2017年03月18日

不信 〜彼女が嘘をつく理由

自分でも理由は良く分からないんだけれど、僕は三谷幸喜の脚本・演出とは相性が悪い。そういう作家は何人もいて、鴻上尚史ならあまりにも上から目線の脚本と、何を言っているか分からないアンサンブルが嫌いだし、スーパーエキセントリックシアターなら最後の30分で説教臭くなるのが苦手だし、ファンのファンによるファンのためのお子様ランチ的なキャラメルボックスも好きではない。ちなみにケラは別に嫌いではないのだが、どこが良いのかも良くわからない。三谷幸喜は、面白いところもあると思うのだが、どうも波長が合わない気がする。具体的には、例えば役者との仲良しクラブ的なところが嫌いなのだが、それ以外にも、何かあるに違いない。わからないけど。ともかく、僕にとって三谷作品の打率が低いのは間違いなくて、それは芝居でも、ドラマでも、映画でも同じだ。ギャラクシー街道なんて、年間最悪の一本だった。ただ、役者がどんどん消費されても何の問題もない真田丸は、ある程度楽しめたのだが。

でも、所属事務所が同じということもあってか、遊眠社時代から大好きな段田安則さんと三谷幸喜は手を組むことが多く、必然的に三谷・段田コンビの作品を鑑賞する頻度が高くなる。今日も、そんな理由で三谷作品を観ることになった。




しかし、結論から言えば、本作は予想に反して、なかなか面白かった。三谷幸喜が嫌いと公言して憚らない僕が言っているのだから、作品の質は高いのだろう。「それはあり得ない」という不自然な展開は数箇所あったのだが、それらを除けば、ほとんどの場面で違和感がなかったし、時々見せるブラックなユーモアも良かった。ラストの仕上げも良かった。

弱点は二つで、一つはネタバレ直結なのでここでは書けないが、突拍子もない展開に理由付けがなかったこと。登場人物の突拍子もない行動には、それが必然と感じられるような伏線なり、演出なり、展開なりが必要で、それがないと違和感が強く残ってしまう。もう一つは、演出上のポイントになっているはずの、舞台に常時設置されている6個の椅子が、全くと言って良いくらいに役に立っていなかったことである。道具にこだわって色々と多面的な見せ方をするのは野田地図結成以降の野田秀樹の十八番だが、それを見慣れていると、うーーーーん、と感じてしまう。

あちらこちらに配置したいくつかの伏線を、堂々と登場人物の台詞で回収して行くあたりは好みが分かれるところだろう。僕だと、普段なら「そんなネタバラシをやっちゃうなんて、観る側に失礼だろ。言われなくてもわかっているから!」と思ってしまうところだが、本作ではついつい「あ、なるほど、そういうことですか」と感じてしまった。

役者たちは、みんな上手に動いていた。特に、段田さんは、そこには存在しない「臭い」を見事に表現していて、花粉症で鼻が詰まっていても、あれ?なんか、臭い?という気分になってきた。これによって観客たちは一気に舞台に引き込まれたと思う。

真ん中に舞台、両サイドに観客席という農業少女タイプの舞台設定だったので、あ、こっちからは見え難いな、という場面はいくつもあったのだが、その度に役者が回り込んで反対側にも見せてみたり、演出上の細かい配慮があった。また、向こう側へ向けての声も、小さい箱ゆえ、きちんと届いていた。小さい箱で、4人という少人数のメリットを巧く活用していたと思う。

って、結構褒めてるな。三谷幸喜が嫌いだったんじゃないのか?僕は。

ともあれ、日本に来て最初に観た野田地図の「『足跡姫』〜時代錯誤冬幽霊〜」が全く乗り切れなかったので、向こうに戻る前に楽しめる芝居を観ることができて良かった。

内容は大人向けだったので、若い人には理解できないところもあるかも知れない。40代ぐらいから楽しめそう。4月30日まで、池袋芸術劇場シアターイースト。  

Posted by buu2 at 17:30Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2017年02月27日

NODA・MAP『足跡姫』〜時代錯誤冬幽霊〜

野田地図の足跡姫を観てきた。




この舞台、野田秀樹自身の紹介の二行目に「作品は、中村勘三郎へのオマージュです」と書かれるぐらいに個人的(野田秀樹からも、中村勘三郎からも)な作品だったため、どのくらい入り込めるのか、かなり心配だった。結論から言えば、その心配は現実になった。

僕のような、歌舞伎をほとんど観たことがないし、勘三郎の舞台も数本しか観たことがない(全て野田秀樹関連である)といった人間には、ハードルが高すぎた。たとえていうなら、知らない人のお葬式で、良く知っている人たちが悲しみにくれているような感覚。悲しいのは良くわかるけれど、その輪に入って行くことができない、共感できない状態。彼らの悲しみが大きければ大きいほど、僕の疎外感は大きくなる。輪の中に入ることができず、実際の物理的距離以上に、舞台と自分の間に距離を感じてしまった。

きっと、歌舞伎や勘三郎について良く知っているなら、楽しめる(悲しめる)舞台だったんだろう。肉体を使った芸術ゆえ、舞台に観客として参加していなければ理解できないし、肉体が消えてしまえば再現のしようがない。その悲しさは、追悼という形ではなく、舞台を楽しめないという形で僕の中に現れた。もう、こればかりはどうしようもない。野田秀樹が、宮沢りえが、そして、勘三郎と野田秀樹のファンが、勘三郎を悼んでいるのを傍観するより他になかった。

死んでしまってから偉大さを再認識した人として、僕の場合は勘三郎の他に清志郎がいるのだが、清志郎の場合はライブに行くことはできなくても、CDで日常的に彼の遺したものに触れることができる。歌舞伎や演劇も音楽と同じといえば同じで、ビデオで映像作品を見ることができるのだが、僕の中ではライブからCDへの劣化具合よりも、舞台からビデオへの劣化具合の方が大きくて、なかなかライブ感が再現できない。これは、もしかしたら映像に関連するモニターと音響のせいかもしれず、シネ歌舞伎などに触れたり、あるいは自宅のホーム・シアターを整備していけば、勘三郎の舞台を再確認することができるかもしれず、その時は映像化されたこの芝居も、楽しめるのかもしれない。

野田秀樹の演劇は、遊眠社の時代から難解で、観る人を選ぶ性格の芝居だった。でも、これまでの芝居は、わからないなりに楽しめる何かがあって、それが次へとつながり、少しずつ舞台との距離を縮めて行く性質のものだった。しかし、今回の舞台は違う。観る人を、共感できる人と、できない人に分断していた。その間の壁は、高く、分厚かった。それが良いのか、悪いのかはともかく。

僕は、つんぼ桟敷に置かれていた。  
Posted by buu2 at 22:30Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2016年11月21日

中島みゆき『夜会』VOL.19 「橋の下のアルカディア」

このブログの読者ならわかると思うが、僕はかなりヘビーな中島みゆきファンである。中学生時代からオールナイトニッポンを愛聴し、ハガキが読まれたこともある。高校生からはほとんど全てのコンサートに行き、前回のツアーも調布、大阪、東京と三回観ていた。その前のツアーでもほぼ同様である。また、夜会も第一回から欠かさず観ていた。ただ、それは過去形で、赤坂に移ってからは観劇の頻度が下がっていた。この「橋の下のアルカディア」は再演だが、初演も観ていない。なぜこれほどまでのみゆきファンであるにも関わらず、夜会については熱心ではないのか。答えは簡単で、つまらないからである。

中島みゆきの実験劇場として始まった夜会は、当初、中島みゆきの持ち歌で構成されていた。コンサートに演劇の要素を加えた舞台という位置付けだった。ところが、そこは実験の場である。徐々に、質が変わっていった。変化を説明するのは簡単で、それまで持ち歌で構成されていた歌が、オリジナルになっていったのである。ここ数年は全曲オリジナルだ。

夜会とは、いうなれば、中島みゆきがひとりで歌い、演じる独壇オペラである。ここにそもそもの無理がある。数名の追加キャストは存在するものの、彼らはあくまでもオマケである。ほぼ一人芝居なので、話に膨らみがない。加えて、初めて聞く曲なので、歌詞がわからなかったりする。構造的にエンタメとして難しい上に、形式的にも難しいのだ。そのせいで、僕の場合、まず間違いなく、夜会では眠くなった。そんな退屈な歌劇なのに、チケット代は20000円と、コンサートなら2回観てもお釣りがくる価格である。僕は「ファンだからなんでもかんでも受け入れる」というタイプの人間ではないので、これはお金を出すのはもったいない。あとで映画館で上映されるなら、それを観れば良いや」と考えて、劇場へは足を運ばないようになっていた。

しかし、今年からはちょっと状況が変わってしまった。僕が米国在住となったため、映画館でフィルム上映していても、観に行くことができなくなった。そこで仕方なしに、赤坂サカスまで出かけざるを得なくなったのである。

チケットはチケットキャンプなどで大量に定価以下で供給されていたのだが、当日券もあるようなので、こちらを利用することにした。当日の朝、10時からチケットぴあでネット販売されるのである。ここで引換券を購入し、開演の一時間前に劇場窓口に並べば良い。ここでちょっと不安になったのが、どういうやり方でチケットを配布するのかだった。早い者勝ちなのか、抽選なのか。そこでプロモーターに電話して確認すると、チケットは完全に抽選で、早く行って並んでも効果はないとのことだった。それなら、19時に赤坂に行けば良いので、楽である。









さて、夜になったので赤坂に向かうと、僕は当日引換券を持つ人間の中では3番目だった。順番に引き換えたのだが、どうも、座席は事前に決まっている感じだった。注目の座席はH列34番。今回の舞台は前から3列を使わないので、実質5列目。ちょっとサイド寄りだが、かなりの良席である。当日券でこんな良い席が確保できるなら、チケットキャンプを利用する意味はない。






ということで、かなり良い席で夜会を観ることになったのだが、やっぱり今回も眠くなった。何しろ解釈に自由度がありすぎる。また、聞き取りにくいという問題に対応するためか、歌詞が平易な言葉中心になっていて、言葉に深みがなくなっている。ストレートな歌詞で曖昧に表現する、という、非常にハードルの高い実験になっていた。そして、それはものすごく好意的に考えないと楽しめない質のものになっていたと思う。正直、僕は楽しめなかった。

次にやるときは記念すべき第20回である。だから、ここでやめるわけにもいかないだろう。ただ、それが面白い舞台になる可能性は低いと言わざるを得ない。僕が観に行くかどうかはかなり微妙である。  
Posted by buu2 at 00:30Comments(2)演劇

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2016年11月09日

かもめ

チェーホフ作の「かもめ」を満島ひかり主演でやっていたので、東京芸術劇場に行ってきた。海外在住のため良いチケットは当然のように入手困難で、6000円で販売されていた見切れ席で鑑賞したのだが、やっぱり席が悪いと全く楽しめない。芸術家の人生を1900年ぐらいのロシアを舞台に描いていて、登場人物たちの細かい心理描写が肝なのに、それが二階席ではちっとも感じることができなかった。ちょっと、箱が大きすぎるのではないか。

3000円でも高かったかな、という印象。でも、客は入ってるんだよね。日本の演劇ファンって、寛容だよね。それは演劇に限らないけど。  
Posted by buu2 at 11:35Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2016年08月19日

JERSEY BOYS

クリント・イーストウッド監督の映画も観ていたので、ブロードウェイ版も観てみた。




チケットはScribdというアプリを使うと、前日の段階でほぼ半額で購入可能だった。ちょっと端っこだけど、大きな問題はない。




キャストはオリジナルや映画版とは変わっていたけれど、そこはブロードウェイ、役者のレベルが大きく落ちてしまうことはない。ただ、脇役二人の顔を見分けるのが難しかった。彼らが活躍していた時代は、クスリ、マフィア、酒、女、借金と、ネタに事欠かない時代だったので、2時間半が全く退屈しない、上質のエンターテイメントになっていた。

英語は良くわからなかったけれど、映画版でストーリーを知っていたので、あ、辞めちゃったんだな、あ、離婚したんだな、あ、娘が・・・という流れはちゃんとわかった。

次にNYに来る時も、何か観てみたい。  
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2016年03月17日

NODA・MAP 第20回公演『逆鱗』(二回目)

NODA・MAP 第20回公演『逆鱗』の二回目の鑑賞である。一度目よりもちょっと後方の座席だったのだが、観終わっての印象は一回目と比較すると随分と違ったものだった。

一回目の感想はこちら
http://buu.blog.jp/archives/51516977.html

一回目の印象を一言で表すなら、「前半と後半の乖離が大きかった」というものになる。ところが、二回目を観てみたら、そういう印象は希薄になっていた。いきなり、冒頭のシーンから、すでに後半とシンクロしていた。この場面を、僕は一回目の鑑賞の時には、観終わった時点ですっかり忘れていた。何しろ、上演中の情報量が多すぎるので、印象的な部分以外が記憶の外に追いやられてしまっていた。二回目を観て、あれ?こんな場面って、あったっけ?と疑問に思うことが何度もあった。特に、導入の最初の場面。その場面は、後半の展開で非常に重要な役割を果たしているのだけれど、直後に無関係で脳天気な場面が展開されてしまうため、意味不明なままに終了した無意味な場面として切り捨てられてしまったらしい。でも、二回目は、その後の展開がわかっているので、「なるほど」という感じに受け取ることができた。

これは非常に典型的なのだが、要は、たった一度の鑑賞では、到底把握しきれない情報量だったということだと思う。少なくとも、僕にとっては。

そして、二回目を観終わって、受ける印象はかなり良い方向に修正された。ただ、野田地図としては、キルやロープには及ばない気がする。それは、結局のところ、ラストシーンがどういう性格のものなのか、ということだと思う。とはいえ、ネタバレになるので、その点についても詳細に述べるのは、今の時点ではやめておく。個人的には、野田地図としてのベストではない。しかし、上位に入る芝居だったと思う。  
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2016年03月06日

お宝スキャンシリーズ「向井薫さんのサイン入り書籍・パンフレット」

大学時代からずーーっと応援していた女優さんが、夢の遊眠社の向井薫さん。その遊眠社の最高傑作が個人的には「贋作・桜の森の満開の下」なのだが、この作品は何度観たのか忘れてしまうくらいに通った。楽日も、日本青年館の当日券に朝から並んで、先頭だった。その甲斐があったのか、入手したチケットは最前列であった。

当然、芝居を満喫したのだけれど、当時の遊眠社の楽日はカーテンコールの最後に客席へプレゼントを配るのが恒例で、この芝居の楽日はひな祭り。そこで、客席にひなあられを配ったのである。最前列の端の方に座っていた僕に、なんと向井薫さんがサイン入りのひなあられをプレゼントしてくれた。世の中には、こういう偶然があるから面白い。

その後、遊眠社は解散してしまったのだが、向井さんは自転車キンクリートの芝居に客演したりで、時々彼女の演技を楽しむことができた。その後、向井さんは段田安則さんと結婚し、なんだかんだで露出が少なくなってしまった。そんなとき、共通の知人で祖師ヶ谷大蔵の「こましょう」の店主、小松さん(元遊眠社)が「飲み会セットしますよ〜」と気を利かせてくれて実現したのが新宿の「ざうお」での飲み会だった。僕は当然のように過去のパンフレットや書籍を持参して、サインをしてもらったのだが、これらはそのサイン入りグッズ。

野獣降臨の本
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贋作・桜の森の満開の下のパンフレット
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色々落書きまでしてくれて、ファンには涙モノのお宝である。

#ちなみに向井さんとは今でも年賀状のやりとりがあるのだが、引っ越しちゃうと、どうなるかなぁ。  
Posted by buu2 at 17:44Comments(0)TrackBack(0)コレクション

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2016年02月06日

NODA・MAP 第20回公演『逆鱗』

gekirin


まず、水中の魚たちの群泳を表現したアンサンブルがとにかく見事。これによって主要登場人物たちの登場、退場が実に効果的に演出されていた。巨大な水族館で一度でも小さな魚の群泳を見たことがあれば、「おお」と感心すると思う。

ダジャレ(野田秀樹を表現する際はなぜか言葉遊びと言われるのだが、普通に言えばダジャレ、オヤジギャグだと思う)は健在。「起」「承」をダジャレで引っ張り、途中で暗く真面目な話に転調するのがこのところ続いている野田テーストで、本作もその方程式で進む。暗転の方向は「人魚」からはおおよそ想像がつかない。え?こんな話になっちゃうの?というのが正直なところ。そのコントラストが鮮明なだけに、野田秀樹のメッセージが一層強烈になっている。忘れてはならないことがあるのだよ、と。ただ、その鮮明さと、後半のメッセージの深刻さゆえ、前半と後半がほとんど乖離してしまった印象がある。これはもしかしたら複数回鑑賞すると別の印象になるかも知れない。

役者では松たか子と阿部サダヲが非常に良かった。銀粉蝶や野田秀樹は平常運転で安心して観ていることができる。ちょっと見劣りがしたのは井上真央で、一杯一杯な感じ。余裕がなくて、観ていて別の意味で緊張してしまう。公演スタートから間もないこともあってか、セリフをかんだり、変なところで言葉を切ってしまうシーンが何度も見られたのだが、まぁ、芝居だから仕方ないだろう。

それにしても、最後の松たか子は素晴らしいの一言。あの声を聞かせるための2時間だった。

今回は6列目で観たのだが、ラストシーンは後ろの方から観た方が印象的なのではないだろうか?

3月にもう一度観る予定。

出演:松たか子 瑛太 井上真央 阿部サダヲ 池田成志 満島真之介 銀粉蝶 野田秀樹
東京公演 東京芸術劇場プレイハウス 2016年1月19日(金)〜3月13日(日)
大阪公演 シアターBRAVA! 2016年3月18日(金)〜3月27日(日)
北九州公演 北九州芸術劇場 大ホール 2016年3月31日(木)〜4月3日(日)  
Posted by buu2 at 19:41Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2015年10月20日

芸術祭十月大歌舞伎 壇浦兜軍記 阿古屋、 梅雨小袖昔八丈 髪結新三




玉三郎の阿古屋を観ることができるとあって、普段は上の方から観劇するのだが、今回は1階11列7番を確保。

壇浦兜軍記 阿古屋の玉三郎はさすが。胡弓を実際に弾いているところを観たのは初めてだったので、あんな感じで弾いて、あんな音がでるんだぁーと感心した。あと、脇役なんだけど、亀三郎の人形振りが凄く良くてユーモアたっぷりだった。

梅雨小袖昔八丈 髪結新三は阿古屋で集中しすぎてちょっと疲れていたので途中で寝ちゃうんじゃないかと心配だったのだけれど、長兵衛が出てきたあたりから一気に面白くなってきて、眠気との格闘は杞憂となった。

チラシを見ていてふと、男女不平等の典型例である歌舞伎が文化庁芸術祭に参加しているのって問題ないのかなぁ、と思ったのだが、女性には宝塚があるから良いのかな??  
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2015年10月17日

野田地図よ、お前もか

最近、この手の主催者側の不手際によるトラブルが多すぎて辟易気味なのだが、今回は野田地図である。

今日はNODA・MAP第20回公演 『逆鱗』会員限定のチケット先行予約日だった。朝の11時から予約受付だったのだが、前回公演の時はウェブ抽選予約が全部外れたので、今回は確実に確保できる電話予約でチケットを確保することにした。

それで、11時から電話を開始すると、運良く11:08頃(多分)に電話がつながった。有料のナビダイヤルの長い案内のあと、会員番号を入力すると、それが受け付けてもらえない。4、5回「違います」と言われたあと、むなしく切れてしまった。その後、電話を続けたのだが、最終的にもう一度つながったのは13時過ぎで、欲しかった日時のチケットは売り切れていた。途中、チケット販売サイドの不手際を疑って、販売会社のイープラスに電話したものの、こちらはずっと話し中。当然のように野田地図に電話しても、対応時間外とのことで音声自動対応するだけだった。

これ、チケットが取れなかったことだけでも大問題だけど、その通話がナビダイヤルで有料だったことも大きな不満である。

仕方がないので、週明けにもう一度野田地図に苦情の電話を入れてみる。大体、チケット販売を業者にまるなげして、トラブル対応を一切やっていないって、どういう感覚なのだろう。こっちは土曜日の午前中をわざわざあけて準備しているというのに。

#ナビダイヤルで通話しているから、電話がつながった記録は存在するはず。

20151018追記
以下、野田地図からのお詫びメール。

『逆鱗』会員限定チケット先行予約に関するお詫び

NODA・MAP第20回公演 『逆鱗』会員限定のチケット先行予約におきまして、
電話受付開始時のシステム障害により、お申込みの出来ない状況が発生、大変ご迷惑をおかけしました。
NODA・MAP会員の皆様に、心よりお詫び申し上げます。
今後、このようなことが起こらぬように、イープラスと共にシステム補強対策や管理態勢を見直していきます。
重ね重ね深くお詫び申し上げます。

NODA・MAP


謝ってすむ問題かよ!!!!お前らがそんないい加減な姿勢だから、こっちはヤフオクで高い金払ってチケット買うんじゃないか!営利目的のチケット売買を禁止するなら、まずはちゃんとしたチケット販売体制を整えろよ。←文字通り、逆鱗に触れた現場  
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2015年08月23日

清和文楽人形芝居 雪おんな

文楽は観たことがなかったので、清和文楽を観に行ってみた。演目はこの真夏にふさわしい(?)雪おんなである。

ストーリーはみんなが知っているいつものアレなのだけれど、こうやって文楽で観てみると、お雪が執拗に旦那を誘導するあたり、ちょっと違和感があった。本当に好きなら、アレはないだろう。文楽としては、人形の動きは申し分なかったのだが、せっかくの表情の変化がきちんと楽しめず、もうちょっと前で、というか、最前列で観れば良かった。あと、太夫の三味線の腕がもう一歩だったような。でも、なかなか面白かった。

上演後、人形遣いの方々が人形を持って舞台の下に降りてきてくれて、色々と教えてくれた。










このあたりはサービス満点。あと、隣に資料館があって、こちらでも色々な人形が展示されていた。
















熊本に行ったら、とりあえず清和文楽を観ておくべきだろう。





  
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2015年07月28日

松竹創業120周年 七月大歌舞伎「一谷嫩軍記」「怪談 牡丹燈籠」




歌舞伎で一番見たかった怪談をようやく観ることができた。その前に90分ほどの「一谷嫩軍記」も鑑賞。源平合戦のさなかの一エピソードを描いているのだけれど、話としては「なぜそうなる」というちょっと合点のいかないストーリーだったので、ちょっと乗りきれなかった。主役の海老蔵は声は届くものの、ちょっと滑舌が悪く、何を言っているのか良くわからないシーンが多かった。

そして、期待の牡丹燈篭である。セリフが平易で、役者の発声も良いので、聞き取りやすくわかりやすい。ただ、ここでも海老蔵だけは滑舌が悪くて聞き取りにくかった。全体としては面白かったし、何より玉三郎の演技が素晴らしかった。中車も玉三郎ほどではないものの、いい味を出していたと思う。というか、現代劇に近い演出にして、中車が違和感なく溶け込めるように配慮していた気がする。おかげで、歌舞伎初心者の僕にも優しい舞台になっていたと思う。三遊亭円朝を演じて落語を見せた猿之助も無難だったと思う。

ちょっと残念だったのは仕上げ。「え?これで終わっちゃうの?」というラストで、一部だけを抜き出して上演するのが歌舞伎のスタイルと思っていても、この芝居で、構造的な歌舞伎らしさを主張しなくても良かったのでは、と思った。このラストなら、一幕で終了でも良かったんじゃないのかなぁ。何のために二幕があったのかって、因果応報をきちんと見せるためだと思うので、それならちゃんと風呂敷を畳んだほうが良かったと思う。

さて、以下は芝居とは関係なく、松竹に対して。今日は一等席18,000円で観たのだが、2階の中央5列目ぐらいだった。とても見やすかったのだが、牡丹灯籠が客席上を舞うときや、花道で演技をする際に容赦なく見切れてしまう。この席を1階の7〜9列目あたりと同じ価格で販売するセンスを疑う。

それと、今日は隣の隣に、肺に疾患を抱えた人が座っていたのだが、公演中ずっと酸素吸入の「しゅこー、しゅこー」という音が鳴り響いていた。おかげで隣に座っていた人は途中で出て行ってしまう始末。一度歌舞伎座に対して苦情を述べたようで、一度係の人が件の人と何やら話し合っていたけれど、何も改善されなかった。年寄りの観客が多く、こういう事態も良くあるのかも知れないが、公演中ずっとしゅこー、しゅこーと鳴っていたのではたまったものではない。同じ客として「迷惑だから観るな」とは言えないのだから、歌舞伎座として何か対策が必要なのではないか。車いすで観るとかとは話が違うのだ。  
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2015年07月16日

障子の国のティンカーベル 再演




前回観た時の感想はこちら。
http://buu.blog.jp/archives/51428046.html

多分、世の中的にはほとんどの観客が「面白かった」というんだと思う。でも、それは予定調和じゃないだろうか。僕も一度目の鑑賞の時は楽しめた。しかし、再演でもう一度観て、「あ、一回で十分だったな」と感じてしまった。

一番大きいのは戯曲の完成度の問題なんだろう。一度は楽しめても、二度楽しめるほどの完成度ではなかった。野田秀樹の戯曲は難解なだけに、「良くわからないけど頑張って聞き逃さないようにしよう」という努力が必要とされる。それを助けてくれるのが「笑い」なんだけど、この芝居にはそれがほとんど存在しない。ずっと同じような緊張感が続くので、集中力が持続しない。

あと、歌のシーンがあるからかも知れないが、マイクを併用していたのも違和感があった。

演じている毬谷友子さんは相変わらず出突っ張りで凄く大変そうだけど、なんというか、毬谷さんの思いが舞台上で空回りしていて、それが客席まで届いてこないような。「わかって、わかって、どうしてわかってくれないの?」と問いかけ続けられているような。

もちろん、パーツごとに見ていけば、舞台芸術も、音楽も、黒衣も、毬谷さんも、頑張っている。だから、ストレートに「つまらなかった」と言いにくい。でも、あえて言うけど、つまんなかった。なんだろうね?脚本かな。演出かな。それでも、3,500円なら安いと思うけど。  
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2015年06月04日

日本総合悲劇協会Vol.5「不倫探偵 〜最期の過ち〜」

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大人計画には昔から好きな役者がたくさん所属しているのだけれど、演出が好みじゃないので、芝居はほとんど観たことがない。でも、今回は大好きな二階堂ふみさんが出演ということで、当日券で観てきた。

ドタバタと下ネタ中心で、破綻を来すほどのストーリーでもなく、それほど説教臭くもない。一応ミステリー調になっていたけれど、ハラハラするような内容でもない。長く続けている小劇場劇団独特の「いつものアレ」感が強く、悪く言えば予定調和だが、安心して観ていられる。

お目当ての二階堂ふみさんは、ダンスや歌など、舞台ならではの見せ場はあったけれど、基本的にいつもの二階堂で、そろそろ違う二階堂を見たくなってきた。そうじゃないと、柴咲コウみたいになりそうで心配である。

下手な役者は一人もいなかったし、片桐はいりと松尾スズキの掛け合いはなかなかに楽しかったのだが、ナレーションや文字を含めたスクリーン映写を多用する演出はあまり好みではなかった。6,800円なら不満はないのだが、一番の見所は、最後の挨拶でお辞儀した時の二階堂の胸元だった。ということで、評価は☆1つ半のところ、おまけして☆2つ。

さて、おまけ。このブログを読んで「観てみたい!」と思った人がいるか、いないかわからないけれど、チケット入手について。おけぴやヤフオクで頑張る手もあるけれど、当日券を普通に買うのでも問題ない。

大人計画の当日券には補助席、立ち見などがあるけれど、遊眠社時代からの当日券の王道、キャンセル待ちが一番のオススメ。キャンセルって、要は関係者とか、出演者の友人・知人が来るはずだったけれど、「直前になって都合が悪くなっちゃってごめんなさい」というものなので、良い席の場合がほとんど。今回も前から5列目のほぼ中央を入手できた。

立ち見はいくら何でもだし、座り心地の悪い椅子で見るのもなんだかだ。それなら、最初から立ち見や補助席は除外して、キャンセル待ちにかけた方が良い。しかも、基本、キャンセル待ちは立ち見や補助席のあとの扱いなので、キャンセル待ちは一番を取りやすい。今回も、僕はキャンセル待ちの1番だった。

もちろん、キャンセルがなければ立ち見すらできない可能性があるのだが、良い席じゃないなら帰る、ぐらいの心の余裕が必要だ。今回の場合、開演1時間10分前に一度集合して、本人確認ののち、キャンセル待ち番号札を配られる。もらったら、近所でラーメンでも食べておいて、開演5分前にもう一度本多劇場の受付前階段に集合。キャンセルがあれば、チケットを購入して入場という流れである。

良い席で観ることができますように。

  
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2015年02月10日

三人姉妹@シアター・コクーン

チェーホフ晩年の4大戯曲のひとつ、三人姉妹をケラ演出で上演ということで、文化村に観に行ってきた。

三人の姉妹には余貴美子、宮沢りえ、蒼井優というそうそうたるメンバーが並ぶ。このあたり、さすがシス・カンパニーと感じさせる。多分、余貴美子を舞台で観るのはこれが初めてだと思う。自由劇場時代は僕は高校生だったし、彼女が東京壱組の時は遊眠社や遊◎機械、第三舞台、第三エロチカ、離風霊船、ジテキン・・・といったあたりを観ていて、東京壱組までは手が回らなかった。その後、彼女は活躍の場を映画やテレビに移してしまったので、なかなか生の舞台で観る機会に恵まれなかった。映画では良く見かけるので、「きっとうまいんだろうなぁ」と想像していた。そして、初めて生で観た余貴美子は、当たり前のように素晴らしかった。宮沢りえや蒼井優も決して悪い役者ではないし、宮沢りえは野田地図の「ロープ」以来、日本を代表する役者と言っても大げさではないような活躍っぷりだが、それでも、一番存在感を見せていたのは余貴美子だったと思う。

チェーホフの戯曲は特定の主人公がいない群像劇というのが大きな特徴なので、この劇でもタイトルの三人姉妹の他にも色々な人物たちが登場する。段田安則、堤真一といった野田芝居でお馴染みの役者さんはもちろん、芸達者な役者さんたちが惜しげも無く起用されているので、ほとんど「あれ?」という場面がなかった。それにしても、段田さんはいつも最初のセリフだけで一気に場の雰囲気を変えてしまうからさすがだ。

美術や照明も素晴らしく、9,500円というチケット代もこれだけやってくれれば、と思わされる。

では文句の付け所が全くなかったかといえば、そんなこともない。僕が「?」と思ったのは、なぜ、今このキャストで「チェーホフ」「三人姉妹」なのか、ということだ。三人姉妹は1900年代のロシアで書かれた戯曲である。将軍だった父の死後、田舎町で冴えない生活を送りながら色々な意味で没落していく中にあって、労働に生の喜びを見出す、という、ちょっとイマドキとは言いがたいストーリーが展開されていく。もちろん、その中には普遍的な要素が含まれているのだが、それでもやはり古臭い感は否めない。その古臭いストーリーを上手に料理して違和感なく見せるなら「なるほど」と思うのだけれど、これだけのキャストを使って、ケラが台本を書いて演出しているのに、「ケラっぽさ」というものがあまり感じられなかった。つまり、今まで観たこともない三人姉妹という感じではなかった。ナイロン100℃の大ファンならわかるのかも知れないのだが、ケラ作品を5回ぐらいしか観ていない僕には「らしさ」がちょっとわからなかった。あるいは、「この凄いメンバーだからこそ、これまでで最高の三人姉妹を観せてやろう」ということだったのだろうか?もしそうだとすれば、確かにレベルは高かったと思う。ただ、残念ながら、僕には過去最高かどうか判断できるほどの経験値がなかった。

せっかく何から何まで超一流を揃えたのなら、超一流のラーメンではなくフレンチを食べたかった。「いや、これは超一流の寿司なんですよ!」と言われると、あ、確かに美味しかったけれど、日本一かどうかはもっと色々食べてみないとちょっとわかりません、みたいな?乱暴すぎる書き方かな(笑)。


東京公演は3月1日まで、文化村シアターコクーンにて。そのあと大阪で3月5日から15日まで。  
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2015年02月05日

野田地図「エッグ」(再演)

東京芸術劇場で野田地図の「エッグ」を観てきた。




初演時の印象がそれほど良くなかったので、今回はあまり熱心にチケット入手に注力しなかったのだが、今日は天気も悪く、夜にこれといった用事もなかったので、当日券を買って観てくることにした。初演時の感想はこんな感じ。

NODA・MAP 第17回公演 「エッグ」(初日)
http://buu.blog.jp/archives/51358491.html

「エッグ」野田地図 第17回公演(@東京芸術劇場プレイハウス)二回目
http://buu.blog.jp/archives/51362278.html

当日券は18時から発売開始ということで、17:15に芸術劇場に行ったら、誰も並んでいない。ちょっと拍子抜けしつつ先頭で並んでいたら、5分後ぐらいに韓国人の若者5人ぐらいのグループが並んで、ようやくひとりぼっちから解放された。しかし、その後も行列はのびず、結局発売開始時点では15人程度の行列だったと思う。僕は先頭ということもあって、J列22番というそこそこの席をゲット。これならチケぴで頑張るよりもずっと効率的だ。

さて、芝居。初演時よりも舞台美術は良くなったような気がするが、内容は大きく変わることはなかった。そして、この芝居がイマイチなのは、エッグというスポーツのパートと、満州での人体実験というパートの接続がうまくいっておらず、ほとんど別の2つのストーリーになってしまっていることだと感じた。もちろん、そこには橋渡しとなる工夫があるのだが、残念ながらのりしろが小さすぎるのである。唐突に場面が変換され、それまでずっと展開されていたストーリーが置いてきぼりになってしまう。くわえて、全く救いのないラストなので、観終わったあとの印象も良くない。

何でこの作品を再演したのかなぁ、と疑問に思ってしまった。

ちなみに、役者はみんな上手だった。  
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2014年12月26日

ばく クリスマスバージョン

知人に誘われて、ALOKアトリエ公演「ばく クリスマスバージョン」を観てきた。

セリフのないダンスパフォーマンスということで、どんなのかなぁ、と思っていたのだけれど、開演直後はかなり不安な感じ。すぐにスキンヘッドのお兄さんがこの劇団(?)の全てを取り仕切っているんだな、というのがわかるくらいに全てにおいて力量に差がある。加えて、他の劇団員も、数名のバレエ経験者と思しき女性と、その他の登場人物の間で、やはり踊りの技術に差がある。特に、集団で一緒になって踊るときに上手い、下手がはっきりわかってしまうので、観ていてこちらの不安がどんどん大きくなる。

ただ、そこから先は、そこそこに楽しめた。ストーリーがわかりやすいので、セリフがなくても内容把握という点からは大きな問題はない。

そして、そのままラストまで踊り続ける。

登場人物たちにはそれぞれに見せ場が割り当てられていて、誰のファンが観ても、それなりに楽しめるようなつくりになっている。ただ、手放しで褒めることができるかと言えば、そんなこともない。まず、ストーリーが面白くない(笑)。わかりやすいにはわかりやすいのだが、別に面白いわけでもなく、大きなひねりがあるわけでもなく、加えて後味が悪い。

また、セリフがない分は他の何かで観る人を圧倒する必要があると思うのだが、ダンスでそれができるのは多分劇団主宰者であるスキンヘッドの男性のみ。同じくらいに踊ることができる人があと3、4人、それが贅沢なら、女性一人でもいればまた話は違うのだろうが、一人で全部引っ張っていくのはさすがに無理だ。

ということで、大きなマイナスポイントはないけれど、これといって大きな魅力もなく、これならスキンヘッドのお兄さんが一人で踊りまくったほうが楽しめると思った。セリフ無しで全部やる、というのは挑戦としては面白いと思うけれど、今はまだダンスが上手な人が一人いるだけ。あと数名のレベルの高いダンサーとストーリー構築者が必要だろう。コンスタントにお客を呼べるようになるまでにはまだ長い道のりがありそうだ。

28日まで、新大久保のアロック新宿スタジオにて。  
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2014年12月09日

くるくると死と嫉妬

秦組vol.6「くるくると死と嫉妬」を観てきた。

ストレートに言ってしまうと、冒頭からずっと意図不明の演出が多く、音楽も、三味線はいい感じで作用していたのに対し、キーボードが内容にフィットしていなかった。

役者は主役の女の子はともかく、その相手役の男優は非常に力量を感じさせたし、婦長役の女性もなかなか良い味を出していたと思う。他も、中心の役者には「びっくりするほど下手な役者」はいなかった。ただ、主役の女性にもれなくついてきたのか、事務所の都合なのか、良くわからない女子4人組とかがいて、舞台を一層混乱させていた。そんな中でひとつ感心したのは、複数の役者が同時に同じセリフを言う場面である。第三舞台の昔から、何を言っているのかさっぱりわからなくなるのがこの手の舞台の「いつものアレ」なのだが、この芝居では、全てのセリフが聞き取れた。この点は高く評価できる。秦組の看板女優である築山万友美さんが相変わらず存在感を示していたのだが、むしろ鼻につくぐらいに格好をつけすぎた演出だった。セリフの内容などで存在感を示して欲しいところ、芝居がかりすぎた(芝居なんだけれど(笑))立ち居振る舞いで、うーーーんと感じてしまった。特殊な役柄だからこそ、普通に演じたほうが良かったと思う。

ネタバレになってしまうので詳しくは書けないのだが、ストーリーの肝になる部分を思いついた時点でそのからくりに惚れ込んでしまい、他にほとんど何もない、という感じがした。では、役者がストーリーとは無関係に舞台に引きこむかといえばそんなこともない。つい先日、野田秀樹演出の韓国語版「半神」を観て、言葉がわからなくても伝わる演出を経験したばかりなので、一層、残念な感じを受けた。これもネタバレなので詳細には書けないのだが、「不老不死」のくだりも腑に落ちない。作り手としては面白い仕掛けのつもりだったのかも知れないのだが、観ている側としては「飲むのが逆になってしまったらどうするつもりだったのか」といった疑問がついてまわってしまい、なんだかな?という印象だった。もちろん、「どっちが飲んでも構わない」という設定でも構わないのだが、それならそれで、それをフォローするような脚本が必要だったはずである。

小説ならこれでも良いと思うのだが、舞台だともう一工夫ないと厳しいと思う。脚本、演出、音楽、美術と、全てに詰めが甘く、お子様ランチ的な味わいだった。

ちなみに、脳死していない人間から肝臓を全摘する前提で組織適合性検査をすることはありえないのでは?  
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2014年10月24日

半神

夢の遊眠社時代の代表作のひとつ、「半神」を韓国人キャストで上演するということで、初日を観てきた。前から二列目、中央という良席。最近の野田作品はなかなか良い席が確保できないのだが、今回は日本人には馴染みがない韓国人俳優による上演ということで、あまり出だしが良くなかったのかも知れない。

今回の東京公演に先じて、ソウルで二週間の公演があったようで、役者さんたちにはすっかり芝居が入っていた様子。セリフは全て韓国語で、イヤホンガイドで日本語のセリフの朗読を聴く形式だった。この朗読が当初は役者のセリフと完全にかぶってしまい、何を言っているのか聞き取りにくかったのだが、何しろリアル観劇だけで10回ぐらいは観ている作品(ダブルキャストでやったこともあるので、観る回数が増えた)なので、大きな問題はなかった。途中から、イヤホンガイドは韓国語のセリフよりも若干前に読まれるようになって、大分聞き取りやすくなった。こちらは初日ということで、手探りだったのかも知れない。

さて、感想なのだが、あまり期待をしていなかったところを差し引いても、十分に「素晴らしい」と言える内容だったと思う。セリフがどうやって韓国語訳され、それをどのように演じているのか、韓国語がちんぷんかんぷんな僕にはさっぱりわからないのだけれど、それは大きな問題ではなかった。この頃の野田芝居というのは、「何言っているのか良くわからないけど、パワーが凄いし、言葉がなくても伝わってくる」ものだった。そして、そのパワーを、今日の役者さんたちは持ち合わせていた。また、言葉の素晴らしさは、役者の口からではなくイヤホンガイドからではあったけれど、ちゃんと伝わってきた。

最近はこういった芝居を観る機会がほとんどなかったのだが、遠い昔の、遊眠社の舞台を観た時の興奮と感動が蘇ってきた。そして、それを蘇らせたのが異国の役者さん達だということにちょっとした驚きがあった。

終演後、後ろを振り返ってみると、後ろの方には若干の空席が見受けられた。なんてもったいないことだろう。来週の金曜日までやっているようなので、当日券でもう一度観てみようか。

先日観た「小指の思い出」には正直がっかりしたのだけれど、その分、今日の半神ではたっぷり感動させてもらった。夢の遊眠社時代のエネルギーを感じてみたい人には、自信をもってオススメできる内容だったと思う。

以下、余談だけれど、この芝居を観ている最中に、何度も円城寺あやさん、向井薫さん、佐戸井けん太さん、田山涼成さんなどの演技が頭に蘇ってきた。意外と覚えているものだなぁ。  
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2014年09月30日

小指の思い出

東京芸術劇場プレイハウスで上演されている「小指の思い出」の初日を観てきた。

多少の無理を承知で、演劇を料理にたとえてみる。

戯曲は料理に使う素材である。
演出家は料理人だ。
役者は調理に使う道具に該当する。
音楽や照明が各種調味料で、大道具、小道具が食器である。

今回観た「小指の思い出」は、野田秀樹が20代後半に書いた戯曲である。野田秀樹は、劇作家として超一流であると同時に、演出家としても超一流というのが僕の見解だが、演出家としての最大の特徴は、個性的な役者の魅力をきちんと引き出す、ということだと思う。演出家であると同時に原作者でもあるので、演出上の必要があれば原作を変更していくこともあるのだろう。役者を想定した戯曲を作る、いわゆる『アテガキ』の原作者としては三谷幸喜が有名だが、野田秀樹の戯曲もそういったカラーがあると思う。つまり、自分が持っている色々な道具を想定しつつ、原材料を揃え、どういった料理をつくり上げるかを考えていくのが野田流の劇作だと思う。手持ちの役者を前提にしつつ、最終的な料理をイメージして、野菜や肉や魚を揃えていくのだ。

そうやって出来上がった料理を完璧に再現しようと思えば、素材だけでなく、同じ道具や調味料、食器が必要になってくる。ところが、20年以上も時間が経ってしまうと、それらを揃えることは至難の業である。今回の上演では、道具はもちろん、調味料までが一新された。同じものは、素材だけである。その結果、当たり前ではあるのだが、似ても似つかない料理が出来上がった。

野田流の料理は、道具の良さが最大限に引き出されているものだ。さまざまな鍋、さまざまな包丁を適材適所に使い、素晴らしい料理を作り上げていく。一方で、今回の藤田貴大の演出は、調味料や食器に趣向を凝らしたものだった。

野田流の料理のもうひとつの特徴は、「素材が何なのか良くわからないのだけれど、とにかく調理の腕が素晴らしく、ひと通り食べてみると「すげぇうまかった」という感想しか出てこない」というものだ。一方で、藤田流の料理は、そういった勢いがほとんど感じられない。ただ、ところどころに良い食器が使われていて、素材はともかく、調味料の使い方が上手だなぁ、という感想になった。動の野田、静の藤田とも表現できると思う。

もともとの素材を揃えたのが野田秀樹なので、出来上がった料理の質を比べようとすれば、藤田貴大は圧倒的に不利である。さらに、すでに野田秀樹の絶品料理を実際に食べている客も少なくないはずだ。かくいう僕も、実際に食べて衝撃を受けた人間の一人である。そうした、過去の、しかも恐らくは長い時間によって美化された経験を持つ客に応対するのは非常に難しい作業だっただろう。だから、今回の作品については様々な点で、藤田寄りの立ち位置にいる必要があるはずだ。そうしたあれやこれやを考慮した上で、この作品はどうだったのか。

「良くわからない芝居だった」

が正直なところである。

素晴らしい調理道具を使わずに出来上がった料理は、良くわからない素材を、良くわからない道具で調理し、今風の調味料で味付けして、洗練された皿に飾り付けられて提供されたものだった。

さて、最後に、比喩から離れてストレートに書いてみる。やはり、マイクを使ったのは失敗だろう。きちんとした発声法からでていない声は、客に伝わらない。脚本を知っている人間が聞いても何を言っているのか理解できないのだから、初見ならさっぱり理解不能だと思う。音楽、映像といった「らしさ」に合わせるためにはマイクは必須だったのかも知れないが、だとすれば、この脚本を選んだことが失敗だったと思う。

僕は、遊眠社時代の野田芝居の真髄は「汗」であり、「声」であったと思う。この二つが、現代的な演出によって失われた。残ったのは、形骸だけだった。  
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2014年09月09日

火のようにさみしい姉がいて

hinoyoni


シアターコクーンで「火のようにさみしい姉がいて」を観てきた。初演1978年の清水邦夫作の戯曲を、蜷川幸雄が演出し、段田安則、大竹しのぶ、宮沢りえという、野田秀樹さんと関わりの深い役者たちが演じている。

冒頭から、大きな箱らしい素晴らしいセットで「さすがだなぁ」と思わされる。まず、大掛かりで、それでいて緻密な舞台装置の作りに驚いた。美術も非常に良い。シアターコクーンの舞台はいつ観てもちょっと割高な感じがするのだけれど、このくらいしっかり作りこまれていればなるほどなぁ、と思わされる。

ストーリーは、お互いに相手がちょっと精神的に参っていると考えている中年の夫婦がリフレッシュの目的で夫の田舎に帰るのだが、生まれ育った街の入り口で立ち寄った床屋で奇妙なことが次々と起こる、というもの。夫はオセロを演じている役者という設定で、時々オセロのセリフが混じってきて劇中劇のように展開する。ほとんど全てが床屋の中で展開し、場面転換は少なめの会話劇である。ややシリアスな内容だが、あちこちにブラックユーモアが仕込まれていて、ワンテンポ遅れての笑いを誘う。ラストに近づくに連れて一層陰鬱になっていくのだが、そのあたりが70〜80年代の作品の味なのかも知れない。当たり前だが、新しいというよりは、懐かしい感じがする。僕は親の田舎が能代なので、あぁ、日本海側のちょっと寂れた田舎町ってこんな感じだったよね、と感じた。

メインキャストの3人はさすがの演技で、セリフがない場面でも存在感を発揮していた。その中でも今回特に光っていたのは宮沢りえさんで、良い意味で、見事に中年を演じていた。演劇における彼女の代表作は、後にも先にも、同じシアターコクーンで上演された「ロープ」だと思っているのだけれど、演技はそれに劣らない良いものだったと思う。役者には「今しかやれない役」というのがあると思うのだが、今の彼女にぴったりな役だったと思う。段田さん、大竹さんはいつもの安定した芝居だった。彼らは、いつも、期待どおりの演技を見せてくれる。

大竹さんの動きと効果音がちょっとずれていたのだけは気になったが、多分まだ3回めの上演だからだろう。まだ東京だけでも25回も残っているので、これから熟成していくと思う。まだチケットあるのかな?と思ってチケットぴあを見てみたら、東京公演は当然のように全公演予定枚数終了だった(笑)。でも、大丈夫。当日券もあるみたいだし、大阪公演はまだまだ残っているので、どうしても予約して観たいという人はぜひ大阪でどうぞ。

Bunkamura シアターコクーン
2014年9月6日 (土) 〜2014年9月30日 (火)

シアターBRAVA!
2014年10月5日(日)〜10月13日(月・祝)

#帰りに、宮沢りえさんを含めた野田地図ご一行と一緒になったことのある飲み屋に行ってみたら、跡形もなくなっていた(笑)。

関連エントリー:野田地図「ロープ」  
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2014年07月08日

抜目のない未亡人




最近の演劇は、「野田秀樹作品」「東京芸術劇場」「お気に入りの役者さん(段田安則さん、堺雅人さん、大森南朋さんあたり)出演」のどれかを満たしているものを観るようにしているのだが、今回は段田安則さん出演ということで、久しぶりに新国立まででかけてきた。ここ、10年近く前に円城寺あやさんが出た「コミュニケーションズ」や、「透明人間の蒸気」の野田地図版、その前だと「贋作・桜の森の満開の下」の野田地図版あたりを観にきたのだけれど、それ以後はなぜか全く縁がなく、凄く久しぶりだった。開演前に幡ヶ谷でラーメンを一杯食べて、腹ごなし代わりに歩いて初台へ。劇場に入ると、奥行きのある馬鹿でかい舞台で、これは贅沢な作りだなぁと感心した。

内容は、映画祭に招かれた年配(?)の女優と、彼女に出演を願う4人の映画監督たちのドタバタコメディという感じである。何か凄い仕掛けがあるとか、教訓があるとか、心に残る名セリフがあるとか、そういった芝居ではなく、単純に楽しい時間を過ごしましょう、といった肩肘張らないものになっている。ストーリーは他愛ないものだが、面白おかしいところ、軽妙なテンポの笑いについてのみ脚本家が主張し、あとは役者を活かす、というタイプの芝居で、三谷幸喜作品としては個人的に最も評価できるタイプの作品だった。これは、「三谷幸喜は引っ込んでろ」という意味ではなく、脚本家・演出家としての三谷幸喜の気配をいかに上手に消すかが、彼の腕の見せ所だということだ。アテガキしかせず、再演も滅多にやらないのだから、その瞬間の役者の良さをいかに引き出すかが重要で、この舞台はまさにそんな感じに仕上がっていた。

芝居で中心的な役割をはたすのは大竹しのぶさん、八嶋智人さんの二人で、芸達者な大竹さんは、劇中で多様な人物を次々に演じ分けるという役を、実に簡単そうに演じていてさすがだなぁ、と思った。とはいえ、さすがに声は年齢的な変化があるようで、ちょっと黒柳徹子さんのような雰囲気になっていた。一方の八嶋さんもカムカムミニキーナの看板俳優らしく、年齢を感じさせない躍動感で広い舞台を所狭しと走り回っていた。トリビアで八嶋さんとコンビを組んでいた高橋克実さんは離風霊船時代から(ハゲる前から?)観ているのだが、最近は(ハゲてからは?)すっかり安定したコメディ俳優っぷりである。木村佳乃さんを舞台で観たのは初めてだったのだが、「喋らずにじっとしていれば良い女」を好演していた。峯村リエさんはケラの舞台や時々映画で見かけるぐらいだったのであまり印象に残っていなかったのだが、この作品では大竹さんの相手を見事に演じていた。お目当てで行った段田さんはいつもどおりの安定感だったのだが、ちょっと出番が少なかったのが残念といえば残念だった。三谷芝居は良い役者を惜しげもなく投入するのがカラーでもあるので、仕方ないと言えば仕方ない。役者の無駄遣い(良い意味で)といえば、浅野和之さんの出番の少なさも特筆すべきところで、それでもちゃんと印象に残る芝居をしているところが素晴らしかった。

全体としてちょっと残念だったのは、少なくない数の役者さんがマイクを使っていて、その音声が不自然だったこと。半分以上の場面では気にならないミックス具合だったけれど、4分の1くらいは生声とマイク声のミキシングに不自然なところがあるように感じられた。あれは劇場の音響のせいじゃないと思うんだよなぁ。

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抜目のない未亡人
上演台本・演出:三谷幸喜
7月31日(木)まで、新国立劇場中劇場にて上演
http://www.siscompany.com/miboujin/gai.htm

余談1 我が家には夢の遊眠社のLDが大量に眠っているのだが、あちこちでOBの役者さんたちが活躍しているのを見て、そろそろ他のメディアにダビングしようと思い始めた。

余談2 僕が芝居を観始めた頃の演劇界は小劇場全盛の頃で、その頃活躍していた人たちがそこそこの頻度で今も活躍している。劇団という枠にはまらず、プロデュース公演という形で色々なところに顔を出してくれるので、あーーー、懐かしい、今も頑張っているんだなぁ、と思うことが結構あって、それはそれで楽しい。  
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2014年02月13日

障子の国のティンカーベル 毬谷友子バージョン

野田秀樹がまだ若かった頃に書いた戯曲の上演、主演は毬谷友子、ということで、コレを見逃すわけにはいかない。昨日は渋谷で三谷演劇を観たが、今日は池袋で野田作品である。

一人芝居ということで、毬谷友子がほぼ出突っ張りで、歌に、ダンスに、大量のセリフに、と大活躍である。

僕は、野田秀樹が夢の遊眠社の解散の引き金を引くきっかけになったのは毬谷友子の才能に触れたからではないかと思っているのだが、それくらいに、『贋作 桜の森の満開の下』の毬谷友子は素晴らしかった。それから何度か野田作品や地人会公演で彼女を観ていたけれど、最後になっていたのが六本木で地人会公演として上演された「弥々」(1993)だった。かれこれ20年も経ってしまったのだが、相応に年を取り、声もすっかり低くなってしまい、もうあの夜長姫はここにはいないのだけれど、相変わらずとんちゃんは舞台で張り切っていた。

戯曲については、2002年に鶴田真由主演で上演されているのだけれど、多分その時に野田秀樹自身が、「この本は大竹しのぶや毬谷友子でやらないと、駄目だ」と感じたんだと思う。そして、その配役で、やっと上演することが可能になったわけだ。

物語は、妖精の世界で裁判にかけられ、死刑判決を言い渡されたピーターパンと、彼とともに逃避行を続けるティンクの恋愛を描いている。その姿は、遊眠社以後の野田秀樹の恋愛遍歴に重なる。

一度、渋谷の居酒屋で、芝居の打ち上げで大騒ぎをしている野田地図メンバーと一緒になったことがあるのだが、野田秀樹氏は最近の言葉でいうところの草食系そのものといった感じで、一気をして盛りあがっている役者連中を、楽しそうに眺めながらお酒を飲んでいた。僕は当然のごとく、パンフレットを手にサインをお願いしたのだけれど、野田秀樹氏は「僕はいくらでもサインしますが、役者たちはプライベートなので」と、やんわりと役者に話しかけることを断った。そういうわけで、僕は藤原竜也が使った直後の便器で用を足したことはあるのだが、彼のサインは持っていない。と、そういうことを言いたいのではなく、野田秀樹氏の人柄がわかるエピソードだと思って紹介してみた。

彼は、僕が知る限りで3人の女優と付き合っているのだが、どのケースも、女性の方が野田秀樹氏の才能に惚れ込んだ感じだった。つまり、女性の側が今で言う肉食系だったわけだ。そして、この芝居の中でも、草食系のピーターと、肉食系のティンクという関係ができあがっている。なるほど、25歳の頃に書いた戯曲が、その後の人生を暗示するようなストーリーになっているあたり、三つ子の魂百まで、という感じがしてくる。

芝居は、例によって、詩的な言葉が散りばめられていて、ストーリーは漠然としている。ラストシーンに近づくに従って、徐々にクリアな舞台になり、表現もストレートになり、やがて(比較的)はっきりとしたセリフで物語は終了する。夢の遊眠社時代も、「何がなんだか良くわからなかったけれど、最後のセリフで感動した」ということが良くあったけれど、今回も途中までは言葉だけが散乱していて像を結ぶことはなかった。それでいて、ラストにはきちんとわかったような気になったし、加えて、散りばめられた言葉の中には、後の野田作品につながっていきそうな単語がいくつもあった。遊眠社の最後のセリフは「少年はいつも動かない。世界ばかりが沈んでいくんだ」である。この芝居をラストに選んだことには大きな意味があったはずだ。そして、今日、この芝居を観て、「あぁ、なるほど、少年は、この頃からすでに自分の意志でそこに居続けているんだな」と思った。

ゼンダ城の虜、小指の思い出、野獣降臨、そして贋作桜の森の満開の下といった名作と比較すれば間違いなく小品だと思うけれど、野田秀樹にとっても、それを演じた毬谷友子にとっても、そして、観客としてそれを観た僕にとっても、個人的な芝居だったと思う。

今回はダブルキャスト。毬谷友子ともう一人は奥村佳恵である。彼女のバージョンのチケットは、まだ残っているだろうか?  
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2014年02月12日

国民の映画

kokumin


正直に言えば、僕は三谷幸喜の映画や芝居があまり好きではない。笑えるとは思うのだけれど、SETの三宅裕司以上に笑いに徹することができないあたりがいかがなものかと思うし、三谷族とも呼べるような俳優陣の仲良しクラブ的な色彩が作品からにじみ出ているのも好きじゃない。しかし、脚本が全然駄目ということでもないので、良い役者さんが出ているなら、じゃぁ、という気持ちにもなる。今回は、夢の遊眠社時代から贔屓にしている段田安則さんが出演しているということで、渋谷まで観に行ってみた。

この作品は初演が3.11と重なったようで、地震の混乱や計画停電の心配もあって、やや不幸な形で上演されたようだ。いつもは再演をやりたがらない三谷幸喜だが、不完全燃焼という思いが強かったのかも知れない。

結論から先に書くと、これまで何本かの映画(有頂天ホテルとか、マジックアワーとか、ステキな金縛りとか、清須会議とか)や芝居(12人の優しい日本人とか、おのれナポレオンとか)で三谷作品を観てきているが、初めて「これは面白い!」と感じた。なるほど、コメディ色の濃い作家と思っていたけれど、実はコメディ色を抑えた作品のほうが味が出るようだ。じゃぁ、喜劇色が全然ないのかといえばそんなこともなく、「レイダース 失われたアーク」といったナチスに関係のある映画を取り入れた場面など、喜劇的なところも散りばめられていた。本流のストーリーと、喜劇的なスパイスの配合具合がちょうど良かったということだと思う。

舞台は1941年。いよいよきな臭くなってきているドイツで、宣伝大臣ゲッペルズがホームパーティを開く。参加者は映画関係者とナチスの高官。そのパーティの前後を描いた群像劇である。前半は登場人物が徐々に出揃ってくるのだが、ちょっと単調で退屈な場面が続く。しかし、物語がいよいよ深刻になってくる休憩後は、緊張感が維持され、最後まで全く退屈しない。何より、ヒトラーやホロコーストの影が徐々に登場人物たちを侵食していく脚本の出来が良い。

役者陣に目を移すと、中心になっている小日向文世と段田安則が当然のように良い演技をしているし、それを取り囲む役者たちもそつがない。吉田羊あたりはちょっと存在感が薄い気がしたけれど、声が届きにくい役者がいるわけでもなく、ちょっとどうなの?と感じる役者はほとんどいなかった(観た席がE列20番と、めちゃくちゃ良いポジションだったのは確かだが、多分もっと後方でも声が聞き取りづらいということはなかったと思う)。最近はすっかり映像作品での活躍が増えて、堺雅人のように「細かい表情で見せる役者」になった感のある小日向文世だが、舞台では舞台なりに見せ方を変えてくるところがベテランの味である。それをしっかりと受け止める段田安則も、「どこにいるのかわからない存在感のない男」を、抜群の存在感で演じていた。

群像劇ということもあって、芝居の多くの場面で10人以上の役者が舞台上に登場しているのだが、セリフを言っている役者の後方で、ライトが当たっていない役者がそれぞれ別の演技をしている。この演出は山田洋次監督の「東京家族」あたりでも意図的に行われていたのだが、この舞台では映画よりもずっと顕著だった。この演出によって、舞台が構造面で立体的になるのは間違いないのだが、一方で観客の視点があちこちに移動してしまい、集中力に欠けてしまうというデメリットがある。僕の場合、後方で椅子に座って何やら無言でごちゃごちゃやっているカップルに気を取られていてセリフを聞き逃すといった事態が数回起きてしまった。メリット、デメリットの両方がある演出だったが、群像劇のカラーが色濃くなっていたことは間違いがない。

舞台中央に大きめの階段を設置し、役者の登場・退場する場所をひとつ増やしたのも、変化をつける意味で効果的だった。

大勢の人物たちを登場させ、それぞれにストーリーを持たせ、そしてきちんと退場させていく。そのあたりの風呂敷の広げ方とたたみ方が見事だった。これまであまり好きではない三谷ワールドだったけれど、こういう芝居を観ることができるなら、また劇場に足を運んでみようという気にもなる。

東京公演は3月9日まで。そのあと、大阪、愛知、福岡の各地で公演あり。

「国民の映画」特設サイトはこちら  
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2013年12月05日

シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.1【太宰治】グッドバイ

シアタートラムで上演中の「グッドバイ」を観てきた。

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遊眠社時代から大好きだった段田安則さんと、女優としては二階堂ふみさんと並んで注目している蒼井優さんが出ているというのが大きな理由である。

段田さんの舞台は実はすっかりご無沙汰で、2008年にケラ演出で上演された「どん底」が最後だった。この芝居でも、あるいはそれ以前の「贋作・罪と罰」や「赤鬼」でも、安定したうまさだった。遊眠社時代に僕が好きだった役者さんは段田さんの他に佐戸井けん太さんと向井薫さんがいるのだが、彼らに共通するのは良く通る声である。前回の観劇から5年も経ってしまい、段田さんの声は大丈夫かな、と心配していたのだけれど、冒頭のシーンですぐにそれが杞憂だったとわかった。当たり前のようにちょっと年齢を積み重ねてはいたけれど、細かい演技には深みが増していた。

もう一つの楽しみだったのが蒼井優さんである。「南へ」などで何度か観ている彼女は、なかなか声が遠くに届かない。芸術劇場の中ホールぐらいだと、彼女には大きすぎる印象だった。映画では非常に良い演技を見せているので、かつて深津絵里さんが「農業少女」で素晴らしい演技を見せたシアタートラムで、彼女の良さを表現してくれるのではないかと期待していたのである。そして、その期待に、蒼井さんもきちんと応えてくれた。彼女には、シアタートラムぐらいの大きさがしっくりくると思う。まだ、大きな舞台でやるには声に肉体的なサポートが足りないんだと思う。それは体型面からも、年齢面からも、で、もっと体に厚みが出て、声がもうちょっと低くならないと、射程距離が伸びないのではないだろうか。大きな舞台で無理をするよりも、ある程度余裕のある舞台で、持ち前の演技力を発揮したほうが良いと思う。今回の芝居では、彼女の魅力はきちんと表現されていた。

他の役者さん達も、良い味を出していた。高橋克実さんは実は離風霊船時代から見ているのだけれど、当時は神野美紀さんを見に行っていて、気がついたらトリビアに出ていた。昔はモスラだったけれど、今はハゲをネタにできる貴重な役者さんになったようだ(笑)。

芝居の内容は太宰治の絶筆「グッドバイ」をなぞったものになっているけれど、小説は未完で、設定段階で中断している。芝居では主人公の年齢設定などがだいぶアレンジされていて、原作では34歳の雑誌編集長だったのだが、今回の芝居では50代半ばの大学教授になっている。「たくさんの愛人を囲っているのだが、事情があってその愛人たちを一掃したいと思い、すごい美人を見つけてきて、彼女を連れて愛人のところをひとりひとり歴訪してまわるという一計を案じる」という、おおまかな部分は下敷きにしているけれど、そこで見つけてきた美人と主人公の関わり方は原作とは大分違っている。しかし、それがつまらないかといえば、そんなこともない。上手に現代劇として料理されていて、最後まで飽きさせない。

チラシでは山崎ハコの名前があって、谷山浩子、中島みゆきとセットで語られることが多かったシンガーソングライターがどんな役なのかと思っていたのだが、きちんとそれらしい役になっていた。

芝居は、このくらいの大きさの劇場で、のんびり観るのが楽しい。一時はバブルもあって大きな劇場にテレビで有名な俳優を呼んできてのプロデュース公演が花盛りという時代もあったけれど、価値観が多様化して、ビデオやCDなどの複製コンテンツの価値が暴落したおかげで、音楽も芝居も、ライブの良さが再認識されてきつつあると思う。おかげで、こういう贅沢な時間を過ごせるようになった。これで6,000円なら、十分に満足である。それにしても、シアタートラムは良い芝居をやると思う。  
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2013年10月09日

NODA・MAP第18回公演『MIWA』

最近の野田地図公演の中では屈指と言っても良いくらいにチケットの確保が難しかった公演。タイトルそのままだが、美輪明宏を描いた作品である。なぜ美輪明宏?と思うところだが、演劇界や歌舞伎界との繋がりが密で、東京芸術劇場の杮落としで演出をやったこともあって、箱との関わりも深い。野田秀樹と同じく長崎出身ということもあり、色々と引っ張り出してくると、「なるほど」と思わないでもない。

芝居の中心はゲイであることの苦悩で、野田秀樹の芝居としては珍しくストレートに表現されている。全体的にみるといつものような小道具の活用がなかったり、昔の芝居で使ったことのある言葉遊びが再登場したりと、ちょっと「らしくない」作りだと思う。

僕自身が美輪明宏という人物にそれほど興味がないこともあってか、すーーっと始まって、クライマックスがないままにすーーっと終わってしまった感じである。美輪明宏という人物に興味を持つトリガーにはなったと思うし、今回は気が付かなかった仕掛けが多分盛り込まれているんだろうが、もう一度観るかどうかは微妙なところ。月刊新潮に戯曲が掲載されたので、それを読んでから考えてみたい。

役者は総じて標準以上の演技を見せていたと思うけれど、青木さやかはダメ。下っ端の役者と比べても声が通ってない。彼女を使ったのは事務所の都合か何かだろうか???

二階席サイドからの鑑賞だったんだけど、LB席3番のお姉ちゃんがずっと前のめりで観ているおかげで、彼女の後頭部をずっと見るはめに。劇場サイドはちゃんと注意して欲しい。あと、台風が近づいているせいもあったのかも知れないけれど、扉の隙間から風切り音がヒューヒューなっていて「この安普請め!」と思った。

初見でも、複数回鑑賞する予定がないなら、事前にウィキペディアで美輪明宏を調べておいた方が良いと思う。

評価は☆1つ半。  
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2013年10月04日

NODA・MAP第18回公演『MIWA』初日

本日初日ということで、芸術劇場まで行ってきた。




劇場まで行っただけで、公演は観てない(笑) 今回はなぜかチケット確保が非常に困難で、来週にならないと観ることができないのです。うーーーーん。  
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2013年09月12日

新開場記念 新作歌舞伎 陰陽師 滝夜叉姫




演目は知っていたけれど、そのまんま夢枕獏の原作ものだった。歌舞伎になっても本の雰囲気はかなり再現されていたと思う。特に葉二(はふたつ)が実際の音として表現されていた点はさすがに歌舞伎という感じである。映画にもなった陰陽師だけれど、漫画よりも、映画よりも、歌舞伎のフォーマットがフィットすると思う。

今回は3階の最前列での鑑賞だった。




役者の評価は染之助◯、勘九郎◯、七之助◯、菊之助◎、愛之助◎、海老蔵△、松緑◯、亀蔵◎といった感じ。何より残念だったのが海老蔵演じる平将門の迫力のなさで、声が全く届かない。他の役者たちの声はきちんと聞こえるのに、何かぼそぼそ語っているようにしか見えない。加えて、動作に貫禄がない。その将門が重要な役なので、全体が腰砕けしてしまった感がある。これ、もうちょっと前の方の席で観ればまた違った感じなのかな?でも、3階席でも6,000円なんだけど・・・。あと、染五郎と勘九郎の晴明、博雅のコンビはまぁありかな、と思いつつも、20年の時間の経過が演技からほとんど感じることができず、そこはもうちょっと何とかならないものかなぁ、と思った。

余談だが、僕は原作本も漫画も読んでいるので問題ないのだが、普通の歌舞伎ファンの人たちが見て、式神とか、理解できるんだろうか。


  
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2013年08月08日

歌舞伎座新開場柿葺落 八月納涼歌舞伎 第一部

歌舞伎座の新装オープンの杮落としを観てきた。観たのは第一部のみ。演目は

一、新版歌祭文 野崎村(のざきむら)
   
二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

の2つ。野崎村は非常に湿っぽい内容で、登場人物たちがずっとメソメソ泣いている芝居だった。鏡獅子は頭をぐるんぐるん回すだけの演目で、勘九郎が大活躍したけれど、内容は全くと言ってないもの。基本的に何を言っているか良くわからないので、こういう演目のほうがわかりやすかったりする(笑)。




3,000円の席なので見やすさという点では「うーーーん」という感じだったし、前の座席が近くて「狭いなぁ」というのが正直なところだったけれど、その分観客席に傾斜があって、舞台までの距離は短く感じた。クレジットカードを挿入するだけで完了する発券システムなどもなかなか優秀で、さすがに儲かっている組織は顧客対応にぬかりがないな、と思った。ただ、地下鉄から直結じゃないのはちょっと残念な感じ。これは何か大人の事情があったのかな??  
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2013年06月19日

不道徳教室

fudoutoku


岩松了作、主演大森南朋の「不道徳教室」を観てきた。なぜこれを観たかといえば、大森南朋、二階堂ふみ、黒川芽以という、結構好きな役者がキャスティングされていたからだ。観終わってすぐに思ったのは、やはり芝居はこのくらいの大きさの箱が良い、ということだ。今回は珍しく気合を入れてチケットを確保したので、前から3列目という良い席だったのも大きなポイントだったかも知れない。劇団関係者の知り合いと話をしていると、「全体の構図がわかりやすいから、後方の座席も捨てがたい」という意見がでてくることがあるのだが、最初に観る時はやはり前の方が良い。役者から伝わってくる迫力に代えられるものはない。全体の構図を観たいならビデオでも良いのだから。

芝居は大森南朋演じる先生と、二階堂ふみ演じる生徒の関係を主軸に進んでいく。場面場面の時系列をかなりいじっているので、演劇を観ることに慣れていないとストーリーがわからなくなるだろう。ただ、それでも、ひとつひとつの場面でのおかしさがあるので、退屈することはないと思う。

大森南朋はスクリーンやテレビの画面を通じて見て想像していた演技よりはちょっと押しが弱いというか、芝居よりも映像メディア向きというか、思ったような演技ではなかったのだけれど、これは演出による部分も大きいのかも知れない。一方で二階堂ふみは思った以上に演技派で、これは凄いなぁと感心させられた。大竹しのぶ、宮沢りえあたりに匹敵するような迫力があると思った。今後が楽しみである。黒川芽以の舞台は赤坂で観た「路地裏の優しい猫」以来だが、すっかり大人になっていて、うわー、もう5年以上経っているんだものなぁ、と、年月の流れの早さを実感した(^^;

舞台の転換がなかなか面白いし、色々と見どころが多い舞台だったと思う。怒鳴ってばかりのタクラマカンを観たすぐあとだからかも知れないが、やはり良い舞台は、良い役者が揃っていることが必要条件だなぁ、と思った。

評価は☆2つ半。23日まで、東京・三軒茶屋のシアタートラム。

関連エントリー
路地裏の優しい猫
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50514642.html

秦組vol.5『タクラマカン』
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51397650.html  
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2013年06月03日

秦組vol.5『タクラマカン』

秦組vol.5『タクラマカン』を観てきた。

秦組のサイトで過去の上演記録を見ると何度も上演している作品なので、それなりに練られているはず。さて、どんな作品なのかと観客席に座ったのだが・・・。芝居は仮想国の被差別住民と、治安部隊の確執を描いたもの。ストーリーにはそれほどひねりがなく、難解な部分は特にない。

冒頭のシークエンスを観ただけですぐに「役者の質にばらつきがありすぎ」と感じた。事務所の都合で押し込まれた役者が何人かいたのかもしれないが、この箱では到底無理、というレベルの人が混じっていた。

続いてすぐに「?」となったのが、大勢で声を揃えるシーンである。僕は第三舞台の昔からこの演出があまり好きではない。なぜなら、何を言っているかわかりにくいからである。もちろん、役者のレベルが高く、きちんと演出されていればその限りではないのだが、効果的に使われている舞台をほとんど観たことがない。この舞台でも、何を言っているかさっぱりわからなかった。それが冒頭のシーンで使われてしまうので、劇に入っていけなくなる。ある程度ストーリーが把握できてきた段階での演出なら脳内補完できるのだが。後半で登場した、三人ぐらいで声を合わせるシーンではちゃんと聞き取れたので、演出の問題である。あと、役者の数が多いせいなのか、不自然にセリフを分割していたのも気になった。

加えて、役名に統一感がなく、一層ストーリーに入りづらい。

芝居の最中では怒鳴るセリフが多すぎて途中で食傷気味になる。普通の喋り方では後ろまで声が届かないのかもしれないが、常に青筋を立てているような感じで、メリハリがなく単調だった。また、100%で喋り続けた上で120%で怒鳴るセリフがあって、これは単独でも何を言っているのかわからなかった。大きな箱ということで実力以上の声量を要求したのかもしれないが、役が役者の能力を引き出すのにも限界がある。特に、声は厳しい。芝居においてセリフが聞き取れないのでは話にならない。もしかして僕だけ?と不安に思ったが、同行した他の4人が皆口を揃えていたので、N=5において100%が「聞き取り難い」と感じたことになる。

主役の身体のきれは十分だが、それを全然活かせてないストーリーだった。セリフ量も少なく、主役というのはチラシの記載の順番とカーテンコールの立ち位置だけ、という感じである。実質的な主役は築山万有実だった。主役が多忙なアイドルということで、練習時間が満足に取れず、詰め込むセリフに限界があったのかもしれないが、これで矢島舞美ファンは納得するんだろうか。役者で言えば、築山以外だと藤原習作、横山一敏は安心して観ることができた。

決め台詞が有名なセリフ(翼よ! あれが巴里の灯だ)のパロディなのはどうなのか。

音楽もイマイチ効果的でない。ピアノの音量が前面にですぎていて、三味線の存在感がなかった。

全体的に熟成度が低く、一部役者を入れ替えて、脚本の駄目出しをして、編曲をやり直し、半月ほど練習をした方が良いんじゃないかな、と思った。というか、もともとちゃんとしていた芝居に多忙なアイドルを無理やり押し込んでダメにした、という感じの舞台だった。

評価は☆1つ。6月10日(月)まで、東池袋のあうるすぽっと。  続きを読む
Posted by buu2 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2013年05月12日

おのれナポレオン、最終日の顛末

おのれナポレオン、公演序盤で観た段階で「これは9,500円の価値はない」と判断したので、ライブビューイングで観るつもりで、チケットも確保してあった。ところが、ご存知のように天海祐希さんが心筋梗塞で倒れてしまい、公演は中止、ライブビューイングも吹っ飛んでしまった。しかし、野田秀樹の人脈か、最後の最後になって宮沢りえのピンチヒッターが登場して、金曜日からの4公演だけ、代打の宮沢りえによって続けられることになった。こういうことなら、どんな芝居になったのか、ちょっと観ておきたくなるのがオタク根性というもの。

本当なら金曜日に観に行きたかったのだが、残念ながら金曜日は僕自身がテレビの生中継があって観に行けない。そこで、土曜日の当日券に並ぶことにした。芸術劇場は9時オープンで、それ以前には並ばないでくれ、とのことだったので、9時過ぎに現地に行った。と、なんと、9時の時点で抽選をやってしまったとのことだった。これはちょっとないだろ、と思ったが、芸術劇場も一杯一杯の状態なんだろうと思って、夜の部に並ぶことにした。ところが、夜の部を観るためには、9時から夕方の6時まで並ばなくてはならないという。いくらなんでも、この芝居のために9時間も並ぶのはいかがなものか。僕は別に宮沢りえのファンでもないのだ。ただ単に、「あの芝居が宮沢りえになるとどう変化するのかな」と、確認したかっただけなのである。ということで、一度は列に並んだものの、やっぱり帰ることにした。その際、明日の抽選のやり方も確認しておいた。ただ、その抽選のやり方には色々と問題がありそうだったので、ブログには書かないでおいた。

そして、今日である。今日はちゃんと9時前に現地に到着した。すでに100人以上の行列ができていたのだが、抽選と知っていたので問題ない。列の中にはTV局のADを含め、他人のために並んでいると思しきメンバーも含まれていた。これこそが、前日「問題がありそう」と考えた最大の理由だが、やはり気がつく奴は気がつくものだ。こうやって動員を図れば、当然当選確率がアップする。9時になると一旦芸術劇場の二階に列を移し、そこでまたしばし待ち時間。

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そして、やっとこさの抽選である。抽選の前に、「今日はどんなに頑張っても150席、現実的には多分100席ぐらいが限界だと思う。なので、くじ引きで150よりも大きな数字を引いた人は諦めて欲しい」という旨の説明があった。並んだのは多分300〜400人。結構狭き門である。ここでちょっと思ったのは、中止になってしまった公演のチケットを持っている人間を少しは優遇すべきなんじゃないか、ということ。僕のチケットはライブビューイングだからそれほど自慢できないが、中止になった公演の、劇場のチケットを持っていた人たちはちょっと気の毒過ぎる気がする。

とはいえ、くじは引かなくてはならない。当たるかなー、二桁、できれば一桁の数字を引きたいなー、などと思いながらくじを引くと・・・

13_05_12_2704

まぁ、世の中とはこんなものである。落選した中では2番だけど、151番よりは悔しくない。ということで、芸術劇場をあとにして、プランBの休日を過ごした。

今回の処置、芸術劇場としては目一杯頑張ったんだと思うけれど、それでも問題はいくつかあった。列挙するとこんな感じである。

○9時の時点で抽選を行う、という正式な告知がなかった
○行列代行に対する防止手段がなかった
○無駄に長時間の行列を強いた
○中止公演のチケットのホルダーに対する優遇措置がなかった
○抽選の不正防止が甘かった(こっそり、複数のくじを引いてしまうことが可能なやり方だっった)

時間と資材があれば、次のようなやり方が良かったと思う。

1.抽選時間をきちんと告知する
2.くじは、本人が確実に一枚だけ引く(くじを開くのは係員がやる)
3.当選者は、遊園地の途中退場などで利用するスタンプを腕に押す
4.当選者は開場一時間前に再集合して、座席を決める

裁判の傍聴などでもマスコミがバイトを雇って並ばせるといったことをやるようだが、そのノリで芝居の当日券にまで資本力を利用して動員されてしまうのは、一般のファンとしてどうも納得できないところがある。

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おのれナポレオン
おのれナポレオン、公演中止と出演者交代
おのれナポレオン、公演中止の続報  
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2013年05月09日

おのれナポレオン、公演中止の続報

さすがに宮沢りえといえども無理だったか、という感じで、今日のソワレも中止になりました。あわせて、全国で開催予定だったライブビューイングも中止になりました。

詳細は芸術劇場サイトでご確認下さい。

本日(9日)「おのれナポレオン」昼・夜公演中止のお知らせとお詫び(続報2)
http://www.geigeki.jp/info/napoleon2/  
Posted by buu2 at 12:04Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2013年05月08日

おのれナポレオン、公演中止と出演者交代

天海祐希さんが心筋梗塞で倒れたそうで、今日のソワレと明日のマチネが中止になりました。チケットをお持ちの方はご注意下さい。

明日のソワレはライブビューイングが入るということでどうなるのか注目されていたのですが、先ほど、TBSのサイトで公演は「やる」と告知がありました。出演者は宮沢りえさんに交代するそうです。

中止、および出演者の変更にあたって、払い戻しを希望される方向けの情報は芸術劇場のサイトに掲載されるようです。

芸術劇場のサイト
http://www.geigeki.jp/

中止と交代に関するTBSの告知はこちら
http://www.tbs.co.jp/event/de_napol2013/

ライブビューイングは明日の朝10:30に、TBSのサイトで告知があるようです。公演はやるけれど、ライブビューイングはやらない可能性がある、ということです。

今回中止が確定した2公演については振替公演はなし、チケットを持っている人を対象に、5月9日の公演の生中継鑑賞会を芸術劇場コンサートホールで開催することを検討しているそうです。

天海さんの体調が心配ですが、6日の午後に倒れてすぐに代打に名乗りを上げた宮沢りえさんは凄いですね。3日でセリフや動きが頭に入るものなのか・・・。とりあえず、明日ライブビューイングがあれば、映画館で観てこようと思います。  
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2013年04月12日

おのれナポレオン

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三谷幸喜作・演出、主演野田秀樹の新作ということで観てきた。僕の中の劇作家のランクは野田秀樹の方が三谷幸喜よりもずっと上なんだけれど、野田秀樹をどうやって料理するのか、野田秀樹がどうやって料理されるのか(僕が覚えている限り、野田秀樹が他人の演出する舞台に出るのは初めて)を楽しみにしていた。

内容は野田秀樹扮するナポレオンの死の謎に迫る、というものだが、脚本自体は非常にストレートで、観客の頭をぐちゃぐちゃにするような意地悪な仕掛けは全くない。一応謎解きの要素はあるのだが、案内役がきちんといて、過剰に親切である。特に心に残るようなセリフがあるわけでもなく、さーーーーっと始まって、さーーーーっと終わってしまった感じだ。加えてラスト近くでは「大きな仕掛け」の謎解きが親切すぎて鬱陶しいレベルだった。この手の、盲人を案内しているような親切心は三谷幸喜の映画でもときどき見受けられるのだが、個人的にはあまり好きではない。また、物語を解釈する自由度が非常に低く、恐らく10年後にこの芝居を観たとしても、新しい発見が全くないと思う。過去からの名作と言われている小説は、繰り返し読むと、読んだそれぞれの時なりの感想を持つものだ。だから、本を捨てることができなくなる。芝居の場合、「どうせその場限りなのだから、小説とは違って、その場で楽しめることが重要」という考え方もあるだろう。三谷幸喜はあて書きで有名な劇作家で、「その役者」であることと同様に「その場」を大事にするのかも知れない。しかし、同じようにあて書きをすることで有名な野田秀樹の作品には、名作小説のような自由度がある。この、「自由度」をどう評価するのかが、この芝居の評価を上下するのだと思う。あと、予想していたよりも笑いの要素は控えめだった。まとめれば、ミステリーの要素が薄く、ストーリー自体の奥深さはなく、三谷のテーストであるはずの笑いも控えめ、ということで、ホンとしては特徴が少ないものだった。

出演していた役者たちはどれもがなかなかに芸達者で、Q列での鑑賞であっても声が届かないということもなく、十分に楽しめた。セリフを間違えたり、噛んだりすることは何度もあったけれど、まだ幕が開いて間もないということもあって仕方がないところだろう。最近は自身の作・演出ではすっかり動きが抑えられていた役者としての野田秀樹が、この舞台では十分すぎるくらいに活躍していて、昔の野田秀樹を知っている人間にとっては嬉しい舞台になっていたと思う。

この芝居が、あの座席(1階Q列11番)で9,000円(ぴあの優先を使ったので、実際にはさらにシステム利用料がかかっている)というのは高すぎると思う。この価格で納得できるのは、せいぜい前から5列目ぐらいまでだろう。「でも、チケット完売ならもっと高くても良いんじゃない?」という指摘は正論で、してみると、世の中の三谷幸喜人気は不当に(ただし、僕にとっては、だが)高い、ということなのかも知れない。5月9日に全国の映画館でライブビューイングがある。こちらは3,500円で、役者の表情などもきちんと観ることができると思う。今からチケットをとって(完売だけど)後ろのほうで観るくらいなら、こちらの方が良いかも知れない。映画館でのライブビューイングのチケットは13日発売。

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南へ
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#まだまだあるので、興味がある人はこのブログの「演劇」カテゴリでお楽しみ下さい(笑)  
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2013年01月22日

初春大歌舞伎

ちょっと思い立って「初春大歌舞伎」を観てきた。

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15列目のど真ん中だったのだが、歌舞伎はこのくらいの距離がちょうど良い気がする。観たのは昼の部で、「寿式三番叟」「菅原伝授手習鑑」「戻橋」「傾城反魂香」の4本だった。

歌舞伎初心者の僕にはどれも面白くて、早く時間とお金がある身分になって、毎月これを観に来たいなぁと思った。でも、多分、次に観に来るのは半年後ぐらいになるんだと思う。

26日まで。  
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2013年01月10日

朧の森に棲む鬼(ゲキ×シネ)

「ゲキ×シネ」という、演劇のビデオを映画館で観ちゃおう、というちょっと「?」なものを観てきた。演目は劇団☆新感線と松竹のコラボ作品「朧の森に棲む鬼」。劇団☆新感線は渡辺いっけい、筧利夫、古田新太、高田聖子あたりを通じて夢の遊眠社、第三舞台などと交流が深く、よその舞台では色々と所属俳優、卒業俳優の舞台を観てきていたのだけれど、劇団☆新感線オリジナルは観たことがなかった。

また、演劇をビデオ(映画?)という形態で観ることにも僕は比較的否定的で、実際に僕自身、夢の遊眠社のビデオをたくさん持っているけれど、それはあくまでも「完全に失われてしまったものを再現するためのツール」としての利用であって、やっぱり舞台の魅力はライブでしか味わえないよなぁ、と思っている。

そんな僕だが、なぜこのコンテンツを観てきたかといえば、それは阿部サダヲ、真木よう子、秋山菜津子といった、お気に入りの役者たちが出演していたから。あと、一度は新感線を観ておきたかったというのもある。

結論から言うと、ゲキ×シネは結構面白かった。まず、音が予想よりも良かった。観に行った大泉学園のT・ジョイは他の映画館に比べてやや音が大きい設定の映画館で、他の映画館と比較してちょっとやかましく感じるのだが、それがこのゲキ×シネには良かったような印象を受ける。それから、そこそこの台数のカメラを利用して撮影しているので、役者の表情をきちんと追えているのも良かった。

マイナス点ももちろんあって、最大のものは画質。暗い舞台を撮影していることで、光量が足りずに粗い映像だった。役者はほとんどの役者が魅力的な演技を見せていた中にあって、お気に入りの真木よう子の演技力と歌唱力がちょっと、という感じだった。ストーリーにもひねりがなくて、キャラメルボックスに通じる物足りなさを感じた。ただ、これは映像だったからかも知れない。というのは一つ一つの伏線を一々強調した絵作りになっていたので、「あ、こうなるのね」みたいなのが大体わかってしまったのだ。

第一幕までは素晴らしい出来だったと思うのだけれど、広げた風呂敷のたたみ方がイマイチ爽快感に欠けるというか、なんというか。評価は☆3満点で☆2つ。

髑髏城の七人には小池栄子が出ているので、こちらも観てこようと思う。

#新感線って、今、渋谷で「ZIPANG PUNK〜五右衛門ロック3」っていうのをやっているんだけど、S席で12,500円!!これはすげぇ。

ZIPANG PUNK〜五右衛門ロック3  
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2012年10月03日

NODA・MAP「THE BEE」再演

最近の野田秀樹作品はちょっと割高に感じられること、あて書きで書かれているので、再演になると作品の質が落ちること、宮沢りえは嫌いじゃないけれど喉の調子が悪い状況でもタバコを吸う女優であること、初演時に日英バージョン併せて3回観たことあたりが理由で、観に行かなかったこの舞台。WOWOWでやっていたので、テレビで観てみた。

僕としては、秋山菜津子、浅野和之の初演バージョンのほうが良かったかな(って、これは野田秀樹作品ではほとんどのケースで言えると思うけれど)。宮沢りえが上品すぎてフィットしていない印象を受けた。

初演時に使っていた小道具は日本バージョンが紙、英国バージョンがゴムだったけれど、本作では紙とゴムの両方を使っていた。  
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2012年09月29日

「エッグ」野田地図 第17回公演(@東京芸術劇場プレイハウス)二回目

二回目の鑑賞。一回目の感想はこちら。

NODA・MAP 第17回公演 「エッグ」(初日)
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51358491.html

鑑賞前に「新潮 10月号」に掲載された戯曲をざっと読んでおいた。

前回は初日ということもあって芝居にもややまとまりがない印象を受けたのだが、今回は大分こなれていたような気がする。そして、観る側も戯曲を読んでいたので、非常に理解しやすかった。これから観る人に言っておきたいことは、戯曲の冒頭の6ページぐらいで構わないので、読んでおいた方が良いということだ。それだけで、芝居の構造がわかる(時空の配置と、野田秀樹のセリフ、そして深津絵里の歌う歌の歌詞)。特に、前から10列目程度よりも後方の席で観る人にはお勧めしたい。野田秀樹は以前からちょっとセリフの聞き取りやすさに難のある役者だったが、舞台が大きくなるとそれが顕著になる。この箱は役者野田秀樹にはちょっと大きすぎて、何を言っているのかが聞き取れない。そして、それが聞き取れないと、舞台の構造がわからなくなってしまうのである。

舞台が役者にとって大きすぎる、というのは、本作の場合、野田秀樹だけに当てはまるわけではない。名優橋爪功にもちょっと持て余し気味な印象だし、女子高生役の女の子たちは言うに及ばず、妻夫木聡にも大きすぎる。むしろ、大丈夫な役者の方が少ないくらいだ。物語を見せる現在の野田秀樹の芝居にとっては声が届かないというのは致命的で、それは観客サイドで補う必要がある。それが、「戯曲を読む」という行為である。また、全般的に良い演技を見せていた深津絵里だが、残念ながら歌唱の際の滑舌に問題がある。ここを補う意味でも、戯曲は役に立つ。

別に新潮社から何かをもらっているわけではないけれど、「新潮 10月号」は他にも面白い文章が掲載されていて、見所が多く、買って損はないと思う。

いや、ちょっと思うのは、劇団の先行予約で受け付けておいて、15列目とかはちょっとないんじゃないのかなぁー、と。そのあたりになると、正直、S席相当ではないと思う。下記を見るとわかるけれど、ほとんどS席なんだよね。

エッグ 座席表
http://www.nodamap.com/productions/egg/img/playhouse.pdf

でも、J列以降だと、この出演者では正直厳しい。正面を向いて発声していれば問題ないものの、ちょっと横を向いて声を出していたら、15列目までは声が届かない役者が半分くらいいるのだ。見切れてしまうから安くするというのは当たり前だが、声が届かないのも同じように安くするのが当たり前だと思う。

劇評が日経新聞に掲載されているのを読んだが、恐らくこれを書いている人の座席はかなり前方なんだと思う。ぜひ二階席正面などから観劇してみて欲しい。受ける印象は全く異なるはずだ。きちんと声が届いているなら「遠いほうが全体の構図がわかりやすい」などの考え方もあるが、最近の野田秀樹作品は「遠くから観たのではつまらない」という状態になっていることがわかると思う。

僕は野田秀樹がシス・カンパニーと文化村から離れたことを歓迎したクチである。その理由は、シスがあまりにも興行重視で、劇の質を無視していることと、文化村の料金の高さにあった。シスを離れ、拠点を芸術劇場に移して、それが改善されるかと思ったら、さにあらず。これでは何で変化を求めたのかがわからない。

#野田さんは、観客が満員に入っている状態で、客席の後ろの方から自分の芝居を観たことがないのだろうか・・・。それとも、シスや文化村とは別の問題をやっぱり抱えていて、思ったような芝居ができないでいるんだろうか。

さて、今回は運良くH列29番という、端ではあっても前から8列目というポジションだったので、内容はきっちりと把握できた。物語の流れは過去に一方的に遡っていくだけなので、以前の野田作品のような難解さはない。そして、後半、強烈にアピールする人間の「醜さ」には何の救いもない。まぁ、それはそれで良いのだけれど、何十年経っても心に残っている、「少年はいつも動かない。世界ばかりが沈んでいくんだ」といった、「セリフ」そのものが野田作品の特徴だったはず。そういうパワーを持った言葉が失われてしまい、道具を使った演出中心に力が入っているのがちょっと残念だった。これは、言葉が通じない海外での公演を通じての、野田秀樹なりの進歩なのかも知れないけれど、日本人としては、ちょっと残念である。

二度目を観ても、やはり評価は☆2つ。面白い作品ではあるものの、この芝居が9,500円のスタンダードになってしまうのはちょっと合点がいかない。衣装や美術、音楽に力が入っているのはわかるけれど、それでも6,000円ぐらいでぜひ、という感じである。

チケットは完売だから、この価格でも観る人が溢れているわけで、それなら価格を下げる理由はないんだけどね・・・。建物、立派になったし。

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2012年09月06日

NODA・MAP 第17回公演 「エッグ」(初日)

野田地図の新作「エッグ」を観てきた。

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前作で北朝鮮を扱った野田さんだが、本作では満州の731部隊がテーマ。複数回観劇する予定の人はフラットで観ても問題ないけれど、一度しか観ない予定の人はウィキペディアで731部隊についてちょっと勉強しておくと良いだろう。

731部隊(ウィキペディア)

毎回野田作品のキーとなる「道具」は、今回はロッカーとカーテン。このふたつが巧妙に舞台の上で活躍する。

さて、芝居の内容について。前半は「エッグ」という仮想スポーツの五輪正式種目化と日本代表初出場を目指す姿を、中心選手、監督、そしてそれを応援する歌手を中心に描いていく。それが、ある登場人物の退場を機に、話が一気に暗くなる。そこから先は、ずっと日本の暗部をえぐり出すような展開が続いていく。その対照が鮮やか。ただ、後半の迫力に比較して、前半はちょっとテンポが悪かった印象。これは初日の初回ということもあって、まだ熟成が足りないんだと思う。

野田作品としては珍しく(覚えている限りでは遊眠社時代の「半神」以降、初めて)、音楽をかなり前面に出しているのも印象的。

役者のメンツは野田作品の常連が中心だけど、ちょっとびっくりしたのは仲村トオルさん。映画では最近だと「劒岳 点の記」とか、「おっぱいバレー」「K-20 怪人二十面相・伝」などで観ていたけれど、舞台で観たのは初めて。これが、非常に存在感があった。一方で野田さんが大好きな妻夫木君は相変わらずちょっと線が細い。深っちゃんと秋山菜津子さんも良かったし、橋爪さん、藤井隆さん、大倉孝二さんあたりの、野田地図常連メンバーも無難。野田さんのセリフの聞き取りにくさは相変わらず(笑)。他にも、女学生役の女の子達はこの箱でやるにはちょっと能力・技術不足で、後方の座席までは十分に声が届かなかった。

寺山修司へのオマージュ、自らの芸術劇場の芸術監督という立場のパロディなどが盛り込まれているのだけれど、僕は寺山作品も、天井桟敷もあんまり詳しくないので、なんともかんとも(^^;

とりあえず、一回目の評価は☆2つ。もう一回観る予定。

フラットで観劇 > 戯曲を読む > もう一度観劇

というのがオススメだけど、最近の野田作品はS席で9,500円と、結構お高い。当日の立ち見が3,500円なので、体力に自信がある人はこれでも良いんじゃないかと思う。あと、今回はまだどこにも戯曲が載っていないようで、うーーーん。

10月28日まで、東京芸術劇場 プレイハウス

エッグ公式サイト
http://www.nodamap.com/productions/egg/index.html  
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2012年03月18日

秦組ワークショップ「TAKE1」九期生卒業公演「Pain」

秦組のワークショップ「TAKE1」九期生の卒業公演があるというので、知り合いもいることだし、ちょっと上野まで観に行ってきた。

ちゃんとしたプロが演じた「PAIN」の劇評はこちら。

Pain
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51291340.html

秦さんには月に2回ほど一緒にフットサルで遊んでいただいているので大きな恩があるのだけれど、それはそれ。いつもどおり、ストレートに書いてみる。

まず感じたのは、役者が下手だと、脚本のアラも目に付いてしまう、ということ。僕はちゃんとしたプロの芝居ばかりを観てきているので、今回のような、まだ駆け出しの役者さんの芝居というのはほとんど初めてみたような感じ。冒頭、ダンスシーンがあるのだけれど、まずそのダンスがバラバラ。ここまで息の合っていないダンスシーンは生まれて初めてかも知れない。昔、第三舞台のダンスシーンを紀伊国屋ホールで観た時に「下手だなぁ」と感じたけれど、それに比較しても断然下手だったと思う。誰が悪い、というのではなく、全員が下手な感じ。続いて、彼らが全員で木を模して、林の中を演出するのだけれど、今度はそれがあたかも台風の真っ最中のよう。みんながグラグラ揺れているのである。まさか、わざと台風の中のゴルフコースを演出したんじゃないよね???ということで、始まってわずか10分ぐらいで、これは大丈夫かな???と不安になってしまった。

だけど、ポイントになるカメラマンと当たり屋の女の子あたりは押しの強い役柄だったこともあって、そつなくこなしていたと思う(ただ、当たり屋の子のラストは、ちょっと感情を出しすぎていた気もする。のめり込み過ぎると、観る方は逆にさめてしまう部分があると思う)。一方、この芝居ではもっと大事な役柄の御曹司と、そのママ(喪服の方)はちょっと力不足な感じで、ここが最大のネックになってしまったかな、と感じた。同じくちょっと抑えた役どころのマネージャーはなかなか良かったような気がする。あとは、うーーーん、まぁ、こんなものかなぁ。この芝居、少しでも大勢の役者に出番を与えたいと思って書いたのか、チョイ役がかなり多い。その役にあてられた役者は上手い、下手があまり関係ないので、芝居の質にも大きな影響が出ない感じである。

と、まぁ、そんな感じの役者陣だったのだけれど、彼らが演じたPainは、役者の下手さよりも脚本の問題点が浮き彫りになってしまうような感じだった。一番気になるのは、前回のプロによる芝居でも感じた、冒頭とラストのゴルフシーン。このシークエンスが、本編にほとんど絡んでこないのである。そのままだとゴルフの役者がフラストレーションを貯めるということなのか、途中にもいくつか、ファックス購入とか、ちょい役として出てくるシーンが用意されているのだけれど、このシーンの役割が良くわからない。むしろ、なくても良いんじゃないかと感じられてしまう。脚本として、「このシーンは必要不可欠」ということであれば、本編との絡みがもっとあっても良いと思う。僕としては、そこのところはばっさりカットしてもらって、代わりに、なぜ御曹司が振られてしまったのかとか、なぜ御曹司はああいう行動に出たのかとか、そのあたりをもうちょっと深堀りして欲しかった。写真家についての説明がたっぷりあっただけに、御曹司と、彼が惚れていた女性との描写が少なくて、ちょっと残念な気がした。

#まぁー、でも、僕みたいな素人に「秦さん、この脚本、ここを直したほうがいいですよ」と言われて直すとも思えず(笑)、多分、次にやるときもこの形なんだと思う。

あと、やっぱ、ボケママだなぁ。ここは芝居の中で一番重要な役どころで、無表情の中で時折見せる感情とのギャップの表現が物凄く難しい。「すげぇ下手くそ」とは思わないし、逆に上手だから彼女に配役したんだろうけれど、それでもウィークポイントになってしまった。

役者のパワーがないと、役者の力で押しきれるところがそのまま弱点として露呈してしまうというのが今回の発見だった。そんなことは多分秦さんも百も承知なはずで、それでも若手にチャンスを与えるために、あえて自分の作品を提供しているところは凄いなぁ、と感心した。

ところで一番残念だったのは、一番可愛い銀色の衣装の子が冒頭に出てきただけで、あとはパンダの着ぐるみを着てくるぐらいしか出番がなかったこと(後半のダンスシーンでは右側のちょい前ぐらいにいましたか?)。これは惜しい。凄く惜しい。ずーーーーっと昔、遊眠社で、野田秀樹が、明らかに実力不足の山下容莉枝(とは言っても、文学座を出たサラブレッドだけど)を、「華がある」とかいって、他の良い役者を押しのけて重役に使い続けたことがあったけれど、やっぱり可愛いのは重要なんだよな、女優は(笑)。

これまた余談だけど、プロ公演でボケママをやっていた女優さんがお手伝いに来ていた(と思う)。やっぱり、後輩のことが心配なんだなー。プロの役者から観たらどうだったのか、今度話を聞いてみたいと思った。

2,500円というチケット代は全く高くは感じなかったけれど、良い大人にあの座席はきついので、3,000円で、かつ最後列で良いから、もうちょっとクッションの良い椅子を用意してもらえると凄く嬉しいと思った。  
Posted by buu2 at 22:59Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2011年09月19日

Pain

ここ数年、まじめに観に行く芝居は野田秀樹さんが池袋芸術劇場でやるやつか、あるいは野田さんが連れてきて芸術劇場でやるものだけだったんだけど、この間、吉祥寺でやった秦さんの芝居がなかなか面白かったので、今回中目黒でやっている「Pain」も観てきた。

正直、これはめっけもん。適度に躍動感があって、適度に複雑で、そして面白い。冒頭から「この女性は何なの?幽霊?」って感じの登場人物がいて、彼女を中心にして1970年ぐらいと、2000年ぐらいの間を行ったり来たりする構成になっている。簡単に言ってしまえば母と子の物語なのだけれど、そこに描かれているものはなかなかに普遍的であり、奥が深い。一つの正解があるわけでもなく、それでいて秦さんの明示する一つの「解」があって、それが潔い。「観る人が勝手に解釈してくれ」じゃない。正直に言って僕はこの芝居が提示したものには共感ができない。それは物凄く近い境遇にある人間として。だけど、そういう人生もあるだろうな、と思う。

僕が「いちろう」だったり、母子家庭育ちだったり、ベンチャー企業の社長として金鉱探しをしていることもあって、何か、非常に個人的な芝居に感じられてしまった。

いくつか疑問点をあげるなら、まず、冒頭とラストにあったシークエンス。これ、なくても良かったと思う。別にあっても良いけれど、これがあるおかげで大きなメリットはなかったような。一方で、これ自体が結構面白いつかみなので、それが尾を引いてしまって、「あれ?あれは何だったの?」となってしまう。ダンスシーンも可愛らしいけれど、無理に子供たちを引っ張り出してきた意図は良くわからない。どういう意味なんだろう?あと、何か肝になる名台詞が欲しかった。この芝居を一言で表すならこれだ、というもの。もしかしたらあったのかも知れないけれど、ラストのシークエンスのおかげでそれがぼけてしまったと思う。そういう意味でも、ふたつのゴルフのシーンはなくても良かったな、と思う。

役者に言及すると、まず主役の藤原習作さんが良い。どこにも駄目な点が見当たらない。重要な役どころの築山万有美さんも良い。ほとんど感情を表に出さず、淡々とした演技に徹しているのだけれど、黒子のようなセリフのない動きを様々な場面の背景として提供していて、ここが一つの見所になっている(かといって、こればかり観ていると舞台のメインストリームを見失ってしまうのだが)。それから、これまた重要な役どころの藤沢大悟さんもなかなか味がある。ずっとテンション高めなんだけれど、その背後に悩みや影を背負った若者を好演している。何人かの感想を聞いたら、「あぁいう軽い男は嫌い」という女性がいたけれど、彼は軽いのかなぁ。あんまりそうは思えない。滅茶苦茶貫禄のある年増女性を演じていた比企理恵さんも良かった。もう十年以上観ていなかったと思うけれど、今でも活躍していて素晴らしい。

他の役者さんたちも、みんな地声で頑張っていて良かった。小さい劇場だから当たり前といえば当たり前なんだけれど、芝居はやっぱり地声が良い。

この芝居は本当に良い芝居だよ。これを観ないのはもったいない。まだチケットがあるのかどうか知らないけれど、明日、暇なら中目黒に行くべきだと思う。これが後に「あの芝居がさぁ・・・・」と語られるかどうか、僕はわからない。だけど、4500円の価値は間違いなくある。もし明日、空席ができるなら、その分は僕が埋めても良いくらいだ。

明日最終日。マチネが13時から。ソワレは18時から。  
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2011年05月26日

劇団「秦組」 vol.4 『らん―2011New version!!―』二回目

ちょっとモヤモヤがあったので、仕事を夜中にやってしまって無理やり時間を作り、もう一度観てきた。その前に原作(?)も読んでおいた。



さて、二度目。さすがに一度観ているから全体の流れがわかっているし、登場人物も主要な人たちは全部わかっている。「後日」のシーンで顔を隠していても、それが誰だかわかる。ということで、すっきり、さっぱり。

その上で評価してみると、やはりこの芝居の一番のポイントは殺陣。役者の体の切れ。このあたりを重視して役者を決めているんだと思う。二番目のポイントは津軽三味線を前面に出した音楽。そして多分、三番目のポイントは主役の矢島舞美さんの可愛さなんだろう。確かに可愛いし、体も切れるんだけど、演技と声量がイマイチで、僕にはちょっとピンと来なかった。ついでにいうと、主演男優も同じ。ただ、声量がないといっても座席後方(今日は11だったか、12列で鑑賞)まで届かないわけではなく、芝居を壊してしまうようなものではない。好みの部分が大きいかも知れない。役者の好みを言えば、石影、カブトと、もちろん月影。芝居慣れしていて客をいじれる元村長も良い感じでアクセントになっていた。この人がいれば日本語版総統閣下シリーズが作れそうだ。

一方で、マイナスポイント。大きなマイナスポイントって見当たらないけれど、細かいところはポツポツある。

まず、いくつか時間が前後に動くのだけれど、そのうちの一部に必然性が感じられず、単に分かりにくくしているだけの印象がある。もうちょっと効果的なやり方があったかも知れない。

それから、オープニング。一度目に観たときは誰の出産シーンなのかさっぱりわからなかったのだけれど(笑)、今回はさすがにわかった。わかったのは良いのだが、それが冒頭に来る必然性はわからなかった。というか、なくても良いシーンとすら思ってしまった。やはり、芝居は主人公のセリフで始まって欲しい。普通に子供時代のシーンで始まるんじゃだめだったのだろうか。あ、ラストも。最後も主人公のセリフで終わって欲しい。それも、凄くカッコイイセリフで。例えば「少年はいつも動かない。世界ばかりが沈んでいくんだ」。そして暗転。僕にとっての演劇はこれなんだよなぁ(笑)。

また、登場人物の紹介パートで無関係の人物が大量に配置されていて、これが観客に不親切だったと思う。どこを観たら良いのか、わからない(笑)。そのおかげで、最初に観たときは誰が誰なのか、良くわからなくなってしまった。

最後に、現代っ子っぽい言い回しが再三出てくる(「はぁ?」「は?」「ってゆーか」を連発)。これが、おじさんの耳には凄く耳障りだった(笑)。僕は美しい日本語が好きなので、「ってゆーかぁ」みたいなのはかなり気になってしまう。

あぁ、もうひとつ。改めて月影中心に(笑)観てみると、最初から最後まで、月影はほとんど笑わない。段差の上で兄の石影が活躍しているのを見ているシーンと、あとはカーテンコールのときだけ(笑)。あとはずーーーっと眉間にしわが寄っている。そういう役どころだから仕方ないけれど、月影を観に行った人間としてはこれがちょっと残念だったりする。ただ、今日も花道のすぐ横だったのだけれど、冒頭のシーンで僕のすぐ横に月影が立ったので、「おお、右足にテーピングしている!!アキレス腱に張りがあるのか?」みたいなのをチェックできて少し得をした気分だった。

初日に比べると、随分と熟成した感じがする。この熟成要因のひとつは多分「演技力がちょっと下の人達がこなれてきて、レベルが均一になってきた」ということ。90点の人を95点にするのは難しいが、70点を90点にするのは比較的容易だ。本番を重ねることによって、そうやってちょっと下の方にいた人たちが、レベルアップしてきたんじゃないだろうか。あと、酔っ払った赤谷達のシーンとか、いくつか細かく手を加えているような。良くはわからないけれど。今日のソワレを含めて残り5公演。作り手たちが常に向上心を持っているので、少しずつ良いものにしていけるんじゃないか。と言っているうちに楽日になるんだけどね(笑)。

役者の体のキレを前面に押し出して、花道のある難しい舞台を走りまわって迫力を出しているのが印象的。今日は月影へのおまけなしで、評価は☆2つ半(満点は☆3つ)。やや荒削りではあるけれど、基本的なところをしっかりと押さえつつ、勢い良く見せていて、しかも生の声で頑張っている。なかなか良い舞台だったと思う。

#ところで、初日にピンタ3発もやってたっけ?あと、月影が三影を切るとき、刀背打ちじゃなかった(笑)。
#個人的には杉本有美という可愛い子を見つけたのが最大の収穫。  
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2011年05月23日

劇団「秦組」 vol.4 『らん―2011New version!!―』

初めて観る演出家、1人も知らない役者、初めて行く箱、と、予備知識ゼロでの観劇。こういうことって実は滅多にない。大抵の場合、一人ぐらいは贔屓の役者さんがいたりするものなのだ。なんか、サイスタのレッズ戦の完全アウェイ状態にも似ている。

吉祥寺ですら行ったのは10年ぶり以上だと思う。とにかく滅多にいかない場所である。いい加減な目星をつけて歩いていたら、井の頭公園に着いてしまった。やばい、ご飯を食べている時間すらない。軌道修正して、なんとか前進座に到着したのは開演の7分前。劇場の前ではオタクっぽい男子が「チケットあります」のダンボールを手にしていてちょっと微笑ましい。ダンボールじゃなくて、せめてiPadにすれば良かったのに、と思う。

前進座の中に入ってみると歌舞伎座のような花道があって、うわー、こんな難しい箱でやっちゃうんだ、すげえなぁ、というのが開演前の感想。この手の、客の視線が安定しない箱の演出は凄く難しそうに見える。僕の座席は前から3列目で、花道のすぐ横。こ、これは・・・なんか、怖い。客席は演劇に似合わず男性客が結構多く、かわい子ちゃん目当ての人も結構いる様子。一方で僕のような一見さんはあんまりいないんだと思う。

#そういえば、お約束の笑いがあったようで、僕は笑えないのにみんなが爆笑、というのが何度かあった(笑)。

さて、開演。いきなり大量の役者さんが山ほどいて、その向こう側でなにやらゴソゴソとやっている。どうやら出産シーンのようだ。が、花道にいる役者さん越しなので良く見えないのと、セリフが聞き取りにくいことがあって、良くわからない。えっと、誰が生まれたんですか?男の子だって言っていたから、主人公かな?そのあとも、大量の役者さんたちが出て来たり、花道後方で重要なシーンがあったりで、「うわ、役者さんたち、覚えきれるかな?」と心配になった。ところがなぜかそんなこともなく、次々と役者さん達の顔と役名が頭に入ってきた、などということはもちろんなくて、案の定、結構苦労した。この辺りはビジターはちょっと不利。知っている役者さんが数名でもいてくれると随分と違うんだけど。

しかしそれでもなんとか、開幕30分ぐらいでおおよその勢力分布と配役が把握できて、それからは物語に入っていけた。入っていけたのは良いんだけれど、僕が気に入ったのは月影というお姉さんで、この子はちょっと脇役。声量もそれほどないんだけれど、金属質の声質が僕の好みにぴったりで、混沌としたカオスの中でこの子を気に入ってしまったものだから、「あ、でも、この子は主役じゃないんだよなぁ」と修正する間もなく、僕にとっては「らん」ではなく「つきかげ」になってしまった。

他にも、らんのお父さん替わりの男優さんとか、月影のお兄さんの男優さんとか、頑張っている人はいたけれど、まぁ男優だからとりあえず僕のメインディッシュにはならない。そういうわけで全てのシーンを月影中心で観ることになってしまった。してみると、主役の女の子はそうだなぁ、もうちょっと髪の毛が短いほうが良かった。細かい演技はうーーーん。それよりも体のキレが良くてびっくりした。志穂美悦子か、みたいな。主役の男の子はちょっと声量とか滑舌に難有り?格好良いし、動きにはキレがあるんだけれど、舞台よりも映像で映えるタイプ。でも、箱が極端に馬鹿でかいわけじゃないし、ストーリーもわかりやすいので、多少セリフが聞き取れなくても問題なかったりはする。あと、殿様はガクトにやって欲しかったかなぁ。

えっと、まだ今日が初日の舞台なので、ネタバレしないように、ネタバレ部分は追記に書きます。それで、ネタバレなしの感想。

プラス評価部分は1.月影の子がナイス、2.舞台を上手に使っていた、3.音楽もナイス、4.殺陣の迫力は申し分なし、の4つ。マイナス部分は1.人数多すぎ(できればペラ一でも良いので、役者と配役の一覧が欲しかった)、2.ちょっと親切すぎ、3.月影が主役じゃないこと、かな。評価は☆2つのところ、月影ちゃんにおまけして☆2つ半。(満点は☆3つです)

やっぱり、完全ビジターって楽しいよね。

【出演】矢島舞美(℃-ute)、中村誠治郎、丸尾丸一郎(劇団 鹿殺し)、
    根本正勝、藤沢大悟、杉本有美、工藤里紗、清水宏、ほか
【日時】2011年5月22日(日)〜29日(日)
【劇場】前進座劇場(吉祥寺駅より徒歩12分)
【チケット】全席指定 前売5,500円 当日6,000円 未就学不可


ということで、バレが嫌な方はここでさようなら。詳細は追記に書きます。  続きを読む
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2011年03月31日

「南へ」千穐楽

二回目の鑑賞は前から5列目、舞台に向かって右サイドという比較的良ポジション。前回のレビューはこちら。

一番の注目点は、前回ダメダメだった蒼井優さんの声。始まってすぐにわかったけれど、彼女の声は指向が狭いと言ったら良いのかな、スイートスポットが狭いと言ったら良いのかな、ツボにはまると凄く良く届くのだけれど、その方向がものすごく限定されている。あと、自分でも声が通らないと気付いたのか、終始怒鳴りっぱなしで強弱がない。他の役者が10〜6のレンジで声を出している中、8でずっとやり続けているみたいに感じた。強弱がない上に常にイッパイイッパイなので、見ていて凄く心配になる(汗)。だ、大丈夫なのかな、みたいな。考えてみると野田秀樹さんはこういう女優さんが好きなんだよね。竹下明子さんもこういうタイプだった。しゃがれていて、イッパイイッパイの声を出す。でも、竹下明子さんの方が上手に芝居に溶け込んでいたかな。それは、竹下さんのほうが体が大きく使えたからだと思うのだけれど。今回は周囲の女優さんたちがみんなきちんとした発声の中、蒼井優さんだけがぎりぎりのところでやっている。もしかして、そういう状態で生まれる緊張感をわざと作っているなんてことは、ないよね???僕みたいな演劇素人がこういうことを言って良いのか悩むところだけれど、蒼井優さんは、発声にしても、表情の作り方にしても、一つ一つが大きい箱にフィットするだけのものを持っていない。というか、箱に無理やり合わせていることによって、常に全力投球になってしまっている。強弱、メリハリが無いので、見ていて疲れてしまう。余裕がないのだ。これが他の役者さんたちと全く違うところ(実際は、妻夫木聡さんもちょっと怪しいところなんだけれど、でも、以前より上手になったから)。もうちょっと小さいところからやらせてあげたら良かったのになぁ、と思うけれど、事務所の都合なんでしょうか。竹下明子さんと大竹しのぶさんを足して2で割ったような魅力がある女性なので、野田さんが気にいるのは全然不思議じゃないんですが。という、蒼井優さんだったけれど、前から5列目ということもあって、声はしっかり届いた。おかげで、「え?こんなセリフだったんだ」っていう場面がたくさんあって(笑)、なんか二度目って感じがしない。

役者さんで良かったのは、まずチョウソンハさん。彼は松澤一之さんみたいな感じで、野田さんも使いやすいんだろう。渡辺いっけいさんは無難なところ。古田新太さんと渡辺いっけいさんは野田地図では大体同じような役どころで、ちょっと枯れた感じの役割。古田さんに比較するとややテンション高めだけれど、決して悪くない。高田聖子さんも安定感抜群。でも、銀粉蝶さんと藤木孝さんの方が存在感があったかな。銀粉蝶さんはブリキの時からずっと中心でやってきた人だし、藤木さんは文学座出身だから、下手なわけがない。黒木華さんは凄く良いと思ったけれど出番が少なくて、太田緑ロランスさんはちょっと蒼井優さん的なテンション高め安定っぷりがちょっとどうかな、と。目を剥きすぎ(笑)。ただ、前から5列目というポジションなら、「残念」と感じる俳優さんは一人もいなかった。役者としての野田さんは、この芝居位の出番がちょうど良いんじゃないかと思う。

ストーリーは火山観測所にやってきた虚言癖のある女性と新しく配属された男性所員を中心に進んでいく。はじめはいつもどおりのドタバタ。やがてインチキ皇族が出てきて、徐々に話がこんがらがっていき、ドラマを期待するパンピーを意識したマスコミの暴走を皮肉り、天皇を中心とした国家体制を批判し、最後には北朝鮮に飛んでしまう。ストーリー的には大分まとまりがなく、突き詰めていこうとするとキリがないのだけれど、以前遊眠社時代の俳優さんたちと飲んだ時に「わかってんですか?」って聞いたら「あんまりわかってなかった」って言っていたので(笑)、多少わからなくても問題ない。漠然と、日本人に対する皮肉とか、日本人であることの意味を考え直すキッカケになれば良いんじゃないかと。火山の噴火と津波という差異こそあれ、とても大きな関連事象が起きて、それをはさんでの二度の観劇はなかなかに面白かった。今日は、とにかく、一つ一つの事件をこの間の地震に重ねあわせてしまうから。

毎回テーマを持って臨む小道具、今回はパイプ椅子。色々な表情を見せるパイプ椅子はなかなか面白かった。

全体としては、やはり多少まとまりの悪いところがあったと思う。メインの二人には、ちょっと舞台が大きすぎた感じ。紀伊国屋とか、本多劇場とか、頑張ってシアターアプルといった力量だと思う。特に蒼井優さんは池袋なら小ホールでやらせてあげれば凄く良い芝居を見せてくれそうなのに残念。

評価は☆2つ。ちょっと甘いかな。

舞台前にはさっきブログで紹介したアナウンスがあり、カーテンコールでは「地震以降(3月以降だったかな?)のチケット代は全部寄付している。小銭があれば、募金していってくれ」との話があった。今日限定で最近の3部作の写真集を先行発売するということだったので、ちょっとお金を多めに用意してあったんだけれど、写真集はいつでも買える(今回は先行発売)ということで、写真集用のお金は募金箱に入れてきた。しばらく野田さんの芝居はないみたいだけれど、地震のおかげで今回来ることができなくなってしまった人と、次は一緒に観ることができたら良いな、と思う。  
Posted by buu2 at 22:23Comments(4)TrackBack(0)演劇

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しばらくの間さようなら、東京芸術劇場

この建物が結構好きだったので、今日で一時閉館となる東京芸術劇場で何枚か写真を撮っておいた。

リニューアルしたらどうなるのかな?

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Posted by buu2 at 18:40Comments(0)TrackBack(0)Nikon COOLPIX P6000

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2011年02月12日

「南へ」のぴあ評がなぜ好評なのか

ぴあ、YouTubeを使って「南へ」関連の映像をバンバン流している。

こんなのとか。



「あぁ、野田地図がお金かけてプロモーションしてるんだね」と思っていたら、今度はぴあがこんな記事を書いている。

重厚なテーマを掲げた野田秀樹の新作で妻夫木聡&蒼井優らが躍動
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110210-00000001-pia-ent
(ちょっとネタバレしているから閲覧注意)

ぴあが何もなくてプロモーションする理由はないので、当然、野田地図と何らかのお金の関係があるはず。そして、その会社がこういうレビューを書くのって、どうなのかな、と思う。記事の内容はそれほど間違っていないけれど、蒼井優さんの出来は野田地図ファン、蒼井優ファンの僕から見ても「?」というものだった。記事を最初に読んだときは、「あぁ、最前列のど真ん中で見たんだろうな。ゲネプロか何かで」ぐらいに感じたけれど、大々的なプロモーションと合わせて考えるとどうなのかなぁ、と思わないでもない。

こういう、いかにも商業主義に汚染されていそうな評価が、オフィシャルな「評価」の信頼性を下げちゃうんだよねぇ。チケットを扱っている会社としては、こういう記事は書くべきではないんだよな。見ていると、「あぁ、イープラスに持って行かれちゃっている野田地図会員限定の先行予約システムを取り返したいのかな」とか勘ぐっちゃう。

ちなみに僕の評価はこんな感じ↓
南へ  
Posted by buu2 at 13:30Comments(0)TrackBack(0)演劇

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2011年02月11日

南へ

一週間ほど前に当日の打ち合わせが入ってしまい、チケットが余りそうになってしまった。ミクシィで見つけた引き受け候補の人が雪で急遽キャンセルになったり色々あったのだけれど、最終的には僕が自分で観に行けることになって、ちょっと早めに現地に行って、当日券狙いで並んでいる人の最後尾の人に声をかけて、一枚定価で買ってもらった。大助かり。帰りに夜ご飯でもご馳走しようかと思ったけれど、シャイなので(笑)自粛。

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さて、芝居。

ここ数作、分かりやすいというか、観客に対してとても親切な脚本が多かった印象のある野田秀樹さんだけれど、本作は久しぶりに「なにこれ」という感じの舞台になった。ただ、それは実は意図していないような気がする。なぜ「なにこれ」という舞台になってしまったのかと言えば、それは脚本のせいではなく、役者のせい、もっと言ってしまえば蒼井優さんのせいなのだ。

僕は蒼井優さんは結構好き、というか、かなり好きな俳優さんで、彼女が出ている映画は良く観ているし(中には『雷桜』みたいなすごい駄作もあるけれど)、彼女の演技力も高く評価している人間だ。だから、実は本作も宮沢りえさんや松たか子さんや大竹しのぶさんばかりの最近の野田作品に新しい才能が登場するかな、しかも、蒼井優さんか、ということで、3公演分も予約してしまったのだ(笑)。でも、今日の舞台の、冒頭の部分だけで、「あ、これは駄目だ」となってしまった。何しろ、声が客席に全く届かないのだ。他の役者は芸達者な役者さんを揃えているからそんなことは全然ない。基本的に、蒼井優さん「だけ」が駄目。声だけなら、蒼井優さんの鏡像のような女性の役者さんの方がずっと存在感があるのだ。登場する場面が少ないけど。この二人を交代させるだけでも良くなりそうな感じ。

ということで、主役である蒼井優さんの声が、L列までも届かないのだから、かなり大きな箱である芸術劇場中ホールでは、半分以上のお客さんには芝居が届かなかったと思う。僕のところもギリギリだった。いや、正直に言えば、届いていなかった。今の実力では、中ホールで野田作品の主役を張るだけのスキルは持っていない、というのが普通の評価だと思う。

内容は、いつもの野田作品らしく、日本人のアイデンティティを問うようなものになっていた。そこに白頭山などが出てきて、天皇、戦争なども絡め、色々と日本人としての「自分」を見つめ直すことを要求していたんだと思う。が、残念ながら、野田秀樹さんが意図していたような成果は出ていないと思う。それは舞台にいる野田さん自身が感じているんじゃないだろうか。前半の導入部における「天皇を利用した詐欺」の部分も、なかなか面白さが伝わってこない。面白くなりそうなのに、芝居がぶった切られてしまうのである。蒼井優さんの声が届かないから。

ただ、野田さんはこれまでも、ちょっと能力の足りない役者さんたちを上手に使い、そして上手に成長させてきた。この舞台を通じて、蒼井優さんも大きく成長できるかも知れない。問題は声量なので、短期間で一気に挽回する、というのは難しいかも知れないのだが、そういう一発逆転を待つべきだろう。野田秀樹さんの芝居は本人曰く「3回目が一番出来が良い」とのことだが、今日の3回目は全く不出来。そして、どうせ観に行くなら、公演も最後の方、3月後半に行くことをお薦めする。僕は2月中旬のチケットはすぐに友達に売ってしまった。3月末、最終版で舞台がどう変わっているかを楽しみにしたい。あるいは、5列目ぐらいまでなら楽しめるかも。

今日の段階での舞台の評価は☆半分。ただし、役者ごとの評価だとこんな感じ。

妻夫木聡 ○
蒼井優 ×
渡辺いっけい ◎
高田聖子 ○
チョウソンハ ◎
黒木華 ○
銀粉蝶 ◎
藤木孝 ◎
野田秀樹 ○

とにかく、蒼井優さんで全部だめになってしまった。でも、演技はちゃんとしているんですよ。地味な顔立ちなのに、大竹しのぶさんみたいな可愛らしさがあって。とにかく、声。声なんです。いきなり中ホールって、無理だったんじゃないかなぁ。小ホールなら全然問題ないと思う。でも、今、小ホールで毬谷友子さんがやってるんだよね。逆だろ、と。明日観てこようかな・・・。

「南へ」
3月31日まで、東京芸術劇場中ホール  
Posted by buu2 at 23:17Comments(7)TrackBack(0)演劇

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2010年12月19日

ジャンヌ・ダルク

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全然観に行く予定はなかったんだけど、ミクシィの堀北真希コミュニティでチケットを余らせて困っている人がいたので、「じゃぁ、ちょっくら行ってくるか」ということで急遽赤坂ACTシアターへ。

正直、この劇場はあんまり好きじゃない。グローブ座チックな感じの縦長の箱型。舞台までの距離は近いけど、真上から観るような感じ。もっと、傾斜がないほうが僕は好みなんだよな。前の方で観るならどんな箱でも関係ないけど、今日は二階席の後ろのほうだったので、観劇環境としては決して良くない。

そして、芝居。まず、僕がどんなに堀北真希を贔屓にしているとは言っても、さすがに彼女にこの箱は無理でしょ。周囲の俳優さん、脚本、演出と一流どころをバッチリ揃えて、物凄いサポート体制。なんとか彼女を支えてやろうというのが伝わってくる。でも、やっぱりまず声量が足りないから、どうしたってマイクのボリュームが大きくなる。すると、セリフがエコーがかかったみたいに響いちゃう。最初はお城の中っていうのを表現するための演出かな、と思ったんだけど、そうじゃなかった。もう、終始その調子。これだけでもう、芝居って感じじゃなくなっちゃう。やっぱり芝居は地声じゃなくちゃ。じゃぁ、もっと小さいところでやったらどう?ってことになるんだけど、人気俳優だからそういうわけにも行かないのかも知れない。でもさ、彼女の人気は舞台女優としての人気じゃないわけで、やっぱり分相応っていうのがあると思うんだよね。彼女をメインに据えて、この箱でやったっていうのは、どうしたって無理がある。声だけじゃなくて、動きも小さい。特に前半の活躍シーンではもっと大きな動きが欲しいところだったけれど、身体能力的に難しかったんだと思う。体が硬いのかな?でも、意外って言ったら申し訳ないけど、結構健闘していたと思う。特に後半は「あぁ、ここまでできるんだ」と思った。一番ダメだったのは実は堀北ちゃんじゃなくて、シャルル七世だなぁ。他のみんながちゃんとしているから一層駄目が目立つ。この人がなんでシャルル七世役になったのか、意味不明。その他だと、上杉祥三はいつの間にか結構顔が丸くなって、田山涼成は頭が禿げた。いや、周囲を固めていた役者さんたちは凄く良かったと思う。

ストーリーは難しいことは何もなく、史実と、あとは良く言われているジャンヌ・ダルク私生児説みたいなものを適当に盛りこんでいる。特別な設定もないし、またそういった知識がなくても全然問題ないようにセリフで説明が入っていく。このあたりはなかなか良くできた脚本だったと思う。

戦闘シーンとかの演出も悪くないし、後半のだんだんと暗くなってくるあたりからの舞台演出も良かったと思う。

でもまぁ、ジャンヌ・ダルクとシャルル七世がね・・・・。評価は☆1と言いたいところだけど、堀北真希が頑張っていたから半分おまけして☆1つ半。東京は明日まで。

もっと前の方で観たらまた違った評価だったかも。そこそこ出来ることはわかったから、次にまた堀北真希が何か芝居に出ることがあったら、もうちょっと真剣にチケットを取ろうかな。あの距離だと、今の彼女じゃちょっと無理。  
Posted by buu2 at 00:11Comments(2)TrackBack(0)演劇

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2010年11月21日

山口晃展『いのち丸』記念落語と劇団☆死期の旗揚げ公演

ミヅマアートギャラリーで山口晃さんが落語をやるというので(笑)、見てきた。僕と山口さんとの関係はこのブログの過去ログを適当に探してください。

さて、なんで落語だよ、と思うのだけれど、出たがり屋の山口さんだから仕方がない。そういえばサインをもらおうと思っていた作品集を持っていくの、忘れた。

11月27日(土)まで開催されている山口晃展『いのち丸』を記念してギャラリー1階駐車場スペースでやるというこの落語、前座は特殊人形劇団「劇団☆死期」(主宰・岡田裕子/顧問・会田誠)の旗揚げミニ公演だっていうのだから、「あーーーー・・・・・」というにおいがプンプンしていた。

1830ぐらいに現地に到着して作品展を見て、「おい、この富士山大爆発、ちゃんと描いてあるのか?」と思いつつ外に出てみるともう長蛇の列。素人がやる落語にここまで行列するってどうかしてんじゃないの?と思いつつ、僕も並んだ。いや、だって、僕は山口さんと古い知り合いだし、一緒に仕事やったんだからね!

さて、駐車場スペースの入り口で受付をやっていて、ホットなサングリアを一杯いただく。ドリンクチケットを受け取って場内に入ると、もう座席が数席しか残ってない。まぁ、こんなもんだよね、と思って席について適当にiPadで時間をつぶしながら開演を待っていたら、その間に凄い来客。150人ぐらいいるんじゃないか?

で、客が多すぎたからか、30分ほど遅れて上演開始。まずは例の劇団☆死期なんだが・・・・

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珍妙な人形がサザエさんのアフリカ語版を展開していると思ったら、すぐにカオス。

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いや、こうなるんじゃないかと思ったよ(笑)。

という、素晴らしくめちゃくちゃな旗揚げミニ公演のあと、真打の登場。

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さぁ、はじまるぞ、という段階になって理科大の学園祭のものと思われる花火の音がどっかん、どっかんと聞こえてきて、先行きに暗雲が・・・。でも、落語はわりとちゃんとしていた(笑)。

ただ、結構面白かったけれど、前座の勢いとサングリアの臭いにちょっと押されちゃった感じ(笑)。

なんとも変なものを観てしまった。これはなんだったんだろう(笑)。また観たい。ただ、劇団☆死期については、「これは面白い!」というよりは、しょーがねーなー、まったく、という感じだったのはモチロンのことである。

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山口さんには冬に鹿島槍に来てもらって、僕が作った創作落語をやってみて欲しいなぁ。

創作落語「鹿島槍」  
Posted by buu2 at 01:53Comments(0)TrackBack(0)演劇

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