ブログでバイオの50回でオフ会の告知があった(詳細は
こちら)わけですが、テーマは「今博士がすべきこと、できること」だそうで。
それで、他の参加者、例えばリバネスの丸さんがどういうつもりでいるのかは全然わかんないんだけれど、僕なりのこのオフ会へのスタンスというのは明確にしておきたいと思う。
このブログを読んでいる人なら誰でもわかっていると思うけれど、僕のスタンスは「文科省さんにお願いしましょうよ」なんていう物乞いスタンスではない。
なぁんて書くと刺激的過ぎるのかもしれないけど。僕自身、経産省でバイオ系ベンチャーに補助金を配っていたこともあるし、現在も仲良く付き合っている元同僚達の中にはそういう仕事をやっている人もいる。だから、別にその手のお金を全否定する気はない。しかし、目線を上に向けている人とは恐らく最初から話が合わないと思う。また、そういう人たちの手助けをする気もさらさらない。時間が無駄だから、そういう人は僕のそばには近づかないで欲しい(笑)。だって、僕は自分の考えをそう簡単に変える気はないんだもの。
僕はあくまでも、「何をしたいのか」に興味があって、「そのために何が障害になっているのか」を知りたくて、さらには「その障害を除去するために僕は何かできるのか、あるいは何かアドバイスできるのか」を考えたいんです。あぁ、その「何をしたいのか」も、「大学の助手になりたいんですけど」とか、「理研で働きたいんですけど」とか、「研究したいんですけど」とかの抽象的なのは駄目ね。「あなたを大学の助手にしたら、大学にはどんなメリットがあるんですか?」「あなたの研究を実施したら、どんな経済的メリットが発生するんですか?」ぐらいのキャッチボールは出来るかもしれないけれど、話はそこでオシマイだから(笑)。
それから、タイトルに「博士がすべきこと」とか書いてあるけれど、抽象論をする気はさらさらない。「すべきこと」って、そりゃ金を稼ぐことでしょう。僕の興味は、博士研究員に対しては「じゃぁ、どうやって食べていこうと考えているのですか?」だし、その周辺の人に対しては、「僕は今、こんなプログラムを考えていますけど、それに賛同しそうな博士はあなたの周りにはいますか?」ということである。あーでもない、こーでもないと議論したいんじゃない。議論は評論家や大学関係者たちのマスターベーションでしかないということは散々書いてきたこと。議論したことによって博士研究者の状況が変わったというなら、その現場を見せて欲しい。前から書いているけれど、本当に困っているなら、そろそろ「何をするのか」を考えなくちゃいけない。
例えば年収600万円が欲しいというのなら、最低でも「毎月50万円の生産をしなくちゃいけない、50万円の付加価値を作り出さなくちゃいけない」ということ。じゃぁ、博士研究者(自分自身かも知れないし、それを何らかの形で支援している人かも知れないけれど)はどうやってそういう活動をしていくのですか?という問いかけに、何らかの具体的な回答を用意してきて欲しいわけです。
#ちなみに僕なりに一つ、二つ、そういった手段を用意はしてあります。それを博士研究者がやりたくなるかどうかは知りませんが。
ちょうど良い機会だから、ここで一冊の本を紹介しておく。アマゾンのアフィリエイトプログラムを経由したバナーを貼っておくから、少なくともこのオフ会に参加するつもりの人で、まだこの本を読んでいない人がいるなら、全員このバナーからこの本を注文して、オフ会までに読んで、できれば「これは!」と思ったところにラインマーカーで線を引いて持ってきて欲しい。
ムハマド ユヌス アラン ジョリ
早川書房
売り上げランキング: 8207
おすすめ度の平均:


貧困のメカニズムを理解する

強く推薦できる、素晴らしい本。働く人、これから働く人、みんなに読んで欲しい。

静かなる情熱の人

貧困の世界がわかります

お勧めです
この本は、バングラデシュの貧困層を対象にして小額無担保融資を実施し、それらの経済的自立を支援してきた経済学者の自伝である。この本を読めば、僕が「アフィリエイトになっているから、ここから買ってください」と書いた理由もわかるかもしれないし、わからないかもしれない。
折角だから、いくつか僕がラインを引いた場所を紹介するとこんな感じ。
理論を振り回すのではなく、少なくとも一人の生きている人間に対して、ごく小さなことであれ、心からの手助けをしてやろう。
もし、誠実に問題を解決したいと思うなら、まず自ら問題に関わり、歩みを始めるべきである。
物事は、私たちが思っているほどには複雑にはできていない、ということも学んだ。単純な答えを複雑なものにしているのは、私たちの傲慢さだけなのだ。
本当に必死で頑張れる人だけをグラミンのメンバーとして選別する
私は、政府がいかに権力を握りたがり、それを離そうとしないかということを学んだ。
もしあなたが生活保護の受給者だったら、それは、すべてのドアと窓が固く閉ざされた部屋の中に押し込められ、ドアを開けたり、外に出ようと考えることさえできない状態におかえれているようなものだ。
官僚システムは利益を目的にしているわけではないので、能率を高めようという意欲など持てるはずがないのだ。
施しをすることは、彼らの抱えている問題を無視し、ただ彼らを堕落させるだけだ。
なぜ自分からものごとを変えようとしないのか、自らも市場に加わって、ものごとをよりよくしていこうとしないのか
本当の問題は、あらゆる人に平等な活動の場をどうやって作り、どうやってあらゆる人間に公平で平等な機会を与えるかなのだ。
ちょっと抜粋してみただけだけど、僕がブログでバイオで主張してきたこととはずれる部分はほとんどないと思う。
この本は博士研究者をどうしたら良いのかということについて直接的に記述されているものではもちろんない。重要なのはムハマド・ユヌスが考えたコンセプトを理解することである。そのコンセプトはこの本を読むだけできちんと伝わってくる。そのコンセプトを博士研究者問題に適応できるかどうかは、その問題に対峙している当事者の資質次第だ。
何しろ、僕はこの本に書かれているコンセプトをほぼ全面的に支持している。だから、博士研究者問題について具体的な話を僕としたいなら、最低限、この本を読んでおいてもらう必要があると思う。僕の考えを一から説明するには、オフ会の時間は短すぎるので。
#もちろん、オフ会に来ない人も、上のアフィリエイトから本を買ってくれるのは大歓迎ですよ(笑)。2100円だから、配送料も無料。日本ではあんまり売れてないみたいだけれど、絶対に読んでおいた方が良いです。