという動きもあるみたいですが、個人的には全く期待していません。

医学部に進んでもやはり、このような悩みはつきないものなのでしょうか?

一緒です。ただ、医者はそこそこの給与でバイトできるので、生活に困ることなく研究を続けることが可能という、小さくないメリットがあります。  
Posted by buu2 at 02:00Comments(0)TrackBack(0)バイオ

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2013年07月31日

バイオ用語解説:ホメオスタシス

昨日の朝、なんか暑くて寝苦しいので、まだ暗かったけれど起きてしまったのです。それで、やることがないので最初は読書していたのですが、腰が痛くなってきたので、ネットサーフに切り替えたわけです。そこで例の土屋アンナ事件のブログ記事を見つけて、あーーー、と思いつつ、珍しくつぶやきの連投をしたのですね。すると、意外と反応があったので、最近ブログに記事を書く時間もないし、このつぶやきを使ってエントリーを一本書いてしまおう、と思ったわけです。午後に人形町から千駄ヶ谷、そして池袋、最後に朝霞という移動予定だったので、昼までにちゃちゃっとまとめて、外出したのです。

午後3時過ぎにようやく食事を取れることになって、人形町のラーメン屋でラーメンを食べながら、何気なくブログのアクセス解析をチェックしてみたら、いつもは平和な辺境のブログなのに、アクセスが爆発していることに気が付きました。

doshaburi


これは、一時間に100ミリを超えるような猛烈な豪雨みたいなものです。通常なら半月以上かかるだけのアクセスが、ほんの1時間ほどの間に集中して発生していました。これは面妖な、何か炎上するようなことを書いたかな?と思ってさらにアクセスを解析すると、どうやらYahoo!からの大量流入が発生している様子です。さっそく当該ページにアクセスしてみたら、これでした。

舞台中止騒動 著作権で考える - エンターテインメント
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=7707540&e=copyright
(そのうちリンクが変わってしまうでしょうが)

あろうことか、尊敬する切込隊長の直下に僕の記事が掲載されているじゃーありませんか。そうかぁ、切込隊長とかはいつもこんな大量のアクセスがあるのに、豚組がうまいとかトンチンカンなことを書いているのか、と感心したわけですが、ちょっと不思議に思ったのは、今回、これだけのアクセスがあったにも関わらず、なぜかコメントは一つもなし、スパムトラックバックは2つほどあったようですが、はてブがつくこともなし、ということです。一瞬考えてわかったことは、つまり、僕の記事にアクセスしてはみたものの、特にコメントを残すようなものではなかったということでしょう。毒にも薬にもならなかった、と。やはり、辺境のブログには辺境なりの理由があるのです。そういえば、総統閣下シリーズの動画があちこちで取り上げられていた3.11直後はドーーーンとアクセスが増えたのですが、その後徐々に落ち着いてきて、今は震災前とほとんど変わらない程度のアクセスになっています。僕自身ははてブユーザーですが、僕の記事にブックマークがつくことも稀だし、コメントも以前ほどには書き込まれません。適当に、付かず離れずという感じでバランスが取れているのでしょう。

こうやって、いつもの状態を維持することを生物学の言葉ではHomeostasisと言います。  
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2013年04月25日

ガジェット通信のウェブライター「まあちゃん」って、どこの馬鹿だよ(笑)?

時々こういう馬鹿記事が掲載されるので困ってしまうのですが、

遺伝子組み換え食品不分別とは
http://getnews.jp/archives/328400

念のため、きちんと間違いを指摘しておきます。

異種の生物から抽出したDNAを、試験管内で、酵素などを用いて切断し


異なる種の場合もあるし、同じ種の場合もあります。

異種であって、同じ系列の作物ではないということ


「異種」「系列」の定義が不明確です。

異種の遺伝子が入った食品を食べて、アレルギーとか引き起こさないの?とも思います


可能性はありますが、既存の食品と比較してアレルギー発症の可能性が大きくなることはありません。キウイが日本に入ってきた時、「アレルギーを引き起こさないのか」と心配しなかったのであれば、遺伝子組み換え食品でも心配する必要はありません。すでに遺伝子組み換え食品は大量に消費されていますが、今のところ、私の知る限りにおいては「遺伝子組み換えだったことに起因したアレルギー発症事例」はありません。

もともと入ってなかった遺伝子が’体に入り込むのに、全く問題ないと言えるのか?


特殊なウイルスを使うなど、非常に特別な操作を施さない限り、遺伝子は体に入り込みません。

微生物、植物、動物などの入ってなかった遺伝子の影響が全くない、ゼロとは言えない


ゼロとは言えませんが、ほとんどゼロと言えることが確認されたものだけが、遺伝子組み換え食品として利用されています。

流通時に、遺伝子組み換え作物とそうでない作物が混ざって、わからなくなってる時


違います。生産から流通に至るまでの全てのフェイズにおいて遺伝子組み換え作物と分別していない場合に表示しなくてはなりません。

フランスのマウスを使った実験で、遺伝子食品を与え続けたネズミのお腹に、体型が変わるほど大きな腫瘍が出来た


こういった事例を引用する場合は、どの論文が該当するのかを提示するのが当たり前で、この記述が何を指すのかがわかりません。好意的に解釈すれば、この文章で指摘しているのはGilles-Eric Seraliniによるラット(マウスではありません)の実験に言及していると考えられますが、Gilles-Eric Seraliniの実験は当初ル・モンドに「GMOによってラットに悪影響が出た可能性がある」と報じられ

http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/09/19/un-ogm-de-monsanto-soupconne-de-toxicite_1762236_3244.html

その後、科学的な検討によって全面的に否定されています。

http://dotearth.blogs.nytimes.com/2012/10/19/six-french-science-academies-dismiss-study-finding-gm-corn-harmed-rats/

マウスでこれだけの症状が出るということは、人間でも必ず体に悪影響が出るということ


マウスでの実験は見当たりませんし、ラットの実験は科学的に「悪影響が出るという主張は全く信用できない」と結論付けられていますが、仮にラットの実験が正しいと仮定したとしても、「ラットで症状が出るから、人間でも必ず悪影響が出る」とは言えません。

食品の安全は、ほぼ壊滅状態になる


今のところ、遺伝子組み換え食品によって食品の安全が壊滅状態となった事例は、国レベルを含めて、見つかっていません。


結論:まあちゃんって、どこの馬鹿だよ(笑)?

ちなみに、この分野にはとても良い参考書があります(著者ですが)


情報交換の場として、Facebookページも作ってあります。
http://www.facebook.com/kumikae  
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2012年12月07日

Newsジャンクション特別番組「遺伝子組み換え食品のほとんどすべて」

  

2012年11月07日

「科学的には、コラーゲンは効かない」

コラーゲンが効くとか、馬鹿言ってんじゃないぞ、というキャンペーンを改めて展開中なんだけど、予想通りのツッコミがコメント欄に入った。

曰く、

サイエンスの世界では、「ない」ことを証明するのはとても難しい。コラーゲンを食べて、はだがぷりぷりになるわけは「ない」ということを、どうやって証明しますか?


本当に科学を知っている立場の人間は決して「ない」などと断言はしない。
効果があるかどうかわからないが、今のところ、効果があるというデータは発表されていない(科学者の支持を得られていない)。だから、科学者の現時点での合意としては、「効果はなさそうだ」という話。
教科書的に考えても高分子のコラーゲンがそのまま吸収されて肌に届くなんてことは考え難いが、教科書で全て片付けば世の中に科学はいらない。
教科書を否定し、更新していくのが科学であって、はじめから「ない」と否定しているだけでは何も進まない。


だそうで。こういう科学原理主義者(?)がいるから、資生堂や明治や富士フィルムやアサヒやロッテやグリコやハウス食品や森永製菓がインチキ商品を売り続けるのである。

「科学的である」とは、「絶対に正しい」ということではない。コメントの主も書いているように、「その時点でどうやら正しいようだ」と合意形成されているという意味だ。例えば野口英世の研究は、当時は国際的に評価されたけれど、今となってはその多くが間違いだと判明している。これらの間違い(=否定されている研究成果)は、当時の技術的限界に起因するもので、仕方のないことである。それらは、野口英世の時代には"科学的に"正しかった。

繰り返しだが、「科学的である」ということは、その時点で蓄積されているデータによって、科学者が合意しているということで、「必ず(=絶対に)正しい」という意味ではない。大体、「必ず正しい」ということが大前提で、「少しでも反例があれば断言できない」ということであれば、空を飛べる人間がいるかもしれないし、水中でも生存できる人間がいるかもしれないし、月の裏側には近代都市が存在しているかもしれないし、今これを書いている僕はすでに死んでいるのかも知れないのだ。もちろん実際にはそんなことはなくて、どれも科学的には否定できる。

コラーゲンについて言うなら、現在の科学的知見は

調べられる限りにおいて、ヒトにおける有効性については論文が見当たらない(「「健康食品」の安全性・有効性情報」(独立行政法人 国立健康・栄養研究所)の情報をもとに判断)


の一行で終了である。コラーゲンの有効性を主張したいのであれば、まずそれを支持するような実験結果を論文によって示し、他の科学者による追試と議論を経て、「どうやら有効性が認められるようだ」という合意を形成する必要がある。ところが、現状ではコラーゲンの有効性に関するまともな論文がひとつもないのだから、議論にすらならない。「まともな」とわざわざ但し書きを書いたのはもちろん意識的で、まともではない論文が何かの間違いでどこかに掲載されてしまうことはままある。論文は書かれただけでは意味がない。多くの科学者によって吟味され、認められて初めて価値が出る。ときどき新聞に「論文が掲載された」と書かれたりするが、これは必ずしも論文の正当性を担保するわけではない。

では、なぜ誰もがコラーゲンの有効性を主張するような実験をやらないのか。それは、これまでの科学的知見からは、容易に「どうせ有効性はないだろう」と推察が可能だからである。無駄な実験は誰でもやりたくない。

やや専門的になるが、地球上のほとんどの生物は、限られた種類のアミノ酸しか、たんぱく質合成の材料として利用できない。一般的には、20種類のアミノ酸だけで、しかもL型とD型の2種類が存在する同一アミノ酸の中でも、L型のアミノ酸しか利用できない。コラーゲンにはヒドロキシプロリンという特殊なアミノ酸が大量に含まれている(プロリンと合わせて約20%)けれど、これはコラーゲンを合成する際にはプロリンという形で導入されており、ポリペプチド鎖が形成された後に翻訳後修飾を受ける。なぜなら、ヒドロキシプロリンに対応するtRNAが存在せず、たんぱく質の合成系に直接ヒドロキシプロリンを導入できないからだ。では、ヒドロキシプロリンからプロリンを合成できるのか、ということになるのだが、僕が調べた範囲では、体内でヒドロキシプロリンから直接プロリンが合成される反応は見つかっていないようである。つまり、体内にヒドロキシプロリンを供給しようと思うなら、コラーゲンを材料とするよりはプロリンを直接補給した方がずっと効率的ということになる。この他にコラーゲンに特徴的に含まれているアミノ酸としてグリシン(約30%)、アラニン(約10%)をあげることができるが、プロリン、グリシン、アラニンはどれも必須アミノ酸はおろか、準必須アミノ酸ですらなく、通常の食生活を送っている限りにおいては不足するはずのないものである。

こうした知識が、「これまでに蓄積されている知見」であって、これをもとに、科学者は「コラーゲンなんか、食べても無駄だな」という結論にいたり、結果として、「無駄な実験は辞めておこう」と考えるのである。

もちろん、どこかの誰かが、「これまでの科学的知見には穴がある。改めて実験を重ねて、これまでの常識をひっくり返してやろう」と思うのは勝手だし、やりたければやれば良い。しかし、その実験をやってみて、「コラーゲンは肌をぷりぷりにするサプリとして有用」という結果が出て、それが論文となり、多くの科学者がその結果を支持し、「どうやら、コラーゲンは肌に良い影響を及ぼすようだ」という合意が形成されるまでは、「コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねーだろ(笑)」というのが、科学的な結論なのである。1億人ぐらいが食べれば一人ぐらいは効果がある人間がいるかも知れない。しかし、その状況において「効果がない」と断言できなくてどうする。これができないというのなら、「効果がない」はもちろん、「効果がある」とも断言できないことになる。「科学的」であるということは、「絶対的な真理」と同値ではない。「科学的には」とはひとつの免罪符であり、その但し書きをつければ断言は可能であるというのが僕の考え方である。

つまり、「科学的には、コラーゲンは効かない」。

#こう書くと「科学的には」という言葉の信頼性が低く感じられるかも知れないが、この上を行くことができるのは「神」レベルである。

「絶対に効かないとは言えないでしょ?だから、コラーゲンを入れた商品を、さも効果があるように宣伝して販売するのもオッケーだよね」というのはただの詭弁なのである。「本当に科学を知っている人間」かどうかが問題なのではない。「科学」をどうやって産業にフィードバックするかを考えるときに、「科学」が抱えている弱点に付け込んだマーケティングを許すのか、許さないのか、ということだ。僕は、それを許しているからこそ科学が信頼されていないと考えているし、科学のステータスをアップさせるためにも、今のようなマーケティングを許容するべきではないと思っている。しかし、消費者庁はそういった対応をせず、こんにゃくゼリーなどのどうでも良いことへの対応に終始している。仕方なしに、自主的にキャンペーンを張っているのである。

#僕のスタンスからすれば、「コラーゲンを食べても、肌がぷりぷりになるという科学的データは存在しません」と注意書きがされるなら、コラーゲン入りの食品を売っても構わないと思っている。正確な知識をもとにした判断であれば、そこに第三者が口をはさむ必要はない。

冒頭で紹介したコメントの発言者がどういう属性の人間かは不明だが、「本当に科学を知っている人間」を自称しながら、実は科学をわかっていないのか、あるいはコラーゲン商品を扱っている当事者であろう、というのが僕の判断である。何しろ、僕は今でこそITベンチャーの社長だが、それ以前はずっと、国やそれに近い組織において、約15年間に渡ってバイオテクノロジーを推進する立場にいた人間である。どこの誰なのか、自分の素性や属性すらも表明できないような人間に、「あなたは本当の科学を知らない」と言われる筋合いではない。

#と、非常に丁寧に書いたけれど、本音はもっと毒入りで、かつ端的なので、興味がある人は「「コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねーだろ(笑)」のまとめ(インチキ企業リスト付き)」というエントリーのコメント欄をどうぞ(笑)

##この手の奴の始末におえないところは、全部が全部間違いなのではなく、ほぼほぼ正しいのに、肝心なところでおかしい、ということである。正しい中に巧妙にインチキを忍ばせる点は、コラーゲン関連商品を販売している企業と全く同じである。  
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2012年10月28日

ブラックジャックによろしく版「コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねぇーだろ」

このブログ、かなり前は「『コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねぇーだろ』社長のブログ」というようなタイトルだったわけですが、最近知り合った人の中にはまだコラーゲンを食ったら肌がぷりぷりになると勘違いしている人がいる様子なので、「ブラックジャックによろしく」の漫画を二次利用させていただいて、啓蒙漫画を作ってみました。ぜひ、拡散してください(^^

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kora7


kora8


出典
タイトル:ブラックジャックによろしく
著作者名:佐藤秀峰
サイト名:漫画 on web
URL:http://mangaonweb.com

#「ブラックジャックによろしく」の二次利用については下記参照
「ブラックジャックによろしく」原画展 2012.09.20 – 10.02

##元ネタはこちらでお楽しみください。
元ネタ

###コラーゲン食べるくらいなら、ラーメン食べよう!


####本にもなったよ!!
  
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2012年09月26日

遺伝子組換えでないトウモロコシはこんなに怖い(;_;)(グロ注意)

白馬に行ったとき、生協でトウモロコシを買ったんです。前回、とても美味しかったから。

参考:異常なまでにうまそうな白馬産とうもろこし

それで、今回もウキウキして、トウモロコシを食べようとしたら・・・

12_09_24_1715


おや?????

12_09_24_1716


ひいーーーーー、怖いよ(;_;) あまりに動揺してピントがあいません(;_;)

断末魔でトウモロコシから飛び出してきた何かの幼虫・・・(;_;)(;_;)

迷わず、捨ててしまいました。美味しそうだったけど。そういえば、ちょっと傷んでいる気配があったし。

今回は、買ってきてすぐに食べず、ちょっと常温で保存しておいたんです。その間に、トウモロコシの本体に巣食っていた何者かが成長していたんでしょう。

トウモロコシの害虫は、トウモロコシの芯に生息します。そこまでは、ちょっとやそっとじゃ農薬が届きません。だからって、農薬でジャブジャブになったトウモロコシなんて食べたくないですよね?

僕は遺伝子組み換えトウモロコシの安全性にかなりの信頼を寄せているので、日本でもぜひ遺伝子組み換えトウモロコシを栽培して欲しいです。イモムシは食べたくありません。  
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2012年08月02日

『遺伝子組み換え食品との付き合いかた―GMOの普及と今後のありかたは?―』の正誤情報

「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」の正誤情報です。読者の方からのご指摘をいただき、修正させていただきました。

【訂正前、132ページ1行目から7行目】
2010年の米国のトウモロコシの遺伝子組換え率は86%(NASS)なので、非遺伝子組換えのトウモロコシは506万3000トン生産されていることになります。日本が食用として必要としているトウモロコシは約400万トンですから、米国の非遺伝子組換えトウモロコシの約8割を買い占めることができれば、全ての食用トウモロコシを非遺伝子組換えトウモロコシにすることが可能です。ただし、飼料や、コーン油、蒸留酒、コーンスターチなどの加工品については全くカバーできない計算になります。




【訂正後、132ページ1行目から7行目】
2010年の米国のトウモロコシの遺伝子組換え率は86%(NASS)なので、非遺伝子組換えのトウモロコシは4426万3000トン生産されていることになります。日本が必要としているトウモロコシは約1600万トン、このうち食用として必要としているのは約400万トンですから、米国の非遺伝子組換えトウモロコシの約4割(36%)を買い占めることができれば、食用を含め、必要としている全てを非遺伝子組換えトウモロコシにすることが可能となります。


なお、オーム社開発部のブログにも詳細が掲載されております。

『遺伝子組み換え食品との付き合いかた―GMOの普及と今後のありかたは?―』の正誤情報、および、PDF版更新のお知らせ
http://www.ohmsha.co.jp/kaihatsu/archive/2012/07/31180300.html

日頃から「誤植研究家」を自称しているにも関わらず、大きな間違いをしてしまい大変申し訳ありませんでした。

  
Posted by buu2 at 23:55Comments(0)TrackBack(0)誤植

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2012年06月12日

遺伝子組換え食品について間違いばかりを書き散らしている小樽アバンティの店長

凄いブログを見つけてしまった。間違いだらけのバカ情報を、店の名前を背負って世界中に流すことができてしまうというのだから、ネット時代というのも恐ろしい。

農水省がモンサント社に遺伝子組み換え作物の承認申請を許可しようとしています!!(小樽アバンティの店長日記)
http://blog.soupcurry-otaru-avanty.com/?eid=1402328

baka


以下、順を追って指摘していく。

認可された途端に、その表示は消えて別に表示しなくても偽装では無くなるからです。


違います。そもそも「遺伝子組換えでない」というのは現在でも任意表示です。また、組換え作物由来の場合は認可されても基本的に表示する義務があります。

日本の東京にも日本支社が在りますが世界中の農民から訴訟を起され悪名高い、アメリカのモンサント社


むしろ、モンサント「が」訴訟を起こしていると思うのですが。

政治家をバックに日本の農水省に遺伝子作物の承認申請を提出しているのです。


具体的にはどこの誰でしょうか。政治家のバックなどなくても申請できるのですが・・・。

農水省でも遺伝子組み換え大豆・遺伝子組み換えトウモロコシについての意見募集をしていましたが、つい最近の2012年4月28日(土曜日)で締め切られました。


パブコメはこれまでも何度も実施されています。この日付で締め切られたパブコメもあったのかも知れませんが、これが最初でもないし、特別でもありません。

農水省のお抱え学識経験者からは生物多様性への影響が生じる可能性はないとの意見を引き出し問題なしとの立場です。


お抱えでなくても、オールジャパンで、大きな影響が生じると考えている学識経験者はいないようです。これまでも何度か「大きな影響が生じると思う人は手を挙げて」とお願いしているのですが、誰も名乗り出てくれません。もしこの人がご存知なら、誰なのか教えていただきたい。なお、学識経験者ですから、その分野で博士ぐらいは持っていて欲しいところです。

モンサント社は種子を売る度に法外な種子代を請求します。


法外なら買わなければ良いだけの話なんですが・・・。あと、商売なんだから代金を請求するのは当たり前。このカレー屋さんだって、食べるたびに代金を請求すると思うんですが・・・。

それも特許と称してです。


特許なんだから当たり前です。日本を含めた多くの国で、知的財産の権利は法律によって守られています。

形が良くて沢山の作物が出来るのは最初だけ


これは農作物一般にそうです。日本の農家(趣味でやっている家庭菜園などを除く)で、自家採種している農家は非常に少ないはずです。それは、自家採種を繰り返していると収量が落ちたり、形が悪くなったりするからです。

遺伝子組み換え植物は健康に悪影響を与える恐れがあります。


科学的には悪影響を与える危険性は通常の農作物と同レベルと判定されています。

モンサント社と関わった国の農村地帯が自殺ベルトになっているとの指摘が世界中にあり日本でも過去に例がありました。


日本で例があるというのは初耳です。なぜなら、まだ日本ではモンサントの農作物が一般の開放系農地で商業栽培されたことがないからです。

更にモンサント社は遺伝子組み換えの植物や種子ばかりでなく農薬や科学肥料までもセットで売り込むらしい。


特定の農薬に耐性のある農作物なので、セットで販売するのは当たり前です。別に、要らないなら買わなくても良いんですが、それでは遺伝子組換え農作物の種苗を買う意味がありません。このカレー屋さんでは、スープカレーとライスを別々に販売していて、他の店に対して、「お前らはスープカレーとライスをセットで売りつけていてけしからん」と言っているんでしょうか。

日本の農家や企業や官僚が反対して許可しませんでしたが今の日本の混迷したドタバタを契機に政治絡みで攻めて来ています。


全くの間違いです。もう山ほど許可されています。念のため、承認された農作物一覧にリンクしておきます。

↓農水省の発表しているPDF
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/c_list/pdf/list02_20120529.pdf

こちらも政治主導で行くしかないでしょう。日本国民の命と健康と在来種の作物と種子を守る為に!!


何をアホなことを。「政治主導」とか、「在来種」の意味を知っているんだろうか。てか、絶対に知らないよね。この店、大丈夫なのかな?

Twitterも今では2ちゃんねるのようにおかしな情報が満載で、きちんと使いこなすにはそれなりのスキルが必要になって来ているのですが、この人は付け焼き刃でいいかげんな情報ばかりを集めてしまったようです。  
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2012年06月06日

毎日新聞くらしナビ 「組み換え作物 実態見えず」

5月16日の毎日新聞くらしナビに「食品表示の裏側 一元化問題を考える<下> 組み換え作物 実態見えず」という記事が掲載された。<上>が電子化されているので<下>もそのうち、と思って待っていたのだけれど、一向にその気配が見えないので、忘れないうちに書いておくことにする。

この記事で書かれていることは1.日本は世界一の遺伝子組み換え作物の輸入国、2.輸入された作物は食用油、家畜の飼料、清涼飲料水の甘味料などに利用されている、3.組み換え作物の表示の種類、4.表示義務の仕組み、5.表示の実情、6.海外の事例、7.意図せざる混入に対する対応、8.表示義務を厳しくした場合のデメリット、9.メディアの責任、ぐらいで、拙著「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」を要約したような内容なのだけれど、僕の本には載っていない部分もあるので、僕の考えを書いておく。

表示の厳格化
まず、表示を欧州並みに厳しくしたらどうか、という意見について。欧州は遺伝子組み換え作物を使用していれば、食用油、家畜の飼料を含め、すべての加工食品が表示義務の対象となっているらしい。これを日本でも適用すべきかどうか、ということだ。食用油の場合、例えばナタネ油などはほとんど全ての製品が遺伝子組み換えナタネから作られているが、日本では特に表示がない。なぜかといえば、ナタネ油を作る場合、遺伝子組み換えナタネは食べ物としてではなく、製造のためのツールとして利用されているからだ。例えばカレーを作る時、鍋で作る人もいれば、フライパンで作る人もいるだろう。だけど、できあがったカレーには、鍋とフライパンで大きな差はない。鍋が非遺伝子組み換えナタネで、フライパンが遺伝子組み換えナタネだと考えれば良い。実際、製造されたナタネ油をどれだけ分析しても、そのナタネ油が遺伝子組み換えナタネ由来なのか、そうでないのかは判別ができない。判別できないのであれば、虚偽の表示がされたとしてもそれを検査することもできない。となれば、表示そのものが意味がないのではないか、というのが我が国の考え方である。仮に「遺伝子組換えでない」と表示されたナタネ油が製品として市場に圧倒的優位性を持つのであれば、みんなが「遺伝子組換えでない」と表示するだろう。しかし、それを規制しようと思えば、原料の検査から始まって、様々なコストをかける必要が出てくる。そのコストは当然「遺伝子組換えでない」ナタネ油の価格に上乗せされることになる。僕としては、これは審査を請け負う(役人の天下り)機関が儲かるだけで、誰も幸福にならない気がする。表示の問題は混入率についても同様で、日本では5%までの混入が認められているが、欧州では0.9%までしか認められていない。ここも、どこまで厳密にするかは、結局「どこまで厳密に管理するか」であって、そのコストは製品に上乗せされる。

イオンのこと
次に、表示の実情についてである。この記事ではイオンの例を取り上げ、「イオンは国の表示制度が始まる前から自発的に表示している。「お客さまの知りたい気持ちに応えて始めた」と説明する。表示があっても売り上げに影響はないという。」と書いている。このことについては僕も思うところがある。ツイッターを見ていると、実に頻繁に「イオンのトップバリュは遺伝子組換えだから食べたくない」という書き込みがあるのだ。試しにちょっと検索して引用してみるとこんな感じだ。





















遺伝子組換え食品について言えば、イオンの姿勢は我が国で唯一とも言えるぐらいに消費者サイドに立っているものである。にも関わらず、中途半端な知識しか持っていない消費者たちが、誤った認識でイオンを不当に中傷している。まさに「正直者(=イオン)が馬鹿をみる」という状況になっているのである。こうした状況では、「イオンみたいになったら嫌だから、俺たちは隠しておこう」という企業ばかりになってしまう。実際、大塚製薬以外の清涼飲料水メーカーは、果糖ぶどう糖液糖の原料として遺伝子組換えとうもろこしを利用している可能性が非常に高いにも関わらず、そのことを製品に明記していない。問い合わせに対して組換えトウモロコシの利用を表明した会社(アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サッポロ飲料、サントリー、ヤクルト)もあるけれど、コカ・コーラのように「情報公開を義務づけられた内容以上の質問には答えられない」と回答する会社もあるくらいだ。

清涼飲料水に「遺伝子組換え不分別」と記載しているのは、僕が知るかぎり、トップバリュの製品群だけである。僕は、先日のガリレオXの番組内でも言ったように、「遺伝子組換え食品を食べない権利」は確保されるべきだと思っているのだけれど、その権利が毀損してしまう理由は、実は消費者サイドにあるのだ。

非組み換えによる価格の高騰
食用油などの表示を義務付けると、メーカー間で非組み換え原料の争奪戦が起きて、製品の価格が高騰するのではないか、ということも書いてあったが、現時点でも、非組み換えの農作物を米国の農家にお金を上乗せして作ってもらっているのだから、もうすでに価格は高騰している。トウモロコシは通常の組換えトウモロコシに比較して約1.2〜1.5倍程度のコストがかかっているようだ。

米国視察レポートNO.2 「コーンベルトを行く」
http://www.life-bio.or.jp/topics/topics99.html

日本のトウモロコシの自給率は0%なので、今後さらなる価格のアップを提示されたとしても、日本は言いなりになるしかない。僕としては、組換えで全然構わないので、現在の7割ぐらいの価格でトウモロコシやコーンフレークを食べたいのだけれど、そうならないのが残念でならない。

消費者教育について
最後に、マスコミらしく、「企業や政府、マスコミが表示の意味とともに、遺伝子組み換え作物の原理や実態を正しく伝えることも大切だ」と書いてあったけれど、政府がそれをやるのは民業圧迫である(笑)。そういう書籍はもうすでに販売されているので、政府はこれを大量に買い取って高校生に教科書として配布すべきである。いや、冗談ですが。

参考書


関連記事
「遺伝子組み換え食品との付き合い方」から「はじめに」ノーカット版

遺伝子組み換え食品に関する総統閣下のミニレクチャー「姿なき遺伝子組み換え食品」

遺伝子組み換え食品に関する典型的な間違い  
Posted by buu2 at 17:11Comments(0)TrackBack(0)ニュース

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2012年06月05日

遺伝子組み換え大豆の栽培は非組み換えに比較して13倍も労働効率が良い?

遺伝子組換え農作物に対する批判は色々なタイプがあるのですが、その代表的なものとしてモンサントの独占状態に対するものがあります。批判と言っても「モンサントばかり儲けやがって」という、批判なのか、妬みなのか、どちらなのか良くわからないものが散見されるのですが、それに関連してこんな記事がありました。

農家とモンサントの法廷闘争、遺伝子組み換え大豆の特許使用料で ブラジル
http://www.afpbb.com/article/economy/2881912/9052510

僕はモンサントに対してはニュートラルな立ち位置で、そもそも各国で裁判をやっているのだから、外野はとやかく言わず、各国の裁判の結果にだけ注目していれば良いと思うのですが、この記事で面白いなと思ったのはこの記述です。

「遺伝子組み換え大豆は穀物栽培で使用される土地の44%を占めているが、雇用では5.5%にしか満たない」と述べ、高度に機械化されたモノカルチャーでは多くの労働力を必要とせず、多数の農家が排除されることになると指摘した。


農業の近代化が進めば省力化は当たり前のことです。ただ、これも日本では、なので、ブラジルでは、農業は雇用対策の一環(=福祉事業)なのかも知れません。少なくとも日本や米国ではこの理屈は通用しないと思うのですが。

それはそれとして、この大豆に関する数字は興味深いです。対象がブラジルなのか、全世界なのかは不明ですが、恐らくは全世界で、でしょう。44%、5.5%という数字を利用して計算すると、こんな数値が導き出せます。

非遺伝子組換え 農地56% 労働力94.5% 労働効率(農地/労働力)0.59
遺伝子組換え 農地44% 労働力5.5% 労働効率 8

ここでは労働効率を「農地の広さ/労働力」で定義しましたが、この数値で比較すると、遺伝子組換え農作物は約13.5倍も効率が良いということになります。この記事で提示されている数字が本当なら、という但し書きつきですが、これはこれで凄い話です。

#実際には、農業が大規模化・近代化されている国ほど遺伝子組換え大豆の導入率が高い、ということが大きいと思います。遺伝子組換え大豆と労働効率に相関関係があることは容易に想像がつきますが、遺伝子組換え大豆のおかげ「だけ」で農作業が13倍以上も効率化されたということではないんじゃないかな、と想像します。

##逆に言えば、このセルジオ・シュレシンガー氏の主張も、そのあたりについて言及がないことが問題です。自分たちの主張が通りやすいように、都合の良いように数字をいじったり、ミスリードするように提示するケースは多々あるので、注意が必要です。

###仮に本当に13倍も効率化されるなら、どんどん大豆畑を作って、食糧難を解決すれば良いと思います。適した土地があるなら、ですが。  
Posted by buu2 at 11:17Comments(0)TrackBack(0)バイオ

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2012年06月02日

明日の朝、BSフジで再放送

0930からだよ!見逃すな!  
Posted by buu2 at 21:45Comments(0)TrackBack(0)テレビ番組

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2012年05月29日

遺伝子組み換え食品に関する典型的な間違い

今日、こんなやりとりがあったんですが、非常にありがちな間違いなので取り上げて説明しておきます。













まず、「組み換え食品とはっきり表示した方が良い」という指摘ですが、イオンは法律のとおりに表示しているだけです。遺伝子組換え食品の表示内容は法律で規定されていて、勝手な表示は許されていません。「遺伝子組換え不分別」という表示は、加工品の場合は主原料ではない場合に省略が可能となっており、ほとんどのメーカーはこの「省略特例」を利用しています。イオンは省略しても良い表記をわざわざ消費者のために行なっており、それを取り上げて「イオンは遺伝子組換え不分別でけしからん」と言うのは全くお門違いということになります。僕は別にイオンに対して特段の思い入れはありませんが、「正直者がバカを見る」という事態は避けないと、みんなが「隠しておこう」と考えるようになります。それは、遺伝子組換え食品忌避派にとって最も都合が悪い事態のはずです。

参考資料:遺伝子組換え食品の表示(厚生労働省、PDF)

次に「生態系への影響が明確でない」という指摘ですが、これも間違いです。生態系に対してどの程度の影響が出るのかはきちんと判定されていて、大きな影響は及ぼさないことがわかっています。遺伝子組換え植物は基本的に農作物で、農作物はどれも一般の環境下では生態系を乱すほどに繁殖しないことがわかっています。特定の農薬に対して耐性があったとしても、それはあくまでもその農薬に対してであって、現在栽培されている遺伝子組み換え農作物は、一般の自然環境下においては非遺伝子組換え農作物と同じように、繁殖することができません。いくら畑でトウモロコシやダイズを栽培しようとも、自然環境下でそれが雑草化しないのと同様、遺伝子組換え農作物も雑草化して生態系を乱すことはありません。

さらに人体への影響も厳密に検討されています。ときどき「次やその次の世代に影響が出るかも知れない」という意見を見かけますが、分子生物学上の知見からは、現在食用や飼料に供されている遺伝子組換え農作物についてはそんなことは起きないことがわかっています。むしろ、一般の交配によって作られた農作物のほうが、きちんと安全性が検討されていない分、危険と言えます。

大国の巨大企業が農業を支配する、というのは現状を正しく認識しているとは思いますが、そういう状況をつくりだしてしまったのは日本人自身です。危険でないものに対して感情的に大声をあげて否定したせいで、当初参入していたメーカー達が次々と撤退してしまいました。今、遺伝子組換え農作物の市場が少数のメーカーに支配されているのは、そういう逆風に対してそれらのメーカーが踏ん張った結果に過ぎません。日本の研究が最も進んでいるイネだけでも、きちんと研究を進め、技術開発を進めるべきだと思います。

なお、遺伝子組み換え食品については、6月3日(日曜日)の朝9:30からBSフジで放送されるガリレオX「「遺伝子組み換え食品」神話 本当に危ないのか?」が参考になるはずです。番組の内容は僕が去年執筆した「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」をほとんどそのまま踏襲していて、30分でとてもコンパクトにまとめられていると思います。

テレビを見て、もっときちんと勉強してみたいと思った方は、下記の書籍をお買い上げいただければと思います。

  
Posted by buu2 at 23:55Comments(12)TrackBack(0)バイオ

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2012年05月23日

ガリレオX「「遺伝子組み換え食品」神話 本当に危ないのか?」BSフジで5月27日放送

BSフジで毎週日曜日あさ9時30分〜10時から放送している「ガリレオX」ですが、今度の日曜日は『「遺伝子組み換え食品」神話
本当に危ないのか?』というタイトルで遺伝子組換え食品について取り上げます。

ガリレオX

「取材先」に僕の名前もあるので、もしかしたら登場するかも知れません。放送の内容は僕も全然知らないのですが、番組を観るなら、ぜひ下記の書籍で予習を(笑)!

  
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2012年03月30日

みわ智恵美氏(元神奈川県議会議員)が遺伝子組み換え食品についての記事を削除してしまった件

先日、共産党の元神奈川県議会議員であるみわ智恵美氏が自身のブログで「遺伝子組み換え食品の安全性の確認はされていない」という書き込みをしていたので、はて、科学的には安全性が確認されているのに、どういう意図なんだろう、面妖な、と思って、コメント欄を利用して質問をしたわけです。

そろそろ回答をいただけたかな?と思って先ほどアクセスしてみたら、なんと、質問はもちろん、記事ごと削除されていました。訂正を載せるならともかく、まるごと削除というのはいただけないですね。ぐぐるのキャッシュにリンクしても良いんですが、偶然にも画像として残っていたので、ここに掲載しておきます。テキストも全文保全してあるので、テキストも載せることが可能ですが、とりあえず、画像だけ(^^。

いやー、偶然ってあるものですねぇ。あ、テキストが保全されているのも全くの偶然です。

miwachiemi
  
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2012年03月27日

結論「遺伝子組換え食品(遺伝子組み換え食品)は体に悪くない」

一ヶ月以上前に、ツイッターを使ってこんな感じで募集をかけたんですが、




たくさんの公式リツイートをいただいたにも関わらず、今日までだれひとり、本当にただの一人も名乗りでてくれた人はいません。低線量被曝の健康被害問題みたいに専門家が入り乱れての活発な議論ができるのかと思ったのですが、非常に残念です。

そろそろ、「きちんと分子生物学を勉強した人の中には、『遺伝子組換え食品は、科学的に言って体に悪い』と表明できる人はいない、すなわち、遺伝子組換え食品は科学的には安全である」と結論しようと思います。

もちろん、引き続き「体に悪いっ」と表明できる、「きちんと分子生物学を勉強した人」は募集しておりますので、いつでもどうぞ。

# 非科学的な感想の場合は、まず参考まとめ1をご覧下さい。

## 良くわからないけれど、ちょっと勉強したい、という方は、参考図書を是非お買い上げください。僕が書いた本です。

参考図書:


参考まとめ1:科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体はインチキか、否か

参考まとめ2:遺伝子組換え食品に関する妙なつぶやきのまとめ

日本共産党横浜市港南区くらし・子育て相談センター所長の意見:遺伝子組み換えでない

#上記ブログには下記の内容で質問を書きました。

「遺伝子組み換え食品の安全性の確認はされていない」という記述の意図が不明です。

遺伝子組み換え食品は全て厚労省、農水省の審査に適合したもので、安全性は科学的に検証されています。みわ様の「安全性」とは、どういった定義なのか、ご教授ください。

なお、この質問コメントにつきましては、下記のブログにおきまして公開しております。返答をいただいた場合はその内容も全文掲載させていただきます。
  
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2012年01月12日

nonGMOリスト

Facebookページの「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」の中にnonGMOリストを作ってみました。非遺伝子組換え飼料はどんどん入手が困難になってきていますが、そんな中、nonGMOにこだわった生産者の方々のリストです。これからも少しずつ充実させていきたいと思いますので、情報をお持ちの方はお気軽にコメントでお知らせ下さい。なお、情報はネット等で確認できるものをお願いいたします。

遺伝子組み換え食品との付き合いかた「nonGMOリスト」  
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2011年12月25日

浄化されないネット情報の危険性(アゴラ投稿)

アゴラに投稿した文章ですが、時間をおいてこちらにも同じものを掲載することにします。以下、そのまま転載。


「出身大学が農学部」でご自身に「生物学の素養がある」と言っている方が「ITに詳しく「かつ」生物学に詳しい人材に、なかなかお目にかかれない」と嘆いているのをみるにつけ、「あぁ、かれこれ10年近く、バイオ畑出身のITベンチャー社長としてブログを書いてきているけれど、私もまだまだなんだなぁ」と痛感する。

遺伝子組換え技術について --- 重道 潔

そこで、これまでの自分を反省しつつ、「バイオの視点から見ると、ネット情報の危険性はこんな風に分析されます」という一例を書いてみたい。

まず、今朝見つけたつぶやきはこれである。

2011/12/24 06:30:56
なんの表示も売り場にはない、ジャスコPB商品の「遺伝子組み換え」食品群 http://t.co/P9Y7LO1L http://t.co/mEY8vcZQ


私の元々の専門はバイオテクノロジーで、先月末には「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」という本も出した。最前線でバリバリ研究しているわけではないが、遺伝子組み換え食品の現状にはある程度明るいので、このつぶやきを見てすぐに違和感を持った。そこで、リンク先に行ってみると、そこはCeronだった。ここは、はてなブックマークやツイッターのつぶやきをベースにまとめられたニュースサイトで、話題になっているニュースが抽出される。では、その「ネットで話題になっているジャスコの遺伝子組み換え」とはなんなのか、リンク先を見てみることにした。

詩とコギト: ジャスコPB商品の「遺伝子組み換え」食品群

この記事についているつぶやきを見ると、ジャスコに対する悪口ばかりである。書かれているのは2011年10月から11月にかけてのものが多いようだ。元になっている記事にアクセスすると、こちらだった。

ジャスコPB商品の「遺伝子組み換え」食品群

この記事は、私が「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」を書く動機付けになったもので、本の「はじめに」でも触れている。

「遺伝子組み換え食品との付き合い方」から「はじめに」ノーカット版

簡単にまとめてしまえば、

ジャスコ・イオンのプライベートブランド商品「トップバリュー」は、必要のない「遺伝子組み換え不分別」を、わざわざ消費者のために表示しているに過ぎず、他のメーカーはそれをやっていないだけ。ところが、他のメーカーの商品にも遺伝子組み換え農作物由来の添加物が含まれていることを知らない人は、トップバリューのことを勘違いして批判している。


ということだ。少なくとも、ジュースに入っている果糖ぶどう糖液糖は、米国産遺伝子組み換えトウモロコシから作られている可能性が非常に高いことがわかっている。

ここで、件のブログの記事の日付に注目してもらいたい。2010年4月28日で、もう1年半以上前の記事なのだ。遺伝子組み換え食品の現状を語るにはあまりにも古い情報と言える。

遺伝子組み換え食品の情報をツイッターで見ていると、この手の話が非常に多い。「アルゼンチンでは遺伝子組み換え農作物を作付けした農民が苦しんでいる」というつぶやきを見て、そのリンクをたどると5年以上前の記事だった。その後もアルゼンチンでは毎年遺伝子組み換え農作物の作付けが増大し続けている。本当に大問題となっているのであれば、なぜ遺伝子組み換え農作物の作付けをやめないのか。あるいは、カナダの農家が遺伝子組み換え作物と自然交雑した農作物を栽培していたら特許侵害で訴えられた、というつぶやきもあった。訴えられたことは事実だが、2004年にカナダの最高裁で判決が出ていて、裁判所は「自然交雑ではない」との判断を示している。つぶやきのトーンは「濡れ衣で酷い」という感じだが、実際は全く違う。

ちょうど今日、岡田斗司夫氏がツイッターでこんな風につぶやいた。
2011/12/24 02:42:25
岡田斗司夫「ネット依存はアル中と同じ…“ネットに真実がある”と叫ぶ奴は泥酔状態」
http://t.co/nwlCwYn8 →この記事の元になったインタビュー・ノーカット版をブログにUPしました→ http://t.co/48MiuHkG #otakingex #nicoron


遺伝子組み換え食品に関するネット情報を見ていると、全くそのとおりだなと思うのである。古い情報が上書きされず、ツイッターで取り上げられ、増幅される。あたかも「がん」の再発のようだ。

元木 一朗  

2011年12月23日

農水省の下っ端が気の毒な件(遺伝子組み換え関係)

パブコメにはきちんとした意見を送らないと、無駄ですよ、ということを書きましたが、こんなエントリーで無駄作業を煽っているブログがあったりもします。

【残り1週間を切りました】 12/24〆切 農林水産省が、「花粉(精子)ができなくなる雄性不稔性トウモロコシ」=モンサントの遺伝子組換え植物承認について意見募集をしています(ひのもと情報交差点)
http://johokosa.blog98.fc2.com/blog-entry-283.html

投書する意見の案なるものがありますので、僕が担当の係員(役所の下っ端)になったつもりで添削してみます。

---------------添削シミュレーション------------------
実際、遺伝子操作されたアミノ酸が原因で死者や健康に異常をきたした者が多数出たことが報告されています。

→昭和電工が組み換え大腸菌を利用して生産したトリプトファンをサプリとして摂取した人に深刻な健康被害が出たのは事実。「遺伝子操作されたアミノ酸」という文言は意味不明で、投稿者はおそらく分子生物学の知識がない。トリプトファンの過剰摂取による健康被害については確定されているものの、「昭和電工製」との因果関係は現時点でも不明であり、遺伝子組み換え大腸菌は無関係というのが定説である。単にトリプトファンの過剰摂取が問題だったとする説もある。

種子は特許品であるため、たとえ収穫があっても新たに種子を買わなければならず農家を経済的に圧迫します。

→日本において販売されている、いわゆるF1種も状況はそれほど変わらない。我が国の農業では自家採種は稀で、問題はない。また、自家採種したい農家は組み換え農作物を栽培しなければ良いだけの話である。

また農薬に強い品種を使えば農薬に依存しがちになり、食品の安全性に問題が出ることはもちろん、土壌も汚染されていくため、日本の食品と農業に深刻なダメージを与えることになります。

→これは内容的にも疑問が残るが、それ以前に遺伝子組み換えの話ではない。

インドでは高額な種子や農薬などを使用したにもかかわらず収穫が少なかったため、千人以上の農民が自殺を図るという悲劇が起こりました。

→農民の自殺と遺伝子組み換え作物とに因果関係はないと報告されている。
http://www.guardian.co.uk/environment/2008/nov/05/gmcrops-india
インドの農民の自殺は以前からあり、その原因は貧困と負債が主なものであると考えられている。インドにおける調査では、組み換えを利用することによって収益率がアップしているという報告もある。
http://www.thehindubusinessline.in/bline/2005/04/07/stories/2005040701600700.htm

また特許権を侵害したとして身に覚えのない農民などに対し次々と訴訟を起こし示談に持ち込むということまでしている企業です。

→「次々と」に関して個別具体的な提示がないので詳細な検討はできないが、例えば代表的な下記の訴訟ではモンサント側の主張が認められている。
http://www.monsanto.co.jp/data/for_the_record/percy_schmeiser.html
仮にこれが不当判決であるとするなら、それは組み換えの問題ではなく、カナダの法制度の不備である。

遺伝子組み換え技術そのものとそれに伴う農薬の多量使用による健康被害の危険性、日本の農業への経営面と生産面両方への重大な悪影響、そして企業の信頼性の問題など、いかなる面からも不適切であり、認めることはできないと考えます。

→危険性については科学的な見地から検討が済んでおり心配はない、導入は日本の農家の判断に任されており選択肢が広まるだけ、企業の信頼性は組み換え作物に関する技術とは無関係、など、いかなる面からも投稿者の勉強不足と判断でき、「ご意見ありがとうございました。今後とも農林水産省をよろしくお願いいたします」としておくのが妥当。

---------------添削シミュレーション------------------

このブログを読んで、大して勉強もせずに「良し、送っちゃおう」と農水省にコメントを送りつけている人が発生しているとすれば、担当の係員が気の毒ではあります。まぁ、農水省への嫌がらせとしては機能するでしょうが・・・。

参考:パブコメを書く際の注意事項(遺伝子組み換え食品との付き合いかた)  

2011年12月15日

遺伝子組み換え食品に関する議論に求められる2つのこと(初出アゴラ)

遺伝子組み換え食品に関する記事をアゴラに投書しました。

遺伝子組み換え食品に関する議論に求められる2つのこと
全文、こちらにも投稿しておきます。

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タイトル:遺伝子組み換え食品に関する議論に求められる2つのこと

TPPで農産物の輸入が注目されたことと、今月から遺伝子組み換えパパイヤの輸入が解禁されたことから、遺伝子組み換え食品に対する関心が高まりつつある。しかし、ネットを見ていると、トンチンカンなことが書かれている場面に出くわすことが少なくない。

先日、BLOGOSにこんな記事が掲載された。

「モンサント=ガン」 米国のシェフが警鐘鳴らす遺伝子組み換え
http://blogos.com/article/26733/

内容には多くの問題があるが、例えば「DNAを操作された種子には石油ベースの殺虫剤が入っており」などという記述はトンデモの部類に入るようなものである。他にも「化学物質が水、食物、土地を汚染する」「継続して食べると体に毒が回り病気になる」「遺伝子組み換えされた作物のタネは一代限り」「世界最強を誇る自社の除草剤」など、多くの問題・疑問がある記事だ。

また別の例だと、日経ビジネスオンラインにはこんな記事が掲載された。

遺伝子組み換えパパイヤ、買いますか?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20111208/224964/

こちらもかなり残念な内容で、「飼料用の穀物としてGM作物はたくさん日本に入ってきた」「身近な食物になったらどうだろうか」など、事実誤認が含まれている。実際には、もうすでに私たちの口に入っているし、十分に身近な食物になっているのである。

さらに岩上安身氏も、ツイッターで遺伝子組み換え作物の導入について「生物多様性の破壊」と、これまた疑問が残るつぶやきを書いている。
http://twitter.com/#!/iwakamiyasumi/status/146288024119021568

生物多様性という観点では、遺伝子組み換え作物は一般の農作物とほとんど変わりがない。

こうして俯瞰してみると、ジャーナリストや記者であっても、遺伝子組み換え食品(農作物)に関する知識は相当に貧弱であると言わざるを得ない。これでは、遺伝子組み換え食品に関する議論などは無理だ。有益な議論のためには、最低でも次のようなことを知っておく必要がある。

1.遺伝子組み換え作物はトウモロコシ、ダイズなどで非組み換えよりもずっと作付け率が高い
2.日本にも食用として遺伝子組み換え作物が輸入されており、異性化糖、植物油、乳化剤などとしてお菓子、清涼飲料水、菓子パン、その他の食品に利用されている
3.多くの遺伝子組み換え作物由来の食品添加物には表示義務がない
4.遺伝子組み換え作物は特定の害虫や農薬に強いだけで、生態系への影響は一般の農作物と大きく変わらない

多くの人が知らないのは、「もうすでに大量の遺伝子組み換え作物由来の食品が身の回りに存在し、それらを拒否するなら、日常生活に大きな支障をきたす」という現状だ。例えば、どうしても組み換え作物由来のものが嫌なら、「甘みのあるジュース」は、大塚製薬のものを除いてほとんど全てが飲めないと予想される。

遺伝子組み換え食品に対する関心が高まったのは非常に良いことだと思うし、特にイネの組み換えに対してどういう姿勢を取るべきかなど、今後は国民的な議論も求められるはずだ。だからこそ、最低限の知識は必要なのである。

国も企業も「反対運動への対応が面倒なので、隠しておこう」「気がついたら食べていました、という状態になっていると都合が良い」と考えてきた部分も少なからずあると思う。しかし、もういい加減、きちんとした情報提供がなされるべきだろう。ただ、上にもあげたように、ネットの情報を見ても「間違った知識」が溢れているのが現状である。こうした中では、「正しい情報」を取り出してくるのは至難の業である。

そこで、いくつかの目立つ勘違いについて、「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」というFacebookページにまとめておくことにした。内容別のリンク集はこちらに用意したので、参考にして欲しい。

http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51309988.html

放射線の低線量被曝のように、科学的な知見が不十分で、科学的な検討が難しい事象もある。しかし、遺伝子組み換え食品は、それに比較すればずっと科学的な検討が可能である。

一方、科学的に問題がないとしても、「食べたくない」という感情は尊重されるべきだし、「食べない権利」は守られるべきだと思う。科学の名のもとに安心を強要されることは、正しいことではないはずだ。

大事なことは、議論に参加するみんなが最低限の知識を持っていることと、議論に参加する人が、自分の主張が科学ベースなのか、感情ベースなのかを自覚することだと思う。

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このブログではすでに指摘したことで、また、田中龍作さんも、日経ビジネスの白壁達久さんも、そして岩上安身さんも、「おかしいですよ」とツイッターやFacebookで連絡したんですが無視されました(笑)。「まぁ、うちみたいな辺境のブログが何を言ってもねぇ」と思って、たまにはもうちょっとアクセスのありそうなところへ投書してみた次第。

amazonでは「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」はまた売り切れてしまっていますが、今注文していただけば、年内にはお手元に届くかと思います。



また、「今すぐほしいのに!」という方は、都市部の方であれば、検索端末が置いてあるような大きな本屋さんで探してみてください。三省堂、ジュンク堂、有隣堂、書泉、リブロあたりではどこも置いてありました。

#売り切れていたら申し訳ありません。  
Posted by buu2 at 12:45Comments(4)TrackBack(0)バイオ

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2011年12月13日

なんとも怪しい「遺伝子組み換え食品批判」の記事

「メディアは印象操作を平気でやる」というのが「総統閣下はお怒りです」という本で訴えたことなんですが、ちょうど遺伝子組み換え食品についてそんな記事が出たので、サンプルにしてみたいと思います。

「モンサント=ガン」 米国のシェフが警鐘鳴らす遺伝子組み換え
http://tanakaryusaku.jp/2011/12/0003333

基本的には「米国のあるシェフがこんなことを言っている」というレポートなので、彼がそう言っている以上、それまでのことなんですが、何も調べずにそれをそのまま伝えてしまうのはどうなんでしょう。順を追って見ていきます。

DNAを操作された種子には石油ベースの殺虫剤が入っており

「石油ベースの殺虫剤」という言葉の意味するところが全く不明ですが、「種子には」としている以上、「農作物の遺伝子を改変して、石油ベースの殺虫成分を組み込んでいる」という主旨と受け取るのが妥当と思われます。この意味だとすれば、この文章は明らかに間違いです。例えばラウンドアップ(グリホサート)耐性の組み換え植物に導入されている遺伝子はアグロバクテリウム・ツメファシエンスという細菌から見つけられたもので、石油ベースなどではありません。

化学物質が水、食物、土地を汚染する

僕が知っている限りにおいては、遺伝子を組み換えられた植物の種子には化学物質などは入っておらず、アグロバクテリウム由来のEPSPSという酵素(タンパク質)をコードしたDNAが入っています。仮にDNAが外に出た場合、これは速やかに分解されるので、水、食物、土地を汚染するといったことはありません。

継続して食べると体に毒が回り病気になる

すでに米国、日本などで散々食べられてきていますが、まだ遺伝子組み換え食品を食べ続けたことによって病気になったという事例はありません。反対派の方々は「遺伝子組み換えジャガイモの事例」「スターリンクの事例」「昭和電工のL-トリプトファン事件」などを挙げますが、ジャガイモは商品化されたものではなく、スターリンクはアレルギーとは無関係、L-トリプトファンは組み換えとは無関係であったと科学的にほぼ結論が出ています。

遺伝子組み換えされた作物のタネは一代限り。次世代にタネは残さないのである。

これは技術的に可能で、すでに開発もされていますが、実際にはまだ市場投入されていないのではないでしょうか。ただ、「組み換え植物の種子は自家採種禁止」ということが周知徹底されているのであれば、生態系への影響を鑑みて、この技術(ターミネーター技術)は積極的に取り入れていくべきだと、僕は思っています。

農家は自家採種できなくなる

自家採種は日本、米国においては主要な農法ではありません。また、自家採種したい場合は自家採種が可能な品種を使えば良いだけの話です。

モンサントは世界最強を誇る自社の除草剤と強い除草剤に耐えうる種子をセット販売する

「世界最強」という表現が意味不明ですが、ラウンドアップの場合、安定性はそれほど高くなく、残存が問題にされた例はないようです。また、特別な農薬でもなく、日本でも普通にホームセンターやamazonで販売しているものです。また、除草剤と種子をセットで販売するのは何ら問題があるものではなく、例えばキヤノンのプリンターにはキヤノンの純正インクを使うことが推奨されているのと同じです。農業が工業化されているという考え方は成立するでしょうが、それが嫌ならモンサントの商品を使わなければ良いだけのことです。

食物の中に何が入っているかを知る権利があり、どのように食物が作られたのかについても知る権利がある

このシェフの発言はほとんど電波的なものですが、この発言だけはそのとおりだと思います。GMOの反対派はTPPによって米国式の、無表示化を危惧していますが、僕も表示はあった方が良いと思います。ただ、実質的にはもうすでに身の回りのほとんどの商品に遺伝子組み換え作物由来の物質が使われていますから、「遺伝子組み換えでない」という表示だけでも問題はない状況になっているのも確かです(ただ、これも問題があって、それは次を参照のこと)。ちょっと問題なのは、納豆のように、大豆そのものには組み換えが利用されていないのにも関わらず、商品に同梱されているカラシや醤油調味料に組み換え作物由来の物質が含まれている点だと思っています。

『遺伝子組み換え食品』と表示したためにモンサントの売り上げが落ちたら『国際投資紛争センター』に提訴される可能性がある。

可能性だけを論じるのであれば、明日、太陽が爆発する可能性もあるし、地軸が傾いて東京は一年中真冬になる可能性もあるわけです。ただ、米国では「遺伝子組み換えでない」との表示は基本的に許可されていませんが、TPPによって米国が同じ扱いを日本に要求してくる可能性は、太陽が爆発する可能性よりははるかに高いでしょう。ですから、日本としてはこの部分は死守すべきだと思います。食べたくない人が食べない権利は確保されるべきでしょう。大事なことは、守るべき権利はしっかりと守るべく、交渉することで、「表示をきちんとすべし」という意向は交渉する日本の代表者に伝え、了解してもらっておくべきだと思います。

だがもっと怖いのはモンサントによる日本の農業支配ではないだろうか。

これはかなりの確度で間違いと言えるでしょう。モンサントが権利を持っている組み換え作物はトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネといったもので、日本ではほとんど栽培されていないものです。イネの組み換え作物をモンサントが開発し、その利便性が非常に高かった場合はモンサントのシェアが高くなる可能性もありますが、そうならないように、日本の研究を推進すべきなのです。

一国の宰相が農業を米国のバイオメジャーに売り渡してどうするのか。

ここには、物凄い論理の飛躍があります。「日本の農業」と、モンサントの事業領域を良く考える必要があります。

シェフの発言は間違いばかりだし、それを受けての田中龍作さんの論考も飛躍が大きく、何らかの意図をもって読者をミスリードさせようとしているのではないかと思ってしまいます。こうした記事があると、「きちんとした反対派」が迷惑するので、もうちょっと色々と調べてから書いて欲しいと思います。

参考記事:「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」フォロー記事

品薄が続いてご迷惑をおかけしておりますが、遺伝子組み換え食品について基礎知識を身につけたい方はこちらをお買い求めいただければ幸いです。推進、反対のどちらの立場でもなく、現状を客観的にまとめたものです。


  
Posted by buu2 at 13:27Comments(4)TrackBack(0)バイオ

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2011年12月12日

「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」フォロー記事

「遺伝子組み換え食品の付き合いかた」を購入していただいた方をターゲットとして、Facebook上でフォロー記事を書いています。ただ、「これから勉強しようと思う」という人の役にもたつと思いますので、リンク集を作っておきます。

●遺伝子組み換え食品に関する誤解 その1「食品としてのリスク」

組み換え食品の、食品としてのリスクについてまとめてあります。


●遺伝子組み換え食品に関する誤解 その2「組み換え植物の生態系への影響」


パブコメなどで良く問題にされる「生態系への影響」についてです。実際には組み換え農作物の生態系への影響は、いくらパブコメで書いても却下される可能性が非常に高いのですが、その理由についてまとめてあります。

●科学の土俵で相撲をとる

反対派の多くは、科学の上っ面だけを捉えて、さも科学的であるように見せているだけで、その実は全く科学的ではありません。最初から感情の問題として取り上げていれば良いのに、科学のアプローチを取っているために、軒並み却下されてしまう現実があります。良く反対派がとりあげる組み換えジャガイモ、スターリンクを取り上げて、どうやって否定されているのかを提示しています。

●遺伝子組み換え食品に関する誤解 その3「放射能汚染との違い」

遺伝子組み換え食品の問題と放射能の問題を並列に取り上げることの問題点、両者の相違点についてまとめてあります。

●玉石混交な情報から、有益なものだけを取り出す

ネットの中には非常に多くの情報があふれています。その中にはおかしな情報も多く含まれています。そうしたたくさんの情報の中から、どうやって正しい情報を取り出すのかについてまとめてあります。

●パブコメを書く際の注意事項

反対派の方々が時々「パブコメに投書しよう」と呼びかけているのを見かけるのですが、ほとんどのケースでそれは無駄な努力になります。自己満足や役所への嫌がらせを目的にしてやっているのであればこれでも良いのですが、本当に何か国にアクションを求めたいのであれば、ちゃんとしたやり方をする必要があります。そのやり方についてまとめてあります。


「基礎的なことがわかっていない」という方は、ぜひこちらの購入をご検討ください。発売当初はamazonでも売り切れが続いていましたが、現在は「在庫あり」になりましたので、すぐに入手できるはずです。




  
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2011年11月30日

遺伝子組換えに関する間違った知識

ツイッターを見ていると、遺伝子組換えについての間違った意見、勘違いが山ほど見つかります。ちょっといくつか覗いてみます。

自然界に「青」ってないでしょ?サントリーの青いバラは「遺伝子組換え」で意図的にデルフィニジンを作れるようにしたの。それって自然の色じゃないよね。


→青いバラがないだけで、自然界には青い花がたくさんあります。青いバラが自然ではないだけで、デルフィニジンはパンジー由来の天然色素です。

TPPの危なさは遺伝子組み換え食品の無制限な流入だ。事実、米国で遺伝子組み換えアミノ酸で37人が死亡し1000人以上に障害が残った事故が起きているのだ・・


→昭和電工のL-トリプトファン事件は遺伝子組み換えとは無関係にL-トリプトファンの過剰摂取が原因だったというのが現在までのコンセンサスになっています。

茶のしずく問題って遺伝子組み換え食品には飛び火しないのかなー


→むしろ、「天然物だから安全」というわけではない、という、遺伝子組換え食品にとっては追い風のニュースです。

遺伝子組み換え食品の安全性は世代を超えなければ分らない。


→全くそんなことはありません。組換えた遺伝子が、それを食べる動物(ヒトを含む)の遺伝情報に影響を及ぼす可能性はほぼゼロです。

発展途上の国に除草剤とその耐性遺伝子組換え種子を提供。自然分解と銘打つ除草剤にその症例はなく数年で蓄積、同社耐性GM種以外育たなくなる。


→除草剤耐性遺伝子のターゲットとなる農薬はラウンドアップ(グリホサート)ですが、ホームセンターでも普通に売っている農薬です。もちろんAmazonでも購入可能です。



レビューを見るかぎり、評判も良いようです。


と、ツイッターをちょっと散歩してみただけでも間違った情報がわんさか釣れてきます。大事なのは「正しい情報を見極めて、それを参考にして自分で選択すること」のはず。ちょうどTPP問題や遺伝子組換えパパイヤの輸入解禁と重なって、改めて遺伝子組換え食品への注目が集まっています。「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」を読んでいただければ、「これからどうしたら良いのか」のヒントが得られると思います。本日、オーム社から発売です。よろしくお願いします。  
Posted by buu2 at 12:39Comments(0)TrackBack(0)バイオ

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2011年11月07日

「遺伝子組み換え食品との付き合い方」から「はじめに」ノーカット版

今月発売予定の「遺伝子組み換え食品のとの付き合い方」(オーム社)の「はじめに」の文章です。実際の書籍ではスペースの都合でかなり短くなっていますが、元々のバージョンをこちらに掲載します。

はじめに

先日、ネットサーフをしていて、あるブログを見つけました。そのブログの運営者は、「イオンで売っているプライベートブランドのジンジャエールの原料を見てみてびっくりした。遺伝子組換え不分別の甘味料を添加している」と書いていました。さらに、「値段が少し安くても、遺伝子組み換え食品を口にするリスクを負わなくてはならないのは心外だ」という主旨のことを書いてもいました。

この文章を読んで、みなさんはどう思うでしょうか。「イオンは遺伝子組換えの食品を売っているのか。もうイオンでは買い物をしたくないな」と思いますか?

ジンジャエールは他社製品もあって、誰でも簡単に手に入れることができます。それらのジンジャエールは、どれもこれも遺伝子組換え不分別のトウモロコシから作られた果糖ぶどう糖液糖が添加されている可能性が高いのです。2009年に毎日新聞が国内飲料メーカー8社に対して行ったアンケート調査では、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サッポロ飲料、サントリー、ヤクルトの5社が「不分別を利用」、ポッカが「不分別使用の可能性がある」、日本コカ・コーラは「情報公開を義務づけられた内容以上の質問には答えられない」と回答し、「使用していない」と回答したのは大塚製薬1社のみでした。したがって、現在日本で飲むことができるジンジャエールの全てに遺伝子組換え不分別の甘味料が使用されていることが強く示唆されます。

現在、清涼飲料水の甘味料について、遺伝子組換えに関する表示義務はありません。他のメーカーが「義務はないから」と表示していない中で、イオンは唯一、自社のプライベートブランドで「遺伝子組換え不分別です」と表示しています。

清涼飲料水の「遺伝子組換え不分別」という表示ひとつをとっても、背景についての知識があるとないとでは、受け取り方が180度変わってしまう可能性があります。「すでに果糖ぶどう糖液糖のほとんどが遺伝子組換えトウモロコシから作られている」と知っていれば「義務がないのにきちんと表示しているイオンは素晴らしい」となりますが、実情を知らなければ、「イオンは遺伝子組換えの果糖ぶどう糖液糖を使っていてけしからん」となってしまうかもしれません。

私たちの「もの考え方」は日常の色々な情報から影響を受けます。テレビ、新聞、雑誌、インターネット、友達の口コミ・・・。情報の洪水の中で、私たちは情報を取捨選択し、自分にとって正しい判断に行き着く必要があります。そうした中、遺伝子組換えに関する情報は非常に入手が難しく、また、わかりにくくもなっています。この状態では、どうやって遺伝子組換え食品と付き合っていったら良いのかもわかりません。

この本では、皆さんに遺伝子組換え食品の現状をお伝えするとともに、それらとどうやって付き合っていったら良いのかについて、科学一辺倒にならずに考えてみました。今後の皆さんの生活において、ひとつのヒントになれば幸いです。


本屋さんの店頭やAmazonに並ぶまで、もう少々お待ち下さい。最新情報はこちらの「いいね」をクリックしてチェック!




  
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2011年11月06日

サプリメントなんて、もう要らないかも?

ちょっと前に、Archives of Internal Medicineに掲載された論文でこんなのが。

Dietary Supplements and Mortality Rate in Older Women
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/171/18/1625

1986年の時点で平均年齢61.6歳だった女性38,772人を対象に、ビタミンとミネラルのサプリメントの利用状況と、2008年末の生存状況(40.2%が死亡)を調査して、その相関を求めた、という論文なんだけれど、マルチビタミン、ビタミンB6、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅に関してはリスクがアップし、カルシウムだけがリスクが小さくなったとのこと。関連は鉄のサプリについてが一番高いらしい。

無料で読めるのがサマリーだけなのでなんとも言えないけれど、さもありなん、という感じではある。ビタミンAやその前駆体のβカロテンの危険性については以前このブログでも書いたけれど、現在ではビタミンDを始めとして、脂溶性ビタミンの多くが「適度に摂るなら害はない」といったところ。

僕もちょっと具合が悪いな、と感じるとマルチビタミンを飲むことがあるんだけれど、冷静に考えればビタミンって、多分普通の食生活の中で健康被害が出るほどに欠乏するものじゃない。ミネラルも、どうなんだろう。そんなにたくさん必要なものじゃないしねぇ。体の中で、「あ、これはあのミネラルだ」ってわかるのはカルシウムぐらい。あぁ、あと、ヘモグロビンの関係で鉄はわかるか。亜鉛とか銅とか、わざわざサプリで飲むようなものではないと、なんとなく感じる。理由はないけれど。

今回は高齢の女性を対象とした調査だけれど、これからはこの手の調査結果も色々と出てくるんだと思う。

最近、色々と調べていて思うのは、偏食よりもバランスが取れた食生活のほうが良い、ということ。そりゃぁどうしても不足するビタミンやミネラルはサプリに頼ってもいいけれど、そんな状況に追い込まれることって、日本ではほとんどないんじゃないかなぁ。この論文では唯一好評価だったカルシウムですら、大量摂取すれば腎結石や前立腺がんのリスクが上昇するという論文があるみたい(Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Database(2006))だし、アミノ酸の一種のトリプトファンですら、大量に摂り過ぎると健康被害が出るくらいだからね。以下、「「健康食品」の安全性・有効性情報」から抜粋。

・サプリメントとしての経口摂取は危険性が示唆されている。妊娠中・授乳中の使用は避ける。
・経口摂取での副作用として、吐き気、頭痛、ふらつき、口渇、かすみ目、運動失調、傾眠などがある。
・サプリメントとしてトリプトファン製剤を摂取して、好酸球増多筋痛症候群という健康障害を引き起こした事例がある。


出典:「健康食品」の安全性・有効性情報「トリプトファン」
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail623.html

それにしてもこの「健康食品」の安全性・有効性情報というサイトは素晴らしい。このサイトを運営している独立行政法人国立健康・栄養研究所は偉い。

健康はバランスの取れた食生活から。僕は、文化的な生活をしているならサプリメントは不要、ということでFAなんじゃないかと、最近は思っている。

ずっと昔、味の素(グルタミン酸のナトリウム塩、グルタミン酸はアミノ酸の1つ)を食べると頭が良くなるって言って、何でもかんでも味の素を振る時代があったけれど、今は「味の素で頭が良くなる」なんて言う人を見ることない。だから、20年ぐらいしたら、「あの頃はみんなサプリでビタミンやミネラルを摂っていたんだよね。今じゃ誰もそんなことしないけれど」っていう時代になっていても、全然不思議じゃない。  
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2011年10月24日

ウコンに関する論文のメモ書き

ウコン(クルクミン)関連の論文を教えてもらったのでメモ書きということで。

Food additives such as sodium sulphite, sodium benzoate and curcumin inhibit leptin release in lipopolysaccharide-treated murine adipocytes in vitro

http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=8347091

食欲が出るらしい。危険だ(笑)。

情報提供、ありがとうございました(^^  
Posted by buu2 at 23:28Comments(0)TrackBack(0)バイオ

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懲りないリバネスがまたインチキ商売を展開!!!

リバネスが怪しいクッキーの販売を始めたと教えてもらいました。どれどれ・・・。

Chaperoneのクッキー

なんだこれ(笑)

東大、筑波大をはじめとする大学に通う理系女子5人が、勉強に、部活に頑張る忙しい女子高生を応援したい!という想いをこめて開発しました。


東大、筑波大をはじめとする大学に通う理系女子5人が、女子高生を騙す目的でクッキーを開発したそうです。例によって学歴を看板にした商売を展開しているようです。えーとですね、「ん?」って思った人は、「もうダマされないための「科学」講義」という本を手にとって見てください。この本の25ページで、菊地誠さんがこんな風に書いています。

「科学に見えるものとはどんなものか。たとえばサプリメントの広告に「◯◯学会発表」などというデータが表示されていたり、研究結果のグラフらしきものが載っていたり、あるいは白衣を着た人の写真が使われていたりする。こういったものは科学に見えるようにしているのでしょう。科学に見せかける上で白衣は重要なアイテムです。」


もう、まったくこの通りで、リバネスの場合は白衣じゃなくて学歴を使います。「博士」ね。だけど、丸社長だって学部は東京薬科大学という三流大学の出身で、フェイスブックとかではそれを一所懸命隠してますけど、立派なロンダーです。ろくでもない学歴を隠しつつ、博士号で看板商売をやるのがリバネスの常套手段で、今回は「理系女子」っていうのを使ったようですね。だけどさ、修士の学生が何ができるの、という話で、へそでお茶がわいちゃいますよね。こんなくだらねぇことやってないでちゃんと勉強しろ、と思います。

それで、この東大、筑波大を始めとした理系女子の専門分野は何で、これまでに出した論文はなんなんですかね??まず、どこのどいつなのかちゃんと調べてみました。って、この5人か(笑)。簡単に見つかっちゃった。実名で顔出ししちゃって大丈夫なのか?

チームChaperoneのメンバー

萩原彩乃
筑波大学大学院生命環境科学研究科 修士1年

多田尚美
日本獣医生命科学大学大学院 修士1年

村井智美
東京大学大学院農学生命科学研究科 修士2年

◯◯◯◯(未成年かもしれないため伏字)
東京大学理科粁燹ヽ愽1年

◯◯◯◯◯(未成年のため伏字)
朋優学院高等学校 3年


環境科学科ねぇ。生命科学大学ねぇ。生命科学研究科ねぇ。うーーん。誰が大豆ペプチドの専門家なんだろう?てか、修士でまともな論文出しているのか?って思って論文データベースを調べてみたけれど見つからない。

大豆に関する最近の研究から、「大豆ペプチドが脳の覚醒を高める」ことが分かってきています。


だそうです。論文はどこですかねえ?ちょっと調べてみたんですが、うーーーん。

国立情報学研究所論文情報ナビゲーター「大豆ペプチド」

どれですかねぇ?わからないので、「健康食品」の安全性・有効性情報で「リン脂質結合大豆ペプチド」について調べてみました。

「健康食品」の安全性・有効性情報「リン脂質結合大豆ペプチド」

コレステロールが高めの人用のトクホはあるようですが、他の効果は今のところ認められていないみたいですね。良いですか、健康食品を販売するインチキ会社の常套手段は、読み手に誤解させることです。この文章には、「「脳の覚醒を高める」ことがわかってきています」って書いてあるだけです。脳の覚醒ってなんですか?成績が良くなるとか、どこにも書いていません。読む側が勝手に、「成績が良くなるのかも」と解釈しているだけです。トクホ用の試験をやっているということは、それなりの研究をやっているはずで、それにも関わらず「脳が覚醒する」というトクホにすらなっていない(トクホだって効きませんよ、普通は)わけです。大豆ペプチドなんか食べてもお腹が一杯になるだけでしょう。

さて、商品説明の続きを読んでみましょう。

アミノ酸の一種であるγアミノ酪酸、通称GABAには、リラックス効果があると言われています。


「言われています」だってよ(爆)。GABAのヒトに対する有効性はこちらを参照のこと。

「健康食品」の安全性・有効性情報「γ-アミノ酪酸(ギャバ)」

血圧の高い人にはちょっとだけ効果があるかも知れないみたいですよ(笑)。リラックス効果ねぇ・・・。

お子さんに、お孫さんに、近所の受験生に、ぜひあなたもこのクッキーで女子高生を応援しませんか?


騙されて買わないように。こんなの食べてもお腹がいっぱいになるだけですよ、今の科学的な知見から判断すれば。これで1500円って、どんだけ暴利を貪ってんだよ(笑)。

もう、本当にリバネスって、金になれば何でも良いっていう会社になっちゃったんですね。  

2011年09月15日

ヒマワリによるファイトレメディエーションは効果なし

ヒマワリで放射性セシウムによる環境汚染を浄化しようという試みが浪江町などで実施されていたわけだけど、

「DASH村」のヒマワリ栽培 放射性セシウム吸い上げを期待
http://www.j-cast.com/2011/08/26105501.html

残念ながら効果はなかったようで。

ヒマワリ除染、効果ありませんでした…
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110914-OYT1T00965.htm

このあたりについてはだいぶ前に非常にわかりやすい検討が行われていて、

6/12 ヒマワリが土壌の放射性セシウムを除去という説の真偽を確認しました。(3.11東日本大震災後の日本)

全てをまとめれば、「ヒマワリがセシウムを効率的に吸収するという論文があったけれど、福島で実際に調べてみたら全然そんなことはなかった」ということ。

教訓1:論文になっているからと言って正しいとは限らない
教訓2:放射能に関連することは未確定なことが多い  
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2011年09月13日

高血圧にトクホとか、どうなの?

僕は3年ぐらい前に健康診断で高血圧と言われた。前から血圧は高かったんだけれど、年齢があがるにつれてどんどんひどくなってきた。当時で、150-105ぐらい。ちょうどメタボがどうのこうの、と世の中が騒いでいる時期とも重なって、医者からは「やせろ」「運動しろ」「食塩摂取量を減らせ」と言われた。だけど、当時でも週3回はトレーニングをしていたし、味付けは薄いのが好きだから、塩分はもともと控えめ(もちろん血圧のことも自覚していたから、塩分控えめの生活をしていた)。「やせろ」だけはそのとおりだったので、6キロほど体重を落としてみた。他にも体脂肪が落ちるお茶とかを「どうせ効かないだろう」と思いつつ飲んでみたりした。結果、何をやっても血圧は下がらなかった。詳細なデータ(直近3ヶ月の朝と夜の血圧データ、および10年以上にわたるジムでの血圧測定データ)を添えて医者に相談したら、「薬を飲みましょう」とのことだったので、以後3年間、薬を飲み続けている。今飲んでいるのは

カルブロック
オルメテック
ナトリックス

の3種類である。上のふたつは一緒になっているタイプがあるらしいが、まだ試していない。さて、この薬を飲み始めてどうなったかというと、今の血圧は122-78である。医者は僕が3ヶ月ごとに持って行くデータを見ては、「血圧の薬って、良く効くんですねぇ。メーカーがこの詳細なデータを見たら喜びますよ」と苦笑している。ここまで神経質に全てのデータをとって、検討している患者は珍しいらしい。

こうやって高血圧対策をしてみて思うのは、

1.食餌制限、健康食品などは全く効果がない
2.運動などは全く効果がない
3.薬は効く

ということだ。役所の都合で「生活習慣の改善で健康的な生活」とか言ったり、メーカーが商売で「血圧の気になる方へ」などとラベルをつけてお茶を売ったりしているけれど、こんなものは薬の効果に比較したら屁みたいなものだ。そして、3割負担なら、高血圧の薬は1日100円弱の負担で済む。

大体、トクホのお茶とかは多少の薬効成分が含まれているのかもしれないが、要は混合物である。その中には必要なものもあれば不要なものもあるはずだ。そこが薬と決定的に違う点である。できることなら、その中から有用成分だけを取り出して、薬として販売すれば良いのに、なぜそれをやらないのか不思議で仕方がない。っていうか、それをやらないんだから、効かないんだろうな、と思う。むしろ、「一日一本を目安にご利用ください」って、それは立派な偏食である。健康的な生活はバランスの取れた食事こそが大切で、今日は牛乳、明日はコーヒー、明後日は紅茶でその次は緑茶・・・みたいな多様性のほうが大事なんじゃないかな、と僕は思う。パイナップルダイエットとか、紅茶キノコとか、カスピ海ヨーグルトとか、こんなのも「毎日食べましょう」となったところで単なる「偏食による不健康な食生活」になりさがる。そんなことなら、少なくとも高血圧対策としてはきちんと効く薬があるんだから、薬を飲んでおけ、と思う。薬は必要にして十分な成分しか含まれていない。血圧の下がり具合によって分量も変えていける。もちろん薬が効かない人もいるだろうが、その場合は薬を変えてみれば良いだけのこと。少なくとも僕は、「どんな薬を飲んでも効果がなかったけれど、トクホの高血圧用のお茶を飲んだらびっくりするほど血圧が下がった」という人を知らない。逆については、少なくとも僕が1つの確実な事例である。

時々「薬は副作用が」とかいう人がいるけれど、人工物は副作用があって、天然物(食品)には副作用がない、というのは間違っていると思う。食品を健康対策として(例えば血圧を下げる、とか)本当に効果がでるまで食べ続けるなら、それはそれで何らかの副作用が出そうなものだ。なぜ副作用が出ないかって、単に、そこまで徹底して食べていないだけのことじゃないのか。そして、副作用が出るまでやらないのなら、目的としていた効果も期待できないんじゃないかと思う。大体「薬が嫌い」とか言っても、そういう人たちだって花粉症ならほとんどの人が薬を飲むんじゃないの?要は、生活習慣病みたいに、トクホの対象になるような症状に切迫感がないだけなんじゃないかと。

具合が悪いなら医者に行って、きちんとピンポイントに効く薬をもらうべきだと思う。食品でなんとかしようとかって、それは不純物が一杯で効果もさっぱりわからないような、質の低い薬を使っているようなものだと思う。しかも、そっちの方が費用も高いと来ている。だから、僕はトクホで血圧対策をしようとしている人を見ると、「なんか、ちょっと違うんじゃないの?」と思うのである。いや、もちろん毎日ラーメンとか、年間1,000杯とか、そういうキチガイみたいな偏食で高血圧っていうなら話は別なんだけれど。

もちろんそれは高血圧だけにとどまらない。「特定の食品を毎日食べる」って、それ、喜ぶのはメーカーだけじゃないの?

何しろ僕は薬を飲んで、あとは好きなものを食べて飲む。  
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2011年09月11日

自給率0%のトウモロコシ

山梨でトウモロコシ畑を見つけた。

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そこそこたくさん育てている感じである。日本のトウモロコシの消費量は年間約1,600万トン。自給率は0%。ただし、酪農家が自前で飼料用にトウモロコシを栽培していて、この自家消費分が年間4〜500万トンぐらいあるらしい。この畑のトウモロコシもそんな感じで消費されるのかも知れず。自家消費の飼料用だと、「多少虫が食っても良いか」ってことになるのかなぁ?人間が食べるものよりは、色々と手間がかからない気はする。  
Posted by buu2 at 14:46Comments(0)TrackBack(0)バイオ

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2011年07月09日

遺伝子組み換え食品のグループを作ってみた

Facebookは相変わらず良くわかんないんだけど(笑)、試しに「遺伝子組換え食品」のグループを作ってみた。

http://www.facebook.com/groups/190088434383206

ここにこうやって紹介しておくと、グループに誰でも入ってくることができるのかな?

まだ「大豆のニュース」と「トウモロコシのニュース」しか作ってないけれど、興味のある方は参加してみてください。参加できるなら、ですが。

あ、僕のスタンスはどちらかと言えば組換え推進派ですが、「絶対に組換えフリーが良い!」という方もお気軽にどうぞ。放射能ふりかけと一緒で、オッケーっていう人も、いやーんという人も、どちらもその人の自由意思で選択できる社会が良いと思っていますので。  

2011年06月14日

二日酔いについて考える

最先端似非(?)科学のリバネスの博士たち(爆笑)がサイエンスにこだわって(爆笑)ウコンを売っている件に関連して「二日酔い」について考えてみた。飲み過ぎは誰もが経験のあることで、「二日酔い、やだなー」とみんなが思っているから、「これ、二日酔いに良いらしいよ」などと聞くとみんな試したくなる。ダイエット食品と同じ構図だ。では、二日酔いの薬とか健康食品はどの程度の効果効能が期待できるのだろう。

まず、二日酔いより一歩進んだ、急性アルコール中毒について調べてみた。急性アルコール中毒は血中のアルコール濃度が一定量を超えた場合に発症する。急性アル中の治療法はネットで調べる限り、経過観察、胃洗浄(アルコールの吸収を予防)、下剤(アルコールの吸収を予防)、利尿剤の投与(アルコールの体外遊離)、ビタミンB1の投与(アルコールの代謝促進)、血液透析(アルコールの体外遊離)といった対応が為されるようだ。ここで、ビタミンB1の薬効について、「健康食品」の素材情報データベース(国立健康・栄養研究所)で調べたところ、アルコール中毒によるビタミンB1の欠乏症に対して栄養補助食品として経口摂取した場合に有効であるけれど、アルコール中毒においてビタミンB1の欠乏症になることはまれであるとのことだった。
出典:http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail50.html

続いて、二日酔いについてである。二日酔いは血中のアルコール濃度ではなく、アルコールが代謝されて生じたアセトアルデヒドによる。ここで急性アルコール中毒との対処の違いは、利尿剤の投与は二日酔いにはあまり効果的ではない、ということだ。アルコールの分解フェイズにおいて大量の水を消費しており、体が脱水症状を起こしているというのがその根拠らしい。したがって、利尿剤によって水を体外に出すのではなく、水分(スポーツドリンク等)を大量に補給するのが良いということになる。

さて、こうした対応策の他に、日本には第三類医薬品に分類される二日酔い薬が存在する。エスエス製薬のアルケシクールである。
アルケシクール(凄く重くて不安定です)

ちなみに「第三類医薬品」とは、医師による処方箋なしで購入できる一般用医薬品の中で、副作用などに特に注意が必要なもの(第一類)、日常生活に支障を来す程度の健康被害の可能性があるもの(第二類)を除いた一般医薬品で、要は医薬品の中では最も効果が期待できない部類のものである。ただ、もちろん医薬品なので、効果効能は期待できるはずである。

ウェブサイトによると、アルケシクールは次の3つの作用機序によって二日酔いを治療するようだ。

1.アセトアルデヒドと直接結びつき解毒する
2.アセトアルデヒド代謝酵素を活性化する
出典:http://www.ssp.co.jp/alkeshi/product/pop1.html
3.TCAサイクルを回して体力を回復させる
出典:http://www.ssp.co.jp/alkeshi/product/pop2.html

では、アルケシクールの有効成分は何なんだろう、ということで、それを調べてみたら、次の3つが主成分とのこと。

1.L-システイン 240mg
2.アスコルビン酸(ビタミンC) 300mg
3.パントテン酸カルシウム 24mg
出典:アルケシクール製品情報

他に添加物が色々書いてあるけれど、このあたりはパス。そして、この3つの主成分について見てみる。

まず、L-システインである。システインはアミノ酸の一種で、それほど大量にあるわけではないけれど、どこにでもあるものである。にんにくや玉ねぎ、唐辛子のような、あの手の植物に多く含まれていることが知られており、特に変わったものではない。エスエス製薬のサイトではシステインについて「アルコールを分解するSH酵素を活性化し、さらに二日酔いの原因物質(アセトアルデヒド)の代謝・解毒を早め二日酔いを治療します。また、エネルギー産生にも関与、二日酔いなどからくるカラダのだるさに対しても効果を発揮します。」と記載されているけれど、「健康食品」の素材情報データベース(国立健康・栄養研究所)で調べたところ、これといった有効性は見当たらなかった。
出典:http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail618.html

ただし、ラットにおいては低グルタチオンレベルを改善したとあるので、これをもってアルコールデヒドロゲナーゼやアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを活性化するとしている可能性はある。

一部に肝機能向上をうたう健康食品サイトが存在したが、論文ベースではシステインの人間に対する効果効能については今のところ見つからない。その効果を否定するわけではないけれど、「玉ねぎやにんにく、あるいはプロテインで良いんじゃない?」と思わないでもない。また、サプリメントでもシステインのタブレットは多数存在する。

次に、アスコルビン酸である。これはビタミンCであり、巷に溢れている非常に一般的なサプリメントである。清涼飲料水などにも大量に含まれているし、どうしてもビタミンCだけ摂取したければ方法はいくらでもある。「健康食品」の素材情報データベースで調べたところ、様々な有効性は見られるものの、アセトアルデヒドの分解に限定すればこれといった有効性は見当たらなかった。
出典:http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail45.html

アスコルビン酸はアルケシクールの効果効能の中では体力回復の部分を担っているのだと思われる。

最後にパントテン酸カルシウムである。パントテン酸カルシウムはパントテン酸のカルシウム塩(弱酸性のパントテン酸と水酸化カルシウムの中和物)で、コエンザイムAの構成成分である。主としてエネルギー生産に関わる重要な物質ではあるものの、通常の食生活でそうそう欠乏するものでもない。また、これも「健康食品」の素材情報データベースで調べたところ、有効性が認められるのはパントテン酸欠乏症に対してのみということだった。
出典:http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail592.html

ちなみに上記3つはそれぞれ医薬品として販売されているが、その効果効能はおおよそ次のようになる。

L-システイン
(湿疹、尋常性ざ瘡、多形滲出性紅斑、中毒疹、薬疹、蕁麻疹)、放射線障害による白血球減少症

アスコルビン酸
(ビタミンC欠乏症、メルレル・バロー病、壊血病)の(予防、治療)、(激しい肉体労働時、消耗性疾患、授乳婦、妊産婦)のビタミンCの補給、(ビタミンC欠乏、ビタミンC代謝障害)の(炎症後の色素沈着、肝斑、血尿、歯肉出血、雀卵斑、鼻出血、毛細管出血、光線過敏性皮膚炎、骨折時の骨基質形成、骨折時の骨癒合促進、副腎皮質機能障害、薬物中毒)

パントテン酸カルシウム
パントテン酸欠乏症の(予防、治療)、(甲状腺機能亢進症、消耗性疾患、授乳婦、妊産婦)のパントテン酸の補給、(パントテン酸欠乏、パントテン酸代謝障害)の(カナマイシンによる副作用、ストレプトマイシンによる副作用)の(予防、治療)、(パントテン酸欠乏、パントテン酸代謝障害)の(弛緩性便秘、急性湿疹、接触皮膚炎、慢性湿疹)

この3つをまとめて飲んだ時に二日酔いの医薬品になる理屈はよくわからないのだけれど、このあたりが第三類医薬品の第三類たる所以なのかも知れない。ともかくわかったことは、「二日酔いを効果的に治す薬は存在しない」ということである(ちなみに急性アルコール中毒についても同様)。

このような状況下にあって、もし本当にアルコール中毒や二日酔いの治療薬が開発された場合、相応の市場規模が見込まれると考えられる。しかし、現状はそれが未開発である。

なお、上記の調査の中でわかったほぼ確実な点を以下にまとめる。

1.空腹時の飲酒を避ける
2.飲酒前だけでなく、食べながら飲む
3.飲み過ぎない
4.二日酔いになったらスポーツドリンクで水分を補給する

なんだ、全部当たり前のことですね。その上で、ウコンのなんとかとか、そんなものはほとんど全部役に立たない、ということのようです。皆さん、騙されないように。特に、「飲む前にウコンを飲んだから大丈夫」とか言って大酒を飲むのは危険です。もちろん1があるので、飲酒前に何かを口に入れておくことは重要ですが、ウコンである必要性は今のところ確認されておりません。それから、「二日酔いに」などとして売っているものはほとんど全部怪しい商品ですから、そういう商品を扱っている会社のものは、自己防衛として買わないことをお勧めします。たとえ、博士が勧めていてもです。

#時々、リバネスについて「最先端似非(?)」と書いているのを、「もしかしたら科学かも?」と僕が思っていると誤解している人がいるようなのですが、とんでもない。リバネスはこの手のインチキ健康食品の販売にあたって、科学的なことなど何もしていません。単に「博士がお勧めしている」だけです。僕のスタンスはリバネスは科学でないのはもちろん、似非科学でもない、というものです。ただ、「博士」という肩書きを利用しただけの看板商売です。良くあるじゃないですか、白衣を着た「〇〇先生(医学博士)がお勧めします」っていう怪しい宣伝。あれと一緒です。  
Posted by buu2 at 04:06Comments(2)TrackBack(0)バイオ

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2011年06月11日

似て非なるもの食品関連3題

放射能ふりかけ、遺伝子組換え食品、BSEの3つは生活者の安全に関する問題である。これらに対するアレルギー反応の大きさは個人それぞれだろうが、後2者は僕の専門領域だし、放射能ふりかけについてはこの3ヶ月、そこそこに勉強したので、3つの対象に対する僕のスタンスをまとめておく。

放射能ふりかけ:人体への影響は不明。したがって、安全サイドに寄った対策が得策。特に子供への配慮は重要。国による安全基準も目安のひとつに過ぎず、最終的な判断は生活者に委ねるべき。したがって、商品ごとの正確な放射活性を表示すべきである。僕は現状では福島、宮城、茨城、千葉、東京、埼玉、神奈川、栃木、静岡、山形産の農水畜産物は一切購入していない。

遺伝子組換え食品:人体への影響はほぼない。しかし、忌避したい人の自由は侵害されるべきではなく、商品表示などは極力オープンにすべき。それによって組換え商品の価格が下がれば、消費者メリットにつながる。現状は組換えを秘匿することに終始しており、結果的に組換え忌避層は組換えを忌避できず、組換え容認層はその消費者メリット(価格面)を享受できないでいる。なお、組換え作物の商業栽培の是非については別途検討が必要と考える。僕は現状では組換え作物について選択的に忌避することは一切ない。むしろ、組換え作物を見つけたら優先的に購入したいという希望がある(多分、農薬などの面で安全性が高いから)。

BSE:原因が肉骨粉と判明しているにも関わらず、産業上の理由でその利用を続けた米国の姿勢は容認できない。ただし、これも適切な表示が行われれば市場から排除する理由とは成り得ない。僕は現状では米国産牛肉は食べていない。また、セブン&アイ・ホールディングス傘下のレストラン、吉野家等、米国産牛肉の使用を表明しているレストランでは食事をしていない。


行政に判断なんかしてもらいたくないんだよね。判断基準と生データをどんどん出してくれればそれでオッケー。行政が専門家じゃないことも、行政が雇った専門家たちが行政に都合の良いことしか言わないことも判ったんだから。  
Posted by buu2 at 23:37Comments(0)TrackBack(0)BSE関連

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2011年06月03日

僕がバイオベンチャーの社長を辞めたわけ

はじめに
最初に書いておくけれど、社長を辞めたのはひとえに僕の能力不足。誰のせいでもないです。じゃぁ、なぜこれを書くかって、後進に対して「ベンチャーの社長とはこういうもの」というのを示すためです。安易に起業をして人生を棒に振らないでね、ということですね。ちょうどさっき、「こうやったら失敗した」というビジネス本がほとんどない、という主旨のつぶやきをツイッターで書いたので、参考までに自分で書いてみます。

社長就任の背景
僕は東工大で修士を取ってから、新卒で三菱総研に就職しました。僕がやりたかったのはバイオの専門家としてのコンサル業務でしたが、残念ながらバイオの仕事はありませんでした。副社長に直談判して理研に出向に出してもらい、約3年間理研のお手伝いをさせていただきましたが、その期間を終えてもバイオの仕事はありませんでした。

#これも、当時は三菱総研のせいだと思っていましたが、単に僕の能力不足です。

三菱総研にバイオの仕事がなかったので、僕は独自に転職活動を開始して、野村総研の内定をもらいました。ところが、ここで三菱→野村の転職を嫌ったのか、三菱総研から片道切符、最長5年間の期限付きの条件で、経済産業省への転職を勧められました。野村にしても長くいる会社ではないので、どちらがその後の展望が開けているか、が選択のポイントでした。それで、僕は経産省を選びました。
経産省が片道切符なのは最初から決まっていましたから、僕はその任期が終了に近づく頃に次の仕事を見つける必要がありました。そんなとき、バイオテックヘルスケアパートナーズ(現株式会社ビー・エイチ・ピー)の松本氏から声をかけられました。曰く、投資先の一つの創薬系バイオベンチャーの経営が思わしくなく、二代目の社長としてテコ入れをしてくれないか、とのことでした。

社長就任
会社は産総研ベンチャーで、所在地はつくばでした。自宅からは片道100キロほどで、自家用車なら通えない距離ではありませんでした。基盤テクノロジーをチェックしてみましたが、複数のパイプラインがあり、産総研の支援も受けられるとのことで、これならやってみても良いかな、ということで、経産省を退職して2ヶ月後に株式会社アドバンジェンの二代目の社長になりました。

会社の基盤技術
当時、アドバンジェンには2つの基盤技術がありました。一つはFGF5の機能に着目した育毛剤の開発、もう一つは別のタンパク質を利用した褥瘡治療薬の開発でした。特に期待が持てたのが育毛剤開発で、市場規模を考えると、順調に開発出来ればかなりの成長性が見込めました。FGF5はマウスにおいて毛の育成に関与しており、FGF5がないと毛が伸び続けることがわかっていました。したがって、このFGF5の活性を阻害するような低分子を発見してくれば、育毛剤として利用出来るというのが基本的なコンセプトでした。実際には、FGF5をマウスに大量に投与し、人工的な脱毛状態にし、その脱毛マウスに候補物質を投与する、という手法を利用しました。このスクリーニングのための実験系も完成しており、あとはFGF5の阻害効果が見込まれる物質を見つけてくるだけ、という状態でした。一方、褥瘡治療薬については市場規模が小さいこと、先行テクノロジーとの競争優位性があまりなかったことから、あくまでもバックアッププランと位置づけていました。

会社の体制
アドバンジェンには当初3人の研究者がいました。早稲田、筑波、東工大の博士で、基盤技術は早大博士のものでした。この他にテクニカルスタッフが2名、事務担当者が1名というラインナップでした。また、会社のファウンダーとして産総研の4人の研究者が運営に参加していました。

事業の進捗
会社の開発はとにかくスクリーニングを繰り返し、FGF5阻害活性のある物質を見つけてくることでした。候補物質が見つかった時点で創薬会社にそれを持ち込み、業務提携して商品化を進める、という方針で、3ヶ月ほど実験を繰り返しました。
ところが、なかなかキレの良いデータが出てきません。研究者に任せておくとチャンピオンデータを揃えてきてしまい、それでは論文にはなっても、商品にはできません。マネージメントを開始して一ヶ月ほどで、研究者に任せておくと、商業的な研究開発は難しいことがわかりました。最初は僕は実験には一切口を出さない方針でしたが、すぐに僕が全体計画をチェックするようになり、データの処理も面倒を見るようになりました。
やがて、スクリーニングに使っている実験系に大きな問題があることがわかってきました。処理された実験データをチェックしていたところ、活性がないはずのコントロール(水です)で活性が出てしまっているのです。「これはどうして?」ということになったのですが、「Aさんの調整したタンパク試薬を利用していると、ときどきこうなる」とのことでした。そのタンパク質はメーカーで精製、販売しているものがあったので、それを購入して利用することを指示したところ、「やってみたけれどうまくいかない」とのことでした。それは明らかにおかしいので、商品を購入して実験をやってみたところ、Aさんが調整した試料と同様の結果が出ました。研究者にそのあたりについて見解を聞いたところ、「その試薬の調整は非常に感覚的な部分があり、マニュアル通りにやるとうまくいかない。Bさんによる、職人的なテクニックが必要だ」とのことでした。以後、色々と実験してみてわかったことは、Bさんが手抜きをして調整した試料には細胞毒性の強い物質が濃縮されており、そのためにマウスの皮膚に悪影響がでて、毛が生えない、という状態ができているということでした。
育毛因子の阻害剤であるFGF5を人工的に増加させて、脱毛マウスを作っていたつもりだったのに、実際には毒物によって皮膚が炎症を起こし、それによって脱毛状態になっていたわけです。アドバンジェンの育毛剤開発のための基盤技術は、論文も、特許も、間違いだということがわかりました。

対応策
このことがわかった時点で、基本的に会社は崩壊しました。メインの研究者は辞表を提出して退職しました。ほどなく、ナンバー2も退職し、研究者ひとりと研究補助員、事務担当者ひとりと社長、という体制になりました。資本金もほぼ使いきっており、資金調達のために何か考える必要が生じました。ちょうどそのとき、尾身大臣の肝いりで沖縄が技術系ベンチャーの誘致に注力を始めていたため、総務省が主催する沖縄のベンチャー誘致ツアーなどに参加し、現地視察に行きました。沖縄であれば、事務所代も安く済みます。そこで、「会社を沖縄に移し、沖縄や台湾などにある生物資源を利用した育毛剤開発にシフトしよう」ということになりました。何か技術的な基盤があるわけでもないのですが、株主は会社を畳むことには否定的でしたので、「もうみんなで沖縄に移住して楽しくやろうぜ」と空元気を出していたのです。

解任
ところが、就任一年の株主総会の直前に、取締役会から社長辞任を勧められました。取締役会は、新しい社長のもと、引き続き産総研をベースにして育毛剤開発を進めるとのことでした。僕は効果がないとわかっている素材をベースにしての育毛剤の製品化など全くやる気がなかったので、実質的に解任される形で社長を辞任しました。当時の僕の日記はこんな感じです。

2004年06月23日
株主総会終了

2004年07月01日
失業

2004年07月09日
前の会社


製品回収
三代目の社長を迎えたアドバンジェンは、その後、製品化を進め、無事、念願の市場投入を果たしたようでした。そして、平成19年には製品回収するに至りました。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kaisyu/2007/kaisyuu2007-3-1394.html

回収理由は「商品パッケージにおいて、承認されていない効能効果の表示を行っていたため回収します。」というものです。効果がないのですから、当たり前ですが、なぜばれたのかは良くわかりません。このニュースを聞いて僕が思ったのは、「辞めて良かった」というものです。アドバンジェンサイドも僕のことが大嫌いなようで、どこを見ても僕が社長をやっていた形跡はありません。僕としても、こんな恥ずかしい事態になった会社に、僕の足跡が残っていないことはちょっとだけありがたかったりします。

その後
僕は、すっかりバイオがイヤになってしまいました。育毛剤も、健康食品も、効きもしないものが市場に溢れています。科学っぽいことを語りながら、実際には科学でも何でもなく、ただのインチキばかりです。「あぁ、15年間追い求めてきたバイオによる夢のような世界は、本当に夢だったんだな」と思いました。そして、技術者でも、研究者でもない僕には、これ以上、どうしようもないこともわかりました。僕は9ヶ月ほど無職で過ごした後、ITベンチャーを立ち上げました。そして今に至るわけです。

所感
最初にも書きましたが、紆余曲折は全部自分の能力不足です。論文を信用したこと、特許を信用したことから始まり、すべて自分の経験不足、能力不足でした。逆に言えば、バイオベンチャーの社長にはこうした能力が必要とされます。今の会社には、パイプラインがたくさんあるので、ヘアカットJPがこけてもどうぶつしょうぎがあるし、どうぶつしょうぎがこけてもスキー販売があるし、それがこけてもウェブサイト構築やマーケティングコンサルティングができます。それに比較して、バイオベンチャーはシングル、あるいは2、3のベーシックテクノロジーに依存する経営体制になります。それが折れてしまえば、即終了です。そうしたときに、抱えている社員や、投資している株主に対してどう責任を取るのか、このあたりが大きな問題になってきます。ITに比較したら、かなり難しい業界であることは間違いありません。

おわりに
そうは言っても、誰かバイオベンチャーをやりたいという人がいれば相談には乗ります。協力もできるかも知れません。ただ、僕は実験結果に嘘をつくのは嫌です。僕の根っこは研究者ですから、実験結果に対しては、常に謙虚でいたいと思っています。また、市場に対して嘘をつくのは嫌です。他人に嘘をつくのも嫌です。人を騙してお金を貰いたいとは思いません。効きもしない薬を売ったり、効果のない健康食品を販売するのはまっぴらごめんです。本当に効くものを、必要としている人に届けたいと思います。そのあたりをご理解いただける方で、僕がお役に立てるようなことがあれば、お声がけください。多少は「バイオベンチャーにおける失敗」の経験が役立つかも知れません。

関連エントリー:ちょっと見かけた博士

    
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2011年05月12日

遺伝子組換え作物と放射線被曝作物

原発が吹っ飛んだおかげで毎日被曝している関東および南東北(みなみとうほく)4500万人の皆さん、お元気ですか?

「日本の放射線基準は緩すぎて話にならないから、我がドイツ同胞の皆さんは日本に行っても野菜とか食べないことをオススメするよ!」という楽しい提言はこちら。

日本における放射線リスク最小化のための提言(ドイツ放射線防護協会)

えっと、僕は福島、茨城、千葉、埼玉あたりの野菜は食べておりません。今後も食べる予定はありません。ロットごとに「これは●●ベクレル」とか表示されない限り避けることにしています。政府は信用していないので。

さて、本題。遺伝子組換え作物の開放系での栽培って物凄くデリケートな上に、「食べたくない」ってことで「遺伝子組換えでないこともない」納豆やトウモロコシが日本では不思議と流通していないわけですが(でも、大豆やトウモロコシはかなりの部分が輸入で、輸入元はかなりの部分が米国で、米国ではかなりの部分が遺伝子組換え(大豆で9割、トウモロコシで8割)で、はてさて(笑)という感じですが)、まぁ、それはそれ。僕としては遺伝子組換えでも良いから安くて美味しい納豆やトウモロコシが食べたいのですが、高橋はるみさんとかが頑張っているおかげか、まだまだそういう時代にはならないようです。

さて、では、なんで遺伝子組換えがダメなのか、ということで、多分「普通には存在しないはずのDNA配列だから」ってことなんじゃないのかなー、と思うのですが、DNAの配列って意外と簡単に変わってしまいます。特に、もう生きていない、代謝のない動植物は多分傷ついた配列を修復する仕組みがストップするので、傷ついたら傷つきっぱなし。では、DNAの配列ってどういうことで変わっちゃうのかなー、って、代表的なのが放射線を被曝した場合です。福島産の野菜とかはもちろんですが、福島を通ってきた野菜ももちろん被曝しているはず。っていうか、神経質になるなら、関東一円全部ダメです。

放射性物質自体は洗えば落ちるし、伝染もしませんが、放射線によって傷ついた農作物はそのまんまです。今までの自然界には存在しなかったはずのDNA配列が量産されています(予想ですけど)。

それで、僕とかは遺伝子組換え農作物でも全然問題ないと思っているので、被曝した農作物も平気で食べますが(被曝した農作物と、放射能ふりかけで汚染した農作物は全然異なります)、「自然界にないDNA配列の農作物は嫌だ」と言って遺伝子組換え農作物を忌避していた人たちはどうするのかなぁ、と興味津々だったりします。

やっぱり、「被曝している農作物はイヤだーー−」ってことで避けているんですかね?

遺伝子組換え農作物と被曝農作物は両方ともに普通じゃないDNA配列になっているはずですが、質的にはちょっと違っていて、遺伝子組換えは配列の異なり具合が均質で、一定の安全性は確保されているけれど、特定のタンパク質などがアレルゲンとなってアレルギーを引き起こす可能性が否定できないのに対し、被曝農作物はショットガンでズタズタにされているようなもので、ボロボロだけれど、不均一で、アレルゲンとなる可能性はほぼ0のはず。もしかして「遺伝子組換えはNoだけれど、被曝農作物はOK」という人がいるなら、アレルゲンとなる可能性で評価するのかな???

個人的には遺伝子組換えを忌避するのってさっぱり理解不能なんですよね。ササニシキだって、コシヒカリだって、「品種改良」という名前だけれど、自然界にないDNA配列を人工的に作り出しているわけだし。  
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2011年04月22日

落ちこぼれ向け特別補講「サイエンス・コミュニケーションに求められるもの」

先日、芸術家の卵(絵画系の芸大生)と飲み会をやった。早い話が合コンだ。でも、話の内容は結構まじめ。「興味のないひとにどうやって作品を観てもらうか」とか、「村上隆さんは芸術をきちんとビジネスにしていて凄い」という話をしてきた。

この間のエントリーについても意見を聞いてみようかな、と思って、「科学って面白い?」と聞くと、「全然面白くないし、興味もありません」と。そうでしょうとも(笑)。続けて、今度は総統閣下シリーズの「買い占めするならカネ送れ」を見せてあげたら大受け。その上で、「こういう感じでサイエンスを語られたらどう?」と聞いたら、「見たい、見たい」との返事。嘘じゃないよ。思ったとおりの返事が来て嬉しくなった(笑)。


要は、世の中なんてこんなもの、ということ。ブログの記事には立花さん(以前からサイエンスコミュニケーション的な活動を個人的に支援している人で、僕も前から良く知っている)がコメント欄で「でも、頑張っている人もいます」的な主旨のことを書いていたけれど、それは論点がずれてるんだよね。やっている人がいる、とか、頑張っている、とかが問題じゃない。活動として成功しているか、成果を挙げているか、役に立っているか、生活者のニーズに適合しているか、ということ。僕は成功していないと思っている。それだけのことなの。成功している、うまく行っていると思っているならそれまで。引き続きがんばってください。僕はどうでも良い。ただ、つまんないことに税金を使ってくれるな、とは思う。やるならボランティア(笑)とか、民間資金で是非やっていただきたい。日本にはお金がないんだから、迷惑はかけんなよ、と。

さて、件のエントリー、「これまで誰も書かなかった「サイエンス・コミュニケーションに求められるもの」」は、僕にしては物凄く親切に、まとめまで書いてあげた。非常に分かりやすいから、一々追加の説明も必要ないでしょ。と、言いつつ、もう一度親切に言葉を変えてあげているんだけどね、この文章は(笑)。

新潟とか、いくつかの地方大学の似非科学否定クラスターの研究者達がはてブを付けているけれど、こいつらについては、以前大御所が飲み会で言っていた「あいつらは一人ひとりでは何の役にも立たないけれど、数だけはいるんですよ。そして、似非科学の否定には結構数が大事なんです。だから、馬鹿だとは思っているけれど、一応表面上良い関係を保つことにしています」っていうのがもう的のど真ん中を射ているわけで、でも僕はそいつらと仲良くする気はさらさらない。30前後になっても研究とゲームとネットサーフばかりやっていて、10年後は何をやっているのか楽しみですねぇ、という感じだ。こちらも、要は、どうでも良い。

直後に書いたバイオ市場25兆円の話も同じ。僕は事実をきちんと把握して、分析して、「このままではだめですよ」と発言した。僕は政治家でもなければ役人でもない。為政者じゃないんだから、これ以上はどうにもならない。でも、とにかく5年前に、大臣たちがいる(実際には大臣の代理だったかも知れないけれど)オフィシャルな場で、「このままではダメです」と警告をしてあげた。全ての日本人で、僕だけだよ、僕が知る限り、きちんと無理だって発言したのは。感じていたのはもちろん僕だけじゃないよ?っていうか、バイオの関係者はほとんど「こりゃぁ無理だろうな」って思っていたはず。でも、それを黙っているのが日本の社会なんだよ。「放射線レベルが非常に高くなっていました(←過去形なのが重要)。ごめんなさい」「販売できないはずの野菜が流通に乗っちゃってました(←過去形なのが重要)。一週間前から分かっていました。ごめんなさい」って、今だってこんなニュースばかりじゃん。「バイオバブルがはじけました」っていう日本総研の人の話はそのとおり。でも、大勢のみんなは、バブルだってわかっていて、見ないふりをしたんだよ。今わかった話じゃない。何故見て見ぬ振りをしたのかって?その方が予算が取れるからでしょ。その方が業界にお金が落ちる。先がどうなるかが問題じゃない。自分たちの業界に税金が投入されることが重要だったんだよ。行政の市場予測って何のためにあると思っている?あれは、財務省に説明するための道具なんだよ。「三菱総研が25兆円と予測しています」って、でも、その数字を考えたのは経産省だし、BT戦略会議のバイオテクノロジー戦略大綱策定に当たって指示を出したのは内閣府だ。業界はお役所に頭を下げて、「その調子でどんどん予算を取ってきてください」って、御輿を担ぐ。そして、ガケから落っこちるって分かっているのにアクセルを踏み続けた。さすがにここ数年、25兆円の数字を出す人はほとんどいなくなったけれど、おかげでガケから落っこちた人たちがたくさんいるわけだ。

#落っこちた人たちの多くも僕から見たらタックスイーターだけれど、とにかく僕達は「税金がどういう仕組みで再配分されているのか」をきちんと見ていく必要がある。有効に活用されているかチェックする必要がある。ただ、それはそれ。ちょっと本筋から離れるから、もとに戻す。

ダメな奴にダメって言わない、うまくいきそうにないことをその通り言わない、失敗しているのにそれを認めない、予測なんてでっち上げだったのに見て見ぬふりをする。これが日本の国民性ってやつなんでしょ。

だから、科学が「面白いんだ!」「大事なんだ!」っていう奴らは、そのまま頑張れば良い。それが心地良いなら、そのままでどうぞ。僕は僕で、僕の中の正義に従うだけです。つまんないんだ、大事じゃないんだ、っていうのが認識できたとしたら、「じゃぁ、なんで科学を教えなくちゃならないんだ?」ってことになる。学者が増えたほうが数撃てるようになるから?科学技術系の予算が増えるから?両方ともありそうだけれど、基本的には「教えたいから」なんじゃないの?でも、教えられる側は別に興味がないんだよ。ここまで認識できて初めて、スタート地点に立てる。科学は面白くないし、科学は大事じゃない。でも、それがエンターテイメントのフォーマットに乗るなら楽しんでもらえる。もし話を聞いてもらいたいなら、理解してもらいたいなら、その工夫をしたら良いんじゃないの?ということ。そして、これはマーケティング手法の話。もちろん、エンターテイメント以外のアプローチだってあるはず(おっぱいだって可能性のひとつ)。あくまでも、僕の提案がエンターテイメントっていうだけのことだ。

百歩譲って、科学が面白くて、大事だったとしても、だからってそれが売れるとは限らない。良いものが売れるんじゃない。上手にマーケティングしたものが売れるんです。

モノを売ったことのない理系の学生には難しすぎますかね?これがわかっていれば、就職活動だって楽勝なはずなんだけれど(就職活動は自分を企業に売り込むマーケティング活動)。いや、もちろん、付け焼刃じゃだめなんだけれどね。2年ぐらいをかけてじっくり考えなくちゃだから、就職活動は。

ということで、もう一度まとめてあげよう。

1.科学は大事でも、面白くもないことを認識すべき
2.サイエンス・コミュニケーションしたいのは、研究者サイドの都合
3.つまらないものを受け取ってもらうには、付加価値をつける必要がある(美味しくない生野菜にドレッシングをかけるようなもの)

#納得しない奴はどうでも良い。じゃぁ、サイエンス・コミュニケーションでちゃんとメシを食っているタックスイーターじゃない奴を見せてみろ、ということ。

#ニューヨークとワシントンにある二つの自然史博物館には興味があって、自腹で(←はい、今、大事なことを書きましたよ。役所のお金で視察に行ったりする奴とは一緒にしないでね)両方共観てきたけれど、確かによくできている。そして、人気があるのもわかる。また、そのコンセプトを真似して日本に導入しているところがいくつかあるのも知っている。お手本にするのは良いけれど、あのコンセプトが真の成功を収めるためには、ハレの場(博物館)の整備だけじゃダメだよね。

#ちなみに科学はカネにはなると思うよ。でも、カネにする奴らには、別にサイエンスコミュニケーションなんていう啓蒙活動は不要だと思う。

#もう、ほんとに税金泥棒、税金乞食って嫌だよね。でも、震災のおかげで彼らへの税金供給はかなり絞られるでしょ。兵糧攻めで絶滅して欲しい。世間のチェックも厳しくなってほしい。
  
Posted by buu2 at 16:26Comments(4)TrackBack(0)バイオ

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2011年04月20日

バイオバブルの崩壊

ポスドク問題とは、バイオバブル崩壊の結果である  井上晃宏(医師)

この記事は普通に良い指摘をしているので、一読しておいた方が良い。ただ、僕のブログを昔から読んでいる人にとっては新しいことは何一つ書いてないかも知れない。でも、復習や確認は大事だし、暗黙知をテキスト化しておくことはそれはそれで重要である。

バイオ系の博士が余っているのは確かだし、それがバブルのはじけたせいであることも間違いがない。僕が知っている範囲で言えばバイオバブルの一翼を担ったのは「2010年の時点でバイオ市場25兆円」という目標、予測であり、もうちょっと古くを言えば、それまで冷や飯を食べ続けていた生化学系の教授たちの頑張りの結果でもある。

バイオ市場25兆円についてはこちら参照
2010年のバイオ市場規模の持つ意味(2年前に書いて忘れてた)

僕は第4回ぐらいのライフサイエンスサミット(2004年だったはず)ですでに「2010年で25兆円は無理」と指摘した(どこかに議事録があるはず)のだけれど、最終的には2010年のニューバイオ市場は4兆円ぐらいだったようだ(非公式データで、入手元は明かせないけれど、近々統計データとして出るはず)。

結局のところ、25兆円という数字は経産省にとっても、文科省にとっても便利な数字だったわけで、これによって予算が確保され、その結果、人材が育成され、そして今になって、21兆円分の誤算が「余剰博士」という形で残っていることになる。

例えば、なんでズブズブの分子生物学系の人間だった僕がITベンチャーの社長をやっているのか、ネット・マーケティングの本を書いているのか、そのあたりを良く考える必要がある。僕はトップダウンで物事を決めていくのが嫌いな人間だから、「ライフサイエンス系の学部、大学院は閉めるべきです」という意見にはすぐに首肯しない。しないけれど、「学位をとったけれど、どうにもなりません。どうしよう」という人間が量産されてしまうよりは、確かにその方が良いかな、と思う。

バイオ系博士については「全く就職がないということではありません」といったところが、最近流行りのトーンで説明したものだろう。それでも進学するのは勝手(=自己責任)だよなぁ、とは思うのだけれど、そうとばかりも言い切れないのかな。旧帝、及び東工大などの一部の大学以外では、バイオ系博士のお先は真っ暗だと思う。この間も、東大の博士から「なんで駅弁大学の博士なんかになるんだか、意味不明ですよ。学部が東大じゃないっていうだけでも就職が困難だっていうのに」という話を聞いたけれど、全くその通りだと思う。最低限、その研究室で博士をとった学生がその後どうなったのかぐらいの調査はやっておくべきだ。直後にどこにいったのか、ではなく、今何をやっているのか、を。

ちなみに「市場25兆円」は当初は目標値。適正な政策を講ずれば、この数字になる、というものだった(当時の経産省バイオ課長は堅尾さん)。いつの間にかそれが予測値に変わってしまったことについては上記のリンクを参照のこと。記事は2005年。良い記事だなぁ(笑)。  
Posted by buu2 at 18:17Comments(2)TrackBack(0)バイオ

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2011年04月09日

リバネスが早速消去したお詫びの全文

インチキ会社というのは隠蔽だけは素早いんですよね。

地震のどさくさに紛れて「国からの委託偽装」に関するお詫びの全文がサイトから削除されています。まぁ、お詫びの全文が画像化されている時点で怪しかったわけですが、ネガティブファクターは後に残さない、という意思が非常に強く感じられます。こういう会社は絶対に許してはいけません。ということで、まずは自主的にお詫びを復活させておきましょう。以下、画像で掲載されていた全文です。

お詫びと訂正
2010年12月初旬の弊社代表取締役のtwitterにおけるつぶやきの中で、誤った記述がございました。つきましては、ここにお詫びとともに訂正をさせていただきます。

Twitter中のつぶやきの中で、当社が連携企業として参画する「沖縄県産ウコンと日本各地の特産物を用いた加工食品の開発・製造・販売」について、「国の委託事業」であると表現をいたしましたが、正しくは、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(中小企業新事業活動促進法)に基づき認定された事業計画(認定事業)及びそれに伴う補助事業でした。
国から販売を「委託」されていると誤解を招く表現でありましたことを深くお詫び申し上げます。

本事業において開発している沖縄県産ウコンと国産しじみを使用した食品「ウコンとしじみ」等につきましては、現在、様々な場面でご試食いただき、また一部販売するなどして、多くの皆様にご利用いただきながらご意見を伺い、より良い商品づくりを目指しております。本事業による活動が、地域や産業の活性化の一助となれば幸いに思います。
参考URL:http://ukontoshijimi.com/renkei.html

なお、現在までに該当する商品をご購入いただきましたお客様につきましては、個別に対応をさせていただきます。

2011年2月28日 株式会社リバネス

本件に関する質問・ご意見等はこちらまで
info@leaveanest.com(担当:佐野)


この件に関しては、販売した全てのお客様にこの告知が行き渡るのが最低条件だし、現状では誰も責任を取っていないわけで、再発防止の対策も為されていない。こんな会社にまた補助金やら委託事業やらが渡ったら、税金の無駄遣いも良いところ。もちろん、経産省大学課、中小企業庁、文科省あたりの関係ありそうなところには僕から「こんなことをやった会社ですよ」と連絡を入れますし、過去については全て情報公開請求をかけますけどね。

この文書中では「現在までに該当する商品をご購入いただきましたお客様につきましては、個別に対応をさせていただきます。」と記載されていますが、僕が調査したところでは、購入者には何の連絡も来ていないそうです。サンプル数が少ないので「全く何もやっていない」とは断言できませんが。

考えてみれば、この動画が処女作だったっけ?



これがなければ、「東北地方太平洋沖地震二日目の状況」「買い占めするならカネ送れ」「「シーベルト」に関する総統閣下の見解」「東京に平常時の約2800倍のヨウ素132が降った?」「ベクレルとシーベルトの関係を解説します」・・・と続く一連のシリーズは生まれようもなかったわけで、ある意味で感慨深いですな。このときは動作とセリフの連動もあって、それなりに質が高い。

以下、関連エントリー
その1「どうしてこうなったんだろう?」
その2「リバネス批判」
その3「国からの委託・補助の状況(調査進行中)」
その4「博士号を利用したマーケティング」
中間報告:リバネスを中小企業庁が呼び出し、指導することが決定
食品関連のマーケティングで見かける科学者の専門性判定
中小企業庁への要望書(ファックス送信済み)
サイエンスにこだわるのをやめちゃった(笑)リバネスショップ
リバネスの健食の件について、ようやく中企庁経営支援部新事業促進課から返答があった
中小企業庁に対して、再質問
リバネス問題に関してひどい対応の中小企業庁
ウソツキ社長が経営するインチキベンチャーになめられっぱなしの中小企業庁
ようやく訂正とお詫びの記事を載せたリバネス。でも、総統閣下はお怒りのご様子です  

2011年02月17日

リバネス問題に関してひどい対応の中小企業庁

昨日、夜中のうちにFAXしておいて、今日の昼過ぎに電話してみました。以下、おおよそのやりとり。

元木:今日、お伺いしようと思いますがいかがでしょうか。
中企:今日はちょっと都合が悪いので、調整して連絡します。
元木:明日ではいかがでしょうか。
中企:明日もちょっと都合が悪いので、調整して連絡します。
元木:明後日ではいかがでしょうか(土曜日だけどそんなのカンケーねー(笑))。
中企:調整して連絡しますので。
元木:では、調整して、いつまでに連絡をいただけますか?
中企:・・・・・・
元木:あのですね、前回も2週間、3週間と待たされて、イライラしているんですよ。いつまでに連絡をいただけるのか、明確にしていただけませんか。
中企:調整して連絡しますので。
元木:あのですね、そちらの主張は「コア企業に補助したのであって、リバネスにはだしていない」ということだと思うのですが、まず第一に、リバネスの社長は委託されたって言ってるんです。それから、それが嘘だとしても、資料にはリバネスの名前が載ってますよね。じゃぁ、もしそこに指定暴力団の名前が入っていたらどうするんですか?「コア企業に出しただけ」っていう理屈が通りますか?今回はそういう話なんですよ。
中企:調整して連絡させていただきます。
元木:何を調整するんですか。○○さん(現時点では一応名前は伏せておきます。公務員の名前はオープンにしても何の問題もないはずだけど)の暇なときで良いんです。○○さんだけ出席してくれれば良いんですから。
中企:調整して連絡させていただきます。


以上(笑)。まぁ、若干の違いはあるかも知れないし、他にももうちょっと突っ込んだところがあったけれど、とりあえずスルー。では、調整して連絡をいただけるのを待つことにしましょう。

ただ、じっと黙っているのも能がないですから、経産省大学課に連絡を入れてみようと思います。こちらはリバネスに対して色々と業務委託を出していることがわかっている。あと、産業人材政策室。こちらも業務委託をしている。ただ、こっちは局みたいなんですよね。

リバネスに対する経済産業省からの19年度以降の委託実績一覧
平成22年度産業技術人材育成支援事業(産技大学課)
平成22年度社会人講師活用型教育支援プロジェクト(産技大学課)
平成22年度早期工学人材育成事業(産技大学課)
平成21年度産業技術人材育成支援事業(産技大学課)
平成21年度社会人講師活用型教育支援プロジェクト(産技大学課)
平成21年度早期工学人材育成事業(産技大学課)
平成20年度社会人講師活用型教育支援プロジェクト(産技大学課)
平成20年度早期工学人材育成事業(産技大学課)
平成19年度理科実験教室プロジェクト(経産局産業人材政策室)

こんな感じでリバネスは国から委託を受けまくっているので。

僕がこの2ヶ月に調べた結果をまとめると下記の通り(ヒアリング先は霞が関の全省庁。回答結果を総合すると、リバネスは沖縄のコア企業が採択された補助事業の一部に参加しているものの、直接補助金を受けたわけでもなく、また、その案件においては一切の委託・受託関係は存在していないことが判明)。

リバネスは国からの委託を受けていないウコン、しじみ、味噌の健康食品を「国の委託」と称して販売し、それについて外部から指摘を受けたらその表示を削除したものの、何の謝罪もしなければ、訂正記事も流さず、引き続き販売を続けている。

この件については近々消費者センターにも相談の予定だけど、問題の現場は幸いにして経済産業省中小企業庁という、大学課のすぐそば(両方共別館)の部署なので、是非直接話を聞きに行ってもらいましょう。要は、「こんなウソツキで無責任な会社が委託先として適切なんですか?」という主旨。だって、中企庁の担当者は、僕が「効果効能のわからない健康食品を国の委託と称して販売するのは適切ですか?」と尋ねたら、「それはとんでもない話だ」って言ってたんだから。そして、僕はその通りだと思うし。「国の委託」とか嘘をついて、嘘がバレたらそれをなかったことにしようとして(でも、証拠はばっちり残されているけれど)、謝りもしなければ訂正もしないわけです。この発言が物凄く筋悪なのは、菊地誠さんっていう似非科学の専門家から「リバネスが健康食品を売るなんて微妙だな」と指摘されたときに社長自らが語った言葉だから。菊地さんの発言の真意は下記のとおりだと本人から言葉があったけれど、

本来、リバネスという会社は、こうやってややこしい状態になっている食品の分類について一般の生活者や子供たちに説明し、理解してもらい、賢い生活者となってもらうべく頑張ったり、あるいはウコンやシジミがどうして体にいいのか、科学的根拠を示してきちんと理解してもらうために頑張る会社だったはずなのに、いつの間にやらミイラ取りがミイラになっている、ということ
(書いたのは僕、それに対して、「そういう意味です」との返答があった)

要するに、「お前ら、何やってんだよ」って言われたことに対して、「いやいや、これは国の委託でやってるんですよ」と、自らの行為を正当化することに利用したってこと。言外に、「国からの委託なんだから、いかがわしいところなんてないんです」と、錦の御旗にしようとした。それで、そんな不誠実な会社に補助金や委託金って、とんでもない話でしょ?税金ですよ、そのお金。それで、そのお金で成長して、エビデンスの存在しない健康食品を「サイエンスにこだわったあれこれ」とか言って販売しているわけで。今年度分については委託は中止が妥当だし、過去の分も遡って、その妥当性について第三者によるきちんとした検討が必要だと思うわけです。

ということで、中小企業庁の次は、大学課さんに問い合わせのFAXを投げてみよう。中小企業庁はなんか良くわからないけどのらりくらりやっていてイマイチ信用できない。大学課はちょっと前まで仲良しが補佐やっていたし、話が通じやすいかも。これからFAXつくります。

#メールだと楽なんだけどね。メアドも知っているんだけど、名刺交換したわけじゃないから一応FAXにしておこう。

以下、関連エントリー
その1「どうしてこうなったんだろう?」
その2「リバネス批判」
その3「国からの委託・補助の状況(調査進行中)」
その4「博士号を利用したマーケティング」
中間報告:リバネスを中小企業庁が呼び出し、指導することが決定
食品関連のマーケティングで見かける科学者の専門性判定
中小企業庁への要望書(ファックス送信済み)
サイエンスにこだわるのをやめちゃった(笑)リバネスショップ
リバネスの健食の件について、ようやく中企庁経営支援部新事業促進課から返答があった
中小企業庁に対して、再質問