2001年07月05日

A.I.

スピルバーグ監督、オスメント君主演の「A.I.」鑑賞。

温室効果で地表の大部分が水没した未来を舞台に、ロボットの2000年にわたる冒険を描いたもの。映画化構想はキューブリックだそうで、生前、映画化をスピルバーグにゆだねたらしい。

物語はまずファミリーものっぽい作りで始まり、途中、キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」風のパンクな未来が描かれ、最後に2000年後の大団円が静かに語られる。母親の愛情を求めるという、画期的な感情を持たされて生まれてきたロボットは、その機能故にトラブルを起こし、家族に疎まれ、捨てられてしまう。それでも母親の愛情を取り戻したい彼は、空間と時間を超えた冒険の末に、やっとただ一つの望みを叶える、というストーリー。

話は途中のパンクな世界だけ、キューブリック色が濃く出るが、スピルバーグの模倣は単なる真似に終わらず、なかなか見事。また、見る前には「ちょっと長いな」と感じる尺をほとんど感じさせずにラストまで持っていく描写 もなかなかである。

「母を訪ねて三千里」「オズの魔法使い」っぽい、どこかで聞いたことのあるようなストーリーではあるが、オスメント君と助演のジュード・ロウの熱演もあって、良質のエンターテイメントに仕上がっていると思う。

惜しいのは、彼の望みが叶えられるのがたった一日という、御都合主義的な設定だが、まぁ、「キューブリックに捧げる」ことだし、ここら辺は目をつぶろう。

孤児、宇宙人、ユダヤ人、黒人といった、迫害されがちな存在にスポットを当てる一連の作品の延長線上にあるとも言える今作で、スピルバーグはロボットに感情移入させることに成功している。

一見して全く正反対の作風であるスピルバーグとキューブリックの融合、SFXであることを感じさせないレベルまで到達したSFX、世代を超えて世界を代表する役者の共演、愛とは何か、人間とは何かを深いレベルまで掘り下げた内容。表現、内容の両面 で見どころ満載の一本だと思う。

監督、脚本を手掛けた(脚本を自分でやるのは随分久しぶりじゃないかな?)スピルバーグにあげられる☆が3つしかないのが残念である。ということで、評価は☆☆☆。

今度、もうちょっと空いてからまた見に行こうっと(^^