2015年11月30日

かつ玄

松本周辺で評判の良い「かつ玄」に行ってみた。店内は昭和初期の冷蔵庫(多分)などが置いてあるようなレトロな雰囲気。注文したのは特選ヒレかつ定食である。







かつは標準的な温度で揚げてあるタイプ。この手の、しっかりと加熱しているタイプには良くあるのだが、カツと衣の一体感は今一歩である。肉汁はたっぷりだが、肉質のせいなのか、旨みはもうひとつな感じだった。これだと、ソースがないと厳しい。キャベツは美味しかった。







ご飯の炊き具合はイマイチ。もうちょっと美味しく炊くことができるはずだ。きのこの味噌汁は標準的な味だった。







他にもポテトサラダやデザートは普通に美味しいレベルだった。

「どうしても松本でとんかつを食べたい」という人以外には、観光で松本を訪れた人に勧めることはできない質だった。ただ、同行者が注文したカキフライはここが内陸であることを忘れてしまうようなものだった。




店名 かつ玄 本店 (かつげん)
TEL 0263-32-2430
住所 長野県松本市大手4-9-7
営業時間 11:30〜14:30 17:00〜21:00
定休日 無休  

2015年11月26日

自然坊

年内に未食のとんかつ屋さんをなるべくたくさん食べてしまおうと思っている。今日は東京カレンダーの記事でマッキー牧元氏が推薦していた自然坊へ。注文は「ヒレ」。




お茶からして、「お、ちょっと違うぞ」という感じ。器が。

注文から15分ぐらいで到着。




かつは肉を3つ揚げている。この手の、小さい肉を複数提供するヒレカツの店ではあまり美味しい店を知らないのでちょっと心配になったのだが、杞憂だった。標準的な粗さのパン粉はちょっと硬め。そして、肉との一体感はやや希薄。肉の旨みは価格相応だと思うが、やや淡白である。揚げ方や火の通りは良好で、食べた感じはなかなか良かった。ただ、肉の旨みが特段強いわけでもないので、塩なしでも美味しくいただけるというレベルには至っておらず、僕はほとんどを塩と辛子で食べた。

キャベツはソースで食べたのだが、柔らかくて、それでいて歯ごたえがあり、美味しかった。




ご飯の炊き具合はとても良く美味しかった。




漬物はかなり塩分を控えていて、素材の味が良く分かるもの。




なめこの味噌汁は、漬物同様にかなり塩分ひかえ目。僕は血圧の心配もあって減塩食になれているのだが、それでも「この味だと塩気が欲しくなるお客さんが続出するだろうな」と思った。




食後のアイスは美味しかった。

全体的に塩分控えめの店なので、しょっぱい味付けに慣れている人には勧められない。あと、器の迫力が凄い。多分、写真で見ても伝わると思う。この器に負けないだけの料理を作ろうという強い決意が感じられる。評価は☆2つ半で、とんかつ本の改訂時には「掲載しても良いかも?」というレベルである。

店名 自然坊
TEL 03-5700-5330
住所 東京都大田区久が原4-19-24
営業時間 昼12:00〜15:00 夜17:00〜21:00
定休日 水曜  

2015年11月12日

東京カレンダーのとんかつランキングを読んで

東京カレンダーに東京ベストとんかつというのが掲載されていた。選んだのは「とんかつ第一人者マッキー牧元氏」と、「グルメで知られる元力士・浦風親方」。

2015年のとんかつベスト10を発表!
https://tokyo-calendar.jp/story/2761

まずマッキー牧元氏のランキングを見てみよう。

マッキー牧元氏の考える美味いとんかつベスト10
10位とんかつ ゆたか
9位丸八とんかつ店
8位ポンチ軒
7位とん太
6位とんかつ 燕楽
5位とんかつ 自然坊
4位丸五
3位とんかつ 成蔵
2位特選とんかつ すぎ田
1位ポン多本家


一目見て不思議なのがあげづきが選ばれていないこと。はて?面妖な、と思って元ネタを調べてみたのがこちらだが、

マスヒロ歳時記 神楽坂「あげづき」ロースかつ1610円、特ロースかつ2210円
http://ow.ly/Uy7Ta

なんと、マッキー牧元氏、この店で食べたのはノーマルのロースかつである。ヒレか、ロースかを選ぶことは好みで選択があって良いと思うのだが、プレミアムメニューとノーマルメニューがあるのにノーマルを注文して評価してしまうのはいただけない。あげづきはランチタイムには基本的にプレミアムメニューを提供していないのだが、お願いすれば特ロースだけは対応してくれる。つまり、いつでも食べることができるのである。にもかかわらず、あえてノーマルメニューをオーダーして評価してしまうのはちょっとフェアでない。これで「とんかつ第一人者」はちょっとどうなのか。

ただ、燕楽、丸五、成蔵、すぎ田、ポン多本家と並ぶ上位はそれなりに説得力がある(このうち4軒は僕の「とんかつ名店絨毯爆撃でも最上級の「特撰」で、1軒は最上級まではいかないまでも名店に分類して取り上げている)。ちなみに自然坊は僕が未食なので、近日中にチェックしてくる予定だ。

ということで、「これはおかしい」と思うのはあげづきがランクインしていないことだけだ。

続いて、浦風親方のランキングを見てみる。

浦風親方の考える美味いとんかつベスト9
9位みそかつ 矢場とん 東京銀座店
8位鉄板焼 ミキスケ
7位とんかつ 竹家
6位萬清
5位とんき 目黒店
4位うちだ
3位とんかつ 燕楽
2位特選とんかつ すぎ田
1位ポンチ軒


矢場とんがランクインしている時点で「はぁ?」という感じである。ランキングを見ても、この人は一体どんな店を食べていて、どんな店を食べていないのかがさっぱりわからない。とんかつを語るなら、最低でもかつぜん、かつ吉、丸五、むさしや、梅林、蓬莱屋、勝漫、武蔵野あたりはチェックしておくべきだが、これらの店を差し置いて矢場とんがランクインするというのでは、ただ量があれば良いんじゃないの?と勘ぐりたくなる。というか、そもそもベスト10ではなく、9になっている時点で、9軒しか食べてないんじゃないかと(笑)。ただ「昔相撲を取っていた大食い」という理由だけで専門家と同列に扱ってしまうかのような東京カレンダーの感覚はちょっと理解に苦しむところである。

#いや、もちろん素人の視線が全く不要ということではない。一般の人に歩み寄る部分もあって良い。ただ、玉石混交にしてしまっては、混乱を招くだけである。

正直、浦風親方のランキングは全く参考にならず、まるでしょうもないとんかつ屋で出てくる形だけのつけものみたいである。

全体としては、両者含めての全体で林SPF関連の丸一や檍、丸山吉平あたりが見当たらない点は評価できると思う。一方で、扱いにくいとは思うのだが、かつ吉や平田牧場のような多店舗展開の店に全く言及がないのはちょっと残念な気がした。

  

2015年10月29日

厚切りロースとんかつ弁当

京都ツアーの往復パック券を買ったら、「東京駅の新幹線改札内でお弁当を購入するとお茶がついてきます」というお茶に釣られて弁当屋へ行ってしまった。朝が早かったせいなのか、品揃えがイマイチで、食べたいものが見当たらない。あまり気が進まなかったのだが、とんかつ評論家の看板もあることだし、ここはとんかつ弁当でも食べてみるか、と購入。







しかしまぁ、このとんかつの不味いこと。チャーハンを大量に作ってギネスに載せようとしたら、食べきれなかった分を豚に食べさせたおかげで失格になったという中国のニュースを数日前に読んだけれど、僕も食べきれなかったので(まずくて)、残してしまった。新幹線の中に豚がいなかったのが残念である。

この程度のとんかつを「美味しい」と感じる人が日本にはいるのだろうか??歯ごたえが異様で、成型肉っぽかった。またつまらないものを食ってしまった。  

2015年10月02日

明石(あかいし)

新橋で新店開拓してみた。行ったのはニュー新橋ビルの4階にある明石。ここ、ランチタイムにはプレミアムメニューがある様子なのに、ディナータイムにはなくなってしまうようだ。まぁ、「特」がついても肉が大きくなるだけみたいだけど。ヒレカツに定食セットをつけて合計1,900円。




かつは標準的な温度で揚げている感じ。肉にジューシーさは残っているものの、旨みはもう一つ。素のままで食べても美味しいというレベルにはなく、塩やソースは必須。小皿をもらえるので、そこに塩を振って、カツにその塩を適量つけて食べるのがオススメ。肉と衣の一体感はまずまずだが、やや揚げ過ぎなのか、衣からは多少の苦味が感じられる。

ご飯と漬物はイマイチ。豚汁とキャベツは美味しかった。

全体としては、1,900円ならまぁ良いかな、という感じ。ただ、浜松町まで行けば同じくらいの金額でもっと美味しいとんかつを食べることができるので、今後ここに来ることがあるかどうかは微妙なところ。

  

2015年09月10日

のもと家

新橋〜浜松町は焼肉やとんかつの良い店が多く点在するのだが、この店は比較的新しい店である。もともとは浅草でやっていた方が数年前にこちらへ移転したらしい。本当はヒレを注文したかったのだが、ヒレはレギュラーメニューしかなく、プレミアムメニューはロースだけだったので、今回は【特選】厚切りロースかつ定食2,200円を注文してみた。







衣を見る限りでは油の温度や揚げ方は特段の特徴が感じられない。とはいえ、油のキレは良好だし、衣と肉の一体感も素晴らしく、基本的なところをしっかりやっている印象を受ける。

肉は鹿児島産六白黒豚らしいが、非常にジューシーで旨味もある。もうちょっと火を通せば全体にもっと旨みが増しそうだが、中央部と端部で揚がり具合の差を楽しめるので、火加減は適切だろう。

食べ方は茎わさびと醤油で、というのが店のイチオシらしく、醤油は都内ではあまり見かけないカネヨだった。個人的にはカネヨなら甘露を使って欲しかったのだが、それだとさすがに豚肉の味が死んでしまうだろう。店で用意している茎わさびと醤油でも付け過ぎるのは考えもので、加減しながらベストのバランスを探る必要がある。ソース用のごまも提供されたが、今回はソースは使わなかった。素のままでも、塩でも、あるいは少量の茎わさび醤油でも楽しめる。

ご飯、豚汁、キャベツは不満に感じるところがなく、美味しくいただくことができた。ポテトサラダは取り立てて素晴らしいとは感じなかったが、このあたりの小皿でサービスすることで周辺のサラリーマンにアピールするのかも知れない。










とんかつ名店絨毯爆撃を改訂する際には、「その他の高級とんかつ店」に掲載することになると思う。

  

2015年08月24日

味のとんかつ 丸一

とんかつ評論家として豚の名産地鹿児島のとんかつを食べていないのは片手落ちだろう、ということで、鹿児島までとんかつを食べに行ってきた。食べた店は、鹿児島でナンバーワンと言われることもある丸一である。

注文は上ロースとヒレ(ともに2,100円)で迷ったのだが、同行者3名がみんな上ロースだったので、ヒレを注文してみた。













かつはかなり高温の油で完璧に揚げていると想像される。見た目からしてかなり濃い目の焦げ茶色なので食べる前から期待できないのだが、食べてみるとやはり衣が苦い。また、肉は完全にジューシーさが失われている。同行者が注文した上ロースはまだ肉に脂分があるだけ救われるが、ヒレは薄い肉なのでカラカラになっている。これでは豚肉なのか、鶏肉なのかわからない。衣は細かめのパン粉だが、焦げてしまっているので食感がどうとか、味がどうとか、そういう問題ではない。肉と衣の一体感だけはなんとか保持できているのだが、あまり意味がない。肉は本当は美味しいのかもしれないが、こんな揚げ方をしてしまっては全て無意味である。

ちなみ上ロースを一切れ食べてみたが、筋切りが不完全で硬かった。厚みがあってそこそこ大きいので、きちんと下処理をしないと高級とんかつとして成立しないのだが、鹿児島あたりだとただ大きいだけで喜ばれるのかも知れない。

ご飯は繁盛店なのか、昼時を少し外したにもかかわらず炊きたてのような美味しさだった。キャベツの食感も良好。豚の入っていない豚汁なのか、味噌汁なのか判断が難しい汁物は美味しいと感心するほどではないものの、不味くはなかった。漬物はおまけ程度。

黒豚の本場なら美味いというわけではないことが良く分かった。原料である豚肉は容易に東京や大阪などの都市圏に輸送できるが、田舎で腕の良い職人を確保するのは大変なのかも知れない。少なくとも、旅行で東京から鹿児島を訪れた観光客が食べても満足できる店ではない。東京にはもっと美味しいとんかつ屋がたくさんある。

店名 味のとんかつ 丸一 (まるいち)
TEL 099-226-3351
住所 鹿児島県鹿児島市山之口町1-10 鹿児島中央ビル B1F
営業時間 11:30〜14:00 17:00〜21:00
定休日 日曜日

  

2015年08月08日

鶴群

オアゾに入っている鶴群(たづむら)でプレミアムメニューのヒレカツを食べてみた。







カツはやや温度高めの油で揚げているようだが、それにしては衣の油のキレが悪い。一枚食べた時点で胃もたれしてくるほどだ。やや粗めの衣と肉の一体感は希薄。ポロポロ剥がれ落ちるほどではないが、肉から衣が浮いている。肉の味は薄く、ジューシーさがない。揚げている温度が高いせいか、硬くてパサパサ。これで2500円は驚きでしかない。同行者が注文したプレミアムロースを一枚食べてみたが、印象はそれほど変わらなかった。

ご飯は炊いてから時間が経っていて美味しくない。味噌汁も美味しくない。キャベツは切り口が均一で細かすぎる。漬物は既成品っぽい。

どこをとっても良いところがない。こんなヒレカツを出す店が多いから、ヒレカツ嫌いが増えるのである。

またつまらないものを食ってしまった。油の無駄摂り。

美味いとんかつを食べたければ2,000円以上出せというのが持論だけど、2,000円以上出せば必ず美味しいかといえばそんなこともない。こういう店にあたると悲しいので、気をつけて欲しい。

店名 とんかつ料理と京野菜 鶴群 丸の内オアゾ店 (たづむら)
TEL 03-3216-5300
住所 東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ 5F
営業時間 11:00〜23:00(フード L.O.22:00、ドリンク L.O.22:15)
定休日 年中無休

  

2015年05月29日

とん鈴

中学・高校の同級生が「うまいから食ってみろ」と言うので、食べてきた。柿生駅は生まれて初めて行ったのだが、駅前に妙に狭い路地があって、その直上に看板というか、ゲートがある。この道はとん鈴の専用私道なのだろうか?その先へ坂道を登って行くとすぐ右側に店が現れる。そして、非常に出し入れの難しい駐車場があるのが特徴的。さて、とんかつの評価である。

注文は、もちろん一番高い特上ヒレ定食、確か税別で1,900円ぐらいだったと思う。




カツは棒状のヒレ肉で、丁寧に脂を落として筋を切ってある様子。柔らかくて筋がなく、旨味もたっぷりの良質な肉である。揚げる温度はやや高めで時間を短くしているのか、外側はしっかり揚がっていて、内部はジューシーである。衣は油の温度が高いためか、ちょっと苦味を感じる。また、写真を見てもわかるように、肉との一体感は希薄で、衣と一緒に食べるのは不可能に近い。ここは残念なところである。ソース、おろしポン酢、塩が用意されているが、ソースやおろしポン酢で食べると一層衣が剥げ落ちるので、塩で食べるか、そのままで食べても良いと思う。







ご飯の炊き具合は非常に良いと思うが、米はそれほど良いわけではない。味噌汁と漬物は標準的。キャベツはとても美味しかった。

トータルで見ればかなりいけていると思うのだが、評価は☆2つどまり。わざわざ柿生くんだりまで出かけるほどではなく、近所の人たちにとっての定番とんかつ屋さんという趣である。僕の場合、会社の税務手続きで年に1回、市が尾の税務署と県税事務所に行かなくてはならないので、その時に食べても良いかな、という感じ。でも、馬酔木も近いんだよね。やはり、神奈川県では今のところ港北ニュータウンの馬酔木が横綱、とん鈴は関脇ぐらいだろう。




店名 とん鈴 (とんすず)
TEL 044-988-8282
住所 神奈川県川崎市麻生区上麻生5-44-12
営業時間 11:00〜15:00(L.O.14:30) 17:00〜22:00(L.O.21:30)
定休日 水曜日(祝日の場合は翌日)

  

2015年05月12日

イマカツ

六本木で宿題になっていたイマカツに行ってきた。

注文したのは特選ヒレかつ膳。豚はやまと豚と四万十柚子豚から選択できるシステムだったけれど、定番のやまと豚を注文。




かつは標準よりはやや低温で揚げたもの。揚げ方は決して悪くなく、油もしっかり切れているのだが、衣のつけ方が下手くそで、食べているうちに何度も衣が剥げ落ちてしまう。というか、食べる前から分離しているのは写真を見てもわかる。こういう、かつと衣の一体感を全く無視した店もあるし、「かつと衣はバラバラでも構わない」という価値観も存在するのだろうが、一体化した店がいくつもあって、そういう店で食べ慣れていると、この価値観には同意できない。肉の旨味は十分で、塩で食べても美味しさが満喫できる。同行者が四万十柚子豚のヒレかつを注文したので二切れほど食べさせてもらったが、肉の旨味はやまと豚よりも楽しめる。ただ、「これで食べて下さい」と持ってきてくれる柚子の果汁につけてしまうと、衣のパリパリ感も含め、全てが台無しになる。柚子豚を塩で食べるのが一番のお勧めである。




キャベツは新鮮味がなくイマイチ。あらかじめ切っておいて、しばらく時間が経ったものを出してきたんだと思う。2,000円以上のとんかつでこんなキャベツが出てきたら、いくら食べ放題でも、喜ぶのはモンシロチョウの幼虫の生まれ変わりぐらいだろう。




ご飯は柔らかめが好きでも柔らかすぎ。ノリみたいになっていて、水の分量を間違えたんじゃないかと思う。







味噌汁と香の物は凡庸。

評価は☆1つ半。

かつ以外の脱力ぶり(手抜きぶり)が凄まじいのだが、六本木の場所代を考えれば、2,000円ちょっとでこの質なら妥当なところなのかも知れない。しかし、ここより美味しい店は山ほどあるし、少なくとも僕の本に掲載するレベルにはない。つまり、僕の本で紹介している店は全てこの店より美味い。

加えて、四万十柚子豚について質問したら、「ヒレかつはやまと豚と四万十柚子豚から選ぶことができる」という説明だったのに、あとで隣のテーブルでロースかつも四万十豚を選べると説明していた。店員の教育も酷い。

これでミシュランに載っちゃうというのなら、ミシュランの店選びは全く信用できない。

  

2015年05月02日

あげづき@神楽坂

マイ・ベストとんかつ屋さんなので、食べても減点法で評価するだけになってしまうのがこの店である。




今回のマイナスポイントの一つ目は、隠し包丁が多すぎたこと。あまりにもあちこち筋切りしてしまったせいか、カツの歯ごたえが失われてしまっただけでなく、箸で掴むとポロっと落ちてしまうことまであった。丁寧に下ごしらえするのは良いと思うのだが、片っ端から切ってしまうと、それはそれで問題だと思う。

もうひとつは、フロア係が多すぎること。しかも、教育が行き届いていない感じで、僕にではないけれど、ちょっと横柄な対応が見られたのは残念だった。店員が増えたのは支店を出す準備なのかも知れないが、店が狭いのでちょっとせわしなく感じてしまう。

と、減点ポイントを2つ挙げたけれど、他は満足。

  

2015年04月30日

今日のいち川

車で外出だったので、こんな時でもなければ行く機会がないいち川に行ってみた。祝日でもいつもどおりやっているのが素晴らしい。注文したのはもちろんヒレカツ定食。













これが1,400円だというのだから、素晴らしいのひとこと。今日も遠くからわざわざ食べに来ているお客さんがいた。富山から来る人もいるというのも納得の店である。

  

2015年03月30日

勝烈亭

熊本ナンバー1とんかつとの評判を耳にしたので、食べてみた。

店は熊本の中心街から徒歩圏内。なかなか重厚な見た目である。




店内では昼時を外したにも関わらず、数名の待ち客がいた。




待つこと約20分、ようやく席に案内された。注文したのは「超特選 鹿児島県産 六白黒豚 厚揚げ 棒ひれかつ膳 180グラム 2,500円(税別)」である。

まず最初に漬物とゴマが運ばれてくる。




漬物は普通に美味しいレベル。




あとはゴマを擦りながら、かつの到着を待つ。ほどなく、大根おろしとかつがやってきた。







かつの衣は標準の粗さで、ややしっとりしている。かつは標準か、もしくは標準よりわずかに低い温度で揚げているようだが、揚げている時間が若干長いようで、肉のジューシーさが失われているのが残念。肉の断面を見ても、揚がりすぎている感じがする。要は、ぱさぱさしているのである。これは「超特選」としては致命的である。なお、下ごしらえには大きな問題が見当たらない。




ソースは洋風、和風の二種類用意されており、和風にはゴマをすって投入するようにと言われたのだが、ゴマを入れると苦味が強く出るのでお勧めできない。洋風は洋風で味が濃くかなり辛口なので、豚の美味しさが失われる。超特選のかつには塩が付いてくるので、おとなしく塩で食べるのが一番良い。同行者が注文したロースは脂がジューシーさを演出していて、旨味も濃く、ソースで美味しく食べることができた。この店ではロースの方が圧倒的にお勧めである。

ご飯と味噌汁は普通に美味しいレベル。キャベツも合格点。







店名 勝烈亭 新市街本店 (かつれつてい)
TEL 096-322-8771
住所 熊本県熊本市中央区新市街8-18 林ビル 1F
営業時間 11:30〜22:00(L.O.21:30)
定休日 12/31〜1/2  

2015年03月06日

マンジェ(もう何度目かの再訪)

マンジェの東京エックスを食べに大阪へ。ところが、今日も完売。どうにかならないのか、この店は。

仕方なしに、今回は黒豚のLを注文。したら、あとになって店主が「すいません、Mしか作れないのですが」と謝罪しに来た。この店の最大の弱点は、フロア係の質である。美人のお姉さんは気も利くし、てきぱきと動けるのだが、他の人達が足をぐいぐい引っ張っている。特に、新しく入ったと思われる男性が酷い。

さて、待つこと10分程度。鹿児島黒豚のカツが到着。







これを白トリュフソルトで食べた。やはりうまい。肉質はかなりしっかりしていて、きちんと処理していないと噛みきれないくらい。当然、この店の肉は念入りに下ごしらえされているのだが、それでも2枚ほど硬く感じた。味は十分に濃く、脂の旨味も満喫できる。

ここはご飯も美味しいし、漬物も上質で、自家製ドレッシングでいただくサラダも美味しい。山椒を一振りしたタピオカ入りの赤だしも美味しいのだが、ダメなフロア係が忘れたおかげで、ほとんど食べ終わるまで提供されず残念だった(結局、催促するまで出てこなかった)。

待ち時間が長いことと、フロア係の教育が全く行き届いていないことを除けば、非常に良い店である。まだ東京エックスを食べることができていないので、近々、再訪するだろう。

店名 マンジェ
TEL 072-996-0175
住所 大阪府八尾市陽光園2-3-22
営業時間 11:30〜14:00(L.O) 17:00〜21:00(L.O)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)・第2・3火曜日  

2015年03月05日

いちにいさん(再訪)

とんかつ本の売れ行きが相変わらず好調なので、そろそろ改訂版の準備を始めなくてはならない(改訂版は、新たに購入していただく必要はありません。既刊をお持ちの方は無料で改訂されます)。しばらく食べていない店のレベルがアップしている可能性もあるので、掲載する価値があるところまでレベルアップしているかもしれない店をちょぼちょぼ食べ始めた。今日は、有楽町の「いちにいさん」である。鹿児島のアンテナショップの上にあるので、良質の鹿児島豚を安価に入手している可能性がある。今回食べたのはひれかつ定食。







カツは衣が分厚くて、しかも硬い。ふわふわとか、さくさくという感じではなく、ガシッとか、ゴリっといった表現が似合う。当然のように、肉との一体感も希薄。そして肉も加熱し過ぎなので、ジューシーさが全くない。良く言えば「しっかり揚げた」だが、食中毒の心配はなくても、豚肉の美味しさを満喫できる性質のものではない。肉の質は良いのかも知れないのだが、調理技術がなさすぎる。










ご飯と豚汁はそこそこ美味しいし、量もたっぷりである。キャベツは標準的で、漬物は高級感こそ皆無だが、まぁまぁの味である。1,500円の価格と日比谷という場所を考えれば、そこそこかも知れないのだが、とんかつ本に掲載するレベルからは程遠いクオリティだった。残念。

店名 遊食豚彩 いちにいさん 日比谷店
TEL 03-3501-3123
住所 東京都千代田区有楽町1-6-4 千代田ビル 2F かごしま遊楽館
営業時間 [月〜土]11:00〜22:30(L.O.21:45) [日・祝]11:00〜21:30(L.O.20:45)
定休日 無休

  

2014年12月29日

今年のとんかつ食べ納めは朝霞のいち川

今年はとんかつ本を出版したこともあって、かなりの数のとんかつを食べたけれど、食べ納めはやはりこの店、いち川である。店の老夫婦に挨拶して、今年のとんかつ活動は終了である。








  

2014年12月07日

武信

ミシュランに掲載された店を食べてないというのはとんかつ評論家として洒落にならないので、さっそく食べてきた。




かつはやや低温でじっくりと揚げた感じ。店の能書きによれば油は米油を使っているとのこと。味の面ではこれといった違いは感じられなかった。衣はかなり粗めだが、硬すぎることはなく、サクサク感があって、口の中でマイルドに溶けていく。やや厚めだが、カツとの一体感は見事で、食べている最中に剥がれ落ちてしまうといったことはない。


肉は加熱しすぎで、ちょっとパサついた感じがある。これまた店の能書きによれば、この店の肉は林SPFとのこと。すでに林SPFの店はこのブログで4、5軒ほど取り上げているのだけれど、どの店も味はイマイチだった。しかし、この店で食べたとんかつは、旨味はそこそこだったと思う。他の林SPF取り扱い店と違い、しっかりと熱を通しているのも特徴だった。ただ、ヒレ肉ではぱさついた感じがあり、食べ比べてみた感じでは、ヒレよりもロースがオススメである。




早めに行ったせいもあるかもしれないが、ご飯はなかなか美味しかった。




赤だしはちょっと苦味が気になった。




漬物は美味しかったが、漬かり具合が浅すぎた。もうちょっとしっかり漬けてくれれば良いのにと思った。




おまけだが、カキフライも食べてみた。味の方は標準的だったので、わざわざ追加するほどのことはないと思う。

この店をミシュランに掲載するなら、他にも数軒、都内には良いとんかつ屋があると思う。なぜ、ここを?と疑問に思わないでもないのだが、店内はかなり清潔だったし、フロア係の女性は接客、手際ともに見事だった。ミシュランともなると、そういった部分も重要なのかも知れない。ちなみに僕の本に掲載するレベルには到達していなかった。

店名 とんかつ武信 (TAKESHIN)
TEL 03-3466-1125
住所 東京都渋谷区西原3-1-7 ティーズブレイス 1F
営業時間 [火〜金]11:30〜14:00(L.O.) 18:00〜21:45(L.O.) [土・日・祝]11:30〜14:30(L.O.) 17:30〜21:30(L.O.)
定休日 月曜日(祝日の場合は営業して、その翌日に休み)

  

2014年12月03日

宿題

ラーメン
 維新(目黒?)
 金時(江古田)
 好日(東中野)
 ごっつ(練馬)
 しながわ(池袋、Bassoドリキュウから内容を変えたのかな?)
 多賀野(荏原中延)
 トイ・ボックス(三ノ輪橋)
 ドゥエ イタリアン(市ヶ谷)
 びぎ屋(学芸大学)
 ブンブン ブラウ カフェ(旗の台)
 三藤(緑が丘)
 えどや(小岩)
 もりずみ(茗荷谷)
 やまぐち(西早稲田)

とんかつ
 イマカツ(六本木?)
 大倉(二子玉)
 たいよう(武蔵小山)
 武信(代々木上原)
 まさむね(赤坂見附)

参考資料:ミシュランガイド東京 2015
あのラーメン店も掲載!? 「ミシュランガイド東京 2015」は“5000円以下グルメ”が充実
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20141202/1061574/  

2014年10月17日

豚組

六本木で夜ご飯にしようということになって、拓(寿司)とどちらにするかひとしきり悩んだのだが、同行者がまだ豚組で食べたことがないというので、「ムラがあるし、当たり外れもあるよ」と但し書きをつけつつ、食べに行ってみた。

今回注文したのは、琉香豚の超厚切り(3,600円)と、サブマリン(2週間氷温熟成された氷室豚のバラかつ、3,200円)。高く評価している成蔵(高田馬場)でも熟成肉の扱いには苦労している様子だったので、かなり不安だったのだが。デザートにはくず餅をひとつ。あとはカラフェの白ワイン。































まず、行った時間が遅かったこともあって、かなり油がくたびれていた様子。加えて、ちょっと揚げ方にもムラがあり、ところどころ衣が焦げ茶色になってしまっていた。当然、その部分を食べると苦味がある。まさか、わざとでもあるまい。とはいえ、琉香豚の厚切りは、なかなかジューシーで、旨味も十分だった。これで3,600円は、場所代も考慮すれば適度なコストパフォーマンスと言えるだろう。しかし、豚組新名物の看板を掲げたサブマリンというメニューは全くいただけない。肉の旨味がほとんど感じられず、食べていてもこれっぽっちも満足感が得られない。「旨味&ジューシー&柔らかい?」がキャッチコピーだったが、最後の「?」マークはその前の全てにかかっていると言っても過言ではない。今までの豚組メニューの中で一番のハズレだった。

ご飯は標準的、味噌汁はちょっと苦味が気になる。キャベツは美味しい。くず餅は普通に美味しかった。サービスは上々。

いくつかの難点が気になりはしたのだが、もっと早い時間に来て、琉香豚の超厚切りを注文しておけば、多分美味しく食べることができるはずだ。

ちなみに、前回は梅山豚◯、なっとく豚△という印象だった。今回は琉香豚厚切り◯、サブマリン×という評価。

  

2014年10月08日

マンジェ(三回目)

マンジェ、三回目である。最近は大阪出張のたびに食べている感がある。過去のレビューはこちら。

マンジェ
http://buu.blog.jp/archives/51443956.html

マンジェ再訪
http://buu.blog.jp/archives/51449539.html

さて、今回注文したのは、ヘレ丸太チョイス定食で追加が天然エビフライとカキフライである。










東京Xは例によって週末で完売とのことだったので、まだ食べたことがない丸太ヘレを食べてみた。棒状の丸太ヘレ肉を揚げて、それを6つに切り分けて提供される。端の方はしっかり揚がっていて、中央部分はほんのりピンク色である。肉はジューシーで、前回のように噛みきれないということもなかった。

この店のとんかつはやはりアプローチが変わっている。いわゆる「とんかつ屋」の文法ではないのだ。普通のとんかつ屋は、下味は控えめにして、肉の旨味で勝負する。だから、拙著「とんかつ名店絨毯爆撃」で紹介しているような店のほとんどはソースなどは不要で、肉の旨味を活かすように、塩を使って、あるいは素のままで食べるのが美味しい。逆に、駄目な店ほど、ソースが必須になる。肉に味がないからだ。

ところが、この店は、最初から下味がしっかりつけてある。テーブルに置かれた時点で、すでに肉の旨味だけではなく、調味されているのである。だから、ソースをつけて食べても何の問題もない。肉の旨味で勝負するのではなく、味付け前提で勝負しているのだ。

とはいえ、ベースの肉の味が悪いわけではなく、ちゃんとそういった調味料に負けないだけの肉を使っている。これをたとえるなら、

名店の絶品とんかつ:美人の良さを活かすために、お化粧は控えめ、それにあわせて清楚な服をコーディネート。秋篠宮佳子内親王のイメージ。

マンジェの絶品とんかつ:美人の顔をさらに引き立てるようにばっちりお化粧を施し、豪奢な服をコーディネート。故ウェールズ公妃ダイアナのイメージ。

という感じなのだ。アプローチの源流が和食か、洋食か、という違いがあって、単純に比較するのには無理があるのだが、マンジェタイプのとんかつ優良店があまり存在しないため、異彩を放っているように見える。

ちなみに、天然エビフライとカキフライもなかなか美味しかった。チョイス定食はお勧めである。

ただ、11:10に店に行って、名前を書いて(45人待ちだったかな?)、店内に座れるのが13:20というのは、絶望的に時間がかかり過ぎている。僕は東京から食べに行っているから我慢もするけれど、大阪の人は良く我慢するなぁと感心してしまう。2時間待つくらいなら、他にも美味しいものはいくらでもありそうなものなのだが、不思議である。

なお、付録として、マンジェのメニューを写真で紹介しておく。































とんかつ名店絨毯爆撃、Kindle版好評発売中!!!!

  

2014年10月01日

金町にある「喝」でとんかつを食べてみた。

駅からすぐの場所だが、ちょっとわかりにくく、大分行き過ぎてからもどってきた。イトーヨーカドー側からの方がわかりやすい。

とんかつは銘柄豚とレギュラーメニューが混在していて、どれを注文したら良いか迷う。プレミアムメニューとしては特ヒレかつ(2,260円)、いも豚ロースかつ(2,970円)、庄内三元豚ロースかつ(2,970円)、あぐー豚ロースかつ(2,970円)などが用意されていて、これにご飯と赤だしのセット570円を追加する形になっている。どれにするかかなり迷ったのだが、ここはヒレで、と思って、やや安くはあるのだが、特ヒレかつのセット(合計で2,830円)にした。

まずやってきたのがキムチ、ひじき、チーズの小皿。




ちょっと遅れて、ご飯と味噌汁。







そして、最後にかつとキャベツである。







かつは低温でじっくりと揚げたタイプ。このタイプの最大の弱点は油のキレの悪さだが、この店のとんかつはそれほど気にならない。火の通り具合もちょうど良い感じで、ヒレ肉のジューシーさがきちんと保持されている。やや薄めに切られているおかげで、噛みきれないということもない。ただ、唯一、肉そのものの旨味という点で、絶品とまではいかない感じだった。




衣はやや細か目のパン粉を使っているようだが、驚くのはかつとの一体感である。普通、これだけジューシーに仕上げたとんかつからは水分がでてきてしまい、食べ進んでいるうちに剥がれてきてしまうものだが、そういったことが一切ない。

かつにはソース、白醤油、ポン酢が用意されていたので、主として白醤油におろし生姜と大根おろしで食べてみた。素のままでもいけるのだが、やはりちょっとだけ旨味が欠けている分、味付けがあった方が美味しくいただける。できれば塩を用意して欲しかったのだが、テーブルの上には見当たらなかった。

ご飯と味噌汁はセットで570円はちょっと高い印象。時間が13時を過ぎていたせいもあってか、ご飯からはちょっと水分が抜けてしまった感じ。じゅんさいの味噌汁は、ちょっと苦味が気になった。キャベツは普通に美味しかった。

最後に、店主自慢の杏仁豆腐を食べたのだが、こちらもなかなか美味しかった。




トータルで見ると、なかなかの完成度である。次回の「とんかつ名店絨毯爆撃」の改訂にあたっては、「おすすめ」枠に追加することを検討したい。一度、ロースも食べてみる必要があるだろう。

店名 喝
TEL 03-3608-7141
住所 東京都葛飾区東金町1-11-3 伴ビル2階
営業時間 11:00〜15:30(LO.14:50) 17:30〜21:30(LO.20:50)
定休日 水曜日及び不定休

  

2014年09月25日

『とんかつ名店絨毯爆撃』好評御礼エッセイ 揚げ方によるとんかつの違い

おかげさまで、『とんかつ名店絨毯爆撃』はこれまで出版したラーメン本よりも格段に売れ続けていて嬉しい限りである。本の質としてはラーメン本も決して低くはないつもりだが、巷に類書が溢れているラーメンガイドに比較して、優良店に絞ったとんかつガイド本がほとんど存在していなかったことが、とんかつ名店絨毯爆撃の好評につながっているのだと思う。

さて、同書の好評に感謝の意を込めて、「とんかつの揚げ方」についての見解をまとめてみようと思う。

とんかつの揚げ方は主として次の3種類である。

1.高温で短時間に揚げる
2.低温でじっくり揚げる
3.低温で揚げたあと、高温で仕上げる

1のメリットは、油のキレが良くなること、衣の香ばしさが強調されること、肉の中心部がレアになることなどである。
2のメリットは、中心部までしっかり加熱することによって、肉の旨味を引き出すことである。
3のメリットは、2の良いところと1の良いところを融合できることで、しっかり熱が通っていながら、油のキレが良く、衣の香ばしさも楽しめる点である。




実際には他の揚げ方もあって、3の類似手法として、油槽の油を少なめにして、肉を投入することによって温度を下げ、徐々に加熱して温度を上昇させている職人芸の店や、最初に高温で揚げて衣と肉の表面を固めて肉の旨味を閉じ込めておいて、後に低温でじっくり揚げる、といった店である。ただ、これらの店は決して多くはない。
全ての手法にメリットとデメリットがあって、とんかつ屋さんはそれぞれに何を重視するかを考え、揚げ方を決めている。それが、店の個性を決める重要な要素となっている。




個人的な見解では、どんなに良い豚肉であっても、生や半生の状態では旨味を引き出すことができないと考えていて、ただただ生肉の食感を楽しみたいという人以外には、1の店はあまりおすすめできない。この方向の代表は蒲田の「丸一」「鈴文」「檍(あおき)」など、林SPF豚を使った店だが、食べログなどを見るとこれらの店はかなり評価が高く、現代人には一定の評価を得ているようである。私は全く評価しない店ではあるが、もしかしたら好みに合うかも知れないので、一度は食べておいても良いだろう。それで「美味しい」と感じたのであれば、蒲田周辺に類似の店が数軒あるので、それらの店を食べ比べてみるのも良いかもしれない。




2の店は老舗有名店に多く、調理に時間がかかるので、待ち時間が長くなるし、行列店も少なくない。お客としてはちょっとハードルが高くなるのだが、多少待ち時間があっても、美味しいとんかつを食べたいという人に向いている。金額的にも、1の店よりも高額となるケースがほとんどである。このカテゴリに分類される店としては、「丸五」「成蔵」が挙げられる。




3の店は、比較的新しい店に多いのだが、良いところ取りなので、「あげづき」や「すぎ田」など、名店と言うにふさわしい店が散見される。油槽を二つ用意することからも明らかなように、調理に対するこだわりも生半可ではないので、素材にもこだわっている。おかげで、金額も1や2の店よりも高くなるだが、「多少値が張ってもとにかく美味しいとんかつを食べたい」という人にはぴったりだろう。

  

2014年09月13日

平田牧場 匠

有名店の多くに良質の豚肉を提供している平田牧場だが、その直営店の中でも比較的上の方(もしかしたら一番上?)に位置づけられている様子の「匠」に行ってみた。




ランチタイムだったからか、13時過ぎと少し時間が遅かったからか、メニューの中で一番高いのは金華豚棒ヒレかつ膳2,800円だったので、これを注文した。




まず、ソースを利用する際にご利用ください、とゴマが提供された。ソースを使う可能性は低かったのだが、折角なのでゴマをすりながら待つこと、10分以上は待ったと思う。恐らく、比較的低い温度の油でじっくりと揚げているのだろう。ようやくテーブルにやってきたとんかつは、「こんなにレアですよ」と主張したいのだろう、真ん中の肉だけがわざわざ正面に向くようにひっくり返されていた。




こういう演出は味以外のところに目が行ってしまう人間にしか役に立たないわけで、ちょっと客をバカにした感じである。同時に、このひっくり返ったかつをぱっと見て、肉と衣の一体感がないことがわかる。「うーーーむ」と思いつつも、こういうタイプは全て駄目、ということではないので、衣が剥がれ落ちないように注意しながら食べてみた。




火の通りを制限していることもあって肉はジューシーである。また、下処理がきちんとできている様子で、噛みきれないといったことはない。ただ、旨味自体はそれほどでもなく、素のままで食べるにはちょっと厳しい感じである。では、と思って少量の塩を使ってみたのだが、それでも塩が前面に出てしまう。仕方なしに今度は予定外に辛口の方のソースを少量使ってみたのだが、このソースも肉の味を引き立てるものになっていなかった。むしろソースの味ばかりが目立つ。

衣はかなり厚めで味が濃く、肉よりもむしろ衣が主張している感じである。また、油の温度が低いからなのか、油のキレが悪いのが気になる。

ご飯は炊いてから時間が経っているのか、微妙に臭みがある。味噌汁はダシが取りきれておらず、化学調味料でも入れたくなるような一品である。漬物も「これはキューリのキューちゃん?」という感じで魅力的ではない。










全体的に作りこみが甘いとんかつ定食で、あれだけ上質の豚肉を生産しているのに、どうしてこんな料理しか提供できないのだろう、と不思議に思う。

なお、同行者が生姜焼きを注文したので少し食べさせてもらったのだが、こちらは味付けが非常に濃い上に豚肉の筋が残っていて、神田の定食屋あたりでももっと良いものを食べさせてくれるところがあるんじゃないかと感じた。




「化学調味料(アミノ酸等)などの添加物をできる限り使用しない安心、安全のメニュー」などと言っておきながら、「コラーゲン入り」などというトンチンカンなラベルが貼ってあるドレッシングを置いていたり、どうも頭の悪さが目につくのも残念な感じである。バカな客ばかりが集まるのでそれにあわせてバカなラベルを貼っているのだろうか?




折角都内の一等地でとんかつ店を展開するのなら、もうちょっとまともなコンサルをつけたらどうだろう。今のままでは、中身の無い人間ばかりが集まるしょうもない店になってしまうだろう。ただ、お昼時を少々外しても店外に客待ちがある様子なので、味にこだわりのないお金持ちには良いのかも知れない。

評価は☆1つ半。

拙著「とんかつ名店絨毯爆撃」では、宿題の店のひとつとして平田牧場の直営店を挙げておいたのだが、掲載する必要はないと判断した。

店名 平田牧場 匠
TEL・予約 03-6804-3729
住所 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア ガーデンテラス3F
営業時間 [月〜金]11:00〜24:00(L.O.23:00) [土・日]11:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日 無休

   

2014年08月07日

マンジェ再訪

拙著「とんかつ名店絨毯爆撃」の特撰12軒のうちのひとつに選んだ「マンジェ」に再訪してみた。開店時間の11:30に伺ったところすでに大行列で、順番待ちリストに名前を書いたところ、入店目安は12:30以降だった。仕方なしに駅まで戻って、ミスドで90分ほど時間を潰し12:45に戻ってくると、ちょうど入店できるタイミングだった。物凄い人気である。

前回はレギュラーメニューの中で一番高い特上ヘレとんかつを注文したのだが、今回はスペシャルメニューの日向あじ豚を白トリュフソルトで食べてみることにした。価格はとんかつMサイズが1,640円、定食セットが490円で、あわせて2,130円である。プレミアムとんかつとしてはやや安めの価格設定だ。

カウンターに載せられたとんかつは、ひと目で火の通りが制限されているのがわかる。この調理法はかなり難易度が高いはずなのだが、大丈夫だろうかと心配になった。



















まず、左の端から一切れ取り、塩を使わずに食べてみた。豚肉はレアやミディアムレアで仕上げると、どうしても旨味に欠けてしまうのだが、この肉はきちんと肉の味がする。肉のレベルはかなり高い。続いて、白トリュフソルトを使ってみた。黒い平皿に塩を薄く撒いてあって、肉の断面をここに押し付けることによって適量の塩を肉に付ける。




ひとくち食べてみて、その美味しさに驚いた。ただ、白トリュフソルトの味はかなり強く、適量以上の塩を付けてしまうと肉を食べているのか、塩を食べているのかわからなくなってしまいそうだ。あくまでも肉を引き立てるという役割になるよう、極力塩の量を少なくするようにして食べたのだが、その限りにおいては肉と塩のマリアージュが素晴らしかった。

ところが、である。残り3切れまで食べ進んだところで、事態は一変してしまった。肉が半生なために、噛み切ることができないのである。肉を噛み切ろうと苦心しているうちに衣は剥がれ落ち、とんかつを食べる楽しみは一気に失われてしまった。たまたま、この一切れの筋切りがうまくいってなかったのかな?と思い、次の一切れに食べ進んだのだが、状況はやはり同じ。そして、最後の一切れも、やはり噛み切ることができなかった。火の通しが甘すぎたのか、下ごしらえで肉を叩くときに叩き漏れがあったのか、そのあたりは良くわからないのだが、もし最初に食べたのがこのとんかつであれば、特撰に選出することはなかっただろう。

次に大阪に行く機会があれば、今回は売り切れだったTOKYO-Xのとんかつを食べてみようと思う。場合によっては、特撰から格下げにすることも考慮しなければならないかも知れない。

ちょっと失望しながら店を出ると、炎天下にもかかわらずまだまだ大行列だった。

店名 マンジェ
TEL 072-996-0175
住所 大阪府八尾市陽光園2-3-22
営業時間 11:30〜14:00(L.O) 17:00〜21:00(L.O)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)・第2・3火曜日

前回の評価:マンジェ

  

2014年07月24日

南仏ナチュラルワインと夏の料理を楽しむ会

この二年ぐらいワインを勉強しているとんかつ評論家としては見逃せないイベント「南仏ナチュラルワインと夏の料理を楽しむ会」が、かつ吉日比谷国際ビル店さんで開催とのことだったので、参加してきた。

かつ吉さんは水道橋に本拠を置き、新丸ビル、渋谷など都内に数店を構える名店である。老舗というと頑固に味を守り続けるイメージがあるのだが、このお店は本道を守りつつ、常に新しいことに挑戦し続けているところが素晴らしい。今回はかつ吉さんの料理に南仏ラングドックのナチュラルワインを合わせるという趣向だった。ワインは大人数じゃないと色々な味を楽しめないので、こういったイベントは大歓迎である。

日比谷国際ビル店は最近オープンしたばかりとのことだったが、このビルのスタバには経産省時代に良く来た(今は本館と別館をつなぐ地下通路にスタバがあるので、この店に来る奴はあまりいないと思うけれど)。最近だと「リーガル・ハイ2」で、新垣結衣と岡田将生がフットサルをやっていた場所である。

食べた料理はこんな感じ。


































これらの料理に合わせたロゼ、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンといったワインをたっぷり飲んで、6,500円というのだから大満足である。一緒に行ったファンドマネージャーと二人の医者も料理とワインを満喫した様子だった。

#ちなみにワインは美味しい、美味しくないとは別に、翌日頭痛が残るかどうかという個人的評価軸があるのだけれど、今回はかなりの量を飲んだにも関わらず、体調には全く異常がなかった。素晴らしい。

このイベントは今回は第二回とのことだったけれど、次回があればまた参加したいと思う。

☆「かつ吉水道橋店」を『特撰』で紹介している「とんかつ名店絨毯爆撃」はKindle版が絶賛発売中!!
  

2014年07月10日

はせ川

以前の店名はむさしや。芝大門にある「むさしや」の兄弟店で、こちらは2004年12月オープン、芝大門店は2008年12月オープンなので、むさしや芝大門店よりも先輩にあたる。2012年9月に独立し、屋号を現在の「はせ川」に変更したが、平牧三元豚を使っていることなど、業態に大きな変更はないようだ。

メニューはロースかつ中心のラインナップで、ひれのプレミアムメニューは存在しない。そこで、厚切極上ロースかつ(220グラム)2,800円を注文してみた。芝大門のむさしやと同様、"極上"のプレミアムメニューを注文すると調理する前の肉を皿に載せてテーブルまで持ってきて、「こちらを調理します」と紹介してくれる。







揚げ時間は8分程度で、やや濃い目のキツネ色に揚がっているところをみると、揚げている温度は標準といったところだろう。パン粉はやや粗めで、若干揚げ油を吸っている気がするものの、食感を損ねるほどではない。




かつは衣との一体感が見事だが、肉そのものの旨味はやや不足している。名店での使用率が高い平田牧場の豚肉を使っている店なので、普通に考えると「?」なのだが、これは肉の半分以上が脂身だからである。必然的にアミノ酸系の旨味が不足してしまう。とはいえ、脂の風味が大好きなら、このとんかつは絶品に感じるだろう。一方で、肉の旨味を求めている層にはやや難しいとんかつかも知れない。塩、わさび、おろしポン酢、ソースと色々なパターンで食べてみたが、どの方法でも肉の旨味を引き出すことはできなかった。脂の旨味を楽しみたい場合は、取り皿に塩を薄く撒いて、そこに肉の断面を押し付けるようにして食べるとちょうど良いあんばいに調節できる。

ご飯の炊き具合はやや硬めでとんかつにはピッタリである。ただ、豚汁はダシが取り切れていない感じで、高級店のそれとは言い難い。キャベツの繊切りは繊細で上質だった。漬け物などは「とりあえず出しました」という感じで、あまり品質にはこだわっていないようだ。













店名 はせ川
TEL 03-5625-2929
住所 東京都墨田区両国3-24-1 両国尾崎ビル 103
営業時間 11:30〜15:00(L.O.14:30) 17:00〜22:30(L.O.22:00)
定休日 無休

  

2014年07月03日

壽々屋

以前から存在は知っていたのだが、価格帯から「多分、それほど高いクオリティではないだろう」と判断していたところ、ラーメン業界において数少ない「味のわかる人間」であるラーメン・プロデューサー渡辺樹庵氏がTwitterで褒めているのを見かけて食べに行ってきた。

創業昭和31年の老舗で、現在は二代目とのことだが、店内は清潔そのもの。頭上に荷物入れがあるあたりに工夫が見られるのだが、油料理の店で高いところに収納を設置すると日頃のメインテナンスが大変そうで、それでもなおかつこういったインフラを整備しているところにただものではない気配を感じる。

メニューはロースのみプレミアムが用意されていて、ヒレにはない。ちょっと残念だったが、いつもどおりひれかつ定食(1,760円、税別)を注文した。座席がカウンターではなかったので、横目で調理を窺う感じだったのだが、7、8分かけてしっかり揚げている。鍋は一つなので、温度の異なる油で二度揚げしているわけではないようだ。この調理時間だと油の温度が高いはずはなく、低温で揚げているはずだ。ところが、できあがりはかなり濃い目の色にこんがり揚がっている。ちょっと不思議な感じだが、油の量を標準よりも少なめにして、かつを投入することによって油の温度を下げ、その後の火加減で徐々に油の温度を上げているのかも知れない。普通は油の量をたっぷりにして、温度の変化を極力抑えようとするものなので、もしこういった方法を取っているのならかなり珍しい。この方法のデメリットは、一度調理を始めたら、途中で肉の追加ができないことである。そんな比効率なやり方があるのか興味深い。カウンターであればじっくり観察できたのだが、ちょっと残念である。油から引き上げて多少休ませ、肉に熱が行き渡ったところで盛りつけ完了である。




外観から判断すると、まず、肉と衣の一体感がない。かなり濃い目の焦げ茶色の衣で、パン粉は細か目で厚さは薄めである。ちょっと揚げ過ぎなのでは?というのが第一印象である。

さて、一口、素のままでいただいてみた。揚げ過ぎかと心配になったのだが、衣から苦味が出るほどではない。衣にはちょっと油が残っていて、パリッとか、ふわふわといった食感は楽しめない。肉のジューシーさはそれほどでもない。これは揚げ時間が長いからかも知れない。肉には下味がそこそこついているのだが、名店の肉に比較すれば肉そのものの旨味が足りないので、塩かソースは必須だろう。今回は主に塩で食べた。

手切りと思われるキャベツはなかなかだったが、ご飯は、22時ぐらいの訪問だったこともあってか、やや硬めで古い感じだった。ここは開店直後に訪問していないので仕方のないところだろう。豚汁は豚肉から滲みでた脂が味をボケさせていて、ダシよりもトッピングされたネギの味が前面にでてしまっていた。







同行者が上ロースを注文したので一切れ食べさせてもらったのだが、ヒレよりは上ロースの方が高品質だったと思う。




技術的にはとても面白いものがあり、また老舗らしく、接客にそつがない。カウンター越しにお客さんとコミュニケーションを取る店主の才覚も素晴らしく、店の完成度は高い。ただ、1,760円ということもあって、肉の質は最上級とは言えない。このあたりは拙著「とんかつ名店絨毯爆撃」に詳しく書いたが、高度に産業動物化された豚を使っている以上、仕方のないところだろう。コストパフォーマンス的には非常に優れているけれど、「特撰」に選出できるほどではなかった。

店名 寿々屋 (すずや)
TEL 03-3982-1681
住所 東京都豊島区西池袋1-38-3
営業時間 17:00〜23:00
定休日 月曜日

  

2014年06月23日

豚組食堂

西麻布の豚組は開店直後はコストパフォーマンスの悪い店の典型事例だったのだが、開店から約10年が経って、随分と改善されていた。それなら、と思って、系列店の豚組食堂(社長は豚組の中村氏ではないようだ)で食べてみた。注文したのはゴールデン・ボア・ポークという銘柄豚のフィレ、165グラムで3000円である。




あれ?と思ったのは、普通のロースかつとフィレかつで、衣の様相が全く異なることだ。私のかつは約6分の揚げ時間で、その後90秒ほど余熱で仕上げているのだが、普通のロースかつは約3分ほどで揚げている。ロースは温度が高い油を使っていて、フィレはそれに比べてやや低い温度の油で揚げているのだろうが、衣の見た目はフィレの方が明らかに色が濃いし、食べてみると案の定、衣が硬いし苦い。同行者がロースかつを注文したので一切れ食べさせてもらったら、こちらの衣は硬すぎることもなく、苦味を感じることもなかった。これだけでもガッカリだが、高温で比較的長い時間揚げているせいか、あるいは隠し包丁の入れすぎか、衣と肉が分離するのではなく、揚げ過ぎた外側の肉と、熱があまり通っていない内側の肉とが内部崩壊して、肉と肉が分離していた。




こんな状態のとんかつは、定食で3000円以上の高級店では初めて見たのだが、わざとやっているのだろうか?肉自体の旨味もそれほど感じられず、むしろ衣の苦味ばかりが目立っていた。




同行者が注文した普通のロースかつ(椿ポーク)は普通のとんかつだったので、わざと手を抜いているように感じられる。参考までに、ロースかつの写真も載せておく。




ご飯の炊き具合は硬過ぎてイマイチだった。キャベツは美味しかったが、味噌汁は普通、おひたしは特に印象に残る点はなかった。










まだ食べている最中にバタバタ食器を片付け始めるあたりは牛丼屋のような接客姿勢で、こうしてどんどん客を追い出すことで捌ける客数を増やし、廉価化に挑戦しているのかもしれない。とはいえ、決して安いとは言えない価格にも関わらずテーブルは狭いし、接客姿勢はなってないし、かつの味もとても満足できる質ではなかった。一事が万事安っぽい感じで、コストパフォーマンスが悪いので、二度と行かないだろう。この店に行くくらいなら、ちょっと遠くても豚組に行ったほうが断然良いと思う。なんでこんな店を出したのか、さっぱりわからない。「豚組の廉価版」という業態だというのなら、その姿勢自体は理解可能だが、それなら3000円もするメニューを置くのは整合性が取れていない。少なくとも、3000円のとんかつを注文した私が満足できる部分は、ほとんどなかった。

店名 豚組食堂
TEL 03-3408-6751
住所 東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー B1F
営業時間 11:00〜23:00

  

2014年06月16日

マンジェ

創業1996年のお店だが、開店前から行列ができる繁盛店である。外観はとんかつ屋というよりはイタリアンやフレンチのレストランといった趣。ノートに名前と人数を記入する形式なので、店に到着したら漫然と並ばず、店内のノートに名前を書くことが重要である。




店の外には黒板にメニューが記載されている。プレミアムメニューも用意されている様子だったけれど、今回はレギュラーメニューの中で一番高い特上ヘレとんかつを注文してみた。




オープンキッチンの店なのでカウンターから調理の様子が全て観察できたのだが、なかなか興味深かった。まず、肉叩きハンマーで派手に叩いている。これをやると、肉は柔らかくなるが、肉の細胞を潰してしまうので肉汁が流出しやすくなる。結果的にスカスカなささみ肉みたいになってしまうケースが良くあるので大丈夫かなぁ、と心配になったのだが、揚げ方で対策しているようだ。この店の揚げ時間は約5分と短い。それでいて衣はかなりこんがりきつね色になっているので、油の温度はやや高めであると予想される。揚げたあと、約2分休ませることによって予熱で仕上げている。カウンターに置かれたカツは、中央部にやや赤味が残っており、見た目にもジューシーである。




高温で揚げることの最大のメリットは油のキレの良さで、この店も衣に油が残っている感じはほとんどなかった。一方でデメリットは肉の旨味が逃げてしまうことだが、この店の肉はしっかりと旨味が楽しめた。火の通りが悪いと味のない生豚肉を食べさせられることになるのだが、この店ではそんなことはなく、絶妙な火加減だった。粗めの衣はサクサクしていて、それでいて硬すぎず、香りも楽しめる。食べている途中で衣が剥がれてきてしまうこともあまりなく、きちんと一体感がある。かつを食べる際には、四角い平皿にブレンドした塩を薄くまいたものに肉の断面を押し付けて味付けする。これもなかなか面白いシステムである。

キャベツ、漬物、味噌汁はほとんど手抜きが感じられず、どれも美味しかった。味噌汁にはなぜかタピオカが入っていた。







とても残念だったのはご飯で、お米は良さそうだったのだが炊き方が悪いようで、かなりの部分がノリのようになってしまっていた。他のところではほとんど弱点が見当たらないのに、なぜ?と思ってしまった。




また、店員はとても丁寧で感じが良いのだが、客の捌き方は下手。カウンターに一人分の空席があって、団体客のすぐあとにお一人様がいるのに、お一人様を先にするといった配慮ができないでいた。この点は下町のおばちゃんを見習って欲しいところである。

レギュラーメニューには味噌とんかつ、ジェノベーゼとんかつ、フォアグラとんかつなどの変わりメニューがあり、他にイベント的な銘柄豚のメニューもあって、大阪に住んでいるなら定期的に伺いたくなる店である。

店名 マンジェ
TEL 072-996-0175
住所 大阪府八尾市陽光園2-3-22
営業時間 11:30〜14:00 (L.O.) 17:00〜21:00 (L.O.)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日) 第2・3火曜日

とんかつ名店絨毯爆撃、好評発売中!!!
  

2014年06月09日

今日のいち川

「とんかつ名店絨毯爆撃」で絶賛したいち川でヒレかつ定食を食べた。







ついでに、ロースも一切れ。

いつもどおりのカツで嬉しい。相変わらずお元気な様子だったので、それも嬉しかった。

  

2014年06月01日

「とんかつ名店絨毯爆撃: 美味いとんかつが食べたければ2,000円以上用意しろ!!」発売開始!

構想から一年以上、ようやく「とんかつ名店絨毯爆撃: 美味いとんかつが食べたければ2,000円以上用意しろ!!」が発売となりました。



出そうとすると、「この店は食べましたか?」と言われ、出そうとすると、「その店はご主人が引退して、交代しましたよ」と情報提供され、なんだかんだで一年経ってしまいました。でも、その分内容は充実したと思います。当初は40軒を掲載予定でしたが、絞りに絞って、最終的には28軒の掲載となりました。

この本のために食べたとんかつ屋のラインナップはこんな感じです。

かつぜん(銀座)、梅林(銀座)、あんず(銀座)、かつ銀(銀座)、万平(淡路町)、勝漫(淡路町)、やまいち(淡路町)、ポンチ軒(小川町)、丸山吉平(新御徒町)、すぎ田(蔵前)、丸五(秋葉原)、とん八亭(上野)、とんかつ武蔵野(上野)、ぽん多本家(御徒町)、蓬莱屋(御徒町)、かつ吉(水道橋)、清水屋(池袋)、とん太(高田馬場)、成蔵(高田馬場)、あげづき(神楽坂)、かつ味(新大久保)、王ろじ(新宿)、さき亭(新宿)、キムカツ(恵比寿)、ぽん太(恵比寿)、とんき(目黒)、椿(成城学園前)、福よし(表参道)、まい泉(表参道)、豚組(西麻布)、むさしや(浜松町)、とんかつ燕楽(新橋)、とんかつ河(新橋)、檍(蒲田)、丸一(蒲田)、鈴文(蒲田)、とんかつ燕楽(池上)、福長(都立大)、かつ玄(羽田空港)、勝烈庵(横浜等)、恵亭(横浜)、かつくら(新横浜)、馬酔木(横浜)、豚食健美 優膳(茂原)、いち川(朝霞)、かつ膳(川越)、力(甲府)、美味小家(甲府)、とんかつ山本(京都)、福幸亭(軽井沢)、献立家 弥栄(軽井沢)

この中から、本に掲載するレベルと判断した店を厳選しました。このリストは有名店がほとんどですが、さらに半分近くを削ぎ落した形です。

本格とんかつに絞って一冊にまとめたガイド本は史上初だと思います。Kindle本を読むことができる方は、是非お買い上げくださいm(_ _)m

#本の性質上、ほとんどが東京の店になっています。あしからず、ご了承ください。

#Kindleストアに本が並んでも数時間〜数日はiOS版だけが反映されません。iPhoneやiPadでの購読を希望されている方は、もう少々お待ちください。

#iOSでも購読可能になりました!!  
Posted by buu2 at 12:00Comments(0)TrackBack(0)Amazon

このエントリーをはてなブックマークに追加 編集

2014年05月31日

檍(あおき)

林SPF四兄弟の最後を飾るのが蒲田の檍である。

これまで、食べログの好評価にも関わらず、どの一軒としてまともな高級とんかつを食べることができなかったので、多分ここもダメだろうな、と思いながら食べに行った。この店のプレミアムメニューはリブロースかつ(レア)定食2,800円、特上ロースかつ定食2,000円、特上ヒレかつ定食2,000円というラインナップである。普段の僕なら何の迷いもなくリブロースかつ定食を注文するところなのだが、これまでの林SPFの店で食べた経験から、リブロースは水気が多いだけで旨味が足りないという法則を確立していたので、最後の最後まで迷って、結局特上ヒレかつ定食をオーダーした。恐らく、リブロースかつは今まで食べてきた店と大差ないだろう、というのが僕の考えだが、最終的にそう決めつけたのは、この店ののれんが丸山吉平から贈られたものだったからだ。

特ヒレを注文してから約9分でとんかつが提供された。




かつはやや高温の油で揚げている様子。ヒレカツの中央部はレア状態でとてもジューシーである。しかし、肉の旨みは不足気味だ。それなら、と思ってテーブルに置いてあった5種類の塩の中から、沖縄の塩をかけてみた。すると、塩の味だけになってしまった。次にアンデスかどこかの岩塩をごく少量つけてみたら、味は上手に調整できたのだが、肉の旨みはどうやっても引き出すことができなかった。かつの両端だけはしっかり熱が通っていたので、中央部よりは肉の旨味が感じられたのだが、それでもちょっと物足りなく感じた。しかし、2000円という価格を考慮すると、こんなものだろう。

キャベツは普通に美味しい。また、ご飯はなかなか美味しかった。一方で豚汁は平凡、お新香は添えただけのものだった。







これをトータルで考えると、このヒレかつ定食に2,000円はもったいないと思う。

林SPF四兄弟を食べ比べてみて感じたのは、これらの店をありがたがる人たちは、豚肉がレアであることだけが嬉しいんだろうなぁ、ということである。それはちょうどラーメン業界で最近低温処理したチャーシューが人気なのと同じだ。どちらも、レアの豚肉の味気なさや食べにくさを無視していて、豚肉の旨味に無頓着で、新しい食感をありがたがっているフシがある。少なくともこのブログを読んでいるとんかつ好きに対して林SPFの店をおすすめすることはない。

店名 檍 (あおき)
TEL 03-3739-4231
住所 東京都大田区蒲田5-43-7 ロイヤルハイツ蒲田102
営業時間 [火〜金]11:00〜14:00 17:00〜21:00 土]11:00〜14:00 17:00〜20:00 [日・祝]11:00〜15:00
定休日 月曜

関連エントリー
丸山吉平
http://buu.blog.jp/archives/51435107.html

鈴文
http://buu.blog.jp/archives/51435717.html

丸一
http://buu.blog.jp/archives/51435747.html

  

2014年05月26日

成蔵(再訪)

先月食べた成蔵が非常に印象が良かったので、今度は銘柄豚を食べてみた。

先月のレビュー:成蔵(なりくら)

雪室熟成豚というらしく、文字通り、雪室で熟成した肉のようだ。雪室とは僕のように一年の半分ぐらいを雪国で過ごしていた人間にはそれほど珍しくないのだが、要は天然の冷蔵庫で、倉庫に雪を貯めこんでおいて、冷蔵庫代わりにする施設である。雪が溶けてしまう9月ぐらいまで、0℃、湿度90%ぐらいを安定してキープすることができる。この雪室で熟成させた肉を使ったシャ豚ブリアンが3700円、特ロースかつ定食も同じく3700円である。とりあえず、いつもどおりヒレかつのシャ豚ブリアンを注文してみた。







長期熟成による旨味の強さが売りのようだが、確かに、旨味は強い。しかし、むしろ強すぎる印象だ。熟成とはすなわちたんぱく質の分解で、言葉を変えるなら「腐らせている」のと同義である。同じような熟成食品はたくさんあって、ワインも、醤油も、味噌も、発酵させている食べ物は全て「熟成」しているものだ。熟成の手法には色々あって、酵母や細菌を使うのが一般的だが、肉の場合はこうした微生物の力を借りず、肉にもともと存在するたんぱく質分解酵素によって行うことがあるようだ。こうした分解系の食べ物にはほぼ共通の特徴があって、それは味と匂いが強くなることである。そして、この雪室熟成肉も、同じように味と匂いが強い。その個性の強さが、この店の繊細な揚げ技術に今ひとつフィットしていない気がする。これなら、ポークソテーやポークジンジャーなどの方がマッチしそうだと、一口食べて思った。ソースをかけて食べればまた違った感じかも知れないのだが、それはそれでもったいない。この店のかつの衣は非常にデリケートなので、ソースをかけてしまうのは野暮というものだ。熟成のおかげで柔らかいのは間違いないのだが、風味の点でマイナス、というのが正直なところである。

同行者が特ロースを注文したので、二切れほど食べさせてもらったのだが、ヒレに対して、ロース肉ではそれほど匂いの強さが気にならなかった。また、旨味もヒレ肉ほど強烈ではない。ロースの脂がそれらを丸め込んでマイルドにしているのかも知れない。とはいえ、完成度はこちらも霧降高原豚の特ロースの方が上だと思う。




とんかつの肉は、ただただ熟成して味が濃ければ良いというものでもない。この店の場合、繊細で完成度が高いかつで、その技術はレギュラーメニューの霧降高原豚に合わせられている。雪室熟成肉の質は高いのかも知れないが、その方向が店の方向と合致していない印象なので、初めてこの店で食べる人には通常の霧降高原豚のかつをおすすめしたい。一方、濃い味や香りが好きな人には、雪室の方が美味しく感じられるかも知れず、リピートで訪問するなら挑戦してみるのも悪くないだろう。  

2014年05月19日

梅林

銀座の老舗とんかつ屋、梅林に行ってみた。老舗で、一口カツやとんかつソース発祥の店と言われているけれど、なぜかメディアでの露出は少なめである。

この店はロースカツ2,800円、ヒレカツ2,700円と、ロースの方が高いのが珍しい。いつもどおり、ヒレカツ定食(2,700円)を注文してみた。揚げ油は店によれば綿実油を中心としてブレンドしたもの。高温と低温の2種類を用意している様子で、厚みのある肉は低温で7、8分かけてじっくり、薄い肉は高温で3分程度、チャッチャと揚げている。




ヒレかつは一口サイズが4きれ。衣はやや粗めのパン粉で、薄い。デリケートで、食べている最中にもポロポロ落ちてくる。これはこれで一向に構わないのだが、油の温度が低いこともあって、衣に油が残り気味なのがちょっと気になる。

肉は大ぶりで、一口で食べるのは不可能。ところどころスジが残っているので、噛み切るのにも苦労することがある。これなら包丁を入れてくれた方が良いのに、と思うのだが、衣の中で熱を行き渡らせたいのかも知れない。しかし、同じようにして揚げられたロースカツは普通に切り分けられているので、深い思惑はないと想像する。肉と衣の一体感はあまりない。最初からちょっと浮いた感じで、食べる際にちょっと注意しないと、衣だけがぺろんと脱げてしまう。肉そのものの旨みは十分。肉の質はなかなかのものである。ソースは不要で、塩で食べるのがおすすめだ。










お新香は味が濃いのでちょっと主張し過ぎな感じがする。キャベツ、味噌汁、ご飯はなかなか美味しかった。

年中無休で中間閉店がないのはとても便利である。




店名 梅林 (ばいりん)
TEL 03-3571-0350
住所 東京都中央区銀座7-8-1 渋谷ビル 1F
営業時間 11:30〜20:45
定休日 年中無休  

2014年05月17日

とんかつ燕楽(池上)

新橋の燕楽がちょっと雑な感じになってしまったので、元の味を確認する意味も含めて、暖簾分けの燕楽池上に行ってみた。

ランチメニューは1,000円ちょっとのとんかつ定食だが、プレミアムメニューとしてヒレ、ロースの定食2,100円が用意されている。今回はヒレ定食を注文した。

注文するとまずはお新香とポテトサラダが出てくる。







燕楽系列の特徴はこのポテトサラダで、普通に美味しい。お新香も適度な漬かり具合で美味しい。これらをつまみながら待っていると、約12分ほどでごはん、豚汁、かつが到着した。




かつはほぼ真ん中で二つに切り分けられたものが3つ。衣は標準的な粗さのパン粉である。新橋の燕楽では不均一で雑な衣が気になったのだが、こちらはふわりと柔らかい食感である。上質のラードで揚げた衣は油のキレも良い。厚みがあるのに適度な熱の通り具合である。きちんと熱が通っていても柔らかくて、簡単に噛み切ることができる。平田牧場の三元豚はジューシーで旨みも強いので、ソースは不要。素のままか、塩、辛子で食べるのが良いと思う。

ご飯、豚汁、漬物、キャベツ、全て標準以上。







店は細かいところまで掃除が行き届いていて、油料理をメインにしているとは思えない清潔感。きちんと修行をした料理人の店、という感じである。




店名 とんかつ燕楽
TEL 03-3754-8243
住所 東京都大田区池上6-1-4
営業時間 11:00〜14:30 17:00〜21:30
定休日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌火曜日)  

2014年05月14日

燕楽(再訪)

前回の訪問記録はこちら

燕楽
http://buu.blog.jp/archives/50748659.html

写真がいけてないし、大分古い記事なので、久しぶりに再訪してみた。

注文は前回同様ヒレカツ定食。この店は珍しくヒレカツ定食とロースカツ定食の価格が同じで、2300円である(消費税増税分を追加して2360円だったかな?)。

まずテーブルに届けられるのがお新香とポテトサラダ。







お新香は相変わらず薄味で美味しい。ポテトサラダは凡庸だけど、これはこれで食欲を喚起する。そして、注文から約12分ほどで、かつ、ご飯、豚汁が到着した。










まずはとんかつ。衣はやや粗めで薄く、硬い。しっかり揚がっているといえばしっかり揚がっているのだが、部分的にゴリっと音がするほど硬いところがあったのはちょっといただけない。揚げている温度はやや低めの様子だが、肉にはしっかりと火が通っていた。肉汁が多めなので、肉との一体感は希薄で、食べ方には注意が必要である。上手に食べてやれば、ごっそり剥がれ落ちることはない。肉の旨みはかなり強いので、ソースは不要。テーブルには岩塩が用意されているので、素のままか、塩でいただくのがおすすめ。キャベツは標準的なもので、特筆すべきところはなかった。

ご飯は標準だが、訪問した時間が遅かったので、やや質が落ちてしまっていた可能性が高い。大きめの豚肉が存在感を主張している豚汁は美味しかった。

かつては「これは美味い」と唸るほどの質だったけれど、今は普通に美味しいとんかつ屋になった感がある。肉は相変わらず美味しいのだが、色々と細かいところで雑になってしまった感が拭えない。

店名 燕楽 (えんらく)
TEL 03-3431-2122
住所 東京都港区新橋6-22-7
営業時間 [月〜金] 11:00〜14:00 17:00〜21:30 [土] 11:00〜13:30
定休日 日曜・祝日

  

2014年05月12日

椿

とんかつ本、出すと公表したとたんに「この店がうまい」という情報が殺到してなかなか出版にこぎつけずにいるのだけれど、最後の宿題店、成城学園前の「椿」に行ってきた。僕は小田急線がほとんど行動範囲圏になくて、この方面に行くとしても車を使うことがほとんどなんだけれど、久しぶりに乗ってみたら、あらかた地下化されていて驚いた。以下、評価。

成城の住宅街にある芸能人御用達の店である。創業昭和38年とのことなので、老舗の一つと言って良いだろう。

日曜日はセットがなく、ヒレ、ロースの他に数量限定のリブロースがあるとのことだった。これとは別にご飯や赤だしを注文するシステムなので、今回はリブロース、ご飯(中)、赤だしを注文してみた。注文から約15分ほどでかつが到着。




衣はやや粗めで、高温の油を使っているのか、かなり香ばしい。硬めなせいもあってポロポロ剥がれ落ちて行くし、口の中で溶けていくような性格のものではない。また、肉から出てくる肉汁のせいで肉から剥離してしまうのも残念。肉はやや硬め。しっかり揚っているが、かつそのものの旨味は肉、脂ともに薄めで、塩を使ってもやや物足りなく感じる。ならばと思って使ったソースはなかなか美味しかったのだが、かつの味をさらに希薄にしてしまうので、この店にソースを飲みに行く人以外には、かつにソースを使うことはお勧めしない。










ご飯はやや硬めの炊き具合。12時過ぎに伺ったのだけれど、すでに炊きたて感は失われていた。一方でナメコの赤だしは美味しかった。無料で出てくる漬け物は普通のレベル。キャベツはご飯同様、ちょっとくたびれた感じだった。

以前は優良店だったようだが、今は味噌汁とソース、それと食前食後で変えているお茶ぐらいからしかその気配が感じられない。和の雰囲気を楽しみたいという外人には良いかもしれないが、美味しいとんかつを食べたい人にはお勧めできない。




店名 椿
TEL 03-3483-0450
住所 東京都世田谷区成城5-15-3
営業時間 [火〜土]11:30〜13:50 17:00〜20:00 [日・祝]11:30〜20:00
定休日 月曜  

2014年05月01日

丸一

丸山吉平に端を発した林SPF三本勝負のラストである。訪問したのは二軒目の鈴文と同じく蒲田。鈴文と同様この店もプレミアムなとんかつは極上ロースかつ(2500円)のみで、ヒレの極上はない。仕方ないので、極上ロースを注文。

白菜の漬物、ご飯、味噌汁が先に提供され、最後にかつが到着。













かつはもうちょっとレアなものを想像していたのだが、火は完全に通っている。衣はきつね色というよりは焦げ茶色で、中央部分は黒焦げに近い。見た目からは、ちょっと揚げ過ぎな感じがある。一口食べて、やはり若干の苦味が気になった。ただ、やや細かめのパン粉は口の中で刺さるということはなかった。肉は例によって旨味が不足気味で、水っぽい。これをジューシーと言うならジューシーかも知れないが、単に水っぽいだけのような気がする。食べている最中にこの水分によって衣が剥がれてしまうのが残念。水っぽくて旨味が足りないので、他の林SPFを使った店と同様、塩は必須である。

ご飯、豚汁は標準レベル。漬物は形だけといった感じである。キャベツは乱切りというか、雑に切っただけ。しかし、シャッキリとした食感は悪くなかった。

プレミアムなとんかつというよりは、普通の街のとんかつ屋で食べる馬鹿でかいロースかつ、という感じで、満足感はそれほど得られなかった。むしろ、頑張って食べたことによる疲労感の方が大きい。

結論としては、温度を高めに設定した油を使用し、一般的なとんかつ屋に比較して短時間で揚げることによって火の通りを不十分にし、ジューシーさを演出するのが林SPF系の店の特徴とまとめることができそうだ。隠し包丁を念入りに入れている様子がないので、肉の柔らかさは間違いないのだろう。しかし、林SPFの肉のメリットは柔らかさと、きっちり火を通す必要がないという二点だけに感じられる。ただただ生なら嬉しいという人には良いかも知れないが、上質な豚肉が持っている旨味がほとんど感じられないので、ちゃんとしたとんかつを食べたい向きには全く勧められない。

このレベルの店が食べログのとんかつランキング全国版のベスト10に2軒も入ってしまうのだから、食べログなど全くあてにならないことがわかる。当然、今度出版するとんかつ本にも、3軒とも掲載しない。蒲田にはもう一軒、檍(あおき)という林SPFを使った店があるのだが、どうしたものか・・・。

店名 丸一
TEL 03-3739-0156
住所 東京都大田区蒲田5-28-12
営業時間 [火、木、金]11:00〜14:00 [水、土]11:00〜14:00 、17:00〜20:00
定休日 日曜日・月曜日・祝日  

2014年04月30日

鈴文

先日食べた丸山吉平のとんかつがイマイチだったのだが、その原因がどこにあるのかを探ってみる意味で、同じ林SPFを使っていると言われている蒲田の鈴文で食べてみた。

この店、ヒレのプレミアムメニューがなく、普段はヒレを中心に注文するところ、特ロースを注文した。祝日だったため夜からの営業のみで、夜の客の中では最初の特ロース注文だったので、本日分では最上の肉が食べられるはずだ。

最初に漬物が出てきたけれど、こちらは普通の漬物。




続いてご飯と、豚の入っていない豚汁(味噌汁?)。







ご飯と味噌汁は、味は悪くない。そして、最後に厚みのあるロースとんかつがやってきた。




揚げ油の温度は多分やや高め。揚げ時間は7分程度と短い。衣は粗めで硬め。食べ終えたあと口の中がヒリヒリして、翌日まで炎症が残るくらいにトゲが感じられた。ところどころ衣が浮いてしまうことがあったけれど、一体感がないというレベルではない。肉汁が多いと、どうしても衣は浮いてしまうことがある。肉はかなりの厚みで、中央付近はほぼレアの状態。そこそこにジューシーだが、肉の旨味は希薄で、食べるには塩が必須だった。大将はカツを切るとき、包丁を油で加熱してから肉を切っている。切断面を加熱して、肉の旨味を引き出そうとしているのかもしれないが、それでも足りない感じだ。肉の両端は十分に火が通っているけれど、この部分も旨味はあまり感じられない。肉そのものの旨味が不足気味なのだろう。

キャベツはもうちょっと頑張りましょう、という感じだったけれど、かつ以外にはそれほどのこだわりがないのかも知れない。

17:30開店の店で、小雨の中、17:15ぐらいから店の前で並んでいたのだが、店の中では大将と二人の女性が下ごしらえをやっていた。ところが何故か17:30になっても店は開かず、行列は長くなる一方。ようやく店が開いたのは17:39分だった。うーーーーーん。

2,100円という値段を考えれば価格相応だと思うけれど、もう行かないと思う。

店名 鈴文 (すずぶん)
TEL 03-5703-3501
住所 東京都大田区西蒲田5-19-11
営業時間 11:30〜14:00 17:30〜20:30(L.O20:00)
定休日 水・木  

2014年04月28日

成蔵(なりくら)

とんかつ評論本の最終仕上げのために訪問。老舗の餃子屋のすぐそばにあり、2010年8月オープンの比較的新しいお店である。

メニューは通常メニュー以外に時々銘柄豚が入荷するようだが、今日はレギュラー豚のみだったので、一番高い霧降高原豚シャ豚ブリアン(180グラム)かつ定食(2,470円)を注文。




一目見て、色の薄い衣が特徴的。比較的低温のラードでじっくり揚げているようで、着席後も待ち時間がやや長めである。




衣は標準よりはやや粗めで、パリッとしている。しかし、口の中で刺さるような感覚は希薄。食べている途中で剥がれてくることもほとんどなく、肉と衣の一体感がある。低温揚げの店では油のキレの悪さが気になることがあるのだが、この店ではそういったこともない。揚げてから少しの間休ませているようで、油が熱くて火傷するということもない。肉は熱が中心部まできちんと通っているものの、過剰過ぎず、適度な旨味とジューシーさを併せ持っている。最近はSPF豚を利用したレアとんかつが人気のようだが、「生なら良い」というわけではないのは当たり前のことで、むしろ肉は最低限の火が通ったほうが旨味が出る。色々な観点から考えて、揚げ加減は見事というしかない。ソースを使わずとも素のままでも十分美味しいし、どうしても物足りないなら塩を使えば良い。肉の旨味や衣の食感を満喫したければソースは不要だろう。

ご飯と豚汁も普通に美味しいし、キャベツもなかなかのクオリティである。







他にもポテトサラダ、酢の物、漬物が並ぶのがとんかつ定食としては豪勢である。










ただ、これらが全て一気に出てきてしまう点は工夫が必要かも知れない。かつやご飯が出てくるのに時間がかかることもあり、メインへの導入という意味でも、ポテトサラダは先に食べさせてくれても良いはずだ。ポテトサラダが出てくるあたりは新橋の名店「燕楽」にも似ている。そういえば、3つのひれかつを真ん中で切らず、3:7ぐらいに切るところも燕楽に似ている。

同行者の特ロースかつを数切れ食べさせてもらったが、こちらもなかなか美味しかった。







高田馬場という立地もあってか、価格をやや安めに設定する必要があるのだろう。その分、とんかつ以外の部分で若干見劣りがするのだが、これは仕方がないことだろう。

先日食べた「丸山吉平」は自己流色が濃く、詰めの甘さが目立つ粗い店だったが、こちらは基本をしっかりと押さえた隙のない店だった。個人的には、こちらの方がはるかに質が高いと思うし、今後の伸びしろも大きいと思う。

なお、余談だが、今日はちょっとした事情があってメンチカツとエビフライも食べることができた。こちらもとんかつ同様、美味しかった。

店名 成蔵
TEL 03-6380-3823
住所 東京都新宿区高田馬場1-32-11 小澤ビル地下1F
営業時間 11:00〜14:00 17:30〜22:00(L.O21:00)
定休日 火曜日
  

2014年04月24日

丸山吉平

とんかつ本制作作業もいよいよ佳境である。この段階になって、知人から「食べログで評価の高い店はひと通り食べておいたほうが良いのではないか」という指摘があったので、喉元まで出かかった「あんなドシロウトばかりのとんかつ評があてになるなら、こんな本は要らないよ」という言葉を押しとどめて、食べログで高評価の丸山吉平を食べに行くことにした。

注文したのは一番高い「ぼーヒレかつ(恐らく、棒ヒレかつ)定食」、2,100円。

揚げ油はラードのようで、薄い肉は普通の温度で、厚い肉はそれよりもやや低温でじっくりと揚げている様子だ。待っている間にご飯、味噌汁、漬物が出てくるが、味噌汁は大根と人参のみの普通のもの、漬物もとりあえず出しておきます、といったレベル。ご飯は普通に美味しい。










そうこうしているうちにかつが出てきたのだが、衣は標準か、やや細かめ。油の温度はやや低めかもしれないのだが、時間をかけているのでしっかりと揚がっている。かつは揚げたあと、数分休ませて内部まで熱を通してからやや薄めに切り分けられるので、熱くて火傷してしまうといった心配はない。




衣が肉から剥がれてしまうようなことはなく、衣と肉の一体感を楽しめる。肉はジューシーだが、両端はさすがにしっかり火が通っていて、SPFならではのレア感が味わえるのは中央の5、6切れだけである。中央の部位は確かにジューシーだが、それはレア状態なので当たり前。問題は、この肉汁に旨味がほとんど感じられないことで、単に水っぽいだけになっている。通常こういう肉を使うときは下味をつけるものだが、この店では下味はほとんどつけていないようだ。結果として味が足りなくなるので、塩や、いつもは使わないソースを使わざるを得なくなる。とんかつ屋の評価方法で一番簡単なのは、素のままでも美味しく食べることができるかどうかなのだが、この店のとんかつは無理。が、ソースはソースでキャベツには良いのだが、とんかつにはちょっと甘すぎる感じで、結果として三種類用意されている塩で食べることになる。個人的には、ブラックタイプは美味しくなく、他の二種類をおすすめしたい。

ちなみに、SPFとは養豚の方法。豚肉に特徴的な感染菌に対して無菌状態で飼育するため、食中毒の原因菌に汚染される可能性が低い。とはいえ、流通段階で肝炎ウイルスに感染する可能性も残されており、全く熱を通さずに食べるのは危険が伴う。手間ひまかけて飼育するせいもあってか、SPF豚は隠し包丁をしっかりいれなくても柔らかい肉になる傾向が強いと言われている。この店の肉も柔らかさは十分だった。

トータルで見ると、味は2,100円なら標準以上かも知れない。いつも和光のとんかつを食べているような層なら満足できる可能性が高い。しかし、「丸五」や「すぎ田」といった、この店の近所にある名店で食べ慣れている層には恐らく物足りないはずだ。もちろん、それらの店の値段は、この店の値段よりも高いのだが。

また、店主の所作が乱暴・がさつで、とにかく店の中でバタン、ガチャンというやかましい音が絶えない。隣りに座った客は待っている間中貧乏揺すりをしていて、食べ始めたと思ったら今度は口をあけてくちゃくちゃと大きな音を立てながら食べている。要は、そういう客層が集まる、そういう店なんだろう。とんかつに「粋」を求める層が行く店ではない。

店名 丸山吉平
TEL 03-5829-8290
住所 東京都台東区浅草橋5-20-8 CSタワー107 1F
営業時間 11:00〜
定休日 不定休


追記:とんかつ本、発売中です。
  

2014年04月16日

とんかつ山本

京都にも美味いとんかつ屋があるかも知れない、ということで、調べてみたら評価が高い店があったので、訪問してみた。さぞかし混雑していることだろうとびくびくしていたのだが、入店してみるとガラガラ。客は誰もいない。

席についてメニューを見ると、昼はサービスメニューのみである。しかも、一番高いのはへれかつ定食1,900円である。ひれかつ定食で2,000円以下の店で美味しい店はほとんど皆無なので「しまった」と思ったのだが、後の祭りである。清水の舞台から飛び降りるつもりで、へれかつ定食を注文した。

小鉢と香の物が先に出てきて、かつが揚がるのを待つこと、約10分。







ぱっと見て、すでに衣が乱れていてがっかり。とんかつ本を執筆する程度にはとんかつを食べまくっている私の経験に照らせば、こうやって衣が乱れているとんかつが美味かったためしがない。とはいえ、見た目で判断するわけにもいかないし、「主を呼べ!」と言おうにも、主は目の前に立っている。まずは一切れ、口に運んでみた。




肉はなかなかジューシーで柔らかいのだが、旨味は今一歩。下味はあまり感じられないので、肉が持つ旨味が勝負なのだが、これが希薄なので、どうしても辛子やソースに頼らざるを得なくなる。隠し包丁で筋を切ってあるので硬さは感じない。衣はやや細かめ。揚げている温度がやや高めのようで硬い。そのせいもあって、肉から剥がれがちなのも少々残念なところ。

豚汁はデフォルトで山椒を効かせたもの。悪くないが、いささか味が濃すぎる。これでは旨味の少ないカツとのバランスが取れない。




ご飯は硬め。個人的にはもうちょっと柔らかく炊いたのが好みだが、これで悪いわけではない。




キャベツはざく切りにしてあるのが珍しかったが、これまた、かつとのバランスはイマイチだった。必ずしも千切りにする必要はないと思うが、じゃぁこれが良いのかと言われると、正直微妙である。

同行者がろーすかつ定食を注文したので、一切れ食べさせてもらったけれど、こちらも旨味は不足気味。




夜の定食はそれぞれ1,000円ずつぐらい高いようなので、夜の肉の方が美味しいのかも知れないが、衣の乱れ具合から推測すれば、あまり期待はできない。

2,000円弱のとんかつとしては標準レベルだと思うが、京都まで来て、貴重な一食をこのとんかつに費やす気にはならない。食べ終わるまでのあいだ、結局他のお客さんは誰も来なかった。

店名 とんかつ山本
TEL 075-231-4495
住所 京都府京都市中京区新烏丸通二条上ル
営業時間 11:30 〜 13:30 17:00 〜 22:00
定休日 日曜日  

2014年04月01日

豚組 再訪

今月中にKindle版を出版予定のとんかつ本も最後の詰めの段階である。昔食べたお店を再訪して現在のレベルを確認しているフェイズなのだが、今日は10年近く前に訪問してあまり良い印象を持たなかった「豚組」に行ってみた。

以前の評価:豚組
http://buu.blog.jp/archives/50062491.html

この店、何が気に入らないって、味云々以前に、まずとんかつとしては異例とも言える価格設定が嫌いなのだ。豚は完全に管理された家畜なので、肉の質と価格はほぼ完全に比例する。高い肉は美味しいし、安い肉はそれなりだ。もちろん高いくせにまずい店もありうるのだが、市場が機能していれば、そういう店は自然に淘汰される。だから、2,000円以下のとんかつが美味しい可能性は非常に低いし、逆に3,000円も出せば、それなりのレベルのとんかつを食べることができる。淘汰されない例外は大規模チェーン店で、廉価版で稼いでおいて、味のわからない金持ちからぼったくるような店だ。

この店は、以前訪問したときには5,000円程度もするとんかつを出していた。この価格は、当時も、今も、とんかつの価格としてはハイエンドといえる。加えて、オーナーのネット利用手法が気に入らない。ラーメンで言えば「武蔵」の山田氏のような感じのいけすかなさがある。とはいえ、ずっと昔に食べたきり確認もせずに評価するのはフェアではない。本にこの店を掲載するか否かに関わらず、食べないわけにはいかないので、ちょこっと食べに行ってきた。ちなみにオーナーの中村氏からは「銘柄豚よりもむしろ普通のメニューを試して欲しい」と言われていたのだが、もちろんそんなオーダーは無視して、一番高かった梅山豚のヒレを食べてみた。

まず、ミニトマトのマリネ。




普通なら漬物が出てくるタイミングで、軽く一皿。次にご飯、味噌汁、キャベツ、漬物など。













以前はこのタイミングで店員が頼みもしないのにしたり顔で「食べ方、わかりますか?」などと余計なことを言ってきたので「あんた、馬鹿ぁ?」などと思ったものだが、今回は「下味はしっかりついていますので、そのままでも美味しく召し上がれます。塩は肉の表面に少量振ってください」ぐらいのコメントで、それほど嫌味ではなかった。もちろん、余計なお世話なのは変わりないのだが。このあたりが「俺達のとんかつは普通じゃないんだぜ」という気配を感じさせる。やるなら、相手の顔を見てやれ、と言いたくなる。

#余談だが、先日褒めた神保町の「蘭奢待」は、客が左利きだとわかった時点で、全て左利き用のサービスに変更する。こういう気配りこそが一流どころであって、この店のサービスはそのレベルにない。




そして、ワンテンポ遅れて、網の上にのせられたかつの登場である。




衣はやや粗めで、しっかりしている。針が尖っているように感じられ、食べ終わる頃には口の中が荒れたように感じるほどだ。揚げている温度は標準程度だと思うのだが、火の通りは最低限なので、揚げている時間はやや短めなのではないか。肉の中心部は赤味が残る程度でジューシー。そして、この肉汁が非常に美味しい。これは肉の質の高さゆえであろう。肉本来が持つ旨味と適度な下味で、ソースや塩は一切不要である。辛子だけは風味が広がるので、好みで利用すると良いと思う。今回は半分をそのままで、残りを辛子で食べた。以前は「これだけ出して、このレベルかぁ」と思ったものだが、それも一昔前。今のレベルなら3,800円でも文句はない。

ご飯はやや硬めの炊き上がりで、水気が不足気味。個人的には好みではないが、食べた時間が12:45頃とちょっと遅めだった影響があったかもしれない。

シジミの赤だしは美味しい。キャベツはちょっと繊細すぎる印象。漬物は特にコメントする必要がないレベルだと思う。

以前と比較すると、味の印象は格段に良くなった。一方で、価格は1,000円ぐらい安くなっているのではないか。コストパフォーマンスが良いとまでは言えないが、不当に悪いとも思えず、このレベルなら一年に数回くらいは来ても良いかな、と思う。

同行者が注文した「なっとく豚」(2,600円)のヒレを一切れ食べさせてもらったが、こちらは肉の旨味にやや欠ける印象だった。やはり、肉の質は価格なりである。美味いとんかつを食べたいなら、店で一番高いメニューを注文するに限るという思いを強くした。




店名 豚組 (ぶたぐみ)
TEL 03-5466-6775
住所 東京都港区西麻布2-24-9
営業時間 ランチ 11:30〜15:00(L.O14:00) ディナー 18:00〜23:00(L.O22:00)
定休日 月曜日  

2014年03月08日

鹿島槍スキー場 Red Cedar

鹿島槍スキー場で昼ごはん。センターハウス2階にあるRed Cedarという店でネギかつ丼(だったかな?)を食べてみた。




カツの専門店とは比較にならないけれど、ゲレ食で食べるカツ丼としては良質。これならまた食べようかな、と思うレベル。ただ、個人的には、レタスは不要だと思う。ちなみにこのスキー場のオーナー会社はスキー部後輩で、ゲレ食の料理長はそば打ち会でお世話になっている方。レビューを書くにあたって特に配慮したことはないけれど、念のため書き添えておきます。

店名 RED CEDAR (レッドシーダー)
TEL 0261-23-1231
住所 長野県大町市平鹿島槍黒沢高原
営業時間 サンアルピナ鹿島槍スキー場に準じる(冬のみの営業)  

2014年02月26日

ポンチ軒

昨日、15時閉店ということなので14時に行ったら、完売で閉店済み。マジかよ、と思って今日は開店時間の11:15に行ったら、今度は目当てのメニューが13時から。客商売としてどうなのよ、と思わないでもないのだが、この辺りの店は、トンカツを食べるだけの目的で郊外から一時間かけて出かけてくるような客は想定していないのかも知れない。

食べたかった特ヒレ一本揚げも、厚切りロースも食べることができなかったのだが、一般のランチメニューだけしか食べることができないなら出直そうとしていたら、「メニューには1時からと書いてあるけれど特ヒレと特ロースなら作れる」とのこと。要は、揚げるのに時間がかかるメニューはランチタイムに注文されると迷惑、ということのようだ。何はともあれ、かろうじて特ヒレを食べられることになった。

ようやくありつけた特ヒレだが、衣の細かさはやや粗め。パリッとした食感はナイスだが、やや硬すぎる気もする。肉はそこそこにジューシーなのだが、素のままで食べるにはちょっと旨味が足りない。それなら、ということで辛子、ソース、塩、柚子胡椒と色々試してみたのだが、旨味が足りないのは、調味料ではカバーしきれない。2000円を越える価格でこの肉質だと、少々残念な感じである。




ご飯や豚汁、漬物と、どれもこれも、高級とんかつ店のそれと比較すると見劣りがする。しかし、主力商品は1,000円そこそこの定食メニューなので、とんかつ以外のところで高級店と比較しても、勝負になるはずもない。










同行者が注文した特ロースを一口食べさせてもらったが、肉に旨味が足りないのはロースもヒレも同じだった。この店の場合は、どちらかと言えばヒレよりはロースの方が質が高いと思う。




気合いを入れて美味しいトンカツを食べたいという人には、丸五なり、すぎ田なり、他にもっとずっとレベルの高い店が近所にあるので、そちらに行くことをお勧めする。夜のみ提供と思われる特ヒレ一本揚げを食べてみたい気もするのだが、宿題になっている店も少なくないので、次がいつになるかは不明である。

店名 ポンチ軒
TEL -3293-2110
住所 東京都千代田区神田小川町2-8 扇ビル 1F
営業時間 11:15〜15:00(L.O.14:30) 17:30〜22:30(L.O.21:30)
定休日 日曜日  

2014年02月09日

敦賀ヨーロッパ軒

1,000円以下のとんかつは滅多に食べないし、カツ丼も同様に食べることがないのだけれど、敦賀ではヨーロッパ軒のソースカツ丼が一番有名な食べ物らしいので、食べてみた。




カツはかなり薄めの豚肉。衣は細かめのパン粉で薄いタイプ。ソースカツ丼ということで、衣の食感は完全に失われている。味付けはそれほど濃くなくて、むしろ味が足りなく感じる。肉の味がしっかりしていれば問題ないのかも知れないが、ソースで味付けされたカツに対抗できる肉を使ったら、さすがに1,000円以下の価格設定は不可能だろう。

つまりは、価格なりの味ということ。経験値をアップさせる意味で食べてみるのは悪くないと思うけれど、カツ丼の一種類として食べてみることは決しておすすめできない。というか、上野や淡路町あたりで提供されているとんかつやカツ丼とは全く別の食べ物なので、同じ土俵で美味しい、美味しくないを論じるのは無意味だろう。話の種にはなると思う。

店名 敦賀ヨーロッパ軒 本店
TEL 0770-22-1468
住所 福井県敦賀市相生町2-7
営業時間 11:00〜20:00
定休日 月曜、第2・3火曜(祝日の場合は営業)  

2014年01月14日

蓬莱屋

大正初期の屋台をルーツにして、昭和初期に現在の場所に店を構えた老舗。戦争で一度リセットがかかったようだが、今の建物は戦後すぐに建てられたそうだ。とんかつ界ではヒレかつのルーツと言われていて、今もヒレ肉のみの扱いである。




メニューはひれかつのみ。揚げてから切るひれかつと、切ってから揚げる一口カツの2種類が主力。







肉は厚みがあって、ジューシー。また、下処理がきちんとしているので、ソースは不要なくらいに下味が付いていて、スジ切りも完璧である。肉そのものの品質もかなり高く、おかげで、柔らかくて美味しい豚肉を満喫できる。

衣はかなり細かめでしっかりしたタイプ。揚げ油はラードとヘットのブレンドで、先に高温で1分ほど揚げて旨味を閉じ込め、そのあと低温で10分程度じっくり火を通している。このあたりは先代の技をきちんと踏襲している様子である。薄めで硬めの衣が剥がれてしまうことはなく、肉との一体感は最後まで失われない。

ソースと3種類の塩が用意されているが、どれを使っても、あるいは何も使わなくても、きちんととんかつを楽しめる。また、辛子も美味しい。







ご飯、漬物、キャベツは標準的だが、味噌汁はかなり見劣りがする。










以前は純和風な店だったが、今は中国語などの外国語が飛び交う多国籍な感じの店になった。後継不足で代替わりに失敗する老舗とんかつ屋が多い中、この店は外人に暖簾を引き継ぐことによって、その味を残すことに成功したのだろう。ともすると「外人の揚げるとんかつなんて」と偏見を持ってしまいそうだが、先入観抜きにして食べれば、多くの名店から大きく見劣りすることはない。むしろ、誠実に調理にあたっているようで、今後もさらなる成長が期待できそうだ。




店名 蓬莱屋 (ほうらいや)
TEL 03-3831-5783
住所 東京都台東区上野3-28-5
営業時間 [月〜金]11:30〜14:00(L.O13:30) 17:00〜20:00(L.O19:30) [土・日・祝]11:30〜14:30(L.O14:00) 17:00〜20:00(L.O19:30)
定休日 水曜日(祝日の場合には、翌木曜日が定休日)  

2013年12月19日

丸五

とんかつを評価する上で最初に食べておきたい一軒である。店主の竹内さんは水道橋の名店「かつ吉」で修行し、後に独立してこの店を構えた。

主力メニューは特ヒレ、特ロース、ヒレ定食、ロース定食というラインナップ。なぜか「特」メニューには定食がなく、セットを追加注文するスタイルになっている。ここで頼むべきはもちろん「特」付きである。とんかつ屋でおいしいとんかつを食べようと思ったら、一番高いものをい注文しなくては駄目だ。これが鰻屋と違うところである。今回食べたのは特ヒレである。

カツは比較的低温で揚げている店だが、それは分厚い豚肉にきちんと熱を通すのが目的である。これを高温の油で揚げてしまうと、表面だけに火が通ってしまいよろしくない。したがって、一層分厚い「特」付きメニューはレギュラーに比較しても念入りにじっくり揚げている様子である。




平田牧場の三元豚を使った肉は、質が良くジューシーで、かつ腕の良い職人が、肉が本来持っている旨味を上手に引き出している。肉には下味がしっかりつけてあって、ソースはもちろん、塩さえも不要である。ただ柔らかいのではなく、しっかりとした歯ごたえがあり、しかし固かったり、歯切れが悪かったりはしない。この食感は素晴らしいの一言である。そして、噛むことによって染み出てくる肉汁の美味しいこと。

安いとんかつ屋はもちろん、2000円以上のお金を取る高級とんかつ屋であっても肉の味が全く感じられないカツを食べさせる店があるけれど、そういった店が営業を続けられるのは、食べる側が味のない肉に何の疑問も持たないからである。客の側からもとんかつに対する要求水準をアップさせるべきで、そのためにはこの店のカツを食べてみて欲しい。良いとんかつを食べるという経験を積むには、うってつけの店である。

カツはかなり大ぶりに切られているが、下処理が念入りにされているようで、一切れが大きくても噛みきれないということはない。

衣はやや細かめでしっかりしたタイプだが、肉との一体感がある。ただ、食べ進むに連れて浸み出した肉汁や油で衣がべちゃべちゃになるのはちょっと惜しい。

付け合わせにはキャベツだけではなくレタスやトマトが添えられていて、なかなか豪勢である。ただ、個人的にはキャベツだけでも満足。

ご飯と味噌汁は美味しい。ご飯が美味しかったのは開店直後だったからかも知れない。味噌汁は非常によくだしが取れていて、味の濃いおかずに良く合う。







なお、漬物だけは標準的である。




店名 丸五 (まるご)
TEL 03-3255-6595
住所 東京都千代田区外神田1-8-14
営業時間 11:30〜15:00 17:00〜20:20
定休日 月曜日及び第3火曜日  

2013年12月17日

やまいち

私が一番数多く通ったとんかつ屋は、恐らく「勝漫」である。会社に入ってまもなくのとき、会社の先輩に、「少し歩いたところに美味しいとんかつ屋がある」と連れて行ってもらったのが「勝漫」だった。それまで、私の中でとんかつ屋と言えば、大学から電車で一本で通うことができた、目黒の「とんき」だったのだが、「勝漫」のとんかつを食べてみて、あまりにも繊細で上質なとんかつにびっくりした。「とんき」がダメというわけではないけれど、なるほど、一口にとんかつと言っても、色々なんだな、と気が付いた瞬間だった。当時はまだ駆け出しのラーメン評論家で、とんかつよりラーメンを食べる頻度が多かったのだが、ラーメンの合間を縫ってとんかつを食べるようになったきっかけの店である。これが、90年代前半の頃である。以後、「勝漫」には幾度となく通った。厨房からときどき鋭い視線を投げかける職人さんも、ときどき目元だけで「また来たな」と語っているように見えてくるようになった。

さて、その勝漫が転機を迎えたのが2007年だ。それまで長い間厨房を仕切っていた松井孝仁氏が店を抜けてしまったのである。このあたりの事情は良くわからないのだが、それからほどなくして、松井氏は勝漫のすぐそばに新しいお店をオープンした。それが、この「やまいち」である。長い間厨房を仕切っていた職人が、わざわざ元の店の目と鼻の先に新店を構えるというのだから、背後にはのっぴきならない事情があったのだろう。開店当時の私のレビューはこんな感じである。

いつもどおりに特ヒレを注文。値段は2100円で、勝漫より200円ほど安い。何で食べようかな、と思ってテーブルをチェックしてみたら、柚子胡椒が置いてある。とんかつを柚子胡椒で食べたことはないのだけれど、ちょっと面白いかな、と思ってこれで食べてみることに。

肉は勝漫のときとほぼ同じ印象。厚さ、やわらかさ、ジューシーさ、火の入り具合など、ほとんどの点で満足。衣も薄すぎず厚すぎず、それなりに粗さがあって食感が良い。ちょっと油の温度が高めなのか、勝漫時代よりもやや香ばしい感じがあり、またパン粉が固めの印象もあるのだが、特に気になるほどのものでもない。柚子胡椒で食べてみるとごま油の風味とマッチして、なかなか美味しい。せっかく衣がぱりぱりしているので、ソースをかけるのはもったいない。塩でも一切れ食べてみたのだけれど、どうも柚子胡椒の味が気に入ってしまい、残りは全部柚子胡椒で食べてしまった。

キャベツも普通に美味しいし、ご飯、味噌汁も美味しい。ご飯は勝漫に比較するとやや硬めに炊かれていて、僕は実はもうちょっとやわらかめ、つまりは勝漫タイプの方が好きだったりするのだけれど、これは丼で使うことを考えてのことかもしれない。量はたっぷりすぎるくらいである。


一方で松井氏が抜けた「勝漫」は何度も職人が変わり、そのたびに味がぐらついてしまう迷走が続いていた。良い時もあれば悪い時もあり、しかし、良い時でも松井時代の味を取り戻すには至らない、という状態だった。淡路町のとんかつ勢力図は、以前の勝漫一人勝ちから、やまいち>勝漫へと塗り替えられてしまった。

ところが、まさに諸行無常。再び淡路町のとんかつ勢力図が動き出す。そのきっかけは、やまいちの店主松井氏の逝去である。大変残念なことに、2013年5月に食道がんで亡くなられてしまった。長期の休業の後、今は昼だけの短縮営業を再開したところだ。厨房には松井氏の奥さんが入られているそうである。メニューからは特ヒレ、特ロース、かつ丼などが消えて、ヒレかつ定食、ロースかつ定食だけになっている。

さて、その新生やまいちで、ヒレかつ定食を食べてみた。




かつを一口食べてみて、「あぁ・・・」という気持ちになった。味わう以前に、肉の下処理が甘いのである。肉の筋がきちんと切られていないので、肉が噛み切れない。折角良い肉なのに、その良さを引き出せないでいる。揚げ具合も模索中のようで、衣には十分に火が通っていない。これがわざとならそれはそれで一つの見識なのだが、隣の席に座ったお客さんの衣を観察してみたところ、そちらはきちんと火が通っていた。また、油のキレ具合も甘かった。肉の質そのものは非常に良く、満足がいくものだったので、完全に技術的な問題である。こうした問題点をお店の方でもわかっているからこそ、特ヒレや特ロースといった上位メニューや調理が難しいかつ丼の提供をストップしているのだろう。

漬物は標準的、ご飯と味噌汁はなかなか美味しかった。










同行者にロースかつを一口食べさせてもらったのだが、こちらもちょっと油のキレ具合が悪く感じた。




残念ながら、かつてのやまいちの味は、失われてしまった。すぐそばの、勝漫の味を上回るのにもそれなりの時間がかかりそうである。とはいえ、お店のサイドでも問題点には気付いているのだから、やまいちは必ず復活すると思う。これまで長い間故松井氏のとんかつに楽しませていただいたのだから、先代の味がよみがえるその時まで、微力ながらこの店の応援を続けたいと思う。




店名 とんかつ やまいち
TEL 03-3253-3335
住所 東京都千代田区神田須田町1-8-4 玉井ビル1F
営業時間 [月〜金]11:00〜14:20(LO) [土]11:00〜14:00
定休日 日曜日祝日  

2013年11月25日

勝漫

神田秋葉原御徒町には名店が多いが、勝漫もその一つ。創業昭和52年(1977年)はこの辺りのとんかつ屋としては新しい。1990年代前半には「日本一」と賞賛する人もいるほどの有名店になった。

2007年に厨房を仕切っていた松井孝仁氏が独立し、以後、何度も職人が変わり、その間、かなり味を落としていた時期もあったのだが、2013年11月の時点ではかなり頑張っている印象。しかし、絶好調時の輝きを取り戻すまでには至っていない感がある。

店は以前よりも1.5倍程度広くなった。壁には各種メニューの張り紙があって、あたかも神田の安い居酒屋のようである。もはや、老舗の風情はなくなってしまった。接客も、ファストフードの「ポテトはいかがですか」のように皿に盛った椎茸を勧めにくるあたり、ちょっと高級感に欠ける。しかし、頻繁にお茶の減り具合をチェックしたり、熱心にお客への接待に努めている様子には、悪い気はしない。

ヒレカツはやや高温でしっかり揚げられており、ロースはそれに比較するとややマイルドな感じ。ヒレ肉はジューシーさを閉じ込めていて、肉汁の旨味が楽しめる。ただ、肉自体の旨味はもう一息。衣はやや粗めで、サクサク感が良い。これにソースをかけてしまうのは野暮というもの。素のままか、少量の塩、辛子で楽しみたい。だからこそ、一層肉そのものの旨味が足りない点が惜しまれる。食べ進むうちに衣が湿ってきて、肉から剥がれ気味になってしまったのもちょっと惜しい。

ご飯はやや柔らかめで、個人的には好みだが、もっと硬めの方が一般受けはするかもしれない。味噌汁は標準的。漬物は山葵やゴーヤがあってちょっと面白かった。

揚げ方がコロコロ変わってしまうようだと今後の味はどうなるかわからないのだが、少なくとも今のところはかなり良い味だと思う。